完全ワイヤレスイヤホンはイヤーピースを耳孔に差し込むカナル型と、イヤーピースを使わず耳に引っ掛けるようにして装着するインナーイヤー型に大きく分けることができます。
インナーイヤー型は開放的な装着感と録音現場の空気感を表現できるというメリットがあるため、以前から音質面で納得できるモデルがないか色々試してはいたんですよね。
ただ、色々試してみても音に厚みがなかったり、必要以上にドンシャリだったりとなかなか良いモデルに出会えず、このブログでも取り上げないままになっていました。
そんな中、SOUNDPEATSからインナーイヤー型では世界初となるLDACに対応したハイレゾイヤホンがリリースされるとのこと。
音質には定評のあるSOUNDPEATSの新製品ですし、これは!と思っていたところ製品をご提供いただけるとのことになり、さっそく1週間程度実機を使ってみました。
というわけで、今回はインナーイヤー型のハイレゾイヤホンであるSOUNDPEATS AIR3 DELUXE HSをレビューしていきます。
なお、期間限定の5%OFF Amazonクーポンコードも記載しておきますので、ポチろうかなと思った方は有効に活用いただければと思います。

【良い点】
〇世界初のインナーイヤー型ハイレゾワイヤレス
〇24bit/96kHzの音質伝送可能なLDACに対応
〇ハイレゾなのに1万円を切るコスパの高さ
〇14.2nn大口径ドライバーによる厚みのあるサウンド
〇10バンド、±6dBのカスタムイコライザー利用可能
〇軽く開放感がありつつ安定した装着感
〇4基のマイクを搭載し通話もクリア
〇超低遅延60msのゲームモード
〇IPX4の防滴性能
【イマイチな点】
✖ケース込み再生時間20時間と若干短め
✖急速充電非対応
Contents
SOUNDPEATS AIR3 DELUXE HSのデザインと装着感
SOUNDPEATS AIR3 DELUXE HSの概要やデザイン、装着感などをチェックしていきましょう。
AIR3 DELUXE HSの概要
SOUNDPEATS AIR3 DELUXE HSは、インナーイヤー型としては初めてハイレゾコーデックのLDACに対応したモデル。
同社はaptX™ Adaptiveに対応したAIR3 DELUXEをリリース済ですが、今回はその派生型としてLDAC対応版をリリースしたということですね。
パッケージは以下の画像の通りで、裏面左下には「ハイレゾ」と「LDAC」対応ということがしっかりと記載されています。

インナーイヤー型ということでイヤーピースがありませんので、同梱物はイヤホン本体と充電ケース、充電用のUSBケーブル、取扱説明書とアプリ紹介のカードの5つ。

アプリについては後程詳しく解説しますが、この価格で専用アプリが使えることは大きなメリットだと感じられます。
AIR3 DELUXE HSの本体と充電ケース
SOUNDPEATS AIR3 DELUXE HSの本体と充電ケースをさらに詳しくみていきましょう。
まず充電ケースですが、光沢のある楕円形で本体正面にバッテリー状態を表示するインジケーターとペアリング用のボタン、裏面にはSOUNDPEATSののロゴプレートがあしらわれています。

光沢のあるケースにゴールドのプレートが映えて、それなりに高級感のあるデザインになっていると感じます。
充電ケースのみの重量は約28g、イヤホン本体込みでも約36gとかなり軽いので、シャツの胸ポケットに入れても邪魔にならない携帯性。
フタを開閉するとSOUNDPEATSの「S」ロゴがあしらわれたフェイスプレートがこっそり覗いているようなデザインになっていて、なんともかわいらしい感じです。

充電するときはケース底面にあるUSB-Cポートに付属のケーブルを接続します。
なお、ケース正面のインジケーターは以下のように光って充電状態がわかるようになっています。
| 状態 | バッテリ―残量 | インジケーター |
|---|---|---|
| 充電中 | 20%未満 | 赤で点滅 |
| 20%以上70%未満 | 黄色で点滅 | |
| 70%以上、100%未満 | 緑で点滅 | |
| フル充電 | 緑で点灯 | |
| 通常時 | 50%以上 | 緑で点灯 |
| 10%以上50%未満 | 黄色で点灯 | |
| 10%未満 | 赤で点灯 |
イヤホン本体はスティック部分が直線的な形状で、ノズルの先端と側面から音が出るオーソドックスなインナーイヤー型のデザインですね。

