周囲のノイズを打ち消す機能が搭載されたノイズキャンセリングイヤホン。
通勤や通学の電車の中で音楽や動画などのコンテンツを楽しむときや、集中したいときに便利なので1つは欲しいなと思っている方も多いと思います。
では、このノイズを打ち消すアクティブノイズキャンセリングという技術を開発したのはどの企業かご存知でしょうか?
じつは高級オーディオブランドのBOSEなんですよね。
それゆえBOSEのヘッドホンやイヤホンのノイズキャンセリング性能には定評があります。
2020年10月に発売された同社の完全ワイヤレスイヤホン「QuietConfort Earbuds」も、当時最強のノイキャン機と評価されました。
それから2年を経てノイズキャンセリング性能を大きく進化させた後継機、QuietConfort EarbudsⅡがこのたびリリース。
このブログでは価格帯別のノイズキャンセリングイヤホンランキングも紹介していますので、どの程度の実力なのか試さないわけにはいきません。
というわけで、今回はBOSE QuietConfort EarbudsⅡを実際に使ってみた感想をレビューしていきたいと思います。
良いところだけではなく、イマイチだと感じたところもしっかりとお伝えしたいと思いますので、最後までお付き合いいただければと思います。

【良い点】
〇ノイキャンは他を圧倒する異次元の性能
〇外音取り込みも非常に自然な音質
〇BOSEらしい重低音サウンド
〇スタビリティバンドによる高い装着安定性
〇BOSEブランドを所有する満足感
【イマイチな点】
✖マルチポイント非対応
✖ハイレゾコーデック非対応(SBC,AACのみ)
✖ワイヤレス充電非対応
✖タッチコントロールのカスタマイズ性が低い
Contents
BOSE QuietConfort EarbudsⅡのデザインと装着感
BOSE QuietConfort EarbudsⅡのデザインと装着感について確認していきましょう。
コンパクトになった本体と充電ケース
QuietConfort EarbudsⅡは充電ケース、イヤホン本体ともに前作よりはだいぶコンパクトになった印象です。
まず充電ケースですが、イヤホン本体をスティックタイプのように縦に収納する方式が採用され、楕円形の平たいデザインに変更されています。

前作はポケットに入れて持ち運ぶのはちょっと無理でしたが、QuietConfort EarbudsⅡではシャツやパンツのポケットに入れることも可能。
ただし、充電ケースの重量が約60gとけっして軽くはないので、個人的にはシャツの胸ポケットだと少し煩わしく感じますね。
イヤホン本体もQuietConfort Earbudsに比べるとかなりシェイプアップされています。
前作はW2.6cm×3.9cm×2.7cm、片側8.5gと完全ワイヤレスイヤホン最大級の大きさと重さでしたが、QuietConfort EarbudsⅡではW1.7cm×3.0cm×2.2cm、片側6g。
「小さい」というわけではありませんが、「ちょっと大きめかな」という程度にサイズダウンされてますね。

タッチセンサーにはBOSEのロゴがプリントされていて、この部分だけブラスト加工で指紋がつきにくく仕上げられています。
高級感のあるデザインかといわれると微妙なところですが、BOSEの製品は単色のシンプルデザインが多いですからね…。
まぁ、BOSEのロゴだけで十分に高級感は演出されているので、所有欲は満たしてくれるでしょう。
なお、カラーバリエーションはトリプルブラックとソープストーンの2色。

ソープストーンはいわゆる「くすみカラー」で、装着していてもあまり目立たない雰囲気。
ブラックだとファッションに合わせにくいと感じるユーザーにはこちらがおすすめです。
イヤーフィンによる安定した装着感
QuietConfort EarbudsⅡはノズルが太く、楕円形のイヤーチップということもあり、かなりしっかりした着け心地のイヤホンです。
出典:BOSE製品ホームページよりスタビリティバンドと呼ばれるイヤーフィンの効果で装着安定性はかなり高く、頭を上下左右に激しく振ってもずれたり落下したりするようなことはありません。
イヤーチップとスタビリティバンドはそれぞれ3種類のサイズが付属。

それぞれ最適なサイズを組み合わせることによって、より安定した装着感が得られます。
また、専用アプリでイヤーチップ装着テストができるようになっていますので、自分の感覚でこれだと思える組み合わせが決ったら試してみると良いでしょう。

