Ankerのワイヤレスイヤホンというと、とにかくコスパ抜群というイメージ。
低価格ながら機能面が充実していて、最近では音質もかなり良くなっているという印象です。
そのAnkerから同社史上最強のノイズキャンセリング性能を誇る新モデル、Soundcore Liberty 4 NCが発売されました。
フラッグシップであるSoundcore Liberty 4の派生モデルで、本家より若干価格は抑えられています。
ドライバー構成やアプリ機能などにも違いがあり、単にLiberty 4のノイキャンだけを強化したわけではなさそう。
ということで、今回はAnker Soundcore Liberty 4 NCを実際に使ってみたのでレビューしていきます。

【良い点】
〇中低域に厚みのあるノリの良いサウンド
〇ハイレゾコーデックのLDACに対応
〇ノイキャン性能はメーカー公表通りAnker史上最強
〇充電ケース込みで50時間再生可能なロングバッテリー
〇圧迫感の無い軽い着け心地
〇専用アプリメニューの充実度が高い
〇2台のデバイスに同時接続可能なマルチポイントに対応
【イマイチな点】
✖LDAC接続時にマルチポイントが使えない
✖外音取り込みは高音にフォーカスしすぎな印象
Contents
Soundcore Liberty 4 NCのデザインと装着感
Anker Soundcore Liberty 4 NCのデザインと装着感についてチェックしていきましょう。
Libertyシリーズらしいデザイン
Anker Soundcore Liberty 4 NCは、ロングバッテリー搭載モデルゆえに充電ケース・本体ともに若干大きめかなという印象です。
まず充電ケースですが、Libertyシリーズに多いスライドタイプではなく開閉タイプになっています。

開閉しにくいかといえばそうでもないんですが、片手での開け閉めはスライドタイプのほうがやりやすい印象。
バッテリーライフがノイキャンオフで50時間ということもあり、Liberty 4に比べて充電ケースはすこしだけ大きくなっています。
イヤホン本体もハウジング部分がLiberty 4に比べると少し大きめで、デザイン的にはLife P3に近いように感じます。

Liberty 4は感圧センサーなのに対しLiberty 4 NCはタッチセンサーなので、スティック周囲の装飾にも違いが。
Liberty 4はスティックの周囲がメタル調に縁どられていますが、Liberty 4 NCにはそれがありません。

細かな違いではありますが、Liberty 4 NCはデザインよりノイキャンや再生時間など実用性重視という感じがします。
カラーバリエーションは全5色で、ピンクやライトブルーなど淡いカラーも用意されているのは嬉しいところです。

カナル型が苦手な人におすすめ
Anker Liberty 4 NCはイヤーピースが耳道の奥まで入る感覚がなく、カナル型イヤホンが苦手な人に向いていると感じました。
ノイズキャンセリングの強度を上げるには、耳栓のようにある程度イヤーピースが耳道の奥まで入る必要があります。
しかし、Liberty 4 NCはイヤーピースがそれほど耳道の奥まで入ってこない感覚です。
その理由はイヤホン本体のステム(イヤーピースを装着する部分)が短かく、イヤーピースが耳道の奥に入りにくい構造になっているからでしょう。
下の画像の通りLiberty 4とLiberty 4 NCを比べると、ステムの構造上の違いがよくわかると思います。

イヤーピースの入りが浅く、そもそもスティックタイプなので耳の穴にフタをするような圧迫感も少ないタイプ。
それでいてANC性能は高いので、Liberty 4 NCは強力なノイキャン機が欲しいけどカナル型は苦手という方にはおすすめです。
Soundcore Liberty 4 NCの音質と通話品質
Soundcore Liberty 4 NCの音質と通話品質を確認していきましょう。
Liberty 4に比べると低音寄り
Anker Soundcore Liberty 4 NCはこの価格帯としては音の解像度が高く、低音に厚みのある音質です。
解像度が高いといっても、3~4万円のプレミアムイヤホンの透き通るような感覚には至りません。
しかし、LDAC接続ではとても1万円台前半とは思えないようなクリアな音質となっています。
低音はブーミーで迫力がありながら、ボーカルはそれに埋もれることなくしっかと前に出てきます。
中低音に比べると高音は若干おとなしいものの、それゆえに中低音寄りのサウンドの良さを邪魔しない印象ですね。
音場は狭くもなく広くもなく、ライブハウスで音楽を聴いているような感覚。

