
最新技術満載!圧倒的性能を誇るTWS
SONY WF-1000MX4は2021年上半期発売される完全ワイヤレスイヤホンの中で、間違いなく最も注目度の高い製品でしょう。
LDAC対応のソニー初のハイレゾワイヤレスで、さらにDSEE Extreme搭載により、通常の圧縮音源もハイレゾ級に変換可能ですし、ノイズキャンセリング性能も飛躍的に向上しています。
ビームフォーミングと骨伝導センサーによる通話品質の向上、360 Reality Audio対応、スピーク・トゥ・チャットなど、考えられる限りの最新技術が惜しげもなく投入されています。
今後の高級TWSのベンチマーク的存在となること間違いなしの最強イヤホンの登場です。

なお、現時点でWF-1000XM4は発売前ですが、ソニーストア銀座店さんにお邪魔して30分間たっぷり体験してきた感想を記事にしています。
Contents
WF-1000XM4の通話品質と音質
WF-1000XM4の通話品質と音質、アクティブ・ノイズキャンセリング(=ANC)性能をみていきましょう。
WF-1000XM4のマイク性能
WF-1000XM4の通話品質は、まちがいなく現時点で最高性能と呼んで良いと思います。
マイクテストはソニーストア銀座店さんのフロアで実施していますが、WF-1000XM4を体験しに来た方が多く、かなりざわついた環境+頭の上でBGMも鳴っている状態でした。
正直なところ、あの騒がしさの中では記事に乗せられるような録音ができていないのでは?と心配していましたが、この通話品質には驚かされました。
これまで、完全ワイヤレスイヤホンのマイク性能ではJabra Eliteシリーズがあたまひとつ抜け出ていると思っていましたが、それ以上の通話品質だと感じています。
WF-1000XM4には、通話品質を向上させるために新たにビームフォーミング技術と骨伝導センサーが搭載されています。
ビームフォーミング技術は特定の方向に対してマイクの集音感度を上げる技術のことで、口元の声は拾いやすくし、それ以外の方向からの音を拾いにくくする調整がされています。
いっぽう、骨伝導センサーは装着者の体内の振動を拾うセンサーのこと。
人間の体は、体内から発生する音は「骨伝導」として骨を伝わり、頭蓋骨を振動させますが、周辺ノイズや風が骨を揺らすことはありません。
骨伝導センサーはこの特性を利用して、騒音下や風の強い環境下でも声の成分だけを抽出でき、マイクと組み合わせることで効果的に装着者の声を拾うことができるそうです。
ビームフォーミング技術が搭載された完全ワイヤレスイヤホンはTechnics EAH-AZ70Wなどがありますが、骨伝導とのハイブリッドはWF-1000XM4が初でしょう。
完全ワイヤレスイヤホンの通話品質もついにここまで来たかと思えるほどで、これだけクリアな通話なら、大切なweb会議でも自信をもって使うことができますね。
WF-1000XM4の音質
SONY WF-1000MX4は音の粒がはっきりとしており、低音~高音まで厚みのある豊かなサウンドを表現することのできるバランスの取れた音質だと感じました。
ソニーストア銀座店さんでは、LDAC対応のXperiaでハイレゾを、自分のiPhoneでAAC接続を試させて頂きました。
ハイレゾはさすがクリアな音質で申し分なしでしたが、iPhoneでのAAC接続でも解像度が非常に高いと感じました。
僕はメイン機としてTechnics EAH-AZ70Wを使っているのですが、それと比べても遜色がないくらいの解像度。
音の繊細さは若干EAH-AZ70Wが勝るかな?と思いましたが、1000XM4のほうが全体的に音に厚みがあるなと感じました。
このように感じたのはWF-1000XM4に搭載された「DSEE Extreme」という機能も一役買っているのでしょう。

