PHILIPSはオランダの医療機器・家電メーカーで、イヤホンやヘッドホンも市場に投入しています。
じつはずいぶん前からPHILIPSのワイヤレスイヤホンについては、その性能が気になっていました。
音響メーカーではないので、どちらかといえば通話やノイキャン性能がどの程度なのかな?という観点です。
そんなわけで、今回は2023年11月に発売されたばかりのTAT3508について実際に使ってみた感想をレビューしていきます。
もちろん、良いところだけでなくイマイチな点も忖度無しで書いていきますので、参考にして頂ければ幸いです。

【良い点】
〇チープさを感じさせない外観デザイン
〇ウォーム系の迫力ある低音
〇テレワークにも使える標準レベル以上の通話品質
〇同価格帯トップクラスのノイキャン性能
〇自然で違和感のない外音取り込み性能
〇マルチポイントに対応
【イマイチな点】
✖ボーカルの立ち位置が若干遠い
✖タッチコントロールのカスタマイズができない
✖ファストチャージ・ワイヤレスチャージ非対応
✖ケース込み連続再生時間18時間と短め
Contents
PHILIPS TAT3508のデザインと装着感
PHILIPS TAT3508のイヤホン本体や充電ケースのデザインと実際の装着感について確認していきましょう。
チープさを感じさせないデザイン
PHILIPS TAT3508はエントリーモデルなので、お世辞にも高級感のあるデザインとはいえません。
しかし、チープさが感じられるかというと全くそんなことはなく、デザイン性はかなり高いと感じました。

まず、充電ケースはこのクラスのワイヤレスイヤホンとしては平均的なサイズ。
余計な装飾が施されていないので、非常にシンプルですっきりした印象ですね。
またイヤホン本体もシンプルそのもので、タッチコントロール部にPHILIPSのロゴがうっすらとプリントされている程度。

ショートスティックタイプなので、イヤホン本体がコンパクトに見えますね。
華やかさはありませんが、これはこれでファッションの邪魔をしない良いデザインではないかと感じます。
なお、カラーはホワイトとブラックの2色展開。

いずれも少しくすんだカラーなので、この色合いもチープさを感じさせない理由ではないでしょうか。
遮音性・装着安定性ともに良し
PHILIPS TAT3508はスティックタイプなので、イヤーピースがあまり耳孔の奥までは入らないという特徴があります。
したがってイヤーピースが耳孔の奥まで入るタイプのイヤホンは苦手という方にもおすすめしたいモデルです。
ただし、イヤーピースが耳孔の奥まで入らないと、装着感が軽いというメリットと遮音性が低いというデメリットが相反します。
イヤーピースは耳栓の役割も担っているので、耳孔の入り口しかふさがないタイプはどうしても遮音性が犠牲になるんですね。
しかし、PHILIPS TAT3508はイヤホン本体とノズル形状の設計が優秀なのか、遮音性が非常に高いと感じました。
いわゆる耳栓効果が高いわけですが、これが高いほど低音を逃がさない=低音が豊かになるというメリットがあります。
また周辺ノイズもシャットアウトするので、アクティブノイズキャンセリングの効果も上がるというメリットも。
この価格帯のイヤホンで遮音性が高いというのは、イヤホンの総合力に直結する要素なんですよね。
そういった意味では、PHILIPS TAT3508は非常に良く出来たモデルだといえるでしょう。
PHILIPS TAT3508の音質と通話品質
PHILIPS TAT3508の音質と通話品質をチェックしていきましょう。
迫力のある低音のウォーム系音質
PHILIPS TAT3508は暖かみのある低音が全体の土台となっている、いわゆるドンシャリ系の音質です。
ドンシャリ:低音と高音が強調された音質
カマボコ :中音域が強調された音質
フラット :強調された音域が無く均等な音質
低価格イヤホンなので低音のタイトさには欠けますが、締りのない低音ではないので迫力が感じられます。
また高音も刺さりを感じるようなことはなく、細やかさはさすがに不足感はあるものの価格を考えれば十分なレベルでしょう。
いっぽう低音や高音に比べると、ボーカルは少し距離が感じられる印象です。

低音が前面に出てきてしまうので、個人的には低音にボーカルが少し隠れてしまうように感じました。
ただ、中音域の解像度は悪くないためボーカルの歌声は明瞭に聴こえます。
この特性を利用して、PHILIPS TAT3508の専用アプリに搭載されているイコライザーをカスタマイズしてみました。
以下の右の画像の通り、中音域~高音域を上げてみるという調整ですね。

