JabraのワイヤレスイヤホンEliteシリーズには、ワークアウトでの使用を想定したActiveというモデルがあります。
このActiveのラインナップに、最強のタフさを備えたElite 8 Activeがリリースされました。
IP68というスマホと同等レベルの防塵・防水性能を備え、耐塩水性能も検証済みとのこと。
くわえて充電ケースまでIP54という、まさに屋外での使用の特化したワイヤレスイヤホンです。
これで音質や通話、ANC性能が満足できる性能であれば、海辺でのスポーツにも活躍してくれそう。
ということで、今回はJabra Elite 8 Activeを実際使ってみた感想をレビューしていきたいと思います。

【良い点】
〇イヤホン本体IP68、充電ケースIP54の防塵・防水性能
〇ノイキャン性能がElite 7 Activeの1.6倍アップ
〇Jabraならではの高い通話品質
〇Dorby³空間オーディオを登載
〇ヒアスルーに風切り音抑制機能あり
〇激しい動きにもびくともしない装着安定性の高さ
〇カスタム性の高い充実したアプリメニュー
【イマイチな点】
✖ハイレゾコーデック非対応
✖ノイキャン強度のマニュアル変更機能なし
Contents
Jabra Elite 8 Activeのデザインと装着感
Jabra Elite 8 Activeの充電ケースやイヤホン本体のデザイン、実際の装着感について確認していきましょう。
イヤホン本体は従来のAcvtiveを踏襲
Elite 8 Activeの充電ケースは、24.4×46.9×65.4mmと同時発売のElite 10と全く同じサイズ。
シャツの胸ポケットに入れて持ち運べるサイズ感なので、個人的には高評価です。

この形状の充電ケースの場合、デスクの上に置くときに横に寝かせるかっこうになります。
しかし、ケースの中でイヤホン本体が浮いてしまってきちんと充電できないなんてことはありませんのでご安心を。
ためしに充電ケースを強く振って中でイヤホンが外れてしまわないか確かめてみましたが、そのようなことは全くありませんでした。
イヤホン本体はリキッドシリコンラバーで覆われ、みるからにタフさが感じられるデザインです。

Elite 7 ActiveやElite 4 Activeの形状を踏襲したデザインとなっています。
ただし、Elite 7 Activeと比べてみると体積はひとまわりアップ。
Elite 8 Activeは空間オーディオなど新しい機能が搭載されているので、若干のサイズアップはその影響でしょう。

また、同時発売のElite 10はステムが短く軽い装着感なのに対し、Elite 8 Activeはかなりしっかりフィットする印象。
やはりワークアウトでの使用などを想定したコンセプトであることが明らかなモデルですね。
カラーバリエーションは日本国内では3色展開。

Elite 8 Activeから新色で投入されたキャラメルは唯一鮮やかでエレガントな雰囲気。
ファッションにも合わせやすいので、女性にもおすすめのカラーだと思います。
どんなに動いても落下する心配無し

Jabra Elite 8 Activeは装着安定性が非常に高く、どんなに頭を動かしても落下する気配は全くありません。
Elite 7 ActiveやElite 4 Activeも耳との一体感は高かったんですが、Elite 8 Activeも装着時の安定感はずば抜けていますね。
特殊なシリコンラバーで覆われているので、一度装着すると耳に吸い付くかのようにしっかりと固定されます。
その装着感の高さはイヤホンを外すときに実感できるんですが、指でしっかるつままないと外れない感じがするほどです。
ジムやランニングはもちろんのこと、頭を上下左右に激しく動かすスポーツでも十分使用に耐えうるイヤホンだと思います。
Jabra Elite 8 Activeの音質と通話品質
Jabra Elite 8 Activeの音質や通話品質についてチェックしていきましょう。
低音厚めのウォーム系サウンド
Jabra Elite 8 Activeは若干低音域のボリュームが厚めで、優しさがありながらもノリの良いのサウンドだと感じました。
Eliteシリーズに採用されている6mmスピーカーの特性なのか、低音が暖色系で少しブーミーな音質なんですよね。
ただしブーミ―とはいってもボアついている感じはなく、レスポンスやアタック感は十分なためノリの良さにつながっているんだと思います。
いっぽうで中高音は解像度が高く、こちらはタイトでシャープな印象です。
ボーカルやギター、金物類などは引き締まって聴こえ、それを量感のある低音が包み込むようなイメージ。

