EarFun Air Pro SVは、EarFunのイヤホンのなかでは売出価格が9,990円と最も価格が高い製品としてリリースされました。
EarFunのフラッグシップモデルという位置づけにふさわしいデザインで、アルミ製の充電ケースはコンパクトながら高級感のある仕上がりとなっています。
機能面もANC、外音取り込み、専用アプリ、急速充電、ワイヤレス充電など欲しい機能はほぼそろっていて、無い機能はマルチポイントくらい。
EarFunの完全ワイヤレスイヤホンは、リリースされるたびにそのコスパの高さに驚かされるので、Air Pro SVも実際にどの程度の仕上がりか試さないわけにはいきません。
実際にためしてみると、6マイク搭載で通話品質は非常に高く、音質もパワフルで解像度も満足できるレベルで、とても1万円以下とは思えない製品です。
ということで、今回はEarFun Air Pro SVを実際に使ってみた感想を詳しくレビューしていきたいと思います。
使ったみて良かったと感じた点、イマイチだと思ったところについても記載しますので、購入を検討している方は是非参考にして頂ければと思います。

【良い点】
〇コンパクトで高級感の感じられるデザイン
〇パワフルで解像度の高いサウンド
〇テレワークにも積極的に使える高い通話品質
〇低価格ながらハイブリッドANCと外音取り込みモード搭載
〇専用アプリ「EarFun Audio」に対応
〇ワイヤレス充電と急速充電に対応
【イマイチな点】
✖マルチポイント非対応
✖イコライザー調整での音質変化に限界あり
✖パワフルがゆえに高音がうるさく感じることがある
Contents
EauFun Air Pro SVのデザインと装着感
EarFun Air Pro SVの本体と充電ケース
EarFun Air Pro SVは、同社のワイヤレスイヤホンのなかではフラッグシップモデルの位置づけであり、それゆえ高級感のあるデザインになっています。
まず充電ケースですが、マットながら光沢のあるブラックアルミニウム製で、小さく軽いボディにもかかわらずしっかりとした存在感のあるデザインに仕上げられています。

上蓋にあけられたホールからイヤホン本体のスティックが見えるようになっているところがなかなかカッコいいなと思ってしまいます。
イヤホン本体のスティックを短めにして充電ケースのコンパクトさを実現したと考えられますが、その反面、充電ケース併用のバッテリーライフが最大24時間と少し短いというデメリットも。
イヤホン本体もANC ONで最大再生時間は4.5時間と短めで、バッテリーライフについては自分の利用シーンから善し悪しを判断する必要がありそうです。
イヤホン本体のスティックは三角形のような形状をしていて、最初操作するときに「どの面がセンサーなんだろ?」と躊躇しましたが、スティック上半分はどこに触れてもOK。

スティックが少しブルーがかったブラックに塗装されているので、このあたりも高級感のあるデザインになっているなと感じました。
EarFunのワイヤレスイヤホンはブラックのみのカラー展開になっているため、Earfun Air Pro SVも同様ですが、個人的にはシルバー系もリリースして欲しいなと思います。
EarFun Air Pro SVの装着感

EarFun Pro SVはスティック型らしい軽い着け心地で、長時間使っても圧迫感などを感じにくいのが特徴です。
耳に差し込んだらスティックの向きを口元の方向にもっていくようにして少しひねると、ちょうどいい具合に安定してくれます。
スティック型に共通する特長としてイヤホン本体の遮音性はそれほど高くないので、自分に合ったサイズのイヤーピースを選択することが大切です。
イヤーピースが小さすぎるとANC ONでも十分なノイキャン効果が感じられなかったり、低音の量感が不足するということにつながります。
逆に大きすぎると圧迫感で耳が痛くなるなど、せっかくの軽い装着感が台無しになってしまいます。
EarFun Air Pro SVには3種類(S/M/L)のイヤーピースが付属していますが、もししっくりこないなと感じたら市販のイヤーピースを試してみましょう。
EarFun Air Pro SVの音質と通話品質
EarFun Air Pro SVの音質と通話品質について確認していきましょう。
EarFun Air Pro SVの音質
EarFun Air Pro SVは低音~高音までパワフルで解像度の高いサウンドとなっています。
まずはデフォルトのまま聴いてみたんですが、どこかの音域が特に強いということはなく「フラットなチューニングを目指したんだろうな」と感じました。