BOSE QuietConfort EarbudsⅡの音質と通話品質
BOSE QuietConfort EarbudsⅡの音質と通話品質についてチェックしていきましょう。
なお、QuietConfort EarbudsⅡにはCustom Tuneテクノロジーが搭載。
イヤホン装着者の耳の中での反響音を解析し、最適なサウンドにパーソナライズしてくれるようになっています。
新しいBOSEサウンド
QuietConfort EarbudsⅡは、BOSEらしい重低音の迫力と中高音のクリアさが融合した音質になっています。
BOSEといえば重低音。
QuietConfort EarbudsⅡも深く沈みこんでから音場に響き渡る重低音は、他のメーカーのイヤホンでは味わえない上質さがあります。
他のメーカーの重低音が「ドン」だとすれば、QuietConfort Earbuds Ⅱは「ドゥォォォオオ―ン」という感じで低域の深さと響きが段違いです。
音場もかなり広いためなおさら低音が深く広く響き渡るので、他メーカーの低音とは質が違います。
また、今作では中高音の解像度が上がり、とくに中音は一歩前に出てくるような感覚。
ただ、高音の煌めきのような華々しさというか、さわやかさのようなところはいま一歩かなというように感じます。
このあたりはQuietConfort EarbudsⅡがSBCとAACにしか対応していないことも影響しているのかもしれません。
逆に、これでaptX™ AdaptiveやLDACに対応していたら音質もかなりすごかったんじゃないか?と思えるくらいではあるので、十分良い音だとは思います。
なお、QuietConfort EarbudsⅡの音質をグラフで表すと以下の通りです。

重低音がベースになった伝統的な音質はそのままに、中高音が洗練されて全体的にバランスが良くなった新しいBOSEサウンドが提示されたといったところでしょう。
前作で「ノイキャン性能は魅力だけど音質が…」という理由で購入をためらっていた方は、今作のサウンドなら納得できるのではないかと思います。
通話性能は少し期待外れ?
QuietConfort EarbudsⅡは片側4つ、左右合計で8つのマイクを搭載しています。
8マイクというと、通話品質が高いSONY MH-1000XM5が頭に浮かびます。
そんなわけで「これは期待できるのでは?」と思い、さっそく夕方のカフェでマイクテストを実施してみました。
着席率10%程度とガラガラの状態で、1人で来ている方ばかりで周囲の話し声はしていない状態でのマイクテストです。
【BOSE QuietConfort EarbudsⅡマイクテスト】
テストの結果は、残念ながら期待したほどではなかったかなといったものでした。
自分の声はマイクの近くで話しているイメージではあるものの、少しこもったような印象を受けます。
気になるのは、空調の音なのかわかりませんが低域のノイズがかなり混入しており、BGMもほぼそのままの音量で拾ってしまっているといった点ですね。

自宅など静かな場所ならリモートミーティングなどビジネスシーンで使っても問題ありません。
しかし、カフェなど外出先では短時間の通話なら使えるかなといったところでしょう。
せめて低域の周辺ノイズをもう少し抑制してくれればと思いますので、是非ファームウェアのアップデートで対応して欲しいですね。
BOSE QuietConfort EarbudsⅡのANCとアンビエント
BOSE QuietConfort EarbudsⅡのアクティブノイズキャンセリングと外音取り込み性能について確認していきましょう。
ノイズキャンセリング性能については本機の最も注目すべきポイントですから、実際に使ってみた感想をありのままにお伝えしたいと思います。
異次元のノイズキャンセリグ性能
QuietConfort EarbudsⅡのノイズキャンセリング性能は、2022年10月時点で発売されている完全ワイヤレスイヤホンのなかでは間違いなく最強です。
アクティブノイズキャンセリングが得意とする低域ノイズはもちろんのこと、人の声などの中域ノイズもほとんど消し去り、高域ノイズがほんの少し残る程度。
イヤホンを装着するとCustomTuneテクノロジーによるパーソナライズが行われて、Quiet(ノイズキャンセリング)モードになるんですが…。
はじめて装着したときは驚きのあまり身体が硬直してしまったほどで、スーッと無音の空間に引き込まれます。
しかも、これほど強い性能にもかかわらず、ノイキャン独特の鼓膜を圧迫する嫌な感じがあまりしないという技術力の高さもお伝えしたいポイントです。
さすがノイズキャンセリングという技術を開発したBOSEだけのことはあります。
国産で最もノイキャン性能が高いとされるSONY WF-1000XM4と比べてもその差は歴然でしょう。
なお、スマホなどのデバイスに接続しなくてもQuietモードは使うことができます。
カフェや図書館などで集中したいときなどには威力を発揮すること間違いなしですね。
QuietConfort EarbudsⅡのノイズキャンセリング性能は、機能や音質面がどうこうといったことを全て差し置いても手に入れる価値があると思わせてくれるレベル。
QuietConfort Earbudsの次モデルが登場するまでノイキャン王座に君臨し続けるのではないかという気にさえさせてくれる完成度です。
ノイズキャンセリングの強度は専用アプリで10段階に調整することが可能。
デフォルトの設定ではクワイエット(ノイキャン最強)とアウェア(ノイキャン最小)の2つのモードが用意されています。

