SONY WF-C500は、求めやすい価格帯ながら通話品質・音質ともにかなりハイレベルな完全ワイヤレスイヤホンです。
アクティブノイズキャンセリングこそ搭載していませんが、イヤホン本体の耳への密着度が良いので遮音性が高く、カフェなどでの使用なら周辺ノイズはそれほど気になりません。
スペック面でも普段使いで不満に感じるような不足感はなく、むしろ積極的に使いたくなるようなポテンシャルを持つコスパの高い製品だと感じます。

とくにイヤホン本体で再生時間10時間のロングバッテリーを搭載していて、10分で1時間使える急速充電に対応しているのはうれしいポイントです。
カラーバリエーションも豊富なことから、かわいいイヤホンが欲しいけれど性能面では妥協したくないというユーザーにはおススメしたくなる1台ですね。
そんなわけで、今回はSONY WF-C500を徹底的にレビューしていきます。
Contents
SONY WF-C500の通話品質と音質

まずはSONY WF-C500の通話品質と音質をチェックしていきましょう。
この価格帯のイヤホンとしては驚きの通話品質で、周囲が静かな環境ならビジネスでも十分使えますし、カフェなどでも短時間の通話なら問題ないレベルです。
また、音質も1万円台後半のイヤホンとも互角に渡り合えるレベルで、さすがはSONYと思わずにはいられないほど没入感のあるサウンドに仕上がっています。
WF-C500のマイク性能
WF-C500は通話時に周囲のノイズを抑えて集音するノイズサプレッションという機能が搭載されているようですが、その実力はどの程度でしょうか。
マイクテストは、自宅でのテレワークとカフェでの通話を想定して2パターン録音してみました。
【SONY WF-C500 通話テスト_自宅でのテレワーク時】
【SONY WF-C500 通話テスト_カフェ】
自宅でのテレワークからなら、全く問題なくリモートミーティングなどに参加できるくらいクリアに音声が聞こえます。
いっぽうのカフェでの通話はやはり周囲ノイズの影響を受けていますし、BGMなどはどうしても若干拾ってしまいますね。
ただ、他のメーカーの同価格帯のイヤホンに比べると、周辺ノイズの影響は比較的少ないように思いますので、ノイズサプレッションが効いているのかもしれません。

WF-C500の通話品質は比較的高いとはいえ、ビジネスで使用する場合は自宅や静かな会議室限定とすべきでしょう。
いっぽう、プライベートで着信を受けるなどの場合は、屋外やカフェなど多少ノイズが多い場所でも通話は十分可能なレベルです。
もちろん、発言の機会が少ないオンライン授業などであれば、自宅からはもちろんカフェなどでも使用して構わないと思いますよ。
WF-C500の音質
WF-C500は、この価格帯としてはかなりクォリティの高い音質を備えています。
ボーカルを中心とした中音域のクリアさが際立っているのが最大の特長だと感じますが、低音も高音もけっしてチープさを感じさせない厚みのある音づくりができている印象です。
ベースやバスドラムの存在感やタムの軽快感は十分ですし、ハイハットなど高音域の楽器も引き締まった音色に聞こえます。
ボーカルがかなり近くに感じられ、クリアな音色と相まってかなり没入感の高い時間を過ごすことが出来そうです。
WF-C500の音質で若干気になるところとしてはギターが少し刺さり気味という点ですが、そこはイコライザーで6.3kHz~16kHzを調整すれば解消されます。
超高音の抜けも悪くなく、自分ごと上方向に引っ張られるような伸びやかさこそないものの、天井に詰まって上方向への伸びが止まってしまうような感じもありません。
音場はそれほど広くはありませんが、それでも価格を考慮すれば十分すぎるほどで、とくに横方向に広がりを感じるつくりになっています。
SONYの製品はこれまでWF-1000XM4しか取り上げてこなかったんですが、WF-C500を一聴して「この価格でこの音ならそりゃ売れるわ…」と素直に思いました。
専用アプリの章で詳しく説明しますが、イコライザーの自由度も高いことから、EDMからロック、ポップス、アニソンなど幅広いジャンルの音楽に対応可能なイヤホンでしょう。
SONY WF-C500の外観と装着感
SONY WF-C500の充電ケースや本体など外観についてと、装着感をみていきましょう。
かわいらしい外観ながら、イヤホン本体はWF-1000XM4に似た形状をしていて、耳への密着感が高い考え抜かれたデザインとなっています。
WF-C500の本体と充電ケース
WF-C500の充電ケースは、幅80mm×奥行き34.8mm×高さ30.9mm、重量35gとかなり軽くてコンパクトにできています。