Elite 8 Activeはワークアウトでの使用を念頭に置いてつくられているので、この音質がベストマッチということなんでしょう。
ただし、同価格帯の音質重視型ワイヤレスイヤホンと比較すると、全体的な解像度には物足りなさを感じました。
タフさより音質重視という方は音質重視型のワイヤレスイヤホンを選んだほうが満足度が高いでしょう。
JabraならElite 10、他メーカーではWF-1000XM5、EAH-AZ80、MOMENTUM TW3、ATH-TWX9あたりが候補でしょう。
なお、Elite 8 Activeは専用アプリのイコライザーで音質のチューニングができるようになっています。

直感的な完全カスタマイズが可能なほか、5種類のプリセットも用意されていますので、使い勝手は良いと思います。
臨場感のある空間オーディオ
Jabra Elite 8 Activeにはヘッドトラッキング機能のあるDorby³空間オーディオが実装されています。
ヘッドトラッキング機能のある空間オーディオは、音が立体的に聴こえる一般的な空間オーディオとは異なります。
たとえば正面から音が聴こえている状態から右を向くと、音がもとにあった場所、つまり左から聴こえてくるんですね。
もちろん左右だけでなく上下でも同様なので、リアリティが飛躍的に高まる機能なんです。
たとえば映画やコンサートなどのコンテンツを観る時に使うと、自分がその中にいるかのような臨場感を体験することができます。
音楽だけではなく動画もよく観るといういう方には、大きなメリットが感じられる機能だと思いますよ。
さすがJabraと思わせる通話性能
Elite 8 Activeは通話最強と呼ばれているJabraらしく、どんな環境下でもクリアな通話が可能となっています。
Jabra製品のマイクテストなので、今回はあえて厳しい環境下でマイクテストをしてみました。
以下はBGMがかなりのボリュームで流れているファーストフード店で、スピーカーの近くの席に座って実施したデータです。
【Elite 8 Active マイクテスト】
発声と同時に自分の声にマイクがフォーカスして、BGMなど周囲のノイズが抑えらるのがお分かり頂けると思います。
ホワイトノイズも一気に減衰するので、このあたりはさすがJabraといったところでしょう。
BGMがかなりの音量だったので心配していましたが、それでもこれだけ抑制されているのには正直驚きました。

これなら街中のカフェや空港のロビーなどであれば、さらにノイズが抑制されたクリアな通話が可能なはずです。
もちろん、自宅やオフィスでの通話なら周囲のノイズは相手にほぼ聴こえないでしょう。
今回のマイクテストを通じて、やはりJabraの通話は安定しているなとあらためて感心しました。
またElite 8 Activeは、専用アプリに通話時のメニューが色々と用意されていることも大きなメリットでしょう。
たとえば通話時にイヤホンから自分の声を流す「側音」や、着信時にイヤホン装着で通話が開始されるクイックアクセスなど。

オンでもオフでも通話する機会が多いというユーザーには、Elite 8 Activeは非常におススメのイヤホンだと思います。
Jabra Elite 8 ActiveANCと外音取り込み性能
Jabra Elite 8 Activeのアクティブノイズキャンセリング(=ANC)と外音取り込み性能について確認していきましょう。
レベルアップしたANC性能
Jabra Elite 8にはアダプティブハイブリット アクティブノイズキャンセリングが搭載されています。
非常に長い名称ですが、これは周囲の騒音に合わせて自動的に強度を調整してくれるノイズキャンセリングのこと。
では肝心の強さは?というと、これまでより1.6倍ノイキャン強度が上がっていると製品ホームページには記載されています。

実際にElite 8 Activeのノイズキャンセリングを試してみると、装着した瞬間に「あ、結構強いノイキャンだ」ということに気付かされます。
これまでのEliteシリーズと比べあきらかに中~高域ノイズが減衰されていて、これなら普段使いに不満はないレベルだと感じました。
人の声など中高域ノイズが全てカットされるわけではありませんが、カフェや電車の中ならストレスを感じることはないでしょう。