「+モードの追加」をタップすると、さらに2つのモードを追加することができるようになっています。
プリセットで色々なモードが用意されていますが、いずれもノイズキャンセリングの強さと名称は変更可能です。

なお、BOSE QuietConfort Earbuds Ⅱも含めて、ノイズキャンセリング機能が優秀なイヤホンのランキング記事もありますので、よろしければご覧下さい。
ストレスフリーな外音取り込み性能
QuietConfort EarbudsⅡの外音取り込みモード(Aware)は自然な音質で、イヤホンを着けていない状態に近い取込音になっています。
さらにActiveSense™ Awareモードが搭載されています。
これは、Awareモード使用時に突然の音や近くで大きな音が発生したときに自動的にノイズキャンセリングがONになる機能。
ノイズが止まると自動的にノイズキャンセリング機能が自動的にオフになって、再びAwareモードに戻るという優れもの。
もちろん専用アプリでActiveSense™ Awareモードをオフにすることもできます。
ActiveSense™ Awareモードは、イヤホンを利用するシーンによって使い分けると便利だと思います。
BOSE QuietConfort EarbudsⅡの専用アプリ
BOSE QuietConfort EarbudsⅡは専用アプリに対応しています。
それほど機能満載というわけではありませんが基本的なカスタマイズなどは可能なので、有効に活用して使い勝手を向上させましょう。
アプリホーム画面とメニュー
QuietConfort EarbudsⅡは専用アプリ「Bose Music」に対応しています。
アプリメイン画面は以下の通り。

イヤホン本体のバッテリ―残量表示とボリュームコントロールのほかに、カスタマイズメニューが並んだシンプルなデザインになっています。
モードの選択と切替について
アプリメイン画面の「モード」をタップすると、モード選択画面に移行します。
モードはデフォルトで「クワイエット(ノイズキャンセリング最大)」と「アウェア(ノイズキャンセイング最小=外音取り込み最大)」の2つ。
加えて、あと2つをカスタマイズで追加することができます。
アウトドア、ウォーキングなど利用シーンに合わせたプリセットモードが用意されていますので、それをデフォルトのまま、もしくはレベル調整してからモードに追加します。
モード切替はアプリ画面から切り替えたいモードを直接選ぶか、イヤホン本体からアプリで設定したモードを順に切り替えるかのどちらか。
イヤホン本体での切替では順繰りにモードが切り替わるので、デフォルトに2つのモードを追加するとちょっとまどろっこしいかなと感じます。
個人的にモード設定は、デフォルト2つ+1つ追加の3つくらいが許容範囲かなと。
音楽用イコライザーについて
QuietConfort EarbudsⅡの音楽用イコライザーは、3バンド、±10でのカスタマイズが可能な仕様になっています。

低音増強・低音減衰・高音増強・高音減衰の4つのプリセットが用意されていて、もちろん完全カスタムも可能。
低音を下げると量感は減るものの、BOSEらしさが完全になくなるわけではありません。
言葉で伝えるのが少し難しいんですが、BOSE特有の低音の芯のような部分は残るんですよね。
なんというか、イコライザーを極端に調整してもBOSEサウンドからは大きく外れないようにチューニングされているように思います。
装着検出機能について
QuietConfort EarbudsⅡは、専用アプリの装着検出メニューで以下の機能のON/OFFが切り替えられるようになっています。
- イヤホンの着脱でコンテンツを自動で再生・停止させる自動再生/停止
- どちらかのイヤホンを装着すると着信に応答する着信自動応答
- イヤホンが片側しか装着されていない時にノイズキャンセリングを最低レベルに変更するノイズキャンセリングの自動オフ機能
自動再生/自動停止と着信自動応答は個人的にはとても便利に感じる機能で、装着センサーが搭載されているイヤホンはやはり使い勝手が良いと実感しますね。
BOSE QuietConfort EarbudsⅡの機能
BOSE QuietConfort EarbudsⅡの機能面について確認していきましょう。
操作性は可もなく不可もなく
QuietConfort EarbudsⅡは、イヤホン本体のタッチセンサーに触れて操作をすることができるようになっています。
デフォルトの操作は以下の通りで、左右どちらも同じ操作が割り振られているのでシンプルで分かりやすいと感じます。
| 動作 | 左 | 右 | |
|---|---|---|---|
| 音楽 | 1回タップ | 再生/一時停止 | |
| 2回タップ | 次の曲にスキップ | ||
| 3回タップ | 前の曲に戻る | ||
| 上にスワイプ | 音量UP | ||
| 下にスワイプ | 音量DOWN | ||
| 長押し | 音声アシスタントを起動する | ||
| 通話 | 1回タップ | 着信応答 | |
| 2回タップ | 着信拒否/通話終了 | ||
| 通話中 | 1回タップ | 通話中の相手を保留にして割り込み着信に応答する | |
| 2回タップ | 割り込み着信を拒否して現在の通話を続ける | ||
タッチコントロールのカスタマイズができるのは長押しだけで、左右ともにモード切替か音声アシスタントの起動かを選択できるのみとなっています。

