
高級感漂うNY製ハイクォリティTWS
Master&Dynamicsは2014年のニューヨークで設立されたプレミアムオーディオブランドです。
そのM&Dからセラミックやステンレスなどの高級素材でつくられた完全ワイヤレスイヤホンMW08が2021年4月にリリースされました。
11mmのベリリウムドライバーを搭載し、迫力のある重低音と温かみのあるサウンドを実現
アクティブ・ノイズキャンセリングはフィードフォワード方式とハイブリッド方式を選択できる珍しい機能も搭載されています。
6マイクを搭載しており、通話品質もweb会議などに十分使えるレベルに仕上がっており、余裕を持った大人に似合うプレミアムTWSといえるでしょう。

Contents
Master&Dynamic MW08の通話品質と音質
まずはMaster&Dynemic MW08の通話品質と音質をチェックしていきましょう。
Master&Dynamic MW08のマイク性能
Master&Dynemic MW08の通話品質はそれほど高いものではなく、通常レベルといった評価となります。
今回も夕方のカフェでマイクテストを行いましたが、だいぶ周辺ノイズを拾っていることがお分かりになると思います。
音声は自然に近い声だと思うのですが、周辺の声も同じように拾ってしまっているので、ここはもう少し改善してほしいところですね。
ただし、マイクボリュームを最大値にしてテストした関係で、ハウリング気味になってしまったので少し聞き苦しい結果になってしまったという側面もあります。
したがって、後日オフィスでテストした結果を改めて掲載したいと思います。
現時点で言えることは、ノイズの少ない会議室や自室からのweb会議参加なら、送話の声は相手にクリアに聞こえる品質でだということ。
そういった意味では、仕事での使用にも十分耐えられるマイク性能ではあると感じています。
Master&Dynamic MW08の音質
Master&Dynamic MW08は、低音~高音までの各音域で厚みのある音質で、そのなかでも低音域の重厚感・アタック感が特徴的だと感じました。
低音は「ドン」ではなく「ドゥウーン!」という感じで、沈み込んで跳ね上がる感覚があり、最初聴いた時には「うわっ…!」ってなりました。
低音は本当に厚みがあって音の輪郭もはっきり感じられますが、それが中音を邪魔するようなことはなく、音のつながりも良いと思います。
最近試した完全ワイヤレスイヤホンの中では、最もデフォルトで低音が出ている機種ではないかと思います。
いっぽうで高音はシャリつく感じはなく抜けも良いので、全音域がバランスよく溶け合っているような感じがしました。
ただ、高音が頭に刺さるような硬さを感じる瞬間があり、そんな時はボーカルを高音が邪魔しているような感覚があります。
まぁ、このあたりの「音の硬さ」はエージングによって解消されるでしょうから、それほど気にする必要は無いとは思います。
上下の音場は十分に確保されている印象ですが、左右はどこまでも広がっていく感覚はなく、上下方向に広い楕円形のイメージですね。
Master&Dynamic MW08は値段の張るイヤホンですが、支払っただけの価値はある音質だと思いました。
Master&Dynamic MW08のANC性能
Master&Dynemic MW08のアクティブ・ノイズキャンセリング(=ANC)は、フィードフォワード方式とフィードバック方式を搭載したハイブリッドANCです。
【フィードフォワード方式とは】
ヘッドホンの外側にマイクを配置して外部からのノイズを集音し、そのノイズと逆位相の音波を電気的につくりだして同時に流す技術
【フィードバック方式とは】
ヘッドホンの内側にマイクを配置して本来の再生音と外部からのノイズ両方を集音し、その逆位相をぶつけていったんすべての音を消し去る技術
https://monolowl.com/headset-noise-canceling-2021-03-27
Master&Dynemic MW08は、フィードフォワード方式のみを機能させる「ALL DAY ANC」と、+フィードバック方式を機能させる「ANC MAX」の2種類のノイキャンが用意されています。
ハイブリッドANCの強さをアプリで段階的に調整できる機能を搭載したイヤホンはEAH-AZ70WやElite 85tなど他にもありますが、2種類のノイキャンが選択できるという機種は珍しいですね。
メーカーのホームページでは、ALL DAY ANCは電車の走行音などをカットするものの周囲の音が若干聞こえるレベル、ANC MAXは周囲の音を効果的に低減するとされています。
2つのモードを比較すると、ANC MAXのほうがノイキャン特有の圧迫感がより強く感じられ、ノイズもより減退しているように感じられます。
ただ、ANC MAXにしてもAirPods ProやTechnics EAH-AZ70Wのような強力なノイキャンというわけではありません。
Master&Dynemic MW08の公式ホームページには「音質を損なうことなくノイズを低減する~」と記載されているので、そもそもANCの強さを目指しているのではないということでしょう。
さりとて、パッシブ・ノイズキャンセリング効果の高い本体形状でもありますので、通勤電車の中で音楽を聴いたり動画を見たりする分には十分なノイキャン性能だと思います。
Master&Dynamic MW08の外観と装着感
つぎにMaster&Dynemic MW08の外観と装着感をみていきましょう。
Master&Dynamic MW08の本体と充電ケース
Master&Dynamic MW08の充電ケースはステンレス製で、高級感があるデザインになっています。