フェイスプレートの「S」ロゴはゴールドで高級感があり、このワンポイントによってイヤホン全体が引き締まってスタイリッシュに見えます。
イヤホン本体も非常にコンパクトで片側4gと軽く、手の平に乗せるとどれだけ小さいのかがお分かりいただけるのではないでしょうか。

なお、カラーバリエーションはブラックのみとなっています。
AIR3 DELUXE HSの装着感
SOUNDPEATS AIR3 DELUXE HSは、インナーイヤー型ということでとても軽い装着感となっています。
イヤーピースを耳孔に差し込む必要があるカナル型イヤホンと違って、圧迫感を感じない着け心地は開放的で長時間の装着でもまったく苦になりません。
その反面、耳に引っ掛けるようにして装着するので落下してしまうのでは?と思うかもしれませんが、心配する必要はないでしょう。
実際に装着して頭を激しく上下左右に振ってみましたが、イヤホンが外れてしまうようなことはなく、スティックの先端に何かがあたらなければ落下することはありません。
なお、音漏れはやはりそれなりにしますので、電車の中や図書館などで使用するときはボリュームが大きすぎないか確認してから使うようにしましょう。
SOUNDPEATS AIR3 DELUXE HSの音質と通話品質
SOUNDPEATS AIR3 DELUXE HSの音質と通話品質について確認していきましょう。
AIR3 DELUXE HSの音質
SOUNDPEATS AIR3 DELUXE HSは、全音域のバランスが良い比較的フラットな音質で、特にPOPSなどボーカルの歌声を楽しみたいユーザーにはおすすめの音質になっています。
14.2mmの大径ダイナミックドライバーを搭載しているため、インナーイヤー型とは思えないような音に厚みのある上質なサウンドだということもこのモデルの特長でしょう。
また、AIR3 DELUXE HSをLDAC接続すると、低音の沈み込みや音場の広がり、音の細やかさなどが上がり、とくに中音域はあきらかに音質がランクアップしたことがわかります。
これで1万円を切る価格なんですから、ほんとうに驚くしかありません。
1万円以下の低価格帯ワイヤレスイヤホンの音質に関してはSOUNDPEATSが最強だと思っているんですが、それが今回のモデルでも見事に証明されたと感じています。

各音域の特長として、まず低音は沈み込みやアタック感、躍動感がしっかり感じられ、ドラム連打でのもたつきなどもなく、この音域は非常に良くチューニングされている印象。
中音域も低音や高音に埋もれてしまうことなくしっかりと表現されていて、ボーカルも近すぎず遠すぎず絶妙な距離感。
さらにLDAC接続するとボーカルを中心とした中音域のクオリティがグッと上がり、透明感・粒立ちなどあきらかに音質が上がります。
高音は中低音にくらべると少し音質が薄いかなと感じはしますが、煌めきが欲しいというシーンではしっかりとそれを表現してくれます。
ただし、鈴の音だけは刺さりを感じる曲もあるのが唯一残念に感じる点。
とはいえ、それも2万円オーバークラスのイヤホンと比べてのことで、2~3千円程度のイヤホンから乗り換えた場合は、AIR3 DELUXE HSの音質の良さに驚くでしょう。
SOUNDPEATS AIR3 DELUXE HSの音質をイメージすると、以下のグラフの通りかと思います。

なお、このグラフはLDAC接続したときのイメージで、AAC接続では中音域が下がってよりフラットな印象になります。
自分はふだんTechnics EAH-AZ60をメイン機として使っていたんですが、自宅ではすっかりAIR3 DELUXE HSがメイン機になってしまいました。
たしかに解像感や低音の深み、高音の伸びといった音質の熟成度についてはEAH-AZ60とはかなり差があります。
ただ、EAH-AZ60の1/4程度の価格にもかかわらずそれをあまり感じさせない音質の良さと、なにより装着感が軽く気軽に使えるというところが非常に気に入っているんですよね。
なお、個人的には中高音はデフォルトのチューニングだと少し遠めかな?といった印象ですが、専用アプリのイコライザーで300~2100Hz以上の帯域を+1調整するとちょうどいい感じになります。
このイコライザーも10バンドと、このクラスのイヤホンにしては秀逸な仕様になっていて、音質に対するメーカーのこだわりが感じられるポイントだと思います。
AIR3 DELUXE HSのマイク性能
SOUNDPEATS AIR3 DELUXE HSにはイヤホン左右にそれぞれ2つのマイクが搭載されていて、電話やリモートミーティングなど通話にも使うことができます。
どのくらいの通話品質か気になるところですので、さっそく自宅とカフェでマイクテストを実施してみました。
【AIR3 DELUXE HS マイクテスト/自宅】
【AIR3 DELUXE HS マイクテスト/カフェ】
まず自宅でのマイクテストですが、これは全く問題ないですね。
若干声にエコーがかかったようにも聴こえますが、この程度であれば相手も気にならないでしょうから、静かな環境下ならビジネス通話やリモートミーティングにも利用可能です。
つぎにカフェでのマイクテストでは、自分の声ははっきりと相手に届くものの、周囲のノイズはかなり混入してしまう結果となりました。
テストした時間は18時頃で、店内の着席率は3割程度と空いていた状態でしたが、周囲の話し声やザワつきがそれなりに気になります。
SOUNDPEATS AIR3 DELUXE HSの通話品質をグラフ化すると以下の通りで、音声はかなりクリアな反面、周辺ノイズの抑制はこの価格帯のイヤホンとしては標準的だと思います。

