ATH-TWX7は、audio-technicaの完全ワイヤレスイヤホンとしては初めてLDACを搭載したモデル。
たしかにaudio-technicaは、ATH-TWX9やATH-CKS50TTWSはaptX Adaptive対応モデルでした。
しかし日本国内のスマホはLDACしか搭載されていないものが多く、aptX Adaptive対応だと手が出しづらいんですよね。
そういうわけでATH-TWX7をLDAC対応にしたのは、個人的にはかなり良い戦略だったのではないかと思います。
そしてそう思ったのなら感じてみろ!というわけで、今回はaudio-technica ATH-TWX7のレビューです。
実際に使ってみて感じたことを忖度なくお伝えしようと思いますので、参考にして頂ければと思います。

【良い点】
〇コンパクトな充電ケースとイヤホン本体の質感の高さ
〇スティック型ながら装着時の遮音性が高い
〇フラットに近い弱ドンシャリのクセの無い音質
〇テレワークにも積極的に使える高い通話品質
〇最強ではないが不足感の無いノイキャン性能
〇多彩なアプリメニュー
〇タッチセンサーと物理ボタン2種類の操作が可能
〇デバイス2台に接続可能なマルチポイントに対応
【イマイチな点】
✖充電時間が少し長め
Contents
audio-technica ATH-TWX7のデザインと装着感
audio-technica ATH-TWX7のデザインや装着感などをまずはチェックしていきましょう。
ビルドクオリティの高いイヤホン本体
audio-technica ATH-TWX7は、2022年9月発売されたATH-TWX9の下位モデルです。
したがって、充電ケースはやはりATH-TWX9にくらべると質感がだいぶグレードダウンしていますね。
そのかわりサイズはひとまわりコンパクトになっていて、シャツの胸ポケットに入れても邪魔になりません。

普段使いのイヤホンとして、このコンパクトさは大きなメリットですね。
また、ケースの表面が滑りにくい素材で出来ていて、駅のホームや電車内で扱っても落としにくいと感じました。
イヤホン本体は非常にしっかりした質感で、ビルドクオリティの高さを感じます。

スティック部が金属系の塗装なのでハードなイメージですが、肌に触れる部分はマットラバーを使用。
そのせいか非常に柔らかい感触で、高い品質とソフトな質感をうまく融合させているなという印象です。
イヤホン本体で特徴的なのは、タッチコントロールだけでなく物理ボタンも搭載しているということ。
タッチコントロールと物理ボタンの両方を搭載したイヤホンは珍しい存在です。
自分の操作しやすいアクションを設定することで、日々の使い勝手が飛躍的に向上すること間違いなし。
しかもイヤホン本体の重さは片側4.7gと、このクラスのワイヤレスイヤホンとしては標準的。
質感の高さや2種類のコントロール機能搭載なので、もう少し重いのかと思っていましたがこれには驚きました。
なお、カラーバリエーションはアッシュブラック、ストーングレイ、リッチホワイトの3色。

いずれもくすみカラーが取り入れられていて、ファッションに溶け込むようにという配慮がうかがえます。
個人的にはリッチホワイトが他にはないカラーだなという印象で、女性におすすめしたい色合いですね。
遮音性・安定性ともに高い装着感

ATH-TWX7はスティック型ながらしっかりとした装着感で、遮音性・安定性いずれもが高い印象です。
通常スティック型のイヤホンは、スティック部分が耳に干渉してイヤーピースが耳孔の奥に入りにくい構造になっています。
耳孔の奥に入りにくい=圧迫感をあまり感じず、装着感が軽いという特性を持っているんですね。
いっぽうで、遮音性や装着安定性が犠牲になるというデメリットがあります。
ATH-TWX7はスティックタイプですが、イヤホンのハウジングが大きめなことが作用してか遮音性・安定感ともに高く感じます。
もちろん嫌な圧迫感はないので、長時間の装着でも耳に痛みを感じることはないでしょう。
このタイプで遮音性が高いというのは大きなメリットで、ノイズキャンセリング性能と低音の表現力向上が期待できます。
イヤホンそのものの遮音性が低いと、ノイズキャンセリング性能が低下し、低音が逃げてしまうんですよね。
そういった意味では、ATH-TWX7はイヤホン本体の設計デザインが非常に良いと感じました。
audio-technica ATH-TWX7の音質と通話品質
audio-technica ATH-TWX7の音質と通話品質をチェックしていきましょう。
バランスの良いすっきりとした音質
ATH-TWX7は若干低音寄りながら、高音も繊細かつ伸びやかに表現してくれるのでバランスの良いサウンドだと感じました。
一聴して低音と高音に特長を感じたんですが、ではドンシャリか?と言われるとちょっと違う印象なんですよね。
ボーカルを中心とする中音域もクリアで量感があるので、フラットに近い弱ドンシャリという表現が適切かもしれません。