ボーカルの距離感は変わらないものの、低音に隠れてしまうということはなくなったので個人的にはこの設定がベストかなと。
イコライザーをあれこれいじって感じたのは、低域になるほど調整による音質変化が大きいということ。
低域を上げすぎると音がボワつくので、その点だけは注意が必要かなと。
音質のまとめになりますが、個人的には価格なりに納得感のある音質だと感じました。
同価格帯の中華系イヤホンに比べると音質が柔らかく、ノリの良い音楽に合うのではないでしょうか。
遮音性が非常に高い通話性能
PHILIPS TAT3508は、通話時に周囲のノイズを抑制するノイズキャンセリングAIマイクが搭載されています。
今回PHILIPSのイヤホンをはじめてレビューしてみようと思った理由のひとつが、通話性能を確かめたかったから。
ノイズキャンセリングAIマイクが搭載されているなら、それなりの通話品質なのではないかと期待してしまいます。
そんなわけで、BGMが流れている量販店の店舗内でマイクテストを実施してみました。
【PHILIPS TAT3508マイクテスト】
テスト結果からPHILIPS TAT3508の通話品質は、この価格帯としては標準以上だと感じました。
自分が発声していない間のノイズ抑制はほぼ完璧で、会話中ならマイクミュートにする必要もなさそうです。
いっぽう自分が発声すると、少し遅れて周辺ノイズが混入してきます(犬の鳴き声のような音はBGMです)。
テストを行った場所がBGMが流れているスピーカーの真下ということもあり、それを考慮すると通話レベルは高い方だと感じました。
また音声自体はあまりこもった感じやエコーがかったようなところはなく、かなり聞き取りやすい印象ですね。
このレベルなら、会社のデスクからのリモートミーティングにも使うことができると思います。
唯一気を付けたいのは、発声直後に自分の声を拾うまでわずかながらタイムラグがあること。
ゆっくり話始めれば問題ないと思いますが、あまり早口だと「最初聴こえなかった」と言われかねないので気を付けましょう。
PHILIPS TAT3508のANCと外音取り込み性能
PHILIPS TAT3508のアクティブノイズキャンセリングと外音取り込み(=アウェアネスモード)をチェックしていきましょう。
必要十分なノイキャン性能
PHILIPS TAT3508のノイズキャンセリング性能は、この価格帯のモデルとしては優秀だという印象です。
ノイズキャンセリングをONにすると低域ノイズが明らかに減衰し、比較的強めのノイキャンだと感じられます。
中高域ノイズは残るものの、人の話し声なども半分くらいは減衰しているような感覚です。
装着感のところで述べましたが、PHILIPS TAT3508はパッシブノイズキャンセリング性能が高いんですよね。
それがアクティブノイズキャンセリングの効果に一役買っているのは間違いないでしょう。
2万円以下のノイズキャンセリングイヤホンの場合、中高域ノイズはほぼスルーというモデルも存在します。
そいった意味でPHILIPS TAT3508のノイズキャンセリング性能は、この価格に対しては十分納得感のあるものだと思います。
なおノイズキャンセリングモードへの切り替えは、専用アプリもしくはイヤホン本体のタッチコントロールで行います。

タッチコントロールでの切替では、ANC、アウェアネス、OFFの有効・無効が選択可能。
すべて選択した場合は、OFF ⇒ アウェアネス ⇒ ANCの順に切り替わるようになっています。
外音取り込み性能はかなり優秀
PHILIPS TAT3508の外音取り込みモードは「アウェアネスモード」と表現されています。
そしてこのアウェアネスモードですが、プレミアムイヤホンとも互角に渡り合えるのではないかという印象です。
外音取り込みモードにすると、イヤホンを装着することで感じる閉塞感がパッとなくなるような感覚があります。
なにかこう閉じていた音場が大きく開けるような、そんなように感じるんですね。
これは周囲の音が自然に聞こえている証拠で、これまで試してきた数多くのイヤホンの中でも優秀な部類だと思います。
このレベルなら常時外音取り込みモードを使いたいとう方でも、違和感なく過ごせるのではないかと思います。
なお、アウェアネスモードへの変更はイヤホン本体操作、もしくは専用アプリで行います。

専用アプリでは取り込み音量を調整することもできるので、これは嬉しい機能ですね。
PHILIPS TAT3508の機能について
PHILIPS TAT3508の機能面について確認していきましょう。
専用アプリについて
PHILIPS TAT3508は、専用アプリ「Philips Headphones」に対応しています。
機能満載というわけではありませんが、バッテリー残量表示やイコライザーが搭載されているのは嬉しいところです。