サイズはW64mm×H47mm×D25mmと比較的コンパクトで、これなら上着のポケットにサッといれて持ち運ぶこともできますが、重量は81gと若干重めですね。
本体上部は軽量でキズが付きにくいセラミックが使われており、金属やプラスチックでは表現することができない上品な質感と色合いのデザインとなっています。

大口径ドライバーを搭載している割には本体もコンパクトにまとめられていて、女性でも違和感なく装着することができる大きさです。

カラーバリエーションは4色。
どの色も落ち着いた雰囲気に感じるのはステンレスとセラミックという素材あればこそかもしれませんが、所有欲を満たしてくれる質感であることは間違いありません。
Master&Dynamic MW08の装着感
Master&Dynamic MW08は、非常に装着感の良い本体形状になっています。
ポート部分を耳道に差し込んでから後ろに少し回転させると、丸みを持った本体が耳にしっかりとフィットします。

グリグリとイヤホンをねじ込んで固定するような必要は無く、スッと差し込んでちょっとひねればピタッと安定するという感じです。
また、11mmの大型ドライバーを搭載しているイヤホンとしてはコンパクトな大きさなので、小柄な女性でも違和感なく使うことができるでしょう。
本体上部がセラミックでデザインされていることから見た感じも非常にシックで、大人のファッションとして人に見せたくなるような雰囲気もあります。
Master&Dynamic MW08の機能と操作性
最後にMaster&Dynamic MW08の機能や操作性についてチェックしましょう。
Master&Dynamic MW08の操作性
Master&Dynamic MW08は本体左右に搭載された物理ボタンで各種操作ができるようになっています。

