Technicsから発売されたEAH-AZ40は、アクティブノイズキャンセリングこそ非搭載の機種ですが、Technicsらしい音質、高い通話品質、そしてマルチポイント対応と価格以上の機能が詰め込まれた完全ワイヤレスイヤホンです。
対応コーデックがSBCとAACなのでiPhoneユーザーと親和性が高く、小ぶりな本体と新色のローズゴールドなど女性に耳に装着されることを意識して開発されたことが伺えます。
Technicsというブランドが冠された製品なので、音づくりを含めた品質は文句なし。
この価格でこれだけのデザインと機能を備えたワイヤレスイヤホンですから、ユーザーの期待を裏切らない1台であることは間違いありません。

Contents
EAH-AZ40の通話品質と音質
EAH-AZ40のマイク性能
EAH-AZ40には「JustMyVoice™」と呼ばれる独自の通話音声処理技術が搭載されています。
メーカーホームページではかなりレベルの高い通話品質であることがうかがえますが、実際の実力はどの程度でしょうか?
マイクテストは夕方のカフェで7割程度の着席率、店内BGMが流れていてスピーカーそばの席だったため、それなりにノイズが混入するだろうと思いながら実施しました。
【EAH-AZ40 JustMyVoice OFF】
【EAH-AZ40 JustMyVoice ON】
結論から申し上げると、2万円以上のプレミアムイヤホン並みの優秀な通話品質だと判断できます。
JustMyVoiceをONにすると、BGMや周辺の人の話し声やざわついたノイズなどはほぼ聞こえなくなります。
これなら自宅からのリモートミーティング参加はもちろん、オフィスやカフェでの通話に使用しても全く問題ないレベルでしょう。
「JustMyVoice™」は通話用の2つのマイクに加え発話検知マイクを搭載し、声の発声とその方向の検知・周囲の話し声など音声解析を1秒間に15,000回以上行うとのこと。
この技術によって、周囲が騒がしい環境や近くに会話をする人がいる環境でも、発話者の音声だけを明瞭に伝え、それ以外の音を低減することができるんですね。

また、周囲の音と発話者の声を拾う通話用マイクには、風切り音を低減させるためマイクの開口部に金属メッシュがデザインされています。
メッシュ部からマイクの間に2つの空間が設けられ、空気の流れを抑制するとともに検知した風切り音も低減させるので、外での使用でもクリアな音声通話が実現されています。
EAH-AZ40の音質
EAH-AZ40は6mmダイナミック型ドライバーを採用、またAZ70Wにも採用されたアコースティックコントロールチャンバーが搭載されています。
アコースティックコントロールチャンバーは、その音質から高い評価を得ているEAH-TZ700に使われた技術で、フラットな特性と優れた帯域バランスを実現するものです。
音づくりはハイエンドモデルのEAH-AZ70Wと同じ傾向で、中~高音域の解像度が高いクリアで上品な音質で、それでいて低音もしっかり鳴っていると感じました。
音場はそれほど広くは感じませんが、高音の上方向への抜けは伸びやかで透明感のある空間に引き上げられるような感覚がありますね。
また、ボーカルが近くに感じられるという点もAZ70Wの良い点を踏襲しており、この点はアコースティックコントロールチャンバー効果なのかなと思います。
ドライバーが6mmということで、AZ60やAZ70Wと比べると音の厚みと解像度に差を感じますが、それもあくまで聞き比べたらということ。
EAH-AZ40単体で判断するなら、十分満足できる音質だと思います。
なお、イコライザーは4種類のプリセットとカスタムから選択することが可能です。

カスタムは5バンドと若干バンド数が少ないですが、前作のEAH-AZ70Wよりは調整の幅が±6dBから±10dBへと広がっています。
プリセットを触ってみた感触としてはダイナミックが一番しっくりくるように思いましたね。
EAH-AZ40の外音取り込み性能
EAH-AZ40の外音取り込みは、違和感のない自然な音でレベルが高いと感じました。
外音取り込み機能には、トランスペアレントモードとアテンションモードという2つのモードが搭載されています。

トランスペアレントモードは周辺音全てを取り込むもので、あえて周辺ノイズを聞きたいときに有効なモードです。
いっぽうアテンションモードは、再生中のコンテンツを一時停止し、周囲の会話やアナウンスなど人の声に特化して音を取り込むモードとなっています。
なお、上位機種のEAH-AZ60では外音取り込みの強さを調整できる機能が搭載されていますが、AZ40は強度調整は出来ない仕様となっています。
EAH-AZ40の外観と装着感
つぎにEAH-AZ40のイヤホン本体や充電ケース、装着感などをみていきましょう。
EAH-AZ40の本体と充電ケース
EAH-AZ40の充電ケースは約30gとかなり軽く、手の平にもすっぽり収まるコンパクトサイズです。

