
ゼンハイザーサウンドのエントリー機
ゼンハイザー CX True WirelessはCX 400BTの後継機で、ANC非搭載のエントリーモデルです。
エントリーモデルとはいえMomentum True Wireless2と同じTrueResponseトランスデューサーを搭載しており、ゼンハイザーのクリアで透明感のあるなサウンドを楽しめる仕様になっています。
また、CX True Wirelessはエントリーモデルらしく、若年層向けに低音が強化されバッテリー性能も向上、左右独立受信方式採用など機能強化の反面、価格はTrue Wireless2の半額程度。
21年度上期注目モデルの登場です!

Contents
CX True Wirelessの通話品質と音質
ゼンハイザー CX True Wirelessの通話品質と音質をチェックしていきましょう。
CX True Wirelessのマイク性能
ゼンハイザーの完全ワイヤレスイヤホンに対しては、個人的に「音質は文句無しなんだからもう少し通話性能を上げて欲しいな」と思っています。
さて、それではCX True Wirelessの通話性能はどうでしょうか?
マイクテストは客席が半分ほど埋まっている夕方のカフェで行いましたが、声はしっかり拾っているものの、クリアさに欠ける点と全体的に音を減衰させているように聞こえる点が気になりました。
CX True Wirelessは2マイクとビームフォーミングが搭載されています。
この仕様から、もう少し高い通話品質を期待していたんですが、マイクテストの結果としてはちょっと期待外れでした。
ビームフォーミングで自分の声を拾い切れていないからか、周囲のノイズと一緒に自分の音声も減衰されて、こもったような音声になっています。
音質には定評のあるメーカーですので、チューニングというよりはアレイアンテナの性能が低いとか、なにかハード上の課題なのかもしれませんね。
CX True Wirelessをweb会議で使うのであれば、自宅の自室や会議室など周辺ノイズの影響を受けない場所に限定したほうが無難でしょう。
周辺ノイズが少ない場所なら、相手がストレスを感じないレベルでの通話が可能だと思います。
いっぽうオフィスの自席やカフェなど周辺ノイズが高い場所だと、「聞こえにくい」とか「周囲の音がうるさい」といったことを言われる可能性があるので注意が必要です。
CX True Wirelessの音質
ゼンハイザー CX True Wirelessは、Momentum True Wireless2と同じTrueResponseトランスデューサーを搭載しています。
しかし、Momentum True Wireless2のフラットでクリアな音質と違い、ドンシャリ系のクリアな音質とでも言いましょうか、低音好きなユーザーをターゲットにした味付けになっています。
重低音~低音は厚みがあり、若干ボアつく感じはするものの、ベースやバスドラムの音がこれでもかというくらいにアタックしてくる印象です。
専用アプリにBase Boostという低音強調機能が用意されていますが、それを使わなくても十分力強い低音にチューニングされています。
中音域は透明感のあるクリアな音質で、音の粒をしっかりと受け取ることができる感覚があります。
高音は若干シャリ付く感じはありますが脳に音が突き刺さるような違和感はなく、上への音の抜けも良いです。
全体的には低音がすごく主張してくるドンシャリ系で、中音が低音と高音の後ろに回ってしまうような感覚はあるものの、クリアな音質ゆえにバランスが保たれているといった印象です。
「ゼンハイザーがドンシャリに振るとこういう音質になるのね」という新鮮な満足感が得られました。
ただ、若干違和感を感じたのが頭内定位。
中音~高音は耳の高さより少し高い頭の中心に定位があるのですが、重低音~低音は耳に近い位置で鳴っているような感覚が強く、音源が2層に分かれて感じられる瞬間があります。
曲の構成上、どんな完全ワイヤレスイヤホンでも左右の耳の近くで鳴る音というものはありますが、CX True Wirelessはその傾向がより顕著なように思います。
僕のお気に入りのTechnics EAH-AZ70Wだと頭の中心で高音・中音・低音が縦に並んだ楕円のイメージなんですが、CX True Wirelessは三角形になっている感じ。
重低音~低音が強調されたチューニングゆえにそう感じるのかもしれませんが、もう少し低音の頭内定位が真ん中でも良かったのでは?と思います。
ただし、ゼンハイザーのイヤホンはエージングでの変化が大きいので、使い込むと変化がみられるかもしれません。
CX True Wirelessノイズキャンセリング性能
ゼンハイザー CX True Wirelessにはアクティブ・ノイズキャンセリング(=ANC)機能は搭載されていません。
製品ホームページにはパッシブ ノイズアイソレーションという表現が使われていますが、これはパッシブ・ノイズキャンセリング(=PNC)のことで、いわゆる物理的ノイキャンですね。
https://monolowl.com/headset-noise-canceling-2021-03-27
CX True Wirelessはポートが短く、本体からポートにかけてずんぐりした形状になっています。

