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B&W PI7 レビュー

Bowers&Wilkins PI7 スペック

多彩なコーデックに対応した高音質ワイヤレスイヤホン

イギリスの高級スピーカーブランドBowers&Wilkinsから、初の完全ワイヤレスイヤホンが発売されました。

同社スピーカーのフラッグシップモデルである800 Series Diamondの設計チームが音質チューニングを担当しただけあって、音質は高級イヤホンの名に恥じないものとなっています。

また、aptX AdaptiveのみならずaptX HDやaptX LLにも対応し、なんと充電ケースにトランスミッターの機能が搭載されているという驚きの仕様で、拡張性の高さも魅力です。

マイク性能はそれほど高くありませんが、在宅でのテレワークでならビジネスでも使用できるレベルですので、これ1台で音楽・動画・ゲーム・仕事をカバーできる優れもの。

コンテンツによってイヤホンやヘッドホンを交換している方には、うってつけの1台だと思いますよ。

Bowers&Wilkins PI7

 

 

 

B&W PI7の通話品質と音質

B&W PI7のマイク性能

B&W PI7は片側3マイク×2の6マイクを搭載したワイヤレスイヤホンです。

6マイクですのでそれなりの通話品質が期待できますが、実際その実力の程はどうでしょうか?

マイクテストは15時頃、ほぼ満席の状態のいつも利用するカフェで実施してみました。

【Bowers&Wilkins PI7 マイクテスト】


マイクテストを実施した感想としては、B&W PI7の通話品質は6マイクにしてはそれほど高品質とはいえないという残念なものでした。

自分の声はそれほどこもることもなくしっかり拾えていますが、周辺の高音ノイズを拾いやすいマイク特性なのかもしれません。

したがって、オフィスやカフェなどからのwebミィーティング参加はちょっと厳しいかなという印象です。

ただし、会議室や自宅でのテレワーク時なら、ビジネスにも使えるレベルのマイク性能ではあります。

B&W PI7の価格を考えると、もう少し通話がクリアになるようビームフォーミングなどの技術を盛り込んでほしかったと思います。

この完全ワイヤレスイヤホンは「聴く」という点では機能・音質共に非常に優れた製品なので、あと一歩「話す」という品質や機能にも踏む混んでほしかったですね。

B&W PI7の音質

B&W PI7のドライバーは、9.2mmダイナミックにバランスドアーマチュアを加えた2ウェイ構成で、それぞれのドライバーごとの専用アンプを搭載したデュアル・ハイブリッド・ドライブ・ユニットになっています。

さらにチューニングには同社の高級スピーカー800Dシリーズの音響担当が加わったとのことで、B&Wの音質に対する並々ならぬ決意が感じられます。

Bowers&Wilkins 800シリーズはこちらを参照ください

さて、実際にB&W PI7を試してみると、音場の広がりと中音~高音の解像度や低音の厚みなど、さすがBowers&Wilkinsだと思わせてくれるような素晴らしい音質です。