Liberty 4はもう少し音場が広く繊細な音質ですが、Liberty 4 NCは気分を上げてくれるような音づくりだと感じました。
低音が多めがいいけどボーカルもしっかり聴きたいという方にはピッタリな音質でしょう。
なお、イコライザーが充実しているのである程度の音質調整は可能。
22種類のプリセットのほか、8バンド±6dBのカスタムイコライザーも用意されています。

周囲のノイズが大きいと音がこもる
実際にLiberty 4 NCを使ってマイクテストをした音声は以下の通りです。
【Liberty 4 NC マイクテスト】
自分の声と周辺ノイズを切り分ける関係上、イヤホンを装着して第一声を発するまではノイズが混ざって聴こえます。
しかし声を発した後は、自分が話していない間は周辺ノイズがしっかり抑制されていることがおわかり頂けると思います。
自分の音声は周辺ノイズとの分離の関係で若干こもって聴こえ、周囲の騒音が大きくなるほどこもった感じが強くなる印象を受けました。
したがって、BGMの音量が大きな店舗内などは要注意。
自分の話している声が相手にクリアに聴こえないケースもありそうです。

いっぽうでオフィスやBGMの音量がそれほど大きくないカフェ店内なら通話に支障はありません。
そういった場所からならリモートミーティングにLiberty 4 NCを使用しても、何ら問題ないでしょう。
Soundcore Liberty 4 NCのANCと外音取り込み性能
Anker Soundcore Liberty 4 NCのノイズキャンセリング及び外音取り込み性能をチェックしていきましょう。
同価格帯ではトップクラスのANC性能
Soundcore Liberty 4 NCのノイズキャンセリング性能は、この価格帯としては間違いなくトップクラスでしょう。
そもそもスティックタイプのイヤホンは耳との密着度が低いため、本来のノイキャン性能より低く感じるものです。
Soundcore Liberty 4 NCも「着け心地が軽い=耳との密着度が低い」ので、ノイキャン性能は割り引かれているはず。
それなのにANC ONにした瞬間に「あ、これかなり強いな」と感じるノイキャン性能でした。

さすがに人の話し声などの中高域はある程度残りますが、低域~中低域はかなりガッツリ抑制されている印象です。
この強さなら電車の中でもストレスなく音楽や動画などのコンテンツを楽しめるでしょう。
なお、Soundcore Liberty 4 NCのノイズキャンセリングは3つのモードから選択可能。
モードは専用アプリで選択できるようになっています。

自動設定モード
周囲のノイズや耳の形状をイヤホンが検知して、自動で最適なノイズキャンセリングを起動するモード。
移動検知をONにすると、周囲のノイズが上がると自動的にノイズキャンセリングレベルが上がるようになります。
手動設定モード
5段階のノイズキャンセリングレベルから、任意の強度を手動で選択できるモード。
移動モード
ノイズキャンセリングレベルを交通機関別にプリセットしたモード。
飛行機、電車、バス、乗用車の4パターンから選択可能。
外音取り込み性能はいまひとつ
Soundcore Liberty 4 NCの外音取り込みは、高音域をマイクで集音しているような音質だと感じました。
コンビニのレジや電車内でアナウンスを聞く程度であれば、実用的には全く問題ありません。
しかし、常時外音取り込みを使いたいという方は他のモデルを検討したほうが良いでしょう。
なお、外音取り込みモードは「全ての外音」と「音声フォーカス」の2種類から選択が可能。