右側本体にマルチファンクションボタン、左側本体にボリュームボタンが配置され、タッチセンサーでよくある誤作動もなく、比較的扱いやすいと感じました。
左と右別々にマルチファンクションボタンとボリュームボタンが振り分けられているので、「どっちで何の操作をするんだっけ?」と考えずに直感的に操作ができるのが良いですね。
Master&Dynamic MW08専用アプリ
Master&Dynamic MW08には「M&D CONNECT」という専用アプリが用意されています。
アプリの機能はANCのモード(ALL DAY ANC/ANC MAX)切替、アンビエントのモード(Voice/Awareness)切替、ファームウェアのアップデート、自動電源OFFの時間設定、装着検知機能のON/OFFなどの操作が可能です。
残念なのはアプリにイコライザーの機能が無いこと。
イコライザー無しでも十分満足いく音質ではあるのですが、この製品の価格を考えると必須の機能ではないかと思います。
ファームウェアのアップデートでぜひ実現してほしいところですね。
Master&Dynamic MW08のおすすめ機能
Master&Dynamic MW08には、ANCとアンビエントがそれぞれ2モード搭載、自動電源OFF、自動耳検出など、多くの機能が搭載されています。
MAX ANCとALL DAY ANC
ノイズキャンセリング性能でも触れていますが、Master&Dynamic MW08では2種類のANCモードが選べます。
メーカーの取扱説明書には、各モードの効果について以下の通り記載されています。
- ALL DAY ANC
電車の走行音や町の騒音などほとんどの低域ノイズをブロックするが、周囲の音を少し聞き取ることができる - MAX ANC
周囲の雑音を効果的に低減する
ALL DAY ANCはフィードフォワード方式だけを機能させるモードで、MAX ANCはそれに加えてフィードバック方式も機能させるハイブリッドANCです。
電車に乗っている時などはMAX ANCを使用することになりますが、AirPods Proなど超強力なANCよりは若干効果の弱いノイキャン性能です。
「音質を損なわないノイズ低減」がメーカーの目指すところなので、そういった意味ではその思想がしっかり反映されたANCということができるでしょう。
VIOCEとAWARENESS
Master&Dynamic MW08にはアンビエントにもVOICEとAWARENESSという2つのモードが用意されています。
- VOICE
人の声をメインに集音しする - AWARENESS
周囲の環境音が集音され、背後の音を察知することができる
とくにAWARENESSは非常に自然な音で、VOICEはそこから中音~高音域の音が増幅されて聞こえるような感覚です。
IN-EAR DETECTION
これは本体を耳から外すと再生中のコンテンツが自動で停止される機能です。
タッチセンサー式のワイヤレスイヤホンだと、耳から外した時に意図せずに再生操作をしてしまいコンテンツが再生されっぱなしになるといったことがあります。
イヤホンを耳から外すと自動的にコンテンツが停止されるのは、バッテリー保護の観点からみても非常にありがたい機能です。
まぁ、Master&Dynamic MW08は物理ボタンなので、そもそもタッチセンサーの機種にありがちな誤操作による再生が起きにくい機種ではありますが…。
なお、イヤホンを装着しなおしてもコンテンツは再生されません。
ここはファームウェアのアップデートで改善してほしいところですね。
Master&Dynamics MW08 レビューまとめ
Master&Dynamic MW08はリリース時の価格が4万円オーバーと、現行発売されている完全ワイヤレスイヤホンの中では最も高価な製品です。
11mmベリリウムドライバーを搭載し、低音~高音まで全音域にわたって厚みと透明感のある音質が表現されていています。
また、そのバランスを崩すことなく低音に十分なアタック感があるのが特徴で、いったん沈み込んでから跳ね上がってくるような独特の迫力を感じることができます。
迫力のある低音に加えてaptXにも対応していることから、映画などでもよりリアルなサウンドを楽しむことができるイヤホンであるともいえるでしょう。
いっぽう通話品質は、周辺の音声も拾いやすいマイクだといえ、現時点ではお世辞にも高品質とは評価できません。
自分の音声自体はこもった感じはなく相手に自然に聴こえるので、周辺ノイズがもう少し抑えられれば高評価とできるレベルなので少し残念に感じました。
ただし、周辺ノイズの少ない会議室や自室からweb会議に参加するのであれば、非常にクリアな会話が可能なポテンシャルは有しているイヤホンです。
したがって、専用アプリへのイコライザー搭載や通話品質改善も含め、今後のファームウェアのアップデート次第で大きく化ける可能性は秘めています。
ハードウェアとしては上品さと上質さを兼ね備えた大人向けの完全ワイヤレスイヤホンといった雰囲気の製品ですので、ハードウェア開発以上にソフトウェアのユーザビリティ向上に期待したい1台ですね。