もう少しカスタマイズ性が高ければより使い勝手が良くなると思うんですが、ここも残念なポイントです。
ファームウェアのアップデートでカスタマイズ性を高めて欲しいと思いますね。
IPX4の防滴性能
QuietConfort EarbudsⅡはIPX4の防滴性能となっています。

IPX4の防滴性能は、いかなる方向からの水の飛沫によっても有害な影響を受けないというレベル。
多少の雨に濡れたり汗をかいたりするくらいなら大丈夫です。
ただし、どしゃ降りの雨の中でのランニングなどかなり濡れてしまうことが予想されるシーンでは利用を控えたほうが良いでしょう。
また、イヤホン本体はIPX4の防滴ですが、充電ケースはそうではありません。
イヤホンが濡れたまま充電ケースに格納すると故障の原因になりますので、水気はしっかり拭きとってからケースに戻すようにしてください。
ワイヤレス充電・マルチポイントには非対応
QuietConfort EarbudsⅡは、ワイヤレス充電やマルチポイントには対応していません。
3万円オーバーという価格を考えると、これらの機能は搭載して欲しかったところ。
今回のモデルはノイズキャンセリングとCustomTuneテクノロジーにコストを全振りしてきたイメージですかね…。
ファームウェアのアップデートでマルチポイントには対応してほしいところですが、残念ながら今のところそのような情報はないようです。
BOSE QuietConfort Earbuds Ⅱのレビューまとめ
それでは最後にBOSE QuietConfort EarbudsⅡの総合評価と、どのような方におすすめなのかを整理してみましょう。
| 評価項目 | Impression | Score |
| 通話品質 | 自宅や会議室でならビジネス通話も可能 | 4.3 |
| 低音 | BOSEらしい深みと厚み、迫力のある低音 | 5.0 |
| 中音 | 低音に埋もれることなく、明瞭で解像度も高い | 4.6 |
| 高音 | 伸びや煌めきはいまひとつ | 4.3 |
| ANC性能 | 他の製品を圧倒するレベルで文字通り最強 | 5.0 |
| 外音取込み | イヤホンを感じさせない自然な音質 | 4.8 |
| アプリ機能 | 必要最低限のメニューは搭載 | 4.2 |
| 総合評価 | 4.6 | |
【良い点】
〇ノイキャンは他を圧倒する異次元の性能
〇外音取り込みも非常に自然な音質
〇BOSEらしい重低音サウンド
〇スタビリティバンドによる高い装着安定性
〇BOSEブランドを所有する満足感
【イマイチな点】
✖マルチポイント非対応
✖ハイレゾコーデック非対応(SBC,AACのみ)
✖ワイヤレス充電非対応
✖タッチコントロールのカスタマイズ性が低い
BOSE QuietConfort EarbudsⅡは、なんといっても現時点で他の製品を圧倒するアクティブノイズキャンセリング性能が最大のメリットでしょう。
人の話し声などの中域ノイズまでをほぼ抑制し、高域ノイズが少し残る程度という驚異的なノイズキャンセリング性能にはとにかく驚かされました。
そして、中高音の解像度が高まり前作より洗練されたBOSEサウンドもおすすめポイント。
ゆったりした曲はより没入感があり、アップテンポな曲はこれまで以上にノッていけるサウンドになっています。
3万円を超えるプレミアムイヤホンとしては、ライバルと比較するとやはり機能面が劣るということは明らか。
個人的にもハイレゾコーデックやマルチポイントに対応していない仕様には正直疑問を感じました。
ただし、QuietConfort EarbudsⅡのノイキャン性能は、そういった欠点を全て置き去りにするだけの破壊力があるのもまた事実です。
BOSEサウンドが好きだったり、ノイキャン性能が高いイヤホンが欲しいと考えているユーザーなら、購入して本当に良かったと思える製品だと思います。
