ケース自体はプラスチック素材ではあるものの、梨地加工が施されているのでチープな感じは全くありません。
で、このケースを開いた時の美しさが何ともいえないですね。
特にローズゴールドはアクセサリーとしても捉えられるような色味を追求したとのことで、コンパクトなボディと相まって女性に人気が出そうな雰囲気がします。

EAH-AZ40は上位機種のAZ60に比べるとひとまわり小さいので、小柄な女性の方でも違和感なく使用できる大きさだと思います。

カラーバリエーションはローズゴールド、ブラック、シルバーの3色展開で、ローズゴールドはEAH-AZ40だけの限定色となっています。
EAH-AZ40の装着感
EAH-AZ40は非常に装着感の良いイヤホンです。

イヤホン本体がかなり小さくデザインされているので、小柄な女性の耳にもおさまりが良く、耳の痛みや落下の不安を感じることなく使用することが可能だと思います。
そしてなにより、スピンドル加工が施されたタッチセンサー部のデザインが美しく、装着したときに上品さが感じられるのもさすがTechnicsという印象です。
イヤーピースもXS/S/M/Lと4つのサイズが同梱されているので、フィット感の良いサイズを選択することが可能です。
ステムが短いのと充電ケースのハウジングが小さいことから、傘の高いイヤーピースは適さないと感じましたが、音質の変化を楽しみたいなら以下の商品を試してみましょう。
中高音の量感を損なわず丸みを持たせるならSpinfit CP360、低音のボリュームを増したいならSpiral Dot++がおススメです。
EAH-AZ40の機能と操作性
さいごにEAH-AZ40の機能と操作性についてみていきましょう。
EAH-AZ40の専用アプリ
EAH-AZ40は専用アプリ「Technics Audio Connect」が用意されています。
アプリの画面は以下の通りで、画面下の「サウンド」がイコライザー、歯車の形をした「設定」をタップするとタッチセンサーのカスタマイズなど各種設定が可能となっています。

アプリメニューは豊富なので、自分好みにどんどんカスタマイズして楽しんじゃいましょう。
【Technics Audio Connectで出来ること】
・イヤホン本体のバッテリー状態確認
・アンビエントモード切替
・サウンドモード切替
・マルチポイントON/OFF
・タッチセンサーのカスタマイズ
・イコライザー
・自分の通話音声の事前確認
・利用する音声アシスタントの選択
・ヘッドホンを探す
EAH-AZ40の操作性
EAH-AZ40は本体のタッチセンサーで様々な操作を行うことができます。
| 動作 | 左 | 右 | |
|---|---|---|---|
| 音楽 | 1回タップ | 音楽再生/停止 | |
| 2回タップ | 音量DOWN | 次の曲にスキップ | |
| 3回タップ | 音量UP | 前の曲に戻る | |
| 2秒長押し | 音声アシスタント起動 | 外音取り込み ⇒ OFF | |
| 通話 | 1回タップ | 受話 | |
| 2秒長押し | 着信拒否 | ||
| 通話中 | 2秒長押し | 終話 | |
| 2回タップ | - | ミュート | |
| 3回タップ | - | ノイズレベル切替 | |
上の表はデフォルトの設定ですが、専用アプリ「Technics Audio Connect」で左右それぞれのイヤホンごとに操作カスタマイズを行うことができます。
コンテンツ再生時のタッチセンサーカスタマイズは以下の図の通り。

通話時のタッチセンサーカスタマイズは以下の図の通りです。

カスタイズの自由度が非常に高いので、自分が操作しやすいように設定変更して使いやすさを追求しちゃいましょう。
EAH-AZ40のおすすめ機能
さいごにEAH-AZ40のおススメ機能を紹介していきます。
マルチポイント
EAH-AZ40の最も大きな進化はこのマルチポイント対応だといっても過言ではないでしょう。
マルチポイントとは?
同時に2台のデバイスにBluetooth接続をしておくことができる機能のこと。

