FALCON ANCは、Noble AudioがリリースするTWSとしては初のアクティブノイズキャンセリング(=ANC)搭載機になります。
Nobleの完全ワイヤレスイヤホンといえば「高音質」というイメージで、2021年12月に発売され、約5万円という価格ながら機能面をかえりみず音質に全振りしたFokus Proがその代表格でしょう。
しかし、日本というマーケットの特徴として「高機能」という要素が重視される傾向があり、とくに電車通勤・通学での使用を想定するとANCは必須と考えるユーザーが多いのも事実です。
FALCON ANCはNoble Audioの最大の特長である高音質をしっかり保ちながら、ANCはもちろんのこと、通話品質の向上、マルチポイント対応など機能面も大きく進化しています。
しかも10mm Dual-Layered Titanium Driverを搭載することにより、FALCON2と比較して音の厚みなど音質面も向上していることから、魅力的な製品に仕上がっています。
高機能なイヤホンは市場に溢れていますが、誰もが認める高音質までを備えたTWSというと機種が絞られるもの。
FALCON ANCは数少ない「高音質」「高機能」が両立した完全ワイやレスイヤホンとして、おススメしたい製品です。

Contents
FALCON ANCの通話品質と音質
FALCON ANCのマイク性能
FALCON ANCのホームページには「aptX Voiceに対応」することで通話品質も”いい音”になっているとの表記があります。
個人的に通話品質の善し悪しを決めるのは、SoC型番と音声解析アプリの出来具合だと思っています。
FALCON ANCのSoCはミッドレンジモデルのQCC3056で、上位モデルのQCC51XXより部品性能としての通話品質は若干劣るかなと。
いっぽうでaptX Voice対応でどこまで通話品質が上がっているのか、ワクワクしながら夕方のカフェでマイクテストを実施してみました。
【FALCON ANC通話品質】
かなり混雑している状況の中、ビームフォーミングの効果なのか自分の声はかなりクリアに聴こえますし、周辺ノイズもまずまず抑え込まれていると感じます。
声のクリアさという点においてもaptX Voiceの効果なのか、こもるような感じやサ行の刺さるような感じもほとんどありませんね。
自宅や会議室など周辺環境が静かな場所はもちろん、オフィスの自席からリモートミーティングに参加しても相手に不快な印象を抱かれることはないでしょう。
FALCON ANCの通話品質を4項目で評価すると、以下のようなスコアになると思いますので参考にしてみてください。

FALCON ANCの音質
FALCON ANCにユーザーが最も期待するのが音質だと思います。
FALCON ANCはaptX™ Adaptiveによるワイドレンジ再生に対応するため、ドライバーの大径化が行われており、10mm Dual-Layered Titanium Driverが搭載されています。
音質面で高い評価を得ていたFALCON 2が6mmカーボンドライバーだったのに対し、10mmのチタニウムドライバーへの変化が音質にどう変化をもたらしているのか…。
実際に聴いてみた感想を端的に表現するなら「響く」という言葉が最も近いのではないでしょうか。
歴代のFALCONと比較すると音の厚みが圧倒的に増していて、これが10mmチタニウムドライバーの恩恵かと驚かされます。
同じくダイナミックドライバー1発だったFALCON 2に音質は似ていますが、厚みというか聴こえてくる音の持つエネルギーが数段上だと感じます。
とくにボーカルやギターなど中音域の、解像度も高いことから没入感がハンパないですね。
高音も解像度・透明感とも文句なしで、上方向への抜けもスーッときれいに伸びてゆく感覚があります。
ドライバーの大径化によって低音の沈み込みやボリューム感も十分ではあるものの、個人的には低音はもう少しタイトで分離感の高い方が好みかなと感じました。

また、特筆すべきは音場の広さで、縦横はもちろんのことながら奥行きもあり、音楽に立体感が感じられます。
広い空間に音が響き渡るような感覚があり、音の消え際の余韻は他のメーカーとは段違いではないでしょうか。
なお、FALCON ANCは専用アプリに10バンド、±12dbのイコライザーが搭載されています。

好きな音楽ジャンルやアーティストにあわせてイコライジングしたものは、3つまで保存しておくことができます。
FALCON ANCのノイキャンと外音取り込み性能
FALCON ANCのANC性能
FALCON ANCのアクティブノイズキャンセリング(=ANC)は、低域ノイズはしっかりカットしてくれるものの高域ノイズまでかき消すほどではなく、そこそこの効きといったところですね。
ノイキャンの効きはアプリで大・中・小と調整できるようになっていますが、ANC ONでも音質変化をあまり感じないので、自分としては「大」に固定で良いかなと思います。

