オカムラ シルフィは、コンパクトにまとまった美しいデザインと高機能ながらも比較的求めやすい価格帯であることから、非常に人気が高いワークチェアとなっています。
今回、オカムラ シルフィに実際に座ってみる機会があったので、どのようなワークチェアなのか解説するとともに座ってみた感想をレビューします。
Contents
オカムラ シルフィの概要
まずはオカムラ シルフィの外観やサイズ、ラインナップについてみていきましょう。
オカムラ シルフィの外観とサイズ
オカムラ シルフィのコンセプトはまるで手を添えて包み込まれるような優しい座り心地とされており、人のカラダから導き出された美しい曲線がデザインに反映されています。

たしかに座面やフレームなどオカムラらしい有機的な曲線が美しいワークチェアで、コンパクトな形状も相まって女性にも人気が高いというのもうなずけますね。
座面や背面などの寸法は以下の表の通りです。
| シルフィ 寸法 | メッシュタイプ | クッションタイプ | |
|---|---|---|---|
| 座面幅 | 515mm | ||
| 座面奥行き | 410 ~ 460mm | ||
| 座面高さ | 420 ~ 520mm | ||
| 背面幅 | 460mm | ||
| 背面高さ | エクストラハイバック | 1,147 ~ 1,247mm | |
| ハイバック | 954 ~ 1,054mm | ||
| ローバック | 884 ~ 984mm | ||
| 肘掛高さ | アジャストアーム | 620 ~ 820mm | |
| デザインアーム | 600 ~ 700mm | ||
上の表の通りメッシュタイプとクッションタイプで寸法の違いはありません。
また、シルフィの背もたれはハイバックとローバックの2ラインナップになっていて、両者の高さの違いは70mm。
ハイバックは座面から背もたれトップまで534mm、ローバックは464mmですので、自分の体格に合った方を選びましょう。
オカムラ シルフィのラインナップ
オカムラ シルフィは背・座クッションの生地が2種類用意されており、カラーバリエーションも豊富なのが特徴です。
チェアタイプはメッシュタイプとクッションタイプの2種類が用意され、それぞれワークベール、エクストラハイバック、ハイバック、ローバックの4種類が選べます。

脚タイプはアルミと樹脂の2種類、ボディカラーもブラックとホワイトの2種類で、樹脂脚を選択した場合はボディカラーと同色になります。

オプションはランバーサポートの有無、2種類のアームタイプが用意されており、ボディカラーにホワイトを選択すると、肘の色がグレー/ホワイトになります。
生地はプレーンニットとインターロックの2種類から選ぶことができ、プレーンニットは11色、インターロックは9色が用意されています。

シルフィのカラーバリエーションはオカムラのワークチェアの中でも多い方で、インテリアに合ったお気に入りの色を選べるのも人気が高い要因となっています。
オカムラ シルフィの機能
オカムラ シルフィの機能とオプションについてみていきましょう。
シルフィは、オカムラのワークチェアラインナップの中でもこの製品にしかない機能を備えています。
バックカーブアジャスト機構
オカムラ シルフィは、背の両サイドにあるレバーを使って背もたれのカーブを調整することができるバックカーブアジャスト機構が搭載されています。

背もたれの両サイドにレバーがあり、これを上下に動かすと背もたれのカーブが調整できます。
このレバーを上に持ち上げると背もたれが狭いカーブになるので、小柄な人でもフィット感が向上するように感じられます。
レバーの上下だけでそんなに変わるのかと思われるかもしれませんが、これが結構変わるので実際体感して驚きました。
カラダと背もたれのフィット感を向上させるために、クッションタイプはインナーシェルの穴形状を工夫、メッシュタイプは強度を保ちつつメッシュ枠をできる限り薄くして変形しやすくするという工夫がこらされています。