とにかく中音~高音の透明感というか爽やかさが際立っていて、それでいて乾いた音ではなく、みずみずしさ・艶やかさ・厚みも十分に伴っています

ボーカルの広がり、高音域の抜けなど左右と上方向の音場の広さもかなりもので、空間の表現力にも目を見張るものがあります。

低音は変にブーストされたアタック感は皆無で、曲全体の下支えに十分な厚みがあり、あわせてなにやら丸みのある暖かく優しい低音だと感じました。

ただし、曲によっては超高音でのシャリつき、低音の輪郭が少しぼやけるような感覚が一瞬感じられました

特に超高音のシャリつきは明らかにそれとわかるもので、エージングでどこまで解消するか気になるところです。

全体的には、B&W PI7はアーティストが聴かせたい音を忠実に再現してくれる完全ワイヤレスイヤホンという印象です。

音質に妥協したくないというユーザーは、候補から外せないイヤホンになるのではないでしょうか。

B&W PI7のノイズキャンセリング性能

B&W PI7のアクティブノイズキャンセリング(=ANC)はそれほど強力なものではありません

エアコンや雑踏の音はそれなりにカットされますが、電車や車の走行音がスッと消えるほどの性能ではありませんね。

音質重視のイヤホンにはANC性能がマイルドな製品が多いのですが、PI7もそのスタンスのようです。

ANC ONとOFFで音質の変化は全くといっていいほどありませんから、ターゲットとしているであろう音質重視のユーザーにはマッチしたチューニングだと思います。

ただし、B&W PI7はパッシブノイズキャンセリング性能がそれほど高い製品ではないので、イヤーピース次第でノイキャン性能が大きく左右される製品だといえるでしょう。

電車の中でノイズに邪魔されずに音楽や動画を楽しみたいなら、市販のイヤーピースの中から自分の耳に合ったものをあれこれ試してみると良いでしょう。

なお、&W PI7には周辺ノイズに合わせてANCの強弱を調整するアダプティブ・アクティブ・ノイズキャンセリング機能が備わっていて、専用アプリから操作が可能です。

ロウル
ロウル
ノイキャン性能が弱いので、アダプティブ・アクティブ・ノイズキャンセリングをONにしても正直あまり違いが感じられませんでした。

B&W PI7の外観と装着感

B&W PI7の本体と充電ケース

B&W PI7の充電ケースはW68mm×H57mm×D28mmと若干大き目です。

SONY WF-1000XM3の充電ケースがW79mm×H54mm×D29mmなので、幅は10mmほど短いものの、大きさも形状も似ていますね。

B&W PI7 充電ケース

シャツやパンツのポケットに入れて持ち歩くにはちょっと無理があるなぁといった印象です。

できれば高さをあと20mmほどコンパクトにしてくれればと思いましたが、トランスミッター機能を付けたことでこれ以上小さく出来なかったのかもしれませんね。

イヤホン本体はいたってコンパクトです。

タッチセンサー部は側面にBowers&wilkinsのロゴがさりげなく刻印されていて、プレミアムイヤホンならではの質感だと感じました。

B&W PI7 イヤホン本体

また、タッチセンサー下の本体部分にデザインされたマイクが、個人的には何ともカッコいいなと思います。

こういう細かいデザインが施されたガジェットって、見ているだけで飽きないんですよね。

B&W PI7 カラーバリエーション

カラーバリエーションはホワイトとチャコールの2色展開です。

個人的にはチャコールのほうが引き締まって見えるので、より小さく、高級感のある印象を受けましたよ。

 

 

B&W PI7の装着感

B&W PI7は耳に差し込んで少しひねるとピタッと安定するんですが、ポートが非常に短いため、人によっては少し浮いた感じになって安定感が悪いかもしれません。

B&W PI7 装着感

ポートが短いということはイヤーピースを耳孔の奥までねじ込む必要がないので、耳孔に圧迫感がなく、長時間の使用でも耳が痛くなりにくいというメリットがあります

ただし、浅めの装着となるため安定感に欠けるというデメリットもあるので、イヤーピースは少し大きめのサイズを選んだほうが良いかもしれないですね。

このあたりは安定感と圧迫感のバランスなので、あれこれ試してみるしかないと思いますが、ぴったりのサイズが選べればノイキャン・音質・装着感がうまくバランスされます。

同梱のイヤーピースがあまり評判良くないみたいなので、試しに以下の製品を試してることをおススメします。

 

 

 

 

B&W PI7の機能と操作性

つぎにB&W PI7の機能や操作性についてチェックしていきましょう。

B&W PI7専用アプリについて

B&W PI7には専用アプリ「Bowers&Wilkins Headphones」が用意されています。

Bowers & Wilkins Headphones

Bowers & Wilkins Headphones

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アプリは良くいえばシンプル、悪くいうと「もう少し何とかならんのかなぁ…」といった内容で、あまりたくさん機能があるわけではありません。