横に長い形状のため、手の中にすっぽり収まるほど小さくはありませんが、バッグやリュックの中であればちょっとしたすきまにスッと入れて出かけることができるでしょう。
しかもこの軽さで本体1回分のフル充電(約10時間使用)が可能なので、充電ケースさえ忘れなければ本体のバッテリ―残量をあまり気にせず外出することができます。
また、WF-C500は上蓋の表面がサンドブラスト加工をしたようなデザインになっているため、あまりキズを気にせず使うことができるようにデザインされているのもうれしいポイントですね。
WF-C500のイヤホン本体は片側5.4gと非常に軽く、丸みを帯びたかわいらしいデザインに仕上げられていますが、サイドにSONYのロゴが入っており価格以上の高級感があります。

なお、本体の連続再生時間10時間、通話時間5時間とかなりのロングライフバッテリーを搭載しています。
これなら、よほど長時間のリモートミーティングが予定さていない限り、1日チャージ無しで使用できるのは大きなメリットですね。
カラーバリエーションはアイスグリーン、コーラルオレンジ、ホワイト、ブラックの4色展開。

オーソドックスなホワイトとブルーのほかに、やわらかな色合いでファッションに合わせやすそうなアイスグリーンや元気なコーラルオレンジが用意されているのはうれしいですね。
WF-C500の装着感
WF-C500は着け心地が軽く、それでいてかなり安定感の高いワイヤレスイヤホンです。

コロンとした形状の割には耳へのおさまりが良いのは、最上位機種であるWF-1000XM4と同じ「エルゴノミック・サーフェース・デザイン」を採用しているから。
これはイヤホンと耳の接触面を増やすような形状設計で、耳の複雑な凹凸にも干渉しにくい形状になっているということですが、装着してみるとその効果が頷けます。
WF-C500は耳への密着度が高いので遮音性もかなり高く、サイズのしっかり合ったイヤーピースを選択すればさらにノイズを低減する効果が得られます。
ちなみにイヤーピースは購入時にはMサイズが装着されていますが、SSとLLサイズが同梱されていますので、どのサイズがしっくりくるか一通り試してみると良いでしょう。

ただし、このイヤーピースはSONYの低価格帯のイヤホンに使われているもの、できれば音質向上のために市販のイヤーピースに交換することをおススメします。
筆者が手持ちの中か試したイヤーピースは以下の2種類ですが、あきらかに音の厚みが増してワンランク上のイヤホン並みの音質に変化したと感じました。
final TYPE-E
付属のイヤーピースと形状が似ているので選んでみたのですが、同じイヤホンと思えないほど低音~中音域で音の深さと厚みが増します。
また、高音のシャリ付きも抑えられるので、全体的に落ち着いた音質に変化しますよ。
NUARL Block Ear+
こちらはfinalと比べると平べったいっ形状ですが、イヤーピースが耳の奥まで押し込まなくても適度な遮音性が得られるように設計されたものです。
軸の径が太く、finalよりは中~高音域が素直に聴こえる感覚ですが、こちらも付属のイヤーピースと比べ物にならないくらい音の厚みが増しますね。
ご紹介したのは手持ちのイヤーピースの中から2種類ほど選んだものですが、市販のイヤーピースはたくさんの種類があります。
自分のお好みのものを探すのも、ワイヤレスイヤホンを使っていく楽しみの一つですので、ぜひ色々と試していただきたいと思います。
SONY WF-C500の専用アプリ
SONY WF-C500は専用アプリを使って、コンテンツをより自由に楽しむことができるようになっています。
いたってシンプルなつくりではありますが、イコライザーは音質を調整する楽しさを備えており、完全ワイヤレスイヤホン初心者でも安心して使うことができると思います。
WF-C500のアプリホーム画面とメニュー
WF-C500は専用アプリ「Headphones Connect」に対応しています。
WF-C500を「Headphones Connect」に接続すると、圧縮音源の高音域をクリアに再現する「DSEE」が有効になり、イコライザーや360 Reality Audioが使えるようになります。