「DSEE Extreme」は、ハイレゾではない一般的な圧縮音源を、ハイレゾ相当の高解像度音源にアップスケーリングする機能です。
AI技術により再生している音をリアルタイムで解析して、ボーカルの声を美しく響かせつつ、同時に迫力のある打楽器の音も表現するなど最適なアップスケーリングをしてくれるそうです。
つぎにANCのONとOFFでの音質の変化ですが、僕は結構変化するなと感じました。
ANC OFFだと低音より中高音が際立ち、より繊細さが感じられる音質だと思います。
ボーカル・ギター・ベース・ドラム、いずれかが際立ってしまうということは無く、一つの音楽として聴かせてくれながらもクリアなサウンドといった感じでしょうか。
いっぽう、ACN ONでは重低音~低音が急に牙をむく感じで、ボディに直接「ズシン」とくるほどの重厚な味付けに変ります。
変にブーストされた低音ではなく、大型スピーカーの前に立って低音を浴びた時のような体幹に直接響く感覚があり、完全ワイヤレスイヤホンとしては初めての体験でした。
音場は中音~高音が非常に広く、耳から頭の上までの外側に広い音の空間が存在するように感じられます。
WF-1000XM4の音像定位は目の奥のあたりに感じられるので、上に広い音場がより広く感じられる効果があるのか、とくに女性ボーカルの高音の抜けなどは圧巻でした。
音質・音場ともに欠点やクセのようなものは見当たらず、イコライザーでのカスタマイズも加味すれば万人受けするイヤホンに仕上がっているなと感じた次第です。
WF-1000XM4ノイズキャンセリング性能
WF-1000XM4のアクティブ・ノイズキャンセリング(=ANC)は、まちがいなくトップクラスと言って差支えないほどの高性能です。
ソニーストアでANCをONにした瞬間、周囲の音がスッとかき消されて静寂に包まれたのと、ANC特有の鼓膜が圧迫されるような感じがほとんどないことに驚かされました。
WF-1000XM4には新開発の統合プロセッサーV1が新たに搭載され、高い周波数のノイズをより打ち消すことが出来るようになったそうです。
近くで話している人の声は感じ取れますが、何を話しているか全く分からなかったので、高音域にもノイキャンが効いている証拠だと思います。
また、ノイズキャンセル信号を再生するドライバーの能力を高めるために、振動版とマグネットも刷新し、低音~中音域のノイズ低減も強化されているそうです。
さらに遮音性を高めるために、WF-1000XM4にはソニーが新しく独自開発したノイズアイソレーションイヤーピースが採用されています。

これは柔らかいポリウレタンフォームのイヤーピースで、ポートへの装着部と傘構造部の間に空間を設けることによって変形を最適化し、耳にスムーズに装着できるようになっているとのこと。
実際に装着してみると、非常に柔らかい素材でできているため装着時の違和感はなく、遮音性の高さも実感することができました。
WF-1000XM4は新開発プロセッサーで高音域の、ドライバーの刷新で低音~中音域のANC性能が強化され、さらにイヤーピースで遮音性を高めるという取組みが行われているんですね。
なお、SONY WF-1000XM4も含めて、ノイズキャンセリング機能が優秀なイヤホンのランキング記事もありますので、よろしければご覧下さい。
WF-1000XM4の外観と装着感
つぎにWF-1000XM4の外観と装着感をみていきましょう。
WF-1000XM4の本体と充電ケース
WF-1000XM4の充電ケースですが、前作のWF-1000XM3の欠点だった大きさが飛躍的に改善されています。

WF-1000XM3より40%減と大幅に小型化したそうですが、ポケットへの入れやすさにこだわったそうで、たしかにこれなら持ち運びしやすいと思います。
しかも40%体積を減らしながら、WF-1000XM4の充電ケースのバッテリーライフは前作とほぼ同等なうえ、ワイヤレス充電にも対応しています。
この充電ケースを見ただけでも、今作にかけるソニーの開発陣の意気込みがひしひしと感じられるのは僕だけではないはずです。
本体も前作とは違い丸いフォルムで、マイク部分がほどよいアクセントになったシンプルなデザインですね。

視聴したのはブラックでしたが、プラチナシルバーも見せてもらいました。
ブラックはタッチセンサー部がすべすべしているのに対し、プラチナシルバーは石のようにざらざらした触感です。
タッチセンサー部の面積が大きくマットな仕上げなので、ブラックは爪などでキズが付くと目立ちやすいかな?という気がしました。
逆にプラチナシルバーはタッチセンサー部の材質から汚れが付くと落ちにくいのと、イヤーピースもシルバーなので、こちらも汚れが気になりそうだなと。
まぁ、どちらもかっこよかったのでキズや汚れは大切に使えば問題ないでしょう。