B&W PI7 専用アプリ

メイン画面でイヤホン本体・充電ケースのバッテリー残量とノイズキャンセリング、アンビエントの選択があるんですが、普段使いの機能としてはこれくらいなんですよね。

【Bowers&Wilkins Headphonesで出来ること】

・イヤホン本体、充電ケースのバッテリー残量確認
・アクティブノイズキャンセリングON/OFF
・アダプティブ・アクティブ・ノイズキャンセリングON/OFF
・アンビエント・パススルーON/OFF
・アンビエント強弱調整

せめてイコライザーとタッチセンサーカスタマイズは用意して欲しいので、ファームウェアのアップデートで是非実装して頂きたいところですね。

ロウル
ロウル
スマホのイコライザーでフィットするプリセットってなかなかないから、やはりアプリのイコライザーは実装してほしいですね

B&W PI7の操作性

B&W PI7はイヤホン本体のタッチセンサーで、操作が出来るようになっています。

動作
音楽 1回タップ 再生/停止
2回タップ 次の曲に進む
3回タップ 前の曲に戻る
着信時 1回タップ 電話に出る
2回タップ 着信拒否
通話時 2回タップ 電話を切る
通常時 1秒長押し ノイズキャンセリング ⇒ アダプティブノイズキャンセリング ⇒ オフ 音声アシスタント起動

上の表を作成しながら気付いたんですが、タッチセンサーに音量調整が割り当てられていないじゃないですか!

まぁ、専用アプリにも音量調整機能が無いくらい割り切っているので、ボリュームはスマホで調整してくださいってことなんでしょうが…。

僕は電車の中でイヤホンを使用することが多いので、できればタッチセンサーでボリュームコントロールが出来るようにしてほしかったですね。

ここもファームウェアのアップデートで対応してほしい点ですが、メーカーさんいかがでしょうか?

ロウル
ロウル
売り出しが4万円の完全ワイヤレスイヤホンということを考えると、やはり専用アプリはもう少し充実して欲しいところです!

B&W PI7のおすすめ機能

さいごにB&W PI7のおススメ機能をみていきましょう。

トランスミッター機能

B&W PI7の最大の特徴は、充電ケースにBluetoothオーディオトランスミッターが内蔵されているということでしょう。

Bluetoothオーディオトランスミッターとは、Bluetooth非搭載の機器に接続することによって、その音声信号をワイヤレス(Bluetooth)でやり取りできるようにするものです。

たとえばBluetooth機能が内蔵されていないテレビやオーディオ機器にPI7を接続すれば、イヤホンとワイヤレス通信が出来るようになるという優れもの。

また、PI7イヤホン本体がaptX LLに対応しているので、ゲーム機に接続すれば低遅延での通信が可能であり、音の遅延にシビアな音ゲーやバトルゲームもストレスなく楽しめます。

接続はアナログ(イヤホンジャック)・デジタル(USB-C)どちらも可能ですが、アナログ接続のほうがより低遅延で通信できるようです。

iPhoneでもLightning to 3.5mm端子があれば、aptX HDやaptX LLでイヤホンへの転送が可能なので、これはなかなか画期的です。

試しにiPhoneXに接続してAppleミュージックを聴いてみたところ、ドラムやハイハットの音がより鮮明に感じられるような気がしました(何度か試してみたので間違いないと思います)。

自宅で深夜に映画を見たりする場合でも、PI7があればBluetoothでイヤホンやヘッドホンで視聴することができますので、音量を気にせず楽しむことができますよ。

対応コーデックの豊富さ

B&W PI7は、対応コーデックが豊富ということも魅力の1つです。

充電ケースがトランスミッターとして機能するからこその仕様なんですが、aptX HDやaptX LLまで対応している完全ワイヤレスイヤホンは非常に少ないですからね。

そもそもコーデックとは音声データを通信しやすいように圧縮する方式のことで、圧縮率が高ければ高いほど音質は劣化し、その逆では音質は良くなりますが伝送速度は低下します