この価格帯だと、JBL TourPro2やTechnics EAH-AZ60M2も検討候補になると思います。
ATH-TWX7はこれらのモデルよりクセのないすっきりとした音質なので、バラードやジャズなどを良く聴く方にはおすすめです。
ただ、AACでは個人的に上下の音場が少し狭く、ややもっさりとした印象を持ちました。
しかしLDAC接続にすると音場が縦にも広がり、解像度とレスポンスがグッと上がります。

ATH-TWX7のサウンドはLDACでこそ真価を発揮すると感じたので、LDAC対応のスマホをお持ちの方には特におすすめしたいですね。
なお、ATH-TWX7には5種類のプリセットとカスタム(5バンド±12)イコライザーが用意されています。

カスタムは登録しておくことが可能なので、お気に入りのアーティストごとにチューニングする楽しみもあるでしょう。
またaudio-technicaの専用アプリには、最大64分割に音量調整を細分化できるステップトーンが搭載されています。

イヤホンで音楽を聴くときに、自分がもっともストレスを感じるのはちょうど良い音量に調整できない時です。
スマホの音量調整は大雑把すぎて、なかなかいい塩梅の音量にならないんですよね。
このステップトーンだと微妙な音量調整が可能になるので、実際に使ってみると大きなメリットに感じるはずです。
ビジネスでも使える通話性能
ATH-TWX7には2つのマイクが搭載されていて、この2つのマイクを利用したビームフォーミング技術が実装されています。
このビームフォーミング技術とは、自分の口元にマイクの指向性を持たせ声を的確に集音する技術。
実際にどのくらい通話時に周辺ノイズが低減できるかは、実際のマイクテストで確認してみました。
ATH-TWX7では通話時に「ナチュラルモード」と「ノイズリダクションモード」のいずれかを選べるようになっています。
ナチュラルモードは周辺ノイズをカットしないかわりに自然な音声を届けられるので、静かな環境下で使うもの。
いっぽうノイズリダクションモードは、周辺ノイズを抑制して自分の声だけを相手に届けるというものです。
今回は、あえてかなりうるさい環境下でナチュラルモードとノイズリダクションモード両方をテストしてみました。
【ATH-TWX7 ナチュラルモード】
【ATH-TWX7 ノイズリダクションモード】
ナチュラルモードとノイズリダクションモードを聴き比べてみると、周辺ノイズがどれだけカットされているかは明らかですね。
ノイズリダクションモードの話しはじめは周囲の人の話し声が聞き取れますが、それもすぐに抑制されます。
サ行の発音に刺さりが感じられますが、全体的な音質も落ち着いているので相手に不快感は与えないでしょう。
いっぽうナチュラルモードは自然で暖かみのある音声なので、静かな環境下なら何ら問題なしですね。
ATH-TWX7は、通話時の場所に応じてこの2つのモードを使い分けられるが非常に大きなメリット。
ビジネス通話でも全く問題なく使えるだけの性能を有していると判断して差し支えないでしょう。
audio-technica ATH-TWX7のサウンドモード
audio-technica ATH-TWX7のノイズキャンセリングや外音取り込み性能について詳しく確認していきましょう。
必要十分なノイズキャンセリング性能

ATH-TWX7のノイズキャンセリング性能は、最強には一歩及ばないものの普段使いには十分な性能です。
自分は中域以上のノイズをどの程度抑制しているかを、ノイズキャンセリング性能の判断基準にしています。
周辺ノイズに逆位相の音波をぶつけるアクティブノイズキャンセリングでは、高い音ほど抑制がしにくくなります。
なぜかとうと、高音は音の波が大きく間隔が狭いので逆位相の音波の生成が難しい(間に合わない)から。
したがって、ノイキャン性能の低いモデルほど人の話し声などの中高音を抑制できないという傾向があります。
ATH-TWX7は周囲の大きな声や近くの会話はある程度聞こえますが、全く抑制されていないという感じではありません。
また、電車内でも音楽を流してしまえば走行音は全く気にならないですし、動画のセリフもそれほど音量を上げなくてもしっかり聴こえます。
ATH-TWX7のノイキャン性能を数値で表すと以下の通りで、かなり高いレベルだと思います。

気になる点をあげるとすれば、静かな環境下でノイキャンモードにすると若干ホワイトノイズが聴こえるということ。
ただ、静かならノイキャンモードはそもそも使わないでしょうから、あえて言うならという程度に捉えてください。
いずれにしても、この価格帯のモデルとしては何ら不満を感じないアクティブノイズキャンセリング性能であることは確かです。
ヒアスルーとトークスルー
ATH-TWXには、ヒアスルーとトークスルーという2種類の外音取り込み機能が搭載されています。
ヒアスルーは通常の外音取り込みで、音楽など聴いているコンテンツの音量はそのままで周囲の音を取り込むもの。
いっぽうトークスルーは、コンテンツの音量が下がり、人の話し声だけを取り込むという機能です。
実際に使ってみたところヒアスルーは標準的なレベルで、イヤホンを着けていない感覚までは達していない印象。
とはいえロボットのような音声になっているわけではなく、日常使いには全く支障がないと感じました。
つぎにトークスルーは、コンテンツの音量が下がることも大きいのか、たしかに人の話し声がより聴こえやすくなります。
ただ、人の話し声だけをひろっているかというとそうではなく、特定のノイズも強調されるので若干違和感が…。
人の話し声は250Hz~800Hzくらいのようですので、その周波数帯の音だけ拾うような設定になっているのでしょう。
個人的には、外音取り込みではヒアスルーを基本的に使い、人と会話するときは音楽を止めるの一択ですね。
トークスルーを使うのは、電車が緊急停止したときに車内アナウンスを聞くにときくらいかなと思います。
audio-technica ATH-TWX7の機能について
audio-technica ATH-TWX7の機能面について確認していきましょう。
ATH-TWX7はこの機能面が非常に充実しているモデルなので、要チェックです。
使い勝手を向上させる多彩なアプリメニュー
ATH-TWX7には専用アプリ「audio-technica Connect」が用意されています。
ATH-TWX7はこのアプリで出来ることが非常に多く、それがこのモデルを選ぶ大きなメリットの1つでしょう。

| 機能 | 説明 |
|---|---|
| アンビエンスコントロール | ノイズキャンセリング機能やヒアスルー機能の切り替えが可能。 |
| トークスルー | 人の声にフォーカスして外部音を取り込める機能。ON/OFF切替、トークスルー中の音楽再生音量の設定。 |
| イコライザー | プリセットからの選択、完全カスタマイズも可能。 |
| サウンドスケープ | r伊ラックス効果の高いサウンド、集中力を高めるマスキングノイズなどを再生可能。 |
| 低遅延モード | ゲームや動画視聴をする際に、音の遅延の少ない再生が可能。 |
| ボリュームステップ | 最大64分割の細かい音量調整が可能。 |
| 左右バランス調整 | 左右の音量バランスの調整が可能。 |
| プライベートタイマー | タイマーをセットしてイヤホンからアラームを鳴らすことが可能。 |
| キーアサイン | マルチファンクションボタン、タッチセンサーに割り当てる機能を設定可能。 |
| タッチセンサー | タッチセンサーのON/OFF、感度の設定が可能。 |
| オートパワーオフ | オートパワーオフ機能のON/OFF、OFFまでの時間が設定可能。 |
| 音声ガイダンス | 音声ガイダンスの言語、確認音への変更が可能。 |
キーアサインとタッチセンサーカスタマイズ
ATH-TWX7にはキーアサインと呼ばれる物理ボタンと、タッチセンサーが搭載されています。

物理ボタンとタッチセンサーの両方が搭載されているワイヤレスイヤホンは珍しい存在。
物理ボタン、タッチセンサーともにそれぞれの良さがあり、この2つを使い分けられるのはATH-TWX7の大きなメリットだと思います。
デフォルト操作は以下の通りで、2カ所でのコントロールは慣れるまで多少時間がかかりそうです。
| 動作 | 左 | 右 | |
|---|---|---|---|
| マルチファンクションボタン | 1回押し | 音量を上げる(音楽/通話) 電話を受ける(着信時) | 音楽再生/停止 電話を受ける(着信時) |
| 2回押し | 音量を下げる(音楽/通話) | 曲送り マイクミュート(通話時) | |
| 3回押し | - | 曲戻し | |
| 長押し(2秒) | 着信拒否/発信中止/通話終了(着信・通話時) | ||
| タッチセンサー | 2回押し | トークスルー ⇔ オフ | |
| 長押し(2秒) | ノイズキャンセリング ⇒ オフ ⇒ ヒアスルー | 音声アシスタント起動 | |
ただし、専用アプリでキーアサイン・タッチセンサーともにカスタマイズすることができるようになっています。

また、ATH-TWX7はタッチセンサー自体をオフにしたり、感度を変更することも可能。
タッチセンサーの感度を弱くすれば、髪の毛が触れて誤作動をするということも無くなるはずです。
このあたりはユーザーの立場をよく分かっているなという印象で、さすが国産メーカーといったところですね。
音の遅延の少ない低遅延モード