音声フォーカスにすると余計に高域が増幅されるような印象で、個人的には全ての外音でいいかなと。。
繰返しになりますが、普段はノーマルモードやノイキャンモードがメインという方なら実用的には満足できるレベルだと思います。
Soundcore Liberty 4 NCの専用アプリ
Anker Soundcore Liberty 4 NCのアプリについて確認していきましょう。
アプリホーム画面とメニュー
Soundcore Liberty 4 NCはアプリメニューが非常に充実しています。
アプリは「Soundcore」という名称で、iOS/Androidどちらにも対応しています。
Liberty 4に比べると若干メニューが少なくなっていますが、それでも1万円そこそこのイヤホンとしてはトップクラスの充実ぶりでしょう。
| アプリメニュー | Liberty 4 NC | Liberty 4 |
|---|---|---|
| ANCモード切替 | 自動/手動(5段階)/交通機関 | 自動/手動(3段階) |
| 外音取り込み | 全ての外音/音声フォーカス | |
| 3Dオーディオ | ON/OFF | 固定/ヘッドトラッキング 音楽モード/ムービーモード |
| HearID | 聴覚診断/お好み診断 | |
| イコライザー | プリセット(22種類)/完全カスタマイズ | |
| コントロース | カスタマイズ可能 | |
| 音量制限 | 〇 | - |
| ヘルスモニタリング | - | 〇 |
| 装着検出 | 自動再生/自動停止/装着テスト | |
| 音漏れ検知 | 〇 | - |
| 自動電源オフ | 〇 | |
| イヤホンを探す | 〇 | |
タッチ操作はフルカスタマイズ可能
Soundcore Liberty 4 NCはイヤホン本体のタッチコントロールで操作ができるようになっています。
デフォルトの操作割当ては以下の表の通り。
| 動作 | 左 | 右 | |
|---|---|---|---|
| 電源 | 2秒長押し | 電源ON/OFF | |
| 音楽 | 1回押し | 音量上げ | 音量下げ |
| 2回押し | 再生/停止 | ||
| 1秒長押し | 次の曲へ | 曲戻し | |
| 通話 | 1回押し | 着信応答 | |
| 2秒長押し | 通話終了/着信拒否 | ||
| モード切替 | 3回押し | ノイズキャンセリング | 外音取り込み |
| 2秒長押し | ゲーミングモード | 音声アシスタント | |
この操作はアプリメニューの「コントロール」からカスタマイズすることができるようになっています。

左右のイヤホンの1~3回、長押しという4つのアクションにそれぞれコントロールを割り当てることが可能。
もちろん「カスタマイズなし」という操作を割り当てることもできるので、かなり使い勝手は良いと思います。
新たに音量制限機能を登載
Soundcore Liberty 4 NCには、Ankerのワイヤレスイヤホンとしては初めて音量制限機能が搭載されました。

これはヘッドホンのボリュームを確認でき、音量の最大値を設定するとアプリが自動的に音量を調整してくれる機能です。
音量制限の画面ではボリュームはdB表示されるので、どのくらいの音量で聴いているのかを客観的に確認することができます。
イヤホンを使用するうえで気を付けたいのが難聴リスク。
耳に負担をかけずに音楽を楽しむには、音の大きさと聴取時間の関係を知っておく必要があります。
以下は成人が1週間に許容できる音量と時間の関係を表に表したものです(子供ではさらに約20%の音量ダウンが必要)。
| 音量レベル(dB) | 聴取時間 (1週間あたり) | 音量の程度 |
|---|---|---|
| 107 | 4.5分 | 自動車のクラクション |
| 101 | 18.75分 | 電車通過中のガード下 |
| 95 | 75分 | |
| 89 | 5時間 | カラオケ店内 |
| 83 | 20時間 | |
| 80 | 40時間 | 電車の中 |
普段自分がどのくらいの音量で音楽を聴いているかが、客観的な数値で確認できるのはなかなか画期的だと思います。
イヤホンなどによる騒音性難聴は良くなることはないといわれているので、長く音楽を楽しむには音量にも気を配りたいものです。
ヘッドトラッキング機能は非搭載
Soundcore Liberty 4 NCは音が立体的に聴こえる3Dオーディオには対応していますが、ヘッドトラッキング機能は搭載されていません。
ヘッドトラッキング機能は3Dオーディオの進化版で、首を左右に振っても音の鳴る位置は変わらないというもの。
映画などのコンテンツを楽しむことが多い方は、この機能が搭載されたモデルを選ぶと臨場感が増すのでおすすめです。
ただし、このヘッドトラッキング機能が搭載されているイヤホンは現時点では種類が少ないのが残念なところ。
iPhoneならiOSに連携できるAirPodsなど.Androidですと1MORE Aeroがおそらく最安でしょう。
AnkerだとSoundcore Liberty 4が唯一のヘッドトラッキング機能搭載モデルとなっています。
Soundcore Liberty 4 NCの機能
Anker Soundcore Liberty 4 NCのハードウェア面での機能について確認していきましょう。
2デバイス同時接続のマルチポイント
Soundcore Liberty 4 NCは、2台のデバイスに同時接続することができるマルチポイントに対応してます。