ちなみに、FALCON ANCのANCはフィードフォワード方式とフィードバック方式を組み合わせたハイブリッド方式となっています。
【フィードフォワード方式】
ヘッドホン外側のマイクでノイズを集音し、それと逆位相の音波をぶつけてノイズを消す技術。比較的安価に搭載できるANC。
【フィードバック方式】
イヤホン内側にマイクを配置して本来の再生音と外部からのノイズ両方を集音し、その逆位相の音波をぶつけていったん全ての音を消してから再生音だけを流す技術。フィードフォワード方式より搭載コストが高いANC。
ハイブリッド方式ということで「ノイキャン強めかな?」と思っていたんですが、Noble Audioとしてはやはり音質も重視したということなのでしょう。
なお、FALCON ANCにはウレタン(COMPLY)製のイヤーピース3種類(S/M/L)が付いてきますが、初回生産品にはシリコン製のSpinfit CP360-FのS/M/Lも付属しています。
ウレタン製のイヤーピースは遮音性が高く低音が増すというメリットがある一方、着けたり外したりするのが面倒というデメリットがあります。
いっぽう、シリコン製のイヤーピースはウレタン製に比べて遮音性が若干落ちて低音の量感が減るというデメリットがあります。
とくにSpinfitは傘の部分が薄くつくられているのでこの傾向が強いイヤーピースだと思います。
Spinfitも非常に良いイヤーピースですが、もう少し遮音性を高めたい(低音の量感が欲しい)と感じる方は以下のイヤーピースを試してみることをおススメします。
FALCON ANCの外音取り込み性能
FALCON ANCのアンビエント(外音取り込み)モードを実際に試してみて、高域中心に音を拾っている感があり、自然な音とは少し違うかなという印象を持ちました。
不快感があるかというとそんなことはありませんが、イヤホンを着けていないと錯覚するほどの自然さはなく、むしろイヤホンを通した音という感覚のほうが強いように感じました。

外音取り込みモードも、専用アプリで取り込み音量を3段階で切り替えることが出来るようになっています。
FALCON ANCのデザインと装着感
FALCON ANCの本体と充電ケース
FALCON ANCの充電ケースは歴代のFALCON製品と同じデザインになっています。

ケースはプラスチック製でお世辞にも高級感があるとはいえませんが、そのぶん軽くて持ち運びには都合が良いと思います。
本体はタッチセンサー部がギターピックのようなデザインになっているのはFALCON PROと同様ながら、カナル型とステム型の中間タイプのような形状をしています。

aptX Voice対応の指向性マイクが本体の先端に配置されており、発話者の音声を拾いやすいようにこのような形状を採用したようですね。
カラーバリエーションはいまのところ歴代のFALCONシリーズと同じブルー&ブラックの1色です。
FALCON ANCの装着感
FALCON ANCは、比較的しっかりした装着感の完全ワイヤレスイヤホンです。
また、イヤホンの位置を調整するのに本体の先端部をつまんで動かすことができるので、タッチセンサーをつい触ってしまうといったことが起きにくいのは大きなメリットに感じました。
出典:FALCON ANC製品ホームページより耳のぴったり密着して簡単に外れないとまでは言いませんが、頭を前後左右に振っても簡単に落下してしまうような不安感はありません。
また、イヤーフィンも同梱されているので安定感に不安のある方はそれを利用すると良いでしょう。
FALCON ANCの専用アプリ
FALCON ANCには専用アプリが用意されています。
FALCON ANCアプリホーム画面とメニュー
FALCON ANCには、「Noble FALCON ANC」というこの機種専用のアプリが新たに用意されています。
FALCON ANC向けに新たに開発された専用アプリで、ユーザビリティをしっかり考えられた出来栄えになっています。
スマホとペアリングを開始すると以下のような画面になりますので、「接続」をタップするだけでアプリ画面が立ち上がるようになっています。

