
圧巻の音場!マルチポイント搭載機
NUARL N10 Plusは前作のN10 Proの兄弟機で、10mmのダイナミック型ドライバーは共通ですが細かい点で修正が施されています。
N10 Pro同様に米国T.B.I社の特許技術HDSS®を採用した本機も音の広がりと厚みは圧巻、さらに前作より低音重視に振られたイコライザー設定がなされ、より迫力のある音質に進化。
搭載マイクによる通話品質は、web会議のファシリテーターが使用するには若干厳しいものの、社内のリモートミーティングや電話応対程度なら問題なく使用可能でしょう。
マルチポイントやaptX Adaptive対応のゲーミングモードを搭載するなど機能面の充実も魅力的な製品で、価格以上の満足を得られる1台です。

Contents
NUARL N10 Plusの通話品質と音質をチェック
まずはNUARL N10 Plusの通話品質と音質をチェックしていきましょう。
NUARL N10 Plusのマイク性能
NUARL N10 Plusには2×2の4マイクが搭載されています。
しかし、このマイクを高性能と評価することはできないかなと感じています。
このマイクテストは夕方のカフェで実施したものですが、自分の声がこもって聞こえることと、周囲の話し声をかなり拾っていることがお分かりいただけると思います。(※ニューラルと言ってしまっていますが、ただしくはヌアールです。申し訳ありません。)
まぁ、かなりザワついていましたし、後ろの席の話し声が大きかったということもありますが、もう少し自分の声を大きくはっきり拾ってくれればなぁと…。
ただ、ボリュームを上げてもホワイトノイズのような周辺ノイズはほぼ聞こえないので、静かな環境下であれば仕事にもつかえるマイク性能ではあると思います。
会議室や自室でのテレワークなど、周辺の騒音が抑えられた場所なら「サー」というノイズが聞こえない分、かえって相手には不快感の無い通話が可能かもしