音質に定評のあるSOUNDPEATSが13周年を記念してフラッグシップモデルを発売するというニュースが3月下旬にとびこんできました。
同社は2年に1回の頻度でクラウドファンディング企画を行っており、今回もMakuakeでのオンライン企画を実施するとのこと。
しかも今回開発中のモデルは、12mmダイナミックドライバー1基+バランスド・アーマチュアドライバー2基のいわゆる多ドラと呼ばれる仕様!
これは是非とも試してみなければと思っていたところ、メーカーから商品をご提供いただけることになったので、さっそく実際に使ってみた感想をレビューしていきます。
なお、Makuakeでのプロジェクト期間は2023年5月23日まで。
この記事を書いている4月16日現在で目標金額50万円に対して、すでに2,600万円以上の応援購入総額となっています。
SOUNDPEATSからは以下のニュースも舞い込んできていますので、このブログを読んで気になった方は是非Makuakeでチェックしてみてくださいね。
【良い点】
〇3基のドライバ―とLDAC接続により高音質を実現
〇Makuake限定価格1万円は音質を考えると驚異的なコスパ
〇音質への影響が少ないマイルドなANC性能
〇自然な音声フォーカスによるストレスのない外音取り込み性能
〇イエローゴールドとブラックカラーの高級感あるデザイン
【イマイチな点】
✖タッチコントロールのカスタマイズ機能無し
Contents
SOUNDPEATS Opera05のデザインと装着感
SOUNDPEATS Opera05のデザインや装着感をチェックしていきましょう。
高級感のある本体と充電ケース
Opera05はSOUNDPEATSの旗艦モデルという位置づけなので、質感が高く高級感のあるデザインとなっています。
充電ケースはマットブラックメタリック調のボディで、指紋が付きにくいさらりとした手触り。
イエローゴールドのラインが本体のブラックと絶妙にバランスしており、ケースを開ける期待感がふくらみます。

充電ケースを開けるとイヤホン本体はその期待を裏切らないデザインで、フェイスプレートには充電ケースより色の薄いゴールドが配色されています。
個人的にイヤホンにゴールドを配色するのは難しいのではないかと思っていました。
なんというか高級感を出そうとして大胆にゴールドを配色すると、結果的に逆に野暮ったく感じられるモデルが多いんですよね。
でもOpera05のイヤホン本体は、色使いと配色の良さからゴールド主体のデザインながら上品さが感じられます。
充電ケースとイヤホン本体のサイズ感は以下の画像の通り。

充電ケースやイヤホン本体のフェイスプレートは標準レベルの大きさですが、イヤホン本体が縦に長いためやや大きめに感じます。
手にして感じるのは、フラッグシップモデルなだけあってビルドクオリティが高いなぁということ。
Makuake限定価格で1万円ほどですが、この価格としては質感・デザイン共に期待以上に満足できるクオリティだと思います。
やや大きめだがやさしい装着感
SOUNDPEATS Opera05は、あまり圧迫感のないソフトな着け心地です。
イヤホン本体の裏面が球状になっているタイプは、裏面が平面になっているタイプに比べて耳を押さえつけるような感じがしないというメリットがあります。

Opera05はドライバ―が3基搭載されていることからイヤホン本体の体積は少し大きめで、重量も片側7.3gと最近のイヤホンのなかでは重い部類。
これで圧迫感が強いと、長時間使用の際には耳に痛みを感じる可能性が高くなるので、そうならないようにデザインされているのでしょう。
ただしこの形状のイヤホンは、耳の形にマッチしないと「圧迫感を感じない=少し浮いた感じがする」というデメリットがあるのも事実。
実際に使ってみると左はジャストフィットなのに、右が若干浮いた感覚があり遮音性が悪いかな?と感じました。
もしこのように感じるのであれば、市販のイヤーピースを試してみることをおすすめします。

