
英国生まれのANC搭載高音質TWS
RHA TrueControl ANCは、同社としては初のアクティブ・ノイズキャンセリング(=ANC)とアンビエントモード(=外音取り込み)を搭載した完全ワイヤレスイヤホンです。
低音~高音まで偏りのない非常に解像度の高い音質はどんな音楽でも楽しむことができ、aptXに対応しているので動画鑑賞にもマッチします。
充電ケース・本体ともに大きい割には再生時間が短いことと、通話品質がそれほど高くないことが若干残念ですが、そこが我慢できるのであれば価格以上の満足感が得られる製品です。
音質重視で完全ワイヤレスホンを購入するのであれば、ぜひ候補にして頂きたい1台です。

Contents
RHA TrueControl ANCの通話品質と音質
RHA TrueControl ANCの通話品質と音質についてチェックしていきましょう。
RHA TrueControl ANCのマイク性能
RHA TrueControl ANCの通話品質はWebミィーティングなどにも使えるレベルではありますが、高品質と評価するには若干力不足のように感じました。
今回も夕方のカフェでマイクテストを行ってみましたので、聞いていただければと思います。
RHA TrueControl ANCは通常ボリュームだと十分に自分の声が相手に届かず、フルボリュームに近い音量で話をする必要がありました。
他の製品では通常50%~70%くらいのボリュームで音声録音できるのですが、この製品はそれだと録音した音声があまりよく聞こえなかったんですよね。
マイクテストを実施したカフェはすいていたので周囲の人の声は録音されていませんが、ホワイトノイズのような音やガサガサするような音が聞こえるのはボリュームが大きいから。
おそらくキーボードの打鋲音や書類がガサガサする音など、ちょっとした音が拡声されて相手に伝わってしまう可能性も高いと思われます。
RHA TrueConnect 2はマイク性能が高かっただけに、TrueControl ANCには大きく期待していたので少し残念ですね。
自分の発言が多い会議で使うなら、会議室やリモートワーク時の自室などノイズの少ない環境下で使用したほうが良いでしょう。
RHA TrueControl ANCの音質
RHA TrueControl ANCは原音再生という製品コンセプトの通り、クリアで透明感のあるサウンドが特長で、低音~高音までバランスよく鳴らせてくれる音質です。
低音は深みと厚みがありながらも曲全体を邪魔するようなところはなく、ボーカルも曲に溶け込みながらもしっかり際立ちを放って響くので、聴いていて心地良いと感じます。
高音がシャリ付く感じはなく、解像度が高いことから1つ1つの音が上品に響くのでつい目を閉じて曲に浸りたくなる感覚があります。
定位は頭の中で、欲をいえばあと少しだけ高音の抜けが良ければパーフェクトだったなぁと感じました。
音場も十分な広さを感じることができ、「聴く」ということについては価格以上のポテンシャルを備えたイヤホンであることは間違いありません。
RHA TrueControl ANCノイズキャンセリング

RHA TrueControl ANCのアクティブ・ノイズキャンセリング(=ANC)はアナログフィードバック方式が作用されています。
これは2つの外部マイクが周囲の音を記録して、それを排除するためのアンチノイズを生成する方法です。
加えて人間工学によるフィッティング性能を追求することで高いパッシブ・ノイズキャンセリング(=PNC)効果を実現しており、ANCとPNCの組合せで高いノイキャン性能を実現しているとされています。
装着してみると確かにPNC効果が高いイヤホンで、着けるだけでかなり周囲のノイズをカットしてくれている印象を受けます。
原音再生という製品コンセプトのせいかANCはそれほど強いものではなく、それゆえにノイキャンをONにしても音質の変化はあまり感じません。
ただし、耳へのフィット感が非常に良い形状をしているのでPNC効果が高く、はじめてノイキャン搭載機を使う方なら十分に満足のいく効果を実感できると思います。
ただ、AirPods ProやWF-1000XM3など、高いANC性能を搭載した製品を使ったことのある方だと「ちょっと弱いな…」と感じるでしょう。
RHA TrueControl ANCの外観と装着感
つぎにRHA TrueControl ANCの外観と装着感を確認していきましょう。
RHA TrueControl ANCの本体と充電ケース
RHA TrueControl ANCの充電ケースはアルミニウム製で、アルマイト処理されたマットな外観で、フタの開閉など手に取ると上質なつくりになっています。
W79mm×H47mm×D32mmと、完全ワイヤレスイヤホンの充電ケースとしては大きめで、重量も94gありますのでズボンのポケットに入れて持ち運ぶのは厳しい感じですね。