たとえばプライベートとビジネス用のスマホにマルチポイント接続しておけば、プライベートスマホで音楽再生中にビジネス用スマホに着信があった場合、ビジネス用スマホへの接続に切り替えてくれるという優れた機能。
このマルチポイントという機能は本当に便利で、2台のスマホ、スマホとPCなど良く使うデバイス2台にイヤホンを同時に接続しておけるので、使い勝手が飛躍的に上がります。
在宅ワークで集中力が途切れた時にBGMを流しながら作業をすることがあるんですが、そんな時にビジネス用のスマホに着信があっても自動的にデバイスの切替が可能です。
また、通話はスマホ、ウェブミーティングはPCというユーザーの場合、スマホとPCをいちいちペアリングしなおさなくてもいいので、会議前に慌てることも無くなりますよ。
JustMyVoiceの確認
EAH-AZ40は、「Technics Audio Connct」でJustMyVoice™での自分の通話音声を事前に確認することができます。
これはアプリ上で自分の音声を一時的に録音し、相手に届くノイズ低減後の音声を聞くことができるという機能で、通話に適した環境かどうかを事前にチェックできるというもの。
たとえばカフェやオフィスからリモートミーティングに参加するようなこともあると思いますが、そんなとき周辺ノイズがどの程度相手に聞こえているか確認するのに便利ですね。
また、自分では意外と気付かないのが自宅での生活音。
テレワーク時に自宅で発生するどのようなノイズが相手側に聞こえやすいのかを知っておくと、おのずと対策も講じやすくなるはずです。
通話相手からのノイズを抑える強さ調整
Technics EAH-AZ40には、通話相手からのノイズを抑える強さを調整する機能が専用アプリに搭載されています。

これは通話相手の周囲から聞こえるノイズを抑えるつ用差を調整する機能で、周辺ノイズが大きく相手の声が聞き取りにくい時に便利な機能です。
IPX4の防水性能
Technics EAH-AZ40はIPX4の防水性能となっています。
IPX4は「いかなる方向からの水の飛沫によっても有害な影響を受けない」という防水の国際規格をクリアした水準です。
つまり急な夕立に降られたり、雨の日に使用して多少濡れても問題ない防水性能なので、外出時に装着する機会が多い方でも安心して使うことができるイヤホンです。
EAH-AZ40 レビューまとめ
それではTechnics EAH-AZ40の良い点、改善してほしい点を整理してみましょう。
| 評価項目 | Impression | Score |
| 通話品質 | 現行機種の中で最高レベルの通話品質 | 5.0 |
| 低音 | 量感がありパワフルな低音 | 4.5 |
| 中音 | 低音に埋もれず前に出てくる | 4.6 |
| 高音 | クリアで繊細な表現 | 4.7 |
| 外音取込み | 違和感なく使用できるレベル | 4.5 |
| アプリ機能 | 必要な機能は揃っており不満無し | 4.8 |
| 機能加点 | マルチポイント対応 | 5.0 |
| 機能加点 | JustMyVoiceでの自分の通話確認機能 | 5.0 |
| 総合評価 | 4.8 | |
✓ビジネスシーンでも積極的に使える高い通話品質
✓中高音域の解像度が高くクリアな音質
✓自然な音に非常に近い外音取り込み機能
✓2つのデバイスに同時接続可能なマルチポイントに対応
✓女性ユーザーを意識した美しいデザイン
✓使い勝手が良く機能豊富な専用アプリ
✓IPX4の防水性能
✓JustMyVoiceの確認で通話時の自分の声をチェック可能
✓アプリ画面に充電ケースのバッテリー残量表示なし
✓ワイヤレス充電非対応
✓aptX非対応
Technics EAH-AZ40は、iPhoneを使用している女性ユーザーにベストマッチな完全ワイヤレスイヤホンだと感じました。
対応コーデックがSBCとAACなので、aptXやaptX Advanceなどに対応したAndroidスマホを使用している方より、iPhoneユーザーのほうがコーデックの親和性が高いことが1つ目の理由。
そして、コンパクトながらデザイン性の高い筐体、複数デバイスへの同時接続が可能なマルチポイント対応など、インサイドワーク比率が高い女性ユーザーが使いたくなるような商品だからです。
とくにEAH-AZ40のJustMyVoice™による通話品質の高さは特筆もので、社内外との通話やリモートミーティングの機会が多いユーザーには非常におススメの完全ワイヤレスイヤホンです。
Technicsという品質面で信頼できるブランドから、この価格でこれだけの機能を備えた商品が発売されるのは個人的には驚きで、ノイキャン非搭載機の中では最もおススメしたい1台です。

