ただし、SOUNDPEATS Opera05はステムが太く短い形状なので、傘の高いイヤーピースは装着しずらく充電ケースに格納しきれない可能性があります。
実際にFinal Type EやCOMPLYを装着してみましたが、充電ケースのハウジングと干渉して、フタが微妙に開いてしまうという状態でした。
以下のイヤーピースなら充電ケースにしっかり格納出来て、付属のイヤーピースより遮音性が高くなる印象でしたね。
SOUNDPEATS Opera05の音質と通話品質
SOUNDPEATS Opera05の音質と通話品質を確認していきましょう。
鮮やかな音質と高い空間表現力が魅力
SOUNDPEATS Opera05は、IEMと呼ばれるハイクラス有線イヤホンに採用される複数のドライバ―(片側3基)を搭載しています。
ドライバ―はなんと12mmという大径のダイナミックドライバー1基とバランスド・アーマチュアドライバー(BA型)2基。
完全ワイヤレスイヤホンでダイナミックドライバー1基+BA型1基という製品はこれまでもいくつか発売されています。
しかし、BA型が2基も登載された製品はNoble Audio Fokus Proくらいでしょう。
しかもOpera05はハイレゾコーデックのLDACに対応しているので、かなり音質にこだわったモデルだということがわかります。
実際に聴いてみると、ボーカルを軸とした中高音の輪郭がハッキリした非常にクリアな音質で、定位もしっかりしているので立体感のあるサウンドです。
バランスド・アーマチュアドライバー2基搭載だけあって、中高域~高域にかけての解像度が非常に高く、クラッシュシンバルなどは有線イヤホン並みに生々しく聴こえますね。
また、タム回しの際の音が回り込んでくる感じも、3万円前後のプレミアムイヤホンにも負けないといった印象です。
ただし低音は少し控えめで、身体の芯に響くようなアタック感や沈み込んでからせりあがってくるような躍動感はそれほど強くはありません。
Opera05の音質をグラフ化すると以下の通り。

EDMやクラブミュージックより、ポップスやアニソン、ロックやオーケストラなどに向き、とくにボーカル表現が得意なモデルだと思います。
SOUNDPEATSのハイレゾモデルは直近でCupsule3 Proをレビューしていますが、中高音の表現力や立体感はOpera05が上でしょう。
Makuake限定1万円ほどですが、そもそもこの価格で1DD+2BAドライバー搭載機というのが驚くべきこと。
機能面が充実したコスパ高イヤホンはこれまでも数多くありましたが、音質面でこれだけコスパ高なイヤホンは他に見あたらないと思います。
通話品質は価格相応
SOUNDPEATS Opera05は4基のマイクを搭載しており、製品ホームページには人の声と環境音を正確に分別すると記載されています。
どの程度の通話品質か確かめるために、今回は静かな部屋の中とカフェ店内でマイクテストを実施してみました。
また、カフェ店内ではiPhone付属の有線イヤホンでの通話も録音してみましたので、どのくらい違いがあるかご確認頂ければと思います。
【Opera05 通話(静かな室内)】
【Opera05 通話(カフェ店内)】
【iPhone付属イヤホン 通話(カフェ店内)】
まず静かな室内での通話ですが、若干エコーがかったような音声ではあるものの、音声がはっきりと相手に届くレベルだとお分かり頂けると思います。
いっぽうカフェ店内の通話では、話始めると周辺ノイズをグッと抑える制御が働いていることが感じられます。
しかし、自分の声と周辺ノイズの分別がいまひとつで、全体的にノイズは抑制されるものの自分の声も抑制されて聴こえずらくなってしまいます。
ちなみに以下の画像は、静かな室内とカフェ店内での音の拾い方をチェックしたものです。

静かな室内は発声していない間はノイズが少なく、発声中も波形の振幅がゆるやかになっています。
いっぽうカフェ店内では、発声していない間も周囲の音を拾っていますし、発声中も周囲のノイズに影響されて音の波形が乱れています。
マイクテストなどの結果から、Opera05は静かな室内でならビジネスシーンにも使うことが可能な通話品質だといえるでしょう。
ただ、カフェ店内など周辺ノイズが多い場所では短い通話のみとし、発言機会の多いリモートミーティングなどは周辺ノイズの少ない静かな環境での利用をおすすめします。