ただ、サウンド自体がパワフルなだけに、聴く曲によって「低音が強い」「高音が強い」というように、感想が人によって違うかもしれません。
また、パワフルなサウンドだけに個人的には高音がまれに刺さるように感じる瞬間がありました。
超高音は問題無いんですが、高音については「そこまで鳴らさなくても…」と思う瞬間があり、個人的には長時間ボリュームを上げて聴いているとちょっと疲れるように感じました。
Ear Fun Air Pro SVには専用アプリにイコライザーが用意されていますので、個人的にはTrebleを削った調整くらいでちょうど良いかなという感じですね。

高域の伸びやかさなどは高価格帯のイヤホンにはさすがにかないませんが、解像度の高さや音場の広さは十分満足できるレベル。
この音質で通話・ノイキャン性能も高いのに1万円以下というのは驚異的なコスパで、思わずEarFunおそるべしとつぶやいてしまいました。
EarFun Air Pro SVのマイク性能
EarFun Air Pro SVは片側3×2の6つのマイク(6マイクアレイシステム)を搭載しており、クリアな音声通話が可能とされています。
6マイクアレイシステムは、周囲のノイズを低減するためのサウンド検出フィードフォワード、音声を自然でクリアなものにするアンチノイズフィードバックマイクと音声ピックアップマイクで構成されています。
出典:EarFun製品ホームページよりこれは通話品質にかなり期待が持てそうだなと思いながら、いつものようにマイクテストを実施してみました。
なお、マイクテストは夕方のカフェで着席率6割程度、BGMも流れている環境で行ったものです。
【EarFun Air Pro SV マイクテスト】
マイクテストの結果から、EarFun Air Pro SVは自分の声ははっきりと相手に届き、周辺ノイズもそこそこカットされていることがお分かりいただけるのではないかと思います。
BGMが混入しているのは致し方ないとして、通常ホワイトノイズのようにうるさく聴こえる周囲のざわめきがかなり抑制されています。
また、声にこもったような感じも無く、サ行の発音に刺さるようなところもあまり感じられません。

このレベルの通話品質なら、在宅ワーク時はもちろんのこと、オフィスの自席からリモートミーティングに参加する際に使っても問題ないでしょう。
なお、さらに通話性能の良いイヤホンをという方は、以下の記事で通話品質の高い製品を特集していますので参考にして頂ければと思います。
EarFun Air Pro SVのANCと外音取り込み性能
EarFun AirPro SVのアクティブノイズキャンセリング(=ANC)と外音取り込み性能を確認していきましょう。
EarFun Air Pro SVのANC性能
EarFun Air Pro SVは独自のQuietSmart™2.0テクノロジーにより、最大40dBのノイズを低減できるハイブリッドANC機能が搭載されています。

実際使ってみると、たしかにANC ONで低域のノイズがスッと消え、クーラーのモーター音はもちろんのこと、電車内の走行音などもかなりカットしてくれます。
個人的にはこの価格帯でノイキャン性能が高いイヤホンはEarFunというイメージなんですが、Air Pro SVも十分満足できるレベルに仕上がっていると思います。
いっぽうで、人の話し声などの中~高域ノイズはそれほど抑制されないところが少し残念な点で、このあたりが高価格帯のノイキャン性能が高い製品との違いでしょう。
ただしEarFun Air Pro SVは、ANC ONでも音質の変化が少ないというのは大きなメリットだと感じました。
低価格帯のノイキャン機の中には、ANC ONで「おいおい…」と思うくらい音質が変ってしまう製品もありますが、「多少低音が増す?かな…?」くらいの感覚です。
また、同じ-40dBというスペックのEarFun Free Pro 2と比べると、ノイキャン特有の鼓膜に圧がかかるような感覚もかなり改善された感じがします。
EarFun Air Pro SVは、ノイキャンは欲しいけど耳につんとくる感覚が苦手という方でも、それほど違和感を感じずに使うことができるのではないかと思います。
なお、EarFun Air Pro SVも含めて、ノイズキャンセリング機能が優秀なイヤホンのランキング記事もありますので、よろしければご覧下さい。
EarFun Air Pro SVの外音取り込み性能
EarFun Air Pro SVの外音取り込みはかなり自然に近い音質で、コンビニのレジでの会話や電車内でのアナウンスを聞きたいときなどに違和感なく使うことができます。
個人的にEarFunは外音取り込み性能が優秀というイメージがあるのですが、Air Pro SVも期待通りの性能ですね。
ただ、静かな環境下でアンビエントモードにすると、ホワイトノイズが少し気になるかなという印象を受けました。
音楽を流してしまえば気にならないレベルなので、静かな環境下で音を流さずに常時アンビエントモードを使うという特殊な使い方をするユーザー以外は問題ないと思います。
EarFun Air Pro SVの専用アプリ
EarFun Air Pro SVは専用アプリでのモード変更やカスタマイズができるようになっています。
EarFun Air Pro SVアプリホーム画面とメニュー
EarFun Air Pro SVは専用アプリ「EarFun Audio」に対応しています。