イヤホン本体での操作性について
PHILIPS TAT3508はイヤホン本体にタッチコントロール機能が搭載されています。
いちいちスマホの専用アプリを開かなくても、基本的な操作はイヤホン本体で実行できるので便利ですね。
操作方法は上記の通りで、残念ながらタッチコントロールのカスタマイズはできません。
| 動作 | 左 | 右 | |
|---|---|---|---|
| 音楽 | 2回押し | ANC OFF ⇒ 外音取り込み ⇒ ANC ON | 再生/停止 |
| 3回押し | 曲戻し | 曲送り | |
| 1回+長押し | 音量DOWN | 音量UP | |
| 長押し | - | 音声アシスタント起動 | |
| 通話 | 1回押し | 電話を受ける/切る | |
| 2回押し | 着信拒否 | ||
もうひとつ残念に感じた点は、通話時にイヤホン本体でミュート操作が出来ないこと。
PHILIPS TAT3508は通話性能が高いので、リモートミーティング用にもおススメしたいイヤホンです。
そういった意味ではイヤホン本体でミュート操作ができると、さらに使い勝手が向上するんですが…。
個人的にはファームウェアのアップデートで、是非ともミュート操作を追加して欲しいと思います。
なお、タッチコントロールの反応は可もなく不可もなくといった印象。
反応が良すぎて誤操作が多いとか、逆に反応が悪すぎてイライラするということはありませんでした。
マルチポイントに対応
PHILIPS TAT3508は2台のデバイスに同時接続することができるマルチポイントに対応しています。

このマルチポイントは本当に便利な機能で、とくにビジネスパーソンにはぜひ使って頂きたいと思います。
2台のデバイス、たとえばプライベートのスマホとビジネス用のスマホに同時接続というケースを取り上げてみましょう。
プライベートスマホで音楽を聴いているときに、ビジネス用のスマホに着信があったとします。
イヤホンから着信音が流れますので、イヤホン本体のタッチコントロールを1回タッチすれば電話に出ることができます。
通話中はビジネス用スマホとの接続が優先されるだけでなく、プライベートスマホの音楽も自動で停止。
通話が終了すると再びプライベートスマホとの接続が優先され、止まっていた音楽が耳道で流れ出します。
このように良く使うデバイス2台に接続しておけば、いちいちペアリングしなおさなくて済むのでとっても便利。
2台のデバイスの組合せは自由で、PCとタブレット、ゲーム機とスマホなどBluetooth接続ができるならOKです。
PHILIPS TAT3508は低価格ながらこのマルチポイントにも対応しているので、これは大きなメリットだといえるでしょう。
防塵防水性能とバッテリーライフについて
PHILIPS TAT3508の防水はIPX4で、多くのワイヤレスイヤホンに採用されている性能となっています。
IPX4がどの程度の防水性能かというと、水しぶきや汗などが多少かかっても影響がないというレベル。
外出中に使用していてにわか雨に降られたり、ジムなど軽く汗をかくシチュエーションで使っても大丈夫です。
ただし濡れてしまった場合は乾いたタオルで水気をふき取って、しっかり乾かしてから充電ケースに格納しましょう。
また、PHILIPS TAT3508のバッテリー性能ですが、充電ケースを含んだ連続再生時間はちょっと短め。
最近では充電ケース込みで30時間以上というモデルもあるなかで、ANC OFFでも18時間は若干力不足でしょう。
このスペックだと通話メインで使う場合は、3日に1回程度の充電が必要かもしれません。
通話時に片側のみを交互に使用するとバッテリーの消耗を抑えられますので、通話頻度が多い方は試してみてください。
PHILIPS TAT3508は、左右片側だけの装着でも通話することが可能です。
またファストチャージに非対応というのも少々残念で、バッテリーライフが短いゆえにここは対応して欲しかったところです。
PHILIPS TAT3508のレビューまとめ
それでは最後にPHILIPS TAT3508創業評価と実際に使ってみて感じたポイントを整理してみましょう。
| 評価項目 | Impression | Score |
| 通話品質 | オフィスなどでビジネスにも使用可能 | 4.5 |
| 低音 | ウォーム系の迫力ある低音 | 4.6 |
| 中音 | ボーカルの立ち位置が若干遠め | 4.0 |
| 高音 | 細やかさや表現力は価格なり | 4.1 |
| ANC性能 | 価格帯トップクラスの強度 | 4.3 |
| 外音取込み | 開放感があり自然な音質で高レベル | 4.7 |
| アプリ機能 | 必要最低限の機能 | 4.2 |
| 機能加点 | マルチポイントに対応 | 5.0 |
| 総合評価 | 4.4 | |
PHILIPS TAT3508を実際に使ってみて感じたことは、道具として使うという観点ならコスパの高いモデルだということです。
音響機器メーカーの同価格帯のワイヤレスイヤホンに比べると、どうしても音質面では見劣りがします。
しかしノイズキャンセリングや外音取り込み性能は、同価格帯の音響メーカーの製品よりは上だという印象。
いっぽうで中華系の高コスパイヤホンに比べると機能面では見劣りしますが、音質はTAT3508のほうが柔らかいんですよね。
したがって、音質重視や機能面重視というと分が悪いんですが、どちらも平均レベル以上となると候補に浮上してきます。
言葉をかえるとイヤホンの基本的な性能としては「総合力が高い」という表現が適切ではないかと思います。
手に取りやすい価格でもありますし、ワイヤレスイヤホンってどうなの?という方にはおススメのモデルではないでしょうか。