代表的なコーデックは以下の表の通り。

コーデック 音質と特長 遅延 ビットレート
SBC Bluetoothを搭載した機器は必ず対応している。SBCの音質を★と仮置きして他のコーデックと比較してみます。 0.22秒前後 64kbps~328kbps
AAC 音質は★★。iPhoneやiPadのコーデックはAACが優先され、AACが使えない場合はSBCで接続される。 0.12秒前後 128kbps
256kbps(可変)
aptX 音質は★★。米Qualbommが開発したAndroid端末の標準仕様。AACと体感上の差はない。 0.07秒前後 352kbps@44.1kHz
384kbps@48kHz
aptX LL 音質は★★。低遅延に特化したaptXコーデックで、音ゲーやバトルゲームに最適。 0.04秒前後 352kbps@44.1kHz
384kbps@48kHz
aptX HD 音質は★★★。aptXの高音質版コーデック。ビットレートを高め遅延を犠牲にした音楽用コーデック。 0.13秒前後 529kbps@44.1kHz
576kbps@48kHz
aptX Adaptive 音質は★★★。接続環境やアプリに応じてビットレートを自動で変化させるコーデック。今後主流になる可能性大。 0.05秒~0.08秒程度 276kbps~420kbps
LDAC 音質は★★★★。SONY独自の超音質特化型コーデック。遅延が大きいためゲームや動画視聴には向かない。 1秒以上 330kbps/660kbps/990kbps

B&W PI7はそのほとんどをカバーしているので、接続するデバイスに合わせて最適なコーデックを使うことができるというメリットがあります

普段はaptX Adaptive、音楽はaptX HD、ゲームはaptX LLと、充電ケースのトランスミッター機能も組み合わせれば何をするにもストレスのない使い方ができますね。

ワイヤレス充電に対応

B&W PI7はQi規格の充電器に対応しています。

B&W PI7 ワイヤレス充電

トランスミッター機能を使うと必然的に充電ケースの電池消耗が早くなりますので、ワイヤレス充電機能は非常にありがたいと感じました。

IP54の防塵・防水機能

B&W PI7はIP54の防塵・防水等級となっています。

防塵等級5は「機器の正常な動作に支障をきたしたり、安全を損なう程の量の粉塵が内部に侵入しない」という家電品としては最高レベルの防塵性能。

いっぽう防水等級4は「いかなる方向からの水の飛沫によっても有害な影響を受けない」レベルですので、急に雨に降られた程度なら全く問題ありません。

外での使用が多い方でも、これだけの防塵・防水等級なら雨風気にせず気軽に使うことができますね。

 

まとめ

それでは最後にB&W PI7の良い点、改善してほしい点を整理してみましょう。

良い点

透明感のある中音~高音と温かみのある低音

左右・上方向に広がりのある音場

充電ケースがトランスミッターになる

aptX Adaptive,HD,LLに対応

IP54の防塵・防水性能

ワイヤレス充電に対応

 

改善してほしい点

マイク性能はそれほど高くない

専用アプリの機能が不十分
 イコライザー、ボリューム調整、タッチセンサーカスタマイズ無し

タッチセンサーでボリューム調整できない

 

高級スピーカーブランドB&W初の完全ワイヤレスイヤホンとなるPI7は、9.2mmダイナミック+バランスドアーマチュアのデュアルドライバーを搭載し、4万円もする高級イヤホンです。

人気のSONY WF-1000XM4やJabra Elite85t、ゼンハイザー Momentum True Wireless2より6千円~1万円ほど高い価格なので、これらの製品と比較されるケースも多いようですね。

音質だけを比較するならB&W PI7が抜け出ているかというとそこまででは無く、むしろこのブログで重視している通話品質はそれほど高いとはいえないレベルです。

では、B&W PI7に4万円かける価値がどこにあるかといえば、プレミアムヤイヤレスイヤホンとしての音質はしっかり担保されたうえで、多彩なコーデックに対応していること。

そして充電器に搭載されたトランスミッターで、その機能をフルに利用することができるという点でしょう。

特にここまで高音質でaptX LL(=Low Latency)に対応している完全ワイヤレスイヤホンは他にはありませんから、音楽・動画・ゲームをまんべんなく楽しみたい方にはかなりおススメです。