アクセントになっているマイク部分やSONYのロゴのカラーリングもブラックはゴールド、プラチナシルバーはシルバーとなっており、「うーん…どっちもいいなぁ…」です。
WF-1000XM4の装着感

WF-1000XM4はタッチセンサーの裏側が薄くなっていて、耳の穴に本体がすっぽり収まって安定性の高い装着感でした。
イヤーピースだけでなく、本体裏側の面全体が耳にフィットしてくるような感覚があり、頭を振っても脱落してしまうような感覚はありません。
また、本体自体が耳栓の役目をしているので、装着しただけで周辺ノイズがある程度シャットアウトするように感じました。
それと本体の裏面全体が耳に密着しているので、低音がしっかりと伝わる効果も生んでいるのではないかと思います。
装着感の重要な要素として、独自開発のノイズアイソレーションイヤーピースも忘れてはならないでしょう。
このイヤーピースはポートに装着する部分と傘部との間に空間が設けらています。
ウレタンフォームのイヤーピースは、通常は広がると耳道が押し広げられるような感覚がありますが、この製品は空間部のおかげでほとんど圧迫感を感じませんでした。
このイヤーピースなら、はじめて完全ワイヤレスイヤホンを使う方にも違和感なく装着できるのではないかと思います。
30分程度の体験時間ではありましたが耳が痛くなりそうな兆候や違和感もなかったので、かなり装着感の良い完全ワイヤレスイヤホンだといえるでしょう。
WF-1000XM4のおすすめ機能
最後にWF-1000XM4のおすすめ機能をご紹介します。
前作のWF-1000XM3にも搭載されていた機能に最新機能がプラスされ、さらにパワーアップしていますよ。
WF-1000XM4専用アプリ
WF-1000XM4は専用アプリ「Headphones Connect」に対応しており、様々な機能がアプリ上でカスタマイズ可能になっています。
外音取り込みモード
WF-1000XM4の外音取り込みを体験したところ、「耳からイヤホン外れたか?」と言ってもいいすぎではないくらい自然な感じでした。
この外音取り込みモードはアプリで21段階に調整可能となっていますので、シーンに応じて快適にコンテンツを楽しむことができますね。
イコライザー
イコライザーは8種類のプリセットが用意されており、もちろん自分流にカスタマイズすることも可能です。

プリセットは全て試してみましたが、いずれもマイルドな調整です。
個人的には、アーティストによってTreble BoostとBass Boostを使い分けるかな…といった感じがしました。
スピーク・トゥ・チャット
WF-1000XM4には、WF-1000XM3にはなかった「スピーク・トゥ・チャット」機能が搭載されています。
スピーク・トゥ・チャットは、音楽を聴いている最中でも声を発するだけで再生を一時停止し、外音取り込みモードに切り替えるという機能です。

ヘッドホンが装着者の声を振動検出により区別・認識するとのことですが、骨伝導センサーが搭載されていればこその機能ではないかと思います。
これ、体験して思ったんですが、かなり便利です!
自分が話すと瞬時に音楽の再生が停止されて外音取り込みモードが起動して、15秒間発声しないでいると音楽がフェードインで再生されます。
コンビニのレジなどで、音楽再生停止と外音取り込みモードへの切り替えという2アクションが必要なTWSの煩わしさから完全に開放されるって、かなり魅力的ですね。
スピーク・トゥ・チャットはアプリで声の検出感度を変えられるので、このあたりも痒い所に手が届く作りになっていて高評価です。
体験時にはアプリの設定がデフォルトで高感度に設定されており、「これ良いな…」ってボソッと発したひとりごとにもスピーク・トゥ・チャットが起動してしまいました。
そこで検出感度を低感度に変更したら、ひとりごとには反応せず。
僕はイヤホンを付けたままコンビニに入ることが良くあるので、この機能だけでWF-1000XM4が欲しくなってしまいました。
アダプティブサウンドコントロール
WF-1000XM4にはユーザーの行動や場所に連動して各種設定が切り替わる「アダプティブサウンドコントロール」が利用できます。
アダプティブサウンドコントロールは、スマホのセンシングとイヤホンの設定(ANC ON/OFF、外音取り込み、イコライザー)を連動させる機能。