それほど多機能というわけではありませんが、最低限あったらいいなという機能は搭載されていて、以下のことができるようになっています。
・ ノイキャンON/OFF、外音取り込みのモード切替
・ゲームモード(低遅延モード)のON/OFF
・イコライザーによる音質調整
・タッチコントロールのカスタマイズ
低遅延のゲームモード
EarFun Air Pro SVには、遅延を80ms(0.08秒)程度まで抑えるゲームモードが搭載されています。
ただし、個人的にEarFunのイヤホンはノーマルモードでも遅延が少ないイメージがあって、Air Pro SVも動画を観るくらいであればモード変更しても体感差はあまり感じられなかったです。
自分はゲームをしないので何ともいえませんが、ゲームならモード変更の効果は多少感じられるかもしれませんが、80ms程度の遅延だと遅れにシビアな音ゲーだとちょっと厳しいでしょう。
なお、ノーマルモードで遅れを感じるかどうかは、接続しているBluetoothコーデックにもよります。
EarFun Air Pro SVの対応コーデックは、SBC、AACの2種類。
それぞれの遅延は一般的に以下の表の通りで、AAC<SBCの順でノーマルモードでの遅延が大きくなります。
| コーデック | 音質と特長 | 遅延 |
|---|---|---|
| SBC | Bluetoothを搭載した機器は必ず対応している。SBCの音質を★と仮置きして他のコーデックと比較してみます。 | 0.22秒前後 |
| AAC | 音質は★★。iPhoneやiPadのコーデックはAACが優先され、AACが使えない場合はSBCで接続される。 | 0.12秒前後 |
スマホに接続する場合はAAC接続になりますので、0.04秒程度の遅延改善を体感できるかどうかは微妙なところかなと思います。
イコライザーによる音質調整
EarFun Air Pro SVは専用アプリ「EarFun Audio」に音楽用イコライザーが搭載されています。
イコライザーは3バンド、±10段階のカスタムイコライザーと下の画像のような4種類のプリセットを使うことが出来るようになっています。

ただし、イコライザーで調整してもそれほど大きく音質が変化するわけではなく、あくまで音のバランスが崩れない範囲でのチューニングといった感じです。
EarFun Air Pro SVの操作性
EarFun Air Pro SVはイヤホン本体のスティック部分がタッチセンサーになっていて、タップする回数によって操作ができるようになっています。
デフォルトの設定は以下の表の通りですが、専用アプリで一部の操作をカスタマイズすることも可能です。
| 動作 | 左 | 右 | |
|---|---|---|---|
| 音楽 | 1回押し | 音量を下げる | 音量を上げる |
| 2回押し | 再生/停止 | ||
| 3回押し | ゲームモード ON/OFF | 次の曲にスキップ | |
| 長押し(2秒) | ノイズキャンセリング ⇒ 外音取り込み ⇒ ノーマル | 音声アシスタント起動 | |
| 通話 | 2回押し | 電話を受ける/切る | |
| 長押し(2秒) | 着信拒否 | ||
| 3回押し | 2つの通話を切り替える | ||
タッチコントロールのカスタマイズは、アプリトップ画面の右上にある歯車マークをタップして、表示されたメニューの中からCustomize Controlsを選択します。
カスタマイズができるのは3回タップと長押しだけなので、実用的にはデフォルトで割り当てられている「ゲームモードON/OFF」、「音声アシスタント起動」いずれかと「曲戻り」を入れ替えるくらいでしょうか。