ATH-TWX7には音の遅れが少ない低遅延モードが搭載されていて、このモードのON/OFFができるようになっています。
実際に低遅延モードをONにして動画を観てみましたが、画像と音のズレは全く感じませんでした。
いっぽうで遅れにシビアな音ゲーなどは、やはり体感上若干遅れがあるように感じました。
まぁ、ガチでゲームをする方は遅れのない有線のイヤホンやヘッドホンを使うべきでしょう。
マルチポイントで2台のデバイスに同時接続
ATH-TWX7は、2台のデバイスに同時接続することが可能なマルチポイントに対応しています。

この「2台のデバイスへの同時接続」というのは、ワイヤレスイヤホンならではの超便利機能。
ビジネス用とプライベート用のスマホに同時接続しているシーンを例にとって、どれだけ便利か説明しましょう。
帰宅時の電車の中、プライベートスマホで音楽を聴いている時にビジネス用スマホに着信があったとします。
この時イヤホン本体で着信応答の操作をすれば、ビジネス用スマホとの接続が優先されて通話に切り替わります。
もちろんプライベートスマホの音楽は自動停止して、通話中に音楽が流れるようなことはありません。
通話が終了するとプライベートスマホとの接続に切り替わり、停止していた音楽も自動で流れだします。
お気づきかもしれませんが、このシーンではビジネス用スマホはバッグの中に入れっぱなしでもOK。
いかがでしょう?ものすごく便利だと思いませんか?
同時接続するデバイスは、スマホとパソコン、タブレットとゲーム機などBluetooth接続ができるものなら組み合わせは自由。
普段からイヤホンを複数のデバイスに接続して使う方には、ATH-TWX7は非常に便利な使い方ができるモデルだと思います。
バッテリー性能はもう少し強化して欲しい
ATH-TWX7はノイキャンON時にイヤホン本体で最大6.5時間、充電ケース併用で最大20時間の再生が可能です。
充電ケースでのチャージ能力がイヤホン本体満充電約2回分と若干少なめですが、日常使用で大きなデメリットにはならないでしょう。
気になるのは充電時間で、イヤホン本体1.5時間は良しとして、充電ケースは3時間と少し長いですね。
ワイヤレス充電に至っては5時間なので、急ぎでチャージが必要な場合はUSB-Cケーブルでの充電が必須。

また1時間使用可能とするのに15分が必要な急速充電も、少なくとも10分、できれば5分で1時間使用可能として欲しいところです。
まぁワイヤレスチャージも急速充電も装備されているので、大きな不満というわけではないのですが…。
実際にワイヤレスイヤホンを使い始めると、バッテリー性能というのは実は最も意識するところです。
そういった意味においては、もう少し性能の良いバッテリーを登載して欲しかったなと個人的には感じました。
audio-technica ATH-TWX7レビューまとめ
それでは最後にaudio-technica ATH-TWX7の総合評価とレビューを通じて感じたポイントを整理してみましょう。
| 評価項目 | Impression | Score |
| 通話品質 | オフィスなどでビジネスにも使用可能 | 4.7 |
| 低音 | 柔らかく量感があり全体とのバランスも良い | 4.9 |
| 中音 | 柔らかくシルキーだが解像感はしっかりしている | 4.7 |
| 高音 | AACでは情報量不足感あるがLDACなら問題なし | 4.5 |
| ANC性能 | 最強には一歩及ばないが実用性は十分 | 4.7 |
| 外音取込み | 「イヤホンを着けていない」には及ばない | 4.5 |
| アプリ機能 | メニューが多彩で操作感も良し | 5.0 |
| 機能加点 | LDACに対応 | 5.0 |
| 機能加点 | タッチセンサー+物理ボタンを登載 | 5.0 |
| 機能加点 | マルチポイントに対応 | 5.0 |
| 総合評価 | 4.8 | |
audio-technica ATH-TWX7を実際に使ってみて感じたことは、ガジェットとして総合力の非常に高いモデルだということ。
このイヤホンがあれば、日常生活の音に関わるシーンがこれまでと全く違った楽しい時間になること間違いなしでしょう。
もちろんaudio-technicaらしい、シルキーかつ解像度の高い上質なサウンドが最も大きな魅力です。
ただATH-TWX7には、通話やノイキャン、外音取り込みなどイヤホンに求められる基本性能に大きな穴がありません。
またアプリで出来ることが非常に多く、タッチセンサーとキーアサインという2系統の操作性も大きなメリット。
くわえてイヤホン本体のビルドクオリティの高さや、ファッションを邪魔しないカラー展開も嬉しい要素です。
ATH-TWX7は、間違いなく一度使うと手放せなくなる可能性が高いイヤホンだといえるでしょう。