Elite 7 Active、Elite 4 Activeともにノイズキャンセル性能が高いとはいえないモデルだっただけに、この進化は大いですね。
ただ、ひとつ残念なのはノイズキャンセリングの強度をマニュアルで調整できないこと。
使っていて「少し弱い」「少し強い」と感じた時に、自分で強度が調整できるとさらに使いやすくなるはず。
ここはファームウェアのアップデートで是非とも修正して欲しいポイントだと感じました。
なお、フラッグシップモデルのElite 10はさらに強力なノイズキャンセリングを搭載しています。
音質やノイキャン重視の方は、ぜひこちらの記事も見て頂ければと思います。
風切り音が低減される外音取り込み
Jabra Elite 8 Activeの外音取り込みは、音質だけで考えるのであれば標準レベルだと感じました。
アプリで外音取り込み量を調整できるようになっていて、個人的には中間くらいがちょうど良い感じでした。

ただ若干高音を集めているような印象で、不快感はないもののイヤホンを着けていないほど自然と表現するには一歩及ばないといったところでしょう。
ただし、風切り音を検知すると低音域の取り込みを抑える機能が搭載されているのは好ポイント。
ランニングやマリンスポーツでの使用では、風切り音がする環境下での使用が前提です。
それを想定してしっかり機能に反映させているのは、製品コンセプトがしっかりしているから。
タフさを前面に押し出したイヤホンとしては、まさに死角なしといえるのではないでしょうか。
Jabra Elite 8 Activeの機能
Jabra Elite 8 Activeの基本性能やアプリメニューなどをチェックしていきましょう。
驚異のIP68という防塵防水性能

Jabra Elite 8 Activeを語るうえでの最重要ポイントは、イヤホン本体はIP68、充電ケースもIP54を誇るということでしょう。
IPとは電気製品の防塵防水性能を表す国際規格で、IPのあとに続く前の数字が防塵、後ろの数字が防水性能のレベルとなっています。
ちなみに、防塵・防水レベルごとにどの程度の耐性を持つかは以下の表の通り。
| IPコード | 保護の程度 |
|---|---|
| IP5X | 機器の正常な動作に支障をきたしたり、安全を損なう程の量の粉塵が内部に侵入しない |
| IP6X | 粉塵の侵入が完全に防護されている |
| IPコード | 保護の程度 | テスト方法 |
|---|---|---|
| IPX4 | いかなる方向からの水の飛沫によっても有害な影響を受けない | 300~500mmの高さより全方向に10ℓ/分の放水、10分 |
| IPX5 | いかなる方向からの水の直接噴流によっても有害な影響を受けない | 3mの距離から全方向に12.5ℓ/分、30Kpaの噴流水を3分間 |
| IPX6 | いかなる方向からの水の強い直接噴流によっても有害な影響を受けない | 3mの距離から全方向に100ℓ/分、100Kpaの噴流水を3分間 |
| IPX7 | 規定の圧力・時間内なら水中に没しても水が浸入しない | 15cm~1mの水面下に30分間 |
| IPX8 | 水面下での使用が可能 | メーカーと機器の使用者との取り決めによる |
Elite 8 Activeの防塵性能は電気製品としては最高等級。
防水性能は1.5mの水没にも耐えられるとされていますので、IPX8相当ということになります。
また充電ケースがIP54というのも非常に珍しく、現行モデルでは最強の防塵・防水性脳であることは間違いありません。
しかもElite 8 Activeは対塩水性能も検証済みとのことで、ビーチでのランニングなども可能なのは大きなメリットです。
通常の防水で耐性があるのは真水だけとされていますので、対塩水というのはイヤホンとしては非常に珍しい存在です。
シーカヤックやヨットなど、マリンスポーツファンには是非注目して頂きたいイヤホンです。
アプリホーム画面とメニュー
Jabra Elite 8 Activeは、専用アプリJabra Sound+に対応しています。
専用アプリは直感的に操作ができるわかりやすい画面になっていて、操作性はかなり良いと感じます。