イヤーピースで耳道をふさぎ、遮音性を高めるためにそのすぐ上からずんぐりした箇所が耳栓の役割をするような形状に設計されているのでしょう。
実際装着してみると、遮音性はかなり高いと感じました。
CX True Wirelessにはシリコン製イヤーチップ4サイズ(XS,S,M,L)が同梱されていますので、自分に合ったサイズを選択できればさらに遮音性は高まります。
もし同梱イヤーピースのフィット感が合わなければ、以下のイヤーピースを試してみることをおススメします。
CX True Wirelessの外観と装着感
ゼンハイザー CX True Wirelessの外観と装着感をチェックしていきましょう。
CX True Wirelessの本体と充電ケース
ゼンハイザー CX True Wirelessの充電ケースは前作のCX 400BTと大きさはほぼ同じで、重量も50gとポケットに入れて持ち運ぶのも十分可能なサイズになっています。

本体はゼンハイザーのロゴが刻印されている以外の装飾は何もなく、イヤーピースも含めて1色で統一されています。

タッチパネルはフラットな形状でマット加工されているので、使用に伴うキズを気にする必要は無いでしょう。
また、控えめなゼンハイザーのロゴからは趣味の良い落ち着いた雰囲気が感じられます。
ゼンハイザーの完全ワイヤレスイヤホンと言えばMomentum True Wireless2ですが、僕はタッチパネルのデザインはCX True Wirelessのほうがシンプルで好きですね。
カラーバリエーションはゼンハイザーらしいブラックとホワイトの2色展開。

この価格帯だと若い世代にも手が届きますので、あと2色ほど選択肢が増えても良い気がしますが、そこはゼンハイザーのブランド戦略からすると難しいかもしれません。
CX True Wirelessの装着感
ゼンハイザー CX True Wirelessは耳にスッと差し込んで少しひねるとピタッと位置が決まり、非常に装着感が良いと感じました。
本体は厚みがあるので、装着時に正面から見ると若干耳から飛び出て見えますが、なんだか大きなTWS着けてるなと感じるほどではありません。

また、タッチパネルの表面積自体はそれほどでもないので、小柄な女性でも問題なく使用できるサイズだと感じました。
たとえば日本市場向けにミルキーホワイトや桜色など、カラーバリエーションが増えれば若い女性の支持も集めらると思うのは僕だけでしょうか?
CX True Wirelessの機能と操作性
最後にCX True Wirelessの機能と操作性をチェックしましょう。
CX True Wireless専用アプリについて
CX True Wirelessは専用アプリ「Sennheiser Smart Control」をスマホにダウンロードすることによって、イヤホンの設定やイコライザーを利用することができます。