背のリクライニング機構
オカムラ シルフィのもう1つの特徴的な機能としてあげられるのが、前傾ポジションをとることが可能なワークチェアだということでしょう。

背もたれは後ろに23°、前に10°倒すことが可能で、リクライニングの角度にシンクロして座面も前後に傾斜します。
上位モデルに搭載されているアンクルチルトリクライニングほど座面がスライドするわけではありませんが、全く動かないよりは格段に快適です。
背もたれを前に10°倒すとが座面もシンクロして若干前に倒れるので、背もたれが前に倒れてきている圧迫感はあまり感じません。
デスクワークをするときに前かがみの姿勢が続くと、下の図のようにお腹が圧迫されるばかりでなく骨盤が後ろに倒れて背骨が湾曲し、腰痛の原因にもなってしまいます。

ワークチェアで前傾姿勢が取れる製品はそれほど多くなく、この価格帯だとシルフィの他はライオン事務機のライドくらいでしょうか。
ほかにもコクヨのベゼルやハーマンミラーのセイル、同じオカムラのサブリナなどがありますが、いずれもシルフィよりは価格が上の製品となります。
シルフィが在宅用のワークチェアとして人気が高いのは、この前傾ポジションも大きなポイントであることは間違いありません。
異硬度クッションと3次元曲面

オカムラ シルフィの座面には硬度の異なる3種類のウレタンを一体成型した異硬度クッションが使われています。
前方は太ももを圧迫しない柔らかなクッションを、後方はお尻をしっかりサポートする硬いクッションが使わていて、長時間座っていても疲れない工夫が施されています。
また、シルフィの座面は左右が若干せりあがった緩やかな曲面にデザインされていて、お尻を包み込むようなフィット感の高い座り心地になっています。
アジャストアーム
オカムラ シルフィを購入するなら是非選んで頂きたいオプションがアジャストアーム(可働肘)です。
このアームは上下に100mm高さ調整が可能で、アームレスト部分も前後に50mm、外側に20度・内側に20度の調整が可能です。