アプリホーム画面はシンプルなつくりで、イヤホン本体のバッテリ―残量と再生中のコンテンツが表示され、ボリューム調整も出来るようになっています。
アプリによってはボリューム調整が表示されないものもありますが、ホーム画面で音量調整ができる仕様はなにげに便利なので、個人的にはポイント高いです。
WF-C500のイコライザー
WF-C500のイコライザーは、400Hz~16kHzの5バンドで上下±10dBの完全カスタマイズが可能となっており、かなり自由度が高い仕様になっています。
ユニークなのは、5バンドイコライザーの下段に赤枠で囲った通りCLEAR BASSという低音の音量調整があること。
設定値を大きくするほどBASSが強調されますので、5バンドイコライザーで自分好みの音質に変更してからBASSをトッピングするような感覚で調整が可能です。

個人的には上の画像の右側の調整がしっくりきましたが、皆さんはいかがでしょうか?
また、プリセットが8種類用意されていて、自分の好みや曲に合わせて手軽に音質を変更することができますので、イコライザーの調整が初めてのユーザーでも安心です。

プリセットは、各バンドの組合せで音質がどう変化するか勉強になるという面があり、それをベースに自分好みの音質を完全カスタマイズで調整することが出来るようになります。
プリセットの名称の右下に歯車のマークがあり、そこをタップするとプリセットの設定のままカスタムイコライザーに切り替わります。
CLEAR BASSをいじるだけでも聞こえ方がだいぶ変わりますから、あれこれ試してみることをおススメすます。
SONY WF-C500の機能
SONY WF-C500の機能面のチェックポイントをみていきましょう。
SONYならではの機能がしっかり搭載されているのが大きなメリットだと思います。
WF-C500の操作性
WF-C500はイヤホン本体の物理ボタンで操作をすることが可能です。
操作方法は以下の表の通りで、ひととおり試してみましたが特に不便に感じることもありませんでした。
| 動作 | 左 | 右 | |
|---|---|---|---|
| 音楽 | 1回押し | 音量UP | 音楽再生/停止 |
| 2回押し | - | 次の曲にスキップ | |
| 3回押し | - | 前の曲に戻る | |
| 長押し | 音量DOWN | ボイスアシスタント | |
| 通話 | 1回押し | 電話を受ける/電話を切る | |
あえて申し上げるなら、音量ダウンを長押しではなく2回押しにしてほしかったというくらいですが、アプリホーム画面に音量調整機能があるのでとくに問題なしです。
WF-C500ではボタンのカスタマイズができないのは残念ですが、ボタンに割り当てる機能も種類がそれほど多いわけではありませんから、そこは致し方ないかなと思いますね。
WF-C500はDSEE搭載
WF-C500は、SONYが独自開発した「DSEE(Digital Sound Enhancement Engine)」を搭載しています。
ストリーミングやMP3、Bluetoothの伝送コーデックなどでは、データのやり取りがしやすいようにオリジナル音源を圧縮するのですが、その際に高音域が失われがちになります。
「DSEE」はこの失われがちな高音域を、CD音質相当までイヤホン内で補完する技術なんです。