このマルチポイントは本当に便利で、イヤホンを複数のデバイスに接続して使う方には神機能だと思います。
たとえば、Liberty 4 NCをプライベートとビジネス用のスマホに同時接続しているケースを例にとってみましょう。
電車の中でプライベートスマホのMusicアプリを起動して音楽を聴いていて、ビジネス用スマホはカバンの中だったとします。
このときビジネス用スマホに着信があるとLiberty 4 NCから着信音が聴こえ、イヤホン本体操作だけで電話に出ることができます。
もちろんこのときはビジネス用スマホとの接続が優先されるので、プライベートスマホの音楽は自動的にストップ。
通話が終了するとプライベートスマホとの接続が優先され、停止していたところから音楽が自動的に再生されるのです。
マルチポイントで同時に接続できるデバイスの組合せは自由で、Bluetooth接続できるものであればOK。
ただし、Soundcore Liberty 4 NCはLDAC接続時にはマルチポイントが使えません。
マルチポイントを利用するにはAACもしくはSBC接続となるので、音質が少し落ちてしまうのは残念ですね。
2023年8月時点で発売されているマルチポイントに対応しているAnkerのワイヤレスイヤホンは、いずれもLDAC接続時にはマルチポイントが使えません。
ここは是非ともファームウェアのアップデートで改善して欲しいところです。
驚きのロングバッテリーを登載
Soundcore Liberty 4 NCは、Liberty 4の約2倍に相当するロングバッテリーを搭載しています。
| Liberty 4 NC | Liberty 4 | ||
|---|---|---|---|
| 連続再生 時間 | イヤホン本体 (ANC OFF/ON) | 10時間/8時間 | 9時間/7時間 |
| 充電ケース込み (ANC OFF/ON) | 50時間/40時間 | 28時間/24時間 | |
| 急速受電 | 充電時間/再生時間 | 10分/4時間 | 15分/3時間 |
とくに充電ケースのチャージ能力が桁外れで、これなら1週間程度の旅行なら持つのではないかと思えるほど。
また、Soundcore Liberty 4 NCはQi規格のワイヤレス充電にも対応しています。
出典:Anker公式 製品ホームページよりワイヤレスイヤホンを使ってみて感じるのは、バッテリー性能って意外と大切だなということ。
イヤホンを使うたびに充電ケースのバッテリ―残量が気になりますし、USBケーブルで充電するのも思ったより面倒なんですよね。
Soundcore Liberty 4 NCなら充電の手間も回数も減らせるので、この点は大きなメリットだと思います。
Soundcore Liberty 4 NCのレビューまとめ
それでは最後にSoundcore Liberty 4 NCの総合評価と実際い使ってみて感じたことを整理してみましょう。
| 評価項目 | Impression | Score |
| 通話品質 | オフィスなどでビジネスにも使用可能 | 4.3 |
| 低音 | 厚みと迫力が感じられる音質 | 4.7 |
| 中音 | ボーカルの分離感は十分 | 4.6 |
| 高音 | 控えめだがクリアさは感じられる | 4.3 |
| ANC性能 | 1万円前半モデルとしてはトップクラス | 4.8 |
| 外音取込み | マイクで集音したという印象 | 4.0 |
| アプリ機能 | コスパ高を実感できる充実ぶり | 4.9 |
| 機能加点 | LDACに対応 | 5.0 |
| 機能加点 | マルチポイントに対応 | 5.0 |
| 機能加点 | 最大50時間再生のロングバッテリー | 5.0 |
| 総合評価 | 4.7 | |
Anker Soundcore Liberty 4 NCは、スティックタイプながら強力なノイズキャンセリングが搭載されたモデルです。
メーカーホームページでもAnker史上最強と謳われていますが、この価格帯でもトップクラスのノイキャン性能であることは間違いありません。
ワイヤレスイヤホンのノイズキャンセリングは、この価格でここまで性能を上げられるようになったんだと感心してしまいました。
音質は中低音寄りで、ロックなどのノリの良い音楽と相性が良いように思います。
AAC接続でも解像度は決して低くはないものの、LDAC接続だとワンランク上質なサウンドが楽しめるのも大きなメリットでしょう。
機能面も充実はしていますが、Liberty 4に搭載されているヘッドトラッキングやヘルスケアモニタリングは未搭載。
ただ、これらは音楽鑑賞メインの使い方なら無くても困らない機能だと思います。
むしろ通勤の電車内などで音楽を聴くのに使うのがメインという方なら、Liberty 4 NCのほうが満足度が高いかもしれません。
このように「ノイキャン必須」「音楽鑑賞中心」という方には、非常におすすめのイヤホンだといえるでしょう。
