相手からかかってきた電話応対なら外出先やカフェなどで対応しても大丈夫ですが、周囲のノイズが多い場所で自分から発信するケースでは相手を選ぶ必要がありそうです。
また、発言の機会の多いリモートミーティングなどでは、会議室など比較的静かな場所に移動して使用することをおすすめします。
SOUNDPEATS AIR3 DELUXE HSの専用アプリ
SOUNDPEATS AIR3 DELUXE HSは低価格ながら専用アプリに対応しています。
機能満載というわけにはいきませんが、イコライザーが充実しているのが個人的には気に入っています。
AIR3 DELUXE HSアプリホーム画面とメニュー
AIR3 DELUXE HSは専用アプリの「SOUNDPEATS」に対応しています。
App StoreやGoogle Play Storeで「SOUNDPEATS」で検索すれば、以下のようなアプリがヒットします(以下はApp Storeで検索した結果です)。
アプリホーム画面は以下の通りで、画面左下のイコラーザーマークをタップするとメニューが並ぶカスタマイズ画面に移行します。

カスタマイズ画面では60msの低遅延モードへの切り替え、誤動作防止のイヤホン本体ワンクリック機能の無効化、イヤホンを外すと再生中のコンテンツが自動停止する装着自動検出のON/OFFができるようになっています。
アプリメニューはあまり多くは無いもののイコライザーが充実していて、SOUNDPEATSの音質に対するこだわりが感じられます。
AIR3 DELUXE HSの充実したイコライザー
SOUNDPEATS AIR3 DELUXE HSのイコライザーは非常に充実していて、可変的なイコライザー、プリセットイコライザーである事前設定、カスタマイズイコライザーの3つが用意されています。
可変的なイコライザー
可変的なイコライザーは、音域ごとの音の聴こえ方をテストしてパーソナライズイコライザーを自動で設定してくれる機能です。
カスタマイズ画面の「可変的なイコライザー」をタップすると以下の画面に移行し、1分程度の聴力テストを実施するとパーソナライズイコライザーを自動で作成してくれます。

聴力テストは、低域から高域までいくつかの周波数帯ごとに様々な音量の聞こえ具合をチェックする形で行われます。
自分の場合は低域と高域を持ち上げるという結果になりましたが、その逆の中域を上げる設定のほうが好みなので、残念ながら可変的なイコライザーは使っていません。
まぁ音質は好みなので私の結果はさておき、この価格帯でパーソナライズイコライザーが実装されているのは大きなメリットですので、まずは試してみることをおススメします。
プリセットとカスタマイズイコライザー
プリセットイコライザーは9種類で、SOUNDPEATSの他のモデルと同じラインナップ。
いっぽうで完全カスタマイズイコライザーは、10バンド・±6dBとさすがハイレゾ対応モデルと言わんばかりのハイレベルな仕様になっています。