SOUNDPEATS Opera05のANCと外音取り込み性能
SOUNDPEATS Opera05のアクティブノイズキャンセリング(=ANC)と外音取組み性能についてチェックしていきましょう。
音質への影響が少ないマイルドなANC性能
Opera05のANCは非常にマイルドで、イヤホン選びにノイキャンの強さを求めるユーザーは物足りなさを感じるのではないかと思います。
パソコンのファンの音だけが聴こえている静かな室内でANCをONにすると、「あれ?ノイキャン効いてる?」という感じ。
カフェ店内くらいの環境音の中でANCをONにしてはじめて「あぁ、このくらいなんだ…」と思うような強さです。
ではどのくらいの強度かというと、カフェ店内で使用すると周囲のざわめきなどの低域ノイズがスッと聴こえなくなる程度。
周囲の人の話し声やBGMまでかき消すような強さはなく、強力なノイキャンに慣れている方だと「ん?ノイキャン効いてる?」と感じるかもしれません。
そのかわり、ANC ONでも鼓膜への圧迫感はまったくなく、ノイキャン使用時の音質変化もほとんど感じられません。
以前レビューしたCapsule3 ProがANC ON/OFFでかなり音質に変化があったのに対し、Opera05は音質重視の路線なのでしょう。
まぁ、音質に定評のあるSOUNDPEATSが手掛ける1DD+2BAドライバー搭載モデルなので、音質重視のつくり込みをするのは当然といえば当然かと思います。
Opera05はノイキャンの強さを求めるのではなく、周辺ノイズの少ない環境で音楽を楽しむためのイヤホンだといえるでしょう。
中高音寄りの外音取り込み性能
SOUNDPEATS Opera05の外音取り込みは、中高音が良く聴こえるような印象です。
人の話し声にもっともフォーカスされている感じで、会話をするには十分な性能だと思いますね。
イヤホンを着けていないような性能の高さではないものの、必要な音はしっかりと、しかも自然に聴こえるので、ストレスは感じません。
個人的に外音取り込みを使うシーンは、車内放送を聞いたりコンビニのレジなどでしかないので、違和感なく使えています。
SOUNDPEATS Opera05の専用アプリ
SOUNDPEATS Opera05は専用アプリ「SOUNDPEATS」に対応しています。
アプリホーム画面とメニュー
SOUNDPEATS Opera05の専用アプリホーム画面は以下の通りシンプルなつくりで、イヤホン本体のバッテリ―残量が確認できる程度。
各種メニューは画面左下のイコライザーアイコンをタップすると開くようになっています。

メニューは「ボリュームコントロール」「アダプティブイコライザー」「イコライザー」「サウンドモード切替」に加え、「タッチセンサーの1タップを無効にする」の5つ。
Cpsule3 Proには搭載されていた低遅延モードがOpera05には実装されておらず、このあたりからも音楽を聴くために開発されたイヤホンであることがわかります。
ボリュームコントロールはスマホのキー操作と同じ調整幅で、より細かいステップでの調整ができるわけではありません。
また、サウンドモードもイヤホン本体のタッチセンサーで変更することができるので、個人的にアプリメニューを多用することはなさそうです。
以上のことからOpera05ではアプリを開く頻度は少ないかなといった印象。
いっぽうでイコライザーはかなり充実しているので、ここは色々と触って試してみたくなる部分だと感じますね。
充実したイコライザー
Opera05のイコライザーは、プリセットとカスタムイコライザーの2種類が用意されています。