このアジャストアームは、デスクワークでパソコン作業などをするときにめちゃくちゃ楽なんです!
アームを机と同じ高さにセットしてアームレストを内側に20°動かすと、キーボードを操作する肘と腕がちょうどアームレストに支えられる格好になるんですね。
このアームがあるのと無いのとでは、1日のデスクワークを終えた時の疲労感が全く違いますので、必須のオプションといっても過言ではありません。
片腕の重さって体重の6%くらいだとされていますので、50kgの人だとそれぞれの肩に3kgの負荷が常にかかっている状態ということになります。
生まれた時からくっついているパーツだし慣れちゃってるから気にもならないけど、支え無しで一日デスクワークしていれば、そりゃ肩が凝ってもおかしくありません。
オカムラ シルフィにはアジャストアーム(可動肘)とデザインアーム(固定肘)の2通りのアームタイプが用意されていますが、是非アジャストアームを選択して頂きたいと思います。
オカムラ シルフィに座った感想
最後にオカムラ シルフィに実際に座って感じたことをお伝えします。
オカムラ シルフィの座り心地
オカムラ シルフィに座って最初に感じたことは、「女性や小柄な体格の人にこそ選んで欲しいワークチェアだ」ということ。
座面の横幅は515mmと上位モデルのコーラルより15mm大きいんですが、座った感じはコーラルより小さく感じます。
座面の両サイドがせりあがるようにカーブした形状になっているのでホールド感はあるんですが、そのぶんお尻が接地する面積が限られているので小さく感じるんでしょう。
座面はコンテッサなどの上位モデルより若干硬めの印象ですが、異硬度クッションだけあって、体重がかかる部分とそうでない部分の硬度のバランス配置は絶妙ですね。
クッションの厚みも十分で、長時間座っていてもお尻が痛くなるような感覚は全くありません。
つぎに背もたれですが、バックカーブアジャスト機構はなかなか優秀で、背の両サイドにあるレバーを操作すると、背もたれのカーブの緩急をしっかりと感じ取ることができます。
そういった意味では、シルフィは正しい姿勢で中心にしっかり座るようにつくられた椅子であり、それゆえ座面両端にもカーブを施して正しい位置でのフィット感を高めているんでしょう。
このように中心に座ることができるからなのか、シルフィはオカムラのワークチェアの中では背もたれの幅が狭い製品で、その幅は460mmとなっています。
背もたれが直立や前傾の位置では問題ないのですが、大柄な体格の人はリクライニング時に幅の狭さに頼りなさを感じるかもしれません。
僕は身長180cmですが、クッションタイプではリクライニング時に背もたれが小さく感じられて若干心もとない印象を受けました。
ただし、メッシュタイプでは包み込まれるような感覚があり、背もたれを小さく感じることはありませんでしたので、大柄な方はメッシュタイプを選ぶことをおススメします。
また、シルフィの特徴の一つである前傾ポジションですが、背もたれを前に10°倒してロックすると骨盤が起きて背筋がピンと伸びるので腰への負担が軽減されるのがわかります。
背中を背もたれに押し付けるようにしていると自然と正しい姿勢が取れるようになるので、長時間のデスクワークで腰や背中が痛くなる方には効果が高いのではないでしょうか。
背もたれの前傾で圧迫感を感じることもありませんでしたし、この前傾ポジションはなかなかポイントが高いと思いました。
オプションのランバーサポートは、背もたれを直立~10°後傾くらいにして深く腰掛けた時には、バックカーブアジャスト機構との相乗効果で腰をしっかりとサポートしてくれます。
ただし、前傾姿勢や大きく後ろにリクライニングした時にはそれほど効果を発揮してはくれません。
したがって、直立~若干後傾姿勢でデスクワークをする方ならオプションでランバーサポートを選択すると良いでしょう。
なお、ヘッドレストはクッションタイプなのでメッシュタイプにありがちなふわふわした感じはなく、首や頭をしっかりホールドしてくれる感じで好印象でした。
オカムラ シルフィをおすすめしたい方
オカムラ シルフィは、女性や小柄な体格の人にはおすすめのワークチェアです。
その理由は、シルフィは決してサイズが小さいわけではありませんが、小柄な体格の人が中心に座ってこそ機能を発揮するようにつくられたワークチェアだから。
背もたれのカーブを調整できるバックカーブアジャスト機構はかなり秀逸で、小柄な体格の人の背中にここまでのホールド感を提供できているワークチェアはほかにはないでしょう。
いっぽうで、大きい体格の人やゆったり座れるワークチェアが欲しいと思っている人には、少し小さめに感じられてしまう座り心地の製品だと思います。
シルフィの購入理由に前傾ポジションが取れるからということもありますが、体格が大きめの方は上位クラスで前傾ポジションが取れるサブリナを検討することをおススメします。
体格の小柄な方という意味では、学習机を買った時にセットで揃えたスタディチェアが小さくなってしまった小学生にも、買い替えにピッタリなワークチェアでしょう。
小学校高学年に差し掛かってくると、机はそのまま使えるものの椅子が小さくて気の毒になってきますよね?
その時期のお子さんの体格と、正しい姿勢でデスクワークができるようにデザインされたシルフィはベストマッチだと思います。
子供のスタディチェアとしてはそこそこ値段の張る買い物にはなりますが、長時間集中して机の前に座るにはそれなりの機能が搭載された椅子を用意してあげるべき。
オカムラのワークチェアなら社会人になるまでは十分使えますので、そう考えれば投資効果としては大きなリターンが得られるはずです。
まとめ
オカムラ シルフィは、在宅用のワークチェアとして人気が高い製品のひとつです。
その人気の秘密は、オカムラらしい曲線を多用した美しいデザインと、数少ない前傾ポジションが取れるワークチェアであることなどが理由としてあげられます。
ただし、シルフィは小柄な体格な人が座ってこそ、その機能を発揮するワークチェアで、大柄な体格の人やゆったりした椅子が欲しい方には「ちょっと小さいな…」と感じるかもしれません。
その理由はシルフィの背もたれにあって、その幅460mmとオカムラの高機能ワークチェアの中では狭いほう。
これは、体格の小さい人にも背もたれがフィットするようバックカーブアジャスト機構を搭載したからだといえますが、そもそも商品化のコンセプトが体格の小さな人寄りなんですね。
ですから、体格が大きな人がゆったり座れるようなコンセプトでつくられた製品ではないという目線で購入を検討するべきではないかと思います。
逆に、女性や体格が小柄な人にはフィット感の高いワークチェアですし、小学校入学前に購入したスタディチェアが小さくなってしまったお子さんへの買い替えにも、非常におススメの製品だといえるでしょう。