イコライザーには「ポッドキャスト」「ムービー」「Bass Boost」の3つのプリセットが用意されており、もちろん完全カスタマイズも可能です。
また、タッチセンサーの操作カスタマイズ、通話中の自分の声をイヤホンから聞くように設定出来たりと、それなりの機能が備わっています。
CX True Wirelessの操作性
CX True Wirelessはタッチセンサーでイヤホン本体の操作をすることができます。
| 動作 | 左 | 右 | |
|---|---|---|---|
| 音楽 | 1回タップ | 再生/停止 | |
| 2回タップ | 前の曲に戻る | 次の曲に進む | |
| 長押し | 音量DOWN | 音量UP | |
| 通話 | 1回タップ | 受話/通話終了 | |
| 2回タップ | 着信拒否 | ||
| 通話中 | 1回タップ | 現在の通話を終了し、着信を受ける | |
| 2回タップ | 着信を拒否し、現在の通話を続ける | ||
| 通常時 | 3回タップ | 音声アシスタント起動 | |
ボリュームのUP/DOWNが長押しでの調整になっており、使ってみたところ微調整がしずらかったですね。
長押しを検知した瞬間に音量調整が働くのだと思いますが、もう少し時間をかけてゆっくり調整されるようにアプリを改善する必要があると感じました。
CX True Wirelessのおすすめ機能
CX True Wirelessの機能面をみると、CX 400BTをブラッシュアップながら価格を抑えたモデルだということに気付かされます。
CX True WirelessとCX 400BTの違い
以下の表は、CX True WirelessとCX 400BTでアップデートされた機能を比較したものです。
| CX True Wireless | CX 400BT | |
|---|---|---|
| 接続方式 | 左右独立方式 | リレー方式 |
| Bluetooth | Bluetooth5.2 | Bluetooth5.1 |
| 防水性能 | IPX4 | 非対応 |
まず、ゼンハイザーの完全ワイヤレスイヤホンとしては初の左右独立接続となっている点は、大きな進化だと思います。
CX 400BTはリレー方式だったので、右側だけしか片側使用できなかったんですが、CX True Wirelessは左右どちらも片側利用が可能になりました。
また、Bluetooth接続が5.1から5.2に進化していますので、従来機より接続が途切れにくくなっている点もユーザーにとってはストレス軽減につながるアップデートですね。
そしてIPX4となったことにより、雨の日や軽い運動をするときでも気にせず使用できるようになっています。
Auto Call機能
CX True WirelessにはAuto Callという機能が備わっています。
Auto Callは、着信があった時に充電ケースからイヤホンを取り出すと、通話が自動的に受け入れられるという機能です。
この機能は専用アプリのSennheiser Smart ControlでON/OFFの切り替えが可能です。
イヤホンでの通話に慣れてくるとスマホを耳にあてて会話するのが億劫になるので、このAuto Callはなかなか使い勝手がいい機能だと思いますよ。
Sidetone
Sidetoneは自分の声をイヤホンで聞くことのできる機能です。
イヤホンで通話するときに、相手に自分の声がどう聴こえているか気になったことはありませんか?
web会議などでたまにハウリングを起こしているような人って一定数いると思うんですが、やっぱり聞き取りずらいなと感じたり、不快に感じることも経験上ありえます。
自分の声は相手に指摘されなければどう聴こえているか分かりませんから、僕は相手にいちいち「ちゃんと聞こえる?不快感ない?」なんて確認しているくらい気を遣っています。
そういった意味では、CX True WirelessのSidetoneは非常にありがたい機能といえます。
僕はテレワークにおける通話品質はもはやビジネスマナーだと思っていますので、自分をチェックすることができるSidetoneはCX True Wirelessのおすすめ機能です。
ちなみにこのSidetoneも専用アプリのSennheiser Smart ControlでON/OFFの切り替えが可能となっています。
まとめ
ゼンハイザー CX True Wirelessは、CX 400BTの後継機として発売されたノイキャン非搭載のエントリーモデルです。
ゼンハイザーにはフラッグシップモデルのMomentum True Wireless2がありますが、そこからノイズキャンセリングやアンビエントモードなどの機能を削り、価格を半分以下に抑えてきた意味は大きいと思います。
ドライバーはMomentum True Wireless2と同じ7mmダイナミック型で、この価格帯でゼンハイザーらしいクリアな音質を感じられるというだけでも興味が湧いてきますね。
ただしCX True Wirelessは、True Wireless2やCX 400BTがフラットな音質だったのとは対照的に、若年層など低音好きなユーザー向けに低音域を強調したチューニングが施されています。
このあたり、あらたなゼンハイザーファンを開拓しようとする試みが音質のチューニングに反映されているのかもしれません。
いっぽうマイク性能は若干向上したとはいえ、2マイク・ビームフォーミング搭載のワイヤレスイヤホンとしてはもう少し通話品質を上げて欲しいと感じます。
会議室や自室など周辺ノイズの低い環境下でのweb会議や通話には問題なく使用できますが、オフィスの自席やカフェなどでweb会議に使うのは避けたほうが無難でしょう。
機能面では、ゼンハイザーの完全ワイヤレスイヤホンとしては初となる左右独立接続方式が採用され、左右どちらのイヤホンでも片側使用が可能になりました。
また、Bluetooth5.2となり接続性が向上し、IPX4対応と普段使いでの防水性能も申し分ないレベルです。
CX True Wirelessは、Momentum True Wireless2との機能と価格のバランスが見直されたうえで投入された製品で、ゼンハイザーの市場戦略が明確になったように感じます。
すなわち、ハイエンドモデルでは生粋のゼンハイザーサウンドの追求と高機能の提供、ミドルレンジモデルでは気軽にゼンハイザーを体験してもらうことを優先した製品づくりです。
CX True Wirelessを手に取ったユーザーの中から将来のゼンハイザーファンが生まれる。
そんなことを感じさせてくれる製品だと思います。