アプリホーム画面は以下の通りで、アプリやファームウェアのバージョンや左右の本体バッテリー残量などが確認できるようになっています。

個人的にはアプリやファームウェアのバージョンよりは、接続されているコーデックや充電ケースのバッテリ―残量を表示して欲しかったので、そこは少し残念ですね。
アプリで出来ることは以下の通りで、他の完全ワイヤレスイヤホンには搭載されていないような珍しい機能も用意されています。
【FALCON ANC専用アプリで出来ること】
✓ANC ON/OFFと強度切替(3段階)
✓外音取り込みON/OFFと強度切替(3段階)
✓動作モード切替(低遅延 or マルチポイント)
✓ANC ON/OFFと強度切替(3段階)
✓マスターゲイン
✓タッチセンサーカスタマイズ
✓ウィジェットデザイン変更
FALCON ANCの操作性
FALCON ANCはイヤホン本体のタッチセンサーで操作ができるようになっており、デフォルトの設定は以下の表の通りです。
| 動作 | 左 | 右 | |
|---|---|---|---|
| 音楽 | 1回タッチ | 音楽再生/停止 | |
| 2回タッチ | ボリュームダウン | 前の曲に戻る | |
| 3回タッチ | ボリュームアップ | 次の曲にスキップ | |
| 2秒長押し | 音声アシスタント起動 | オフ ⇒ 外音取り込み ⇒ ノイズキャンセリング ⇒ オフ | |
| 通話 | 1回タッチ | 受話/切断 | |
| 1秒長押し | 着信拒否 | ||
なお、FALCON ANCは専用アプリでタッチセンサーの操作性をカスタマイズすることができるようになっています。

タッチセンサーのカスタマイズは、上の画像の赤枠ようにメニューに「▼」が表示されているアクション部分のみ変更可能で、ドロップダウンリストで操作を割り当てます。
個人的には誤操作が起こりやすいシングルタッチには、動作を割り当てないなどのカスタマイズができるようにして欲しかったなと感じました。
ただ、装着感のところでも触れましたが、本体形状がタッチセンサーに触れにくい形状をしていることから、しょっちゅう誤操作をしてしまうといったことはないでしょう。
ウィジェットデザインをカスタマイズ可能
FALCON ANCの専用アプリは、ウィジェットとして並んでいるアプリメニューのデザインをカスタイズすることが可能です。
デフォルトはメニューが1列にずらっと並ぶデザインになっていますが、「縦スクロールするのが面倒」ということであれば以下の通り2列にすることができます。

また、よく使うメニューを順番に表示させて、あまり使わないメニューはホーム画面から消してしまうといったことも出来るようになっています。
これは非常に使い勝手が良く、今後各メーカーも追随するのではないかと思えるほどメリットを感じました。
イヤホンのアプリメニューって、初期設定時にだけ使うものと日常的に使うものに分かれるので、各メーカーもそれを考慮してアプリメニューの配置を工夫してくれています。
しかし、ユーザーインターフェースの観点から考えれば、アプリメニューの配置自体をカスタマイズできるというのはこれまで無かったのが不思議なくらいです。
FALCON ANCの機能
FALCON ANCはマルチポイントに対応
FALCON ANCは2台のデバイスを同時接続できるマルチポイントに対応しています。
マルチポイントはスマホ2台の同時接続はもちろん、スマホとパソコン、スマホとタブレット、パソコンとタブレットなど任意のデバイス2台に同時説できる機能です。

このマルチポイントという機能は一度使うと、もうあとにも戻れないくらい便利なもので、複数デバイスへの接続前提のユーザーには本当におススメなんです
自分は通勤時にプライベートのスマホで音楽を聴いていますが、ビジネス用の携帯にマルチポイント接続しています。
ビジネス用のスマホに着信があれば、イヤホン本体を操作するだけで電話を受けることが可能ですし、なによりビジネス用スマホをバックの中に入れていても着信に気付けます。
胸ポケットに2台のスマホを入れておかなくて済みますし、なにより帰宅途中にビジネス用スマホへの着信を必要以上に気にするストレスから解放されたのが大きいですね。
電話を受けると音楽など再生中のコンテンツは自動で停止し、通話が終了すると自動でコンテンツを再生してくれるのも便利だなぁと実感しています。
ただし、マルチポイントは低遅延モード使用時には機能OFFとなります。