本体は無造作に扱うとキズが付きそうな印象ですので、ポーチか何かに入れて持ち運んだほうが良いでしょう。

本体も若干大きめで、片側10gありますので完全ワイヤレスイヤホンとしてはかなり重量がある製品ですね。
6mmのダイナミック型ドライバー搭載機、しかも再生時間5時間ということを考えると、ここまで大きいのは何故?とちょっと不思議に思います。
この製品の構造をみるとその理由はおそらくバッテリーでしょう。
これでもっと小型の高性能バッテリーを搭載すると価格がどの程度になったのかは分かりませんが、次の製品ではもう少し小型化を図って欲しいと感じずにはいられないですね。
カラーバリエーションはブラック1色。

せっかくの高音質イヤホンなので、あと2色ほどラインナップされていても良かったのではないかと思いますので、ここも改善をお願いしたいところです。
RHA TrueControl ANCの装着感

RHA TrueControl ANCは本体全体が耳に吸い付くような装着感で、首を振っても落ちるよな気配が全く感じられません。
僕は耳が比較的大きいほうなので、たまたまぴったりフィッティングした可能性は否定できませんが、かなりの安定感ですね。
また、装着すると遮音効果が非常に高いことが実感できます。
これまで試した中で最もPNC効果が高い完全ワイヤレスイヤホンは、RHA TrueConnect 2だと思っているんですが、このTrueControl ANCも負けず劣らず遮音性が高いです。
また、この製品にはシリコン製のイヤーピースのほかに、Complyのウレタンフォームイヤーピースも付属品として同梱されています。
Complyの製品は高価格で耐久性に難があるものの、耳道に合わせて変形するので高い遮音効果とソフトな着け心地、全体域の音が明瞭になるといった特長のあるイヤーピースです。
シリコンとウレタン、材質の異なる2種類のイヤーピースを比較して遮音効果の違いを体験できるのは、はじめてワイヤレスイヤホンを使う方などにはとっては親切な商品設定だと思います。
RHA TrueControl ANCの機能と操作性
最後にRHA TrueControl ANCの機能と操作性をチェックしましょう。
RHA TrueControl ANCの操作性
RHA TrueControl ANCは、タッチセンサーでの感覚的な操作が可能です。
特徴的なのは下の表のようにタップとスワイプでの操作になっている点でしょう。
| 動作 | 左 | 右 | |
|---|---|---|---|
| 音楽 | 1回タップ | 再生/停止 | |
| → Swipe forwards | 次の曲に進む | 音量UP | |
| ← Swipe backwards | 前の曲に戻る | 音量DOWN | |
| 2回タップ | ANC on ⇒ ANC off ⇒ アンビエント | ||
| 通話 | 1回タップ | 受話 | |
| 1.5秒長押し | 通話終了 | ||
| → Swipe forwards | 音量UP | ||
| ← Swipe backwards | 音量DOWN | ||
| アンビエント ON/OFF+再生停止 | 長押し | - | |
| 通常 | 2秒長押し | 音声アシスタント起動 | - |
多くの製品がタップの回数で操作するのに対し、RHA TrueControl ANCは良く使う操作がデフォルトではスワイプ中心の設定になっています。
個人的にはタップ回数での操作が苦手なので、スワイプの操作設定があるということへの期待が大きかったんですが、正直なところちょっと操作しずらいかなという印象です。
AirPods Proのようないわゆる「うどん型」やWF-1000XM3のような楕円形をしていればいいんですが、センサー部が普通の丸い形なので直感的に正しい位置を触れないんですね。
デフォルトの設定では音楽再生時に1回タップで曲が停止してしまうので、スワイプしようとしてうまく触れず曲が停止することがしばしば…。