音声アシスタントは「Hey!Siri」か「OK!Google」で起動できてしまうので、個人的には左の3回タップに曲戻り、右の長押しにゲームモードON/OFFを配置しています。
EarFun Air Pro SVの機能
EarFun Air Pro SVに搭載されている使い勝手の良い機能について確認していきましょう。
ワイヤレス充電と急速充電に対応
EarFun Air Pro SVはQi規格のワイヤレス充電と、10分間の充電で約2時間の音楽再生が可能な急速充電に対応しています。
日常的にワイヤレスイヤホンを使っていて感じることなんですが、USB-Cケーブルでの充電って「充電しよう」って思わないと接続しないんですよね。
で、外出しようとした時に「あ…バッテリーがもたないかも…」なんてことがわりと頻繁におこります。
そこへいくとワイヤレス充電は「置いておくだけでいつも満充電」なので、バッテリーの状態を気にする必要がなくなるという大きなメリットがあります。
デスクの上などにワイヤレス充電器を置いておけば、イヤホンを使っていない時はポンって載せるだけで良いのでとっても楽なんですよね。

また、急速充電も大きなメリットが感じられる機能。
とくにオンライン授業やリモートミーティングなどに使いたいと考えるユーザーには、必須の機能といっても過言ではありません。
通話時に左右両方を使っていてイヤホン本体のバッテリー残量が少なくなった時に、片方で通話を継続してもう片方を充電ケースに戻せば急場はしのげます。
デスクの上にワイヤレス充電器を置いて通話時には片方のイヤホンを使うというスタイルなら、丸1日のリモートミーティングでもバッテリー切れの心配をする必要はありません。
IPX5の防水性能
EarFun Air Pro SVはIPX5の防水性能を備えています。

IPX5の防水性能とは、「3mの距離から全方向に12.5ℓ/分、30Kpaの噴流水を3分間受けても影響を受けない」程度のもの。
うーん…ちょっとわかりにくいですが、雨に濡れたり汗をかいたりしてもイヤホン本体は影響を受けないレベルで、弱い水流で軽く水洗いすることも可能な防水性能となっています。
日常的に水に濡れる使い方をするのであればIPX6もしくはIPX7の防水性能が必要ですが、そうでないならIPX5で必要十分。
急な雨に降られたりしても慌てる必要はありませんし、ジムやランニングなど汗をかくシーンにも積極的に使うことができるのは大きなメリットだと思います。
なお、充電ケースはIPX5とはなっていませんので注意が必要です。
急に雨に降られたときにその場で充電ケースを取り出してイヤホンをしまうより、屋内に戻ってイヤホン本体を乾燥させてからケースに戻すようにしましょう。
EarFun Air Pro SVのレビューまとめ
EarFun Air Pro SVの総合評価と今回のレビューを通して感じたことをまとめてみます。
| 評価項目 | Impression | Score |
| 通話品質 | オフィスなどでビジネスにも使用可能 | 4.7 |
| 低音 | パワフルでアタック感のある低音 | 4.7 |
| 中音 | ボーカル中心に柔らかいが存在感はしっかり | 4.5 |
| 高音 | 曲によっては若干煩わしさを感じる瞬間あり | 4.2 |
| ANC性能 | 低域ノイズは抑制されるが高域への効果は少ない | 4.5 |
| 外音取込み | 実用性十分の自然な音質 | 4.7 |
| アプリ機能 | 必要最低限だがシンプルで使いやすい | 4.5 |
| 総 合 評 価 | 4.5 | |
EarFun Air Pro SVを実際に使ってみて、動画を観たりリモートミーティングに使ったりすることをメインに考えているなら、このイヤホンで十分満足できるだろうと感じました。
ハイレゾで音楽を楽しみたいというユーザーなら、もう少し上のクラスのイヤホンを選ぶことをおススメしますが、そこまでは求めないということなら音質にも不満は感じないでしょう。
とくに通話品質は1万円以下の完全ワイヤレスイヤホンのなかではトップクラスのレベルにあり、ビジネスシーンでも活躍してくれること間違いなし。
「1万円以下で用途は通話メイン、音質や機能面でもそこそこ満足度の高い機種はどれ?」と聞かれたら、EarFun Air Pro SVは間違いなく候補にあがる製品です。
なお、マルチポイントは外せないという方は、同社から2022年7月にリリースされたEarFun Air Sがおススメですが、音質・通話品質・ノイキャン性能ならAir Pro SVが上だと思います。

