また、用意されているメニューも欲しいと思うものは揃っており、かなり満足度が高い出来栄えだと思いますね。
ご参考までに専用アプリに搭載されているメニューの主だったものを以下にピックアップしてみました。
✓サウンドモード(ANC,アンビエント,オフ)変更
✓音楽用イコライザー(プリセット,マニュアル)
✓空間オーディオ ON/OFF
✓イヤホン本体ボタン操作割当て変更
✓側音ON/OFFと側音のボリューム調整
✓装着検出ON/OFFと検出時の音楽停止ON/OFF
通話に強いEliteシリーズなので、発声時にイヤホンから自分の音声を流す側音など通話機能が充実しているのは大きなメリットでしょう。
マルチポイントに対応
Jabra Elite 8 Activeは、2台のデバイスに同時接続可能なマルチポイントに対応しています。

このマルチポイントは本当に便利な機能で、一度体験すると後戻りできないほど。
たとえば出張中の電車移動中に、ビジネス用スマホとプライベートスマホの両方にElite 8 Activeを同時接続。
ビジネス用スマホはバックの中、プライベートスマホで音楽を聴いていたとしましょう。
このときビジネス用スマホに着信があると、Elite 8 Activeに着信音が流れます。
デフォルト設定では右側のイヤホン本体ボタンを1回押すと電話に出ることができ、通話中は音楽は一時停止。
つまり着信に応答した時点で、プライベートスマホからビジネス用スマホに接続が自動的に切り替わるようになっているんですね。
通話が終了するとプライベートスマホに接続が切り替わり、停止していた音楽が自動的に再開されます。
マルチポイントはBluetooth接続ができるデバイスなら、同時接続させる組み合わせはユーザーの自由。
2台のデバイス間の行き来なら、その都度ペアリングする必要が無いので本当に便利ですよ。
マルチペアリングという機能はペアリングをする可能性のあるデバイスをイヤホンに登録しておく機能で、マルチポイントとは異なります。
イヤホンに登録したデバイスなら初回ペアリングの操作をせずにBluetooth接続ができるというもので、6~8台程度のマルチペアリングが可能というモデルが多いですね。
Eliteシリーズ最強のバッテリー性能
Jabra Elite 8 Activeは、バッテリー性能もEliteシリーズの中で最もタフな仕様になっています。
ノイズキャンセリングONの状態では、イヤホン本体で最大8時間、充電ケース併用で最大32時間と必要十分。
ノイズキャンセリングOFFならイヤホン本体で最大14時間、充電ケース併用でなんと最大56時間もの再生時間を誇ります。
また約5分の充電で最長1時間の再生が可能なので、短時間で使用可能な状態にできるのは大きなメリットだと思います。
会議直前にバッテリー切れになっても、片耳使用で交互にチャージしていけば問題なく会話が続けられるはずです。
もちろんElite 8 Activeはワイヤレスチャージにも対応していますので、まさにバッテリーに関しては死角なしと言って良いでしょう。
Jabra Elite 8 Active レビューまとめ
それでは最後にJabra Elite 8 Activeの総合評価とレビューを通じて感じたことを纏めていきましょう。
| 評価項目 | Impression | Score |
| 通話品質 | トップクラスのクリアな通話性能 | 4.9 |
| 低音 | 厚みがありウォーム系の音質 | 4.5 |
| 中音 | クリアで近すぎず遠すぎない距離感 | 4.7 |
| 高音 | 控えめな高音で刺さるようなことはなし | 4.3 |
| ANC性能 | 最強には及ばないが実用性は十分 | 4.6 |
| 外音取込み | 音質は標準的だが風切り音対策あり | 4.5 |
| アプリ機能 | 通話メニューが豊富で使い勝手も良い | 4.8 |
| 機能加点 | イヤホンIP68、充電ケースIP54 | 5.0 |
| 機能加点 | マルチポイントに対応 | 5.0 |
| 総合評価 | 4.7 | |
Jabra Elite 8 Activeを実際に使ってみて感じたことは、タフな使用環境でこそ真価を発揮するモデルだということ。
屋外でのスポーツはもちろん、耐塩水性能も検証済みであることからマリンレジャーにも使える性能を有しています。
では、とにかく頑丈なだけかというとそんなことはなく、音質や通話品質にも妥協は感じられません。
Elite 10と比べるとサウンドの繊細さには劣るものの、身体を動かしながらの使用を前提とするなら十分すぎるほどの高音質でしょう。
通話はビジネスにも自信をもって使えるだけのJabraクオリティなので、アクティブなビジネスパーソンにもおすすめしたい1台です。