「うーん…これならタップでの操作のほうが良いかも…」と思ってしまいました。
タッチセンサーでの操作は専用アプリでカスタマイズできますが、スワイプと2タップでの操作変更のみなので、このあたりは慣れるしかないかもしれませんね。
RHA TrueControl ANC専用アプリについて
RHA TrueControl ANCには専用アプリ「RHA Connect」が用意されています。
アプリ機能としてはイコライザー、ANCとアンビエントモードのコントロール、タッチセンサーの設定変更、イヤホン紛失時の最終使用場所確認、ソフトウェアアップデートなど。
イコライザーはデフォルトのNeutral以外にWarm,Bright,Vocal,Energyの4種類のプリセットから選択する方式です。
アンビエントモードの強弱は無段階で調整可能ですが、ANCの調整機能はありません。
僕はANCの強さを調整することが無いので、ANCの強弱を調整する機能がないことはあまり問題にならないですね。
また、操作性でも解説した通りタッチセンサーのカスタマイズはスワイプと2タッチのみどのような操作を割り当てるか変更が可能です。
ここは是非フームウェアのアップデートでフルカスタマイズ可能にして欲しいと思います。
RHA TrueControl ANCのおすすめ機能
RHA TrueControl ANCのおすすめ機能としては、装着検出機能とワイヤレス充電、アンビエントモードの自然さです。
装着検出機能
RHA TrueControl ANCは専用アプリ「RHA Connect」で装着検出のON/OFFを設定することができます。
これはイヤホンを耳から外すと自動的に再生中のコンテンツが停止され、再び装着すると再生が開始される機能です。
これ、コンビニなんかでアンビエントにしておくのを忘れてとっさにイヤホンを外すようなシーンが良くあるんですが、そんな時にけっこう便利なんですよね。
ワイヤレス充電
RHA TrueControl ANCの充電ケースは、Qi規格のワイヤレス充電器に対応しています。
アンビエントモード
RHA TrueControl ANCのアンビエントモードは、自然に近い音で非常に使いやすいと思います。
外音を変にブーストしている感じは全くなく、個人的にはイヤホンを通して聴いている感覚があまりないくらい完成度の高いものだと感じました。
個人的には、アンビエントモードは聞こえればなんでも構わないという考え方なのですが、このくらい自然だと積極的に使いたくなりますね。
まとめ
RHA TrueControl ANCは同社初のアクティブ・ノイズキャンセリング(=ANC)を搭載した完全ワイヤレスイヤホンです。
この製品の最大の特徴は、低音~高音までしっかりと鳴らしてくれるバランスの良いクリアで上質なサウンドでしょう。
音の粒1つ1つが全音域にわたってしっかりと聴こえるので、思わず目を閉じて音楽に没頭したくなるような時間を提供してくれるイヤホンです。
ANC性能はそれほど強力ではありませんが、パッシブ・ノイズキャンセリング(=PNC)効果の高い本体形状をしているので、ANC+PNCトータルでのノイキャン性能は高いといえるでしょう。
いっぽうでマイク性能は悪くは無いものの、マイクボリュームを上げないとしっかり集音しない面があり、それゆえに周辺ノイズの多い場所では雑音が多く入り込んでしまいます。
また、本体バッテリーの大きさのわりにANC on時の再生再生時間が5時間と短く、ボディーやバッテリーケースの大きさと比較して使用時間が短いという欠点もあります。
しかし、それらの欠点を補って余りある素晴らしい音質と、アルマイト加工された上質なアルミ製充電ケースなど、所有欲を満たすだけの長所も備えています。
完全ワイヤレスイヤホンにフラットでクリアな音質を求めるなら、RHA TrueControl ANCは最優先候補となる1台としておススメできる機種でしょう。
