ペアリングしているスマホの加速度センサーで止まっている時/歩いている時/走っている時/乗り物に乗っている時の行動を検出し、設定を自動で切り替えてくれます。
また、ペアリングしているスマホのGPS機能とも連携し、自宅や職場など頻繁に訪れる場所ごとに設定を登録しておくと、次は自動で登録した設定に切り替えてくれるのです。
通勤や通学で電車に乗るとANCが自動でONになって、いつものコンビニに着いたら外音取り込みに切り替わるなんて、そんなシーンを想像しただけで楽しくなってしまいました。
360 Reality Audio
WF-1000XM4は360 Reality Audioにも対応しています。
WF-1000XM3で360 Reality Audioを体験したたきは、それほどの感動は無かったんですよ。
WF-1000XM4もそんな感じかなと思って試してみたんですが、音場の広さから音に包まれているような感覚が格段に上がっていると感じました。
今後、コンテンツが充実してくるか次第な面はありますが、楽しみな機能ではあると思います。
装着検出機能とワイヤレス充電
WF-1000XM4は、イヤホンを耳から外すと自動で音楽が停止する装着検出機能が搭載されています。
音楽の再生停止時にはタッチセンサーも無効になり、曲が流れっぱなしになるなどの誤動作もしなくなるという優れものです。
もちろん再装着すると音楽が自動で再生されますし、イヤホンを外したまま15分が経過すると自動で電源OFFになりバッテリーの消費も防ぐ仕様になっています。
スピーク・トゥ・チャットとこの装着検出機能の両方が搭載されているので、WF-1000XM4はかなり使い勝手の良いイヤホンに仕上がっているといえるでしょう。
また、Qi規格のワイヤレス充電にも対応しているので、いちいちケーブルを差し替えたりする煩わしさがないのでうれしい機能だと思います。
SONY WF-1000XM4 レビューまとめ
SONY WF-1000XM4は、前作のWF-1000XM3の発売から約2年ぶりに発表されたソニー製TWSのフラッグシップモデルです。
開発に2年間の歳月をかけただけあり、ANC性能・音質・通話品質の飛躍的な向上はもちろんのこと、様々な最新機能が搭載された製品となっています。
特にANC性能は業界最高レベルといっても過言ではなく、新たに開発された統合プロセッサーV1とドライバーユニットの再生能力向上が今回の進化に大きく貢献しています。
また、LDACに対応しているのでハイレゾ再生に対応しているばかりでなく、一般的な圧縮音源もハイレゾ相当の高解像度音源にアップスケーリングするDSEE Extremeも搭載しています。
音質は全音域にわたってクリアで厚みのあるサウンドが楽しめ、音場も上方向に十分な広さが確保されています。
さらに、これまでJabraの一人勝ちとなっていた通話品質も、WF-1000XM4が一歩リードした感があるほど向上しており、ここにもビームフォーミング技術+骨伝導センサーというTWSとしては新たな技術が投入されています。
骨伝導センサーは、装着者が発声するとそれを検知して再生中のコンテンツを停止し、外音取り込みモードに自動切換える「スピーク・トゥ・チャット」の搭載も可能にしました。
これ以外にも専用アプリ「Headphones Connect」で様々な設定や機能が利用可能で、正直なところこれで発売価格33,000円は安いと思わざるを得ないほどの高機能TWSです。
これまでマルチポイントに対応していませんでしたが、2022年12月のファームウェアのアップデートで対応予定。
これで名実ともに死角なしのモデルになるのは間違いありません。
いずれにしてもこれだけの製品が登場したことによって、他社は今後WF-1000XM4をベンチマークとして製品開発を行わなければならなくなりました。
この製品は、今後のTWS市場を大きく進化させるターニングポイントとなるでしょう。
