FALCON ANCでは、マルチポイントと低遅延はいずれも「動作モード」として整理されており、両方の機能を同時にONにすることはできません。
自分はゲームをしないので低遅延モードってあまり使わないんですが、ゲームの好きなユーザーはマルチポイントと低遅延モードって同時に使いたい機能ではないかと思います。
マルチポイントと低遅延モードは、ファームウェアのアップデートで独立した機能として、両方同時に使えるようにして欲しいですね。
FALCON ANCのマスターゲイン機能
FALCON ANCにはマスターゲインという少し珍しい機能が搭載されています。

これは通常よりも小さな音量のなかでボリュームを細かく調整できるというもので、信号増幅レベルを-12dbまで下げることが可能です。
就寝前など静かな環境下でイヤホンを使用する際に、ボリュームを絞った音量をもっと細かく調整できたらと感じたことがあるユーザーは少なくないと思います。
実際、マスターゲインはユーザーからそのような声が寄せられたことに対応する形で搭載が決められたようです。
もともとイヤホンのボリューム調整は「もう少し細かく調整できれば…」と感じる機種が珍しくなく、使うシーンによってはそこに不満を感じることも珍しくありません。
たとえば相部屋での生活などで深夜にイヤホンを使用するシーンなどでは、このマスターゲイン機能が効果を発揮するだろうと感じます。
FALCON ANCのレビューまとめ
それでは最後にFALCON ANC総合評価と良い点、改善してほしい点を整理してみましょう。
| 評価項目 | Impression | Score |
| 通話品質 | オフィスなどでビジネスにも使用可能 | 4.5 |
| 低音 | タイトで量感十分 | 4.4 |
| 中音 | ガラスのようなクリアさ | 4.6 |
| 高音 | 繊細だが存在感のある高音 | 4.6 |
| ANC性能 | 低域ノイズには効果あり | 4.2 |
| 外音取込み | 高音域のみを拾うような感覚 | 4.0 |
| アプリ機能 | イコライザーとモード変更のみ | 4.2 |
| 機能加点 | マルチポイント機能搭載 | 5.0 |
| 機能加点 | aptX™ Adaptiveに対応 | 5.0 |
| 機能加点 | IP57の防塵防水性能 | 5.0 |
| 総合評価 | 4.6 | |
✓自分の声はかなりクリアに相手に届く
✓解像度が高くクリアな中~高音の音質
✓音場が広く奥行きも感じられる
✓音の消え際の余韻・深みが感じられる
✓マルチポイントに対応
✓低遅延モード搭載
✓aptX™ Adaptiveに対応
✓小音量での微調整が可能なマスターゲイン機能搭載
✓ワイヤレス充電対応
✓イヤホン本体にマイクミュート機能がない
✓低遅延モード選択時にマルチポイント使用不可
✓タッチ1回(イヤホン操作)のカスタマイズができない
FALCON ANCは、Noble Audioらしい中~高音の繊細さとクリアなサウンドはそのままに、アクティブノイズキャンセリングを搭載した同社初のANC機です。
FALCON 2と音質は似た傾向でありながら、10mm Dual-Layered Titanium Driverという大径ドライバーを搭載したことにより、各音域の音の量感が大きく向上。
縦横だけでなく奥行きにも広さを感じる空間表現力を持ったTWSで、低音の沈み込みや音の消え際の余韻などは同価格帯の他のイヤホンより頭一つ抜けていると感じます、
BluetoothコーデックではaptX™ Adaptiveに対応していることから、同コーデックに対応したスマホを持っているユーザーは高音質で音楽を楽しむことが可能です。
いっぽう音質だけでなく、aptX Voice対応、あえて通話用マイクが口元に近くなるよう設計された本体デザインなど、通話品質にもこだわった製品になっています。
また、専用アプリ「Nobele FALCON ANC」はウィジェットのカスタマイズが可能という新しい試みが盛り込まれていて、この製品に対する意気込みが伝わってくるように感じます。
機能面でもマルチポイントやワイヤレス充電、低遅延モードなど、日常使いでユーザーが便利だと感じるものは網羅されていて、使い勝手も良い完全ワイヤレスイヤホンだと思います。
Noble Audio製品は、家電量販店の店頭などではあまり見かけませんが、有線の高級イヤホンでは有名なブランドで、FALCONシリーズのTWSはマーケットではどれも高評価を得ています。
2万円くらいの予算でハイレゾ対応、ANCやマルチポイントに対応していて、ビジネスでも使用可能なTWSをお探しの方は、是非とも候補にあげて頂きたい製品です。
