プリセットは9種類で、低音強調 → 電子音 → ロックの順にフォーカスされる音域が上に変化する印象。
個人的には「電子音」がバランスが良くて好みですね。
また、カスタムイコライザーは10バンドとかなり細かくチューニングすることができるようになっています。
ただし、低域を目いっぱい持ち上げても体に響くような低音は望めません。
さらに低音を増やしたい場合は、低音のボリュームが増すような市販のイヤーピースへの変更をおすすめします。
SOUNDPEATS Opera05の機能
SOUNDPEATS Opera05のハードウェア面の機能をチェックしていきましょう。
イヤホン本体の操作性
Opera05はイヤホン本体のタッチセンサーで操作ができるようになっています。
デフォルトの操作設定は以下の通りで、残念ながらタッチコントロールのカスタマイズはできません。
| 動作 | 左 | 右 | |
|---|---|---|---|
| 音楽 | 1回押し | ボリュームダウン | ボリュームアップ |
| 2回押し | 再生/停止 | ||
| 3回押し | 音声アシスタント起動 | ||
| 1.5秒長押し | OFF ⇒ ANC ⇒ 外音取り込みモード変更 | 次の曲にスキップ | |
| 通話 | 2回押し | 電話を受ける/切る | |
| 1.5秒長押し | 着信拒否 | ||
個人的には「曲戻し」と「通話時のミュート」操作は欲しいところなので、今後専用アプリのアップデートに期待したところですね。
タッチセンサーの感度は良好ですし、位置を直したい時などはイヤホンの側面をつまんで調整すれば誤動作をするようなこともありません。
女性の方で髪が振れて誤動作するという場合は、専用アプリのカスタマイズ画面下の「タッチキーのワンクリック機能を無効にする」をONにしましょう。
ハードウェア性能は標準レベル
Opera05のイヤホン本体の連続再生時間は最大9時間、充電ケース込みで最大33時間とバッテリー性能は標準的なレベルでしょう。
ワイヤレス充電に対応していないのは残念ですが、急速充電(10分間の充電で約1時間再生可能)に対応しているのは大きなメリットです。
また防水性能はIPX4なので、急な雨で多少濡れたとしても慌てる必要はありません。
さすがに雨の中でランニングするときに使うのは控えるべきですが、傘をさしていれば強い雨の中でも問題なく使うことが可能です。
IPX4の防水性能とは「いかなる方向からの水の飛沫によっても有害な影響を受けない」レベル。雨の日でも傘をさしていれば屋外で使用しても問題ありません。
ただし、充電ケースは非防水なので雨に濡れたイヤホン本体をそのまま格納しないよう注意が必要です。
SOUNDPEATS Opera05のレビューまとめ
それでは最後にSOUNDPEATS Opera05の総合評価と、実際使ってみた感想を纏めていきましょう。
| 評価項目 | Impression | Score |
| 通話品質 | 静かな室内ならビジネスう通話にも使えるレベル | 4.0 |
| 低音 | 重低音のアタック感は控えめ | 4.0 |
| 中音 | ボーカルを中心にメリハリと透明感あり | 4.7 |
| 高音 | 抜けが良く煌めきが感じられる | 4.8 |
| ANC性能 | 低域の環境ノイズには有効だがマイルドな仕様 | 4.2 |
| 外音取込み | 音声は自然に聞こえるので実用性が高い | 4.7 |
| アプリ機能 | メニューは多くないがイコライザーは充実 | 4.3 |
| 機能加点 | LDACに対応 | 5.0 |
| 総合評価 | 4.5 | |
【良い点】
〇3基のドライバ―とLDAC接続により高音質を実現
〇Makuake限定価格1万円は音質を考えると驚異的なコスパ
〇音質への影響が少ないマイルドなANC性能
〇自然な音声フォーカスによるストレスのない外音取り込み性能
〇イエローゴールドとブラックカラーの高級感あるデザイン
【イマイチな点】
✖タッチコントロールのカスタマイズ機能無し
SOUNDPEATS Opera05は、音にこだわって開発された完全ワイヤレスイヤホンだといえるでしょう。
そもそもドライバーを3基(ダイナミックドライバー1基+バランスド・アーマチュアドライバー2基)搭載している時点で、音質に振った仕様だということがわかります。
このドライバー構成はIEMと呼ばれる音質追及型の有線イヤホンでは珍しくありませんが、ワイヤレスイヤホンではNoble Audio FoKus Proくらいでしょう。
そのFoKus Proは6万円ほどのプレミアムモデルだったことを考えると、SOUNDPEATSがいかに低価格で良い音をユーザーに届けようとしているかということが感じられます。
Makuake限定の1万円という価格ですから、こと音質に関しては驚異的なコスパ高イヤホンだといえるでしょう。
とくにスマホがLDACに対応していて、良い音で音楽が聴きたいと思っている方にはおすすめできる製品です。

