プリセット、カスタマイズともに、イコライザーを変更して2秒後くらいに音質がかわるので、とくにカスタマイズする場合はゆっくり操作すると良いでしょう。
SOUNDPEATS AIR3 DELUXE HSの操作性
SOUNDPEATS AIR3 DELUXE HSの操作性についてチェックしていきましょう。
AIR3 DELUXE HSのタッチコントロール
SOUNDPEATS AIR3 DELUXE HSはイヤホン本体のタッチパネル(「本体のゴールド「S」ロゴ部分)で操作ができるようになっています。
専用アプリにタッチコントロールの完全カスタマイズ機能はないので、基本は以下のデフォルト設定のまま使うことになります。
| 動作 | 左 | 右 | |
|---|---|---|---|
| 音楽 | 1回押し | ボリュームダウン | ボリュームアップ |
| 2回押し | 再生/停止 | ||
| 3回押し | ゲームモードON/OFF | 音声アシスタント起動 | |
| 1.5秒長押し | 曲戻し | 曲送り | |
| 通話 | 2回押し | 電話を受ける/切る | |
| 1.5秒長押し | 着信拒否 | ||
実際に操作してみると「S」ロゴプレート部分をタッチしないと反応しなにので、頻繁に誤動作を起こすということはありません。
ワンタッチで誤動作してしまう場合でもボュームが上下するだけなので、個人的にはそれほどのストレスは感じないですね。
なお、下の画像のようにスティック部分を親指と中指でつまんで、本体上部に人差し指を添えるようにすれば、誤動作せずにイヤホンの向きなどを調整することができますよ。

いっぽうで「S」ロゴ部分をタップすれば感度よく反応してくれますので、操作が必要な時にまごつくこともないでしょう。
どうしても誤動作してしまうという方は、専用アプリの「タッチキーのワンクリック機能を無効にする」をONにしておきましょう。
超低遅延60msのゲームモード
SOUNDPEATS AIR3 DELUXE HSには60msという超低遅延のゲームモードが搭載されています。
画像出典:SOUNDPEATSホームページより専用アプリでゲームモードをONにするか、左側イヤホンのタッチセンサーを3回タップすればすぐに超低遅延モードに切り替えることができるようになっています。
実際にシューティングゲームをプレイしてみましたが、ノーマルモードとゲームモードでは明らかに違いが確認できました。
敵に弾が当たった時に、通常モードでは若干遅れて効果音が伝わるんですが、ゲームモードにするとほぼ着弾と同時に効果音が聴こえます。
もっとも自分は普段ゲームをしないので、遅れにシビアなゲームやプレイヤーのレベルによってはこれでも遅いと感じる可能性も否定はできません。
しかし、Bluetooth接続で最も低遅延とされているaptX™ LLが40ms程度だと考えると、60msは相当な低遅延だといえるでしょう。
SOUNDPEATS AIR3 DELUXE HS レビューまとめ
それでは最後にSOUNDPEATS AIR3 DELUXE HSの総合評価と、実際に使ってみて感じている点を整理してみましょう。
| 評価項目 | Impression | Score |
| 通話品質 | ビジネス通話にも使えるが周辺ノイズ抑制は通常レベル | 4.0 |
| 低音 | 多少ブーミーだが厚みと躍動感あり | 4.6 |
| 中音 | 透明感がありLDACで音質が飛躍的にアップ | 4.8 |
| 高音 | 若干薄めだが煌めきのある音質 | 4.4 |
| アプリ機能 | 機能は限定的だがイコライザーは秀逸 | 4.2 |
| 装着安定性 | 頭を振っても落下する不安なし | 4.7 |
| 機能加点 | LDACに対応 | 5.0 |
| 総合評価 | 4.5 | |
SOUNDPEATS AIR3 DELUXE HSは、インナーイヤー型としては世界で初めて日本オーディオ協会に認定されたLDAC対応のハイレゾイヤホンです。
「カナル型じゃないハイレゾイヤホンってどんな感じなんだろう…」と思っていたんですが、実際に使ってみると「たしかにハイレゾだ!」と感動しました。
低価格のインナーイヤー型ということで「音の薄さ」を懸念していたんですが、そんな心配は曲を聴き始めてすぐに吹き飛びましたね。
なんといってもカナル型イヤホンにはない解放感と軽い装着感は、リラックスしてゆったりと音楽や動画を楽しむのに非常に向いていると実感。
カナル型イヤホンやヘッドホンは圧迫感があって苦手、とはいえ音質には妥協したくないという方にとって、SOUNDPEATS AIR3 DELUXE HSは自信をもっておすすめできるイヤホンです。
唯一の欠点はバッテリー性能がいまひとつだということでしょうか。
LDAC接続での連続再生時間が4時間、充電ケース込みで16時間は少し非力なので、ヘビーユーザーはバッテリー残量には気を配る必要がありそうです。
ただ、それを差し引いてもこの使い勝手の良さと音質はなかなかのもの。
なんといっても1万円を切る価格でこれだけの音質を実現するSOUNDPEATSは驚異的で、お手持ちのスマホがLDACに対応しているなら購入して損はないイヤホンでしょう。
すでにカナル型の高価格帯イヤホンを持っている方にも、セカンドイヤホンとして手に取って頂きたい1台ですね。