おそらくWF-C500の購入を検討している多くの方は、スマホとBluetooth接続して音楽や動画を楽しみたいと考えているのではないかと思います。
WF-C500のBluetooth伝送コーデックはSBCもしくはAACですから、ハイレゾと言われるLDACと比べるとオリジナル音源を1/3程度に圧縮して伝送しています。
その圧縮の過程で失われた高音域を補完してくれるのがDSEEで、かなり優れた技術だと思いますし、WF-C500にこの機能が搭載されているのは大きなメリットでしょう。
なお、DSEEは専用アプリ「Headphones Connect」で機能を有効にすると機能します。
360 Reality Audio認定モデル
WF-C500は、360 Reality Audio認定モデルになっています。
360 Reality Auduoとは、立体音響技術を使った新しい音楽体験のことで、ボーカルやコーラス、楽器などの音源が全方位から降り注ぐかのような没入感のある音場を提供するサービスです。

音楽ストリーミングサービスでは、Amazon music UNLIMITED、deezer、nugs.netなどが360 Reality Audioに対応しています。
また、専用アプリの「Headphones Connect」には「360 Reality Audio設定」というメニューが用意されています。

これは、アプリで耳の形を撮影し、聴覚特性を解析することで、自分の耳の形に合わせた音場を再現するように最適化してくれるという機能です。
このあたりはさすがSONYといったところで、この価格帯で音場のパーソナライズが用意されているというのは、WF-C500を購入する大きなメリットではないでしょうか。
SONY WF-C500のレビューまとめ
それでは、SONY WF-C500の総合評価と、良い点・改善してほしい点を整理してみましょう。
| 評価項目 | Impression | Score |
| 通話品質 | 同価格帯としては優秀な通話品質 | 4.3 |
| 低音 | 量感は十分、CLEAR BASSで調整可 | 4.5 |
| 中音 | ボーカル中心にクリアに響く | 4.6 |
| 高音 | 若干刺さる感じアリ | 4.2 |
| アプリ機能 | 最低限の機能は搭載 | 4.0 |
| 機能減点 | 付属イヤーピースでは音質半減 | 3.5 |
| 機能加点 | 高音域を補完するDESEE搭載 | 5.0 |
| 機能加点 | 360 Reality Audio搭載 | 5.0 |
| 総合評価 | 4.4 | |
✓1万円クラスのイヤホンとしては高い通話品質
✓フラット(ややドンシャリ)でクリアな音質
✓イヤホン本体連続再生時間10時間
✓WF-1000XM4に似た高級感のあるデザイン
✓軽い装着感ながら耳への密着度は高い
✓8種類のプリセットやCLEAR BASSを搭載したイコライザー
✓圧縮音源の高音域を補完するDSEEを搭載
✓360 Reality Audio対応
✓急速充電(10分の充電で60分再生)に対応
✓IPX4の防水性能
✓ワイヤレス充電非対応
✓イヤホン本体ボタンのカスタマイズ
SONY WF-C500は、1万円程度の価格帯のイヤホンの中では、音質・通話品質ともかなりレベルの高い製品だと思います。
アクティブノイズキャンセリング非搭載ではありますが、耳への密着度が良いので遮音性が高く、図書館や喫茶店などでの使用なら周辺ノイズをかなり抑えることができるはずです。
通話品質もこの価格帯のイヤホンとしては十分な合格点を付けられるレベルで、自宅でのテレワークからならリモートミーティングに使用しても何ら問題ありません。
また、WF-C500で最も特筆すべきは音質の良さで、特に中音のクリアさが際立ったすがすがしいサウンドは、どんなジャンルの音楽にも合うポテンシャルを備えていると感じます。
ただし、付属のイヤーピースではそのポテンシャルを十分引き出すことができないので、本機を購入する際は、当ブログでご紹介したような市販のイヤーピースも購入することをおススメします。
いずれにしてもWF-C500は「さすがはSONY」と思わずにはいられない、積極的に使いたくなる完全ワイヤレスイヤホンであることは間違いありません。

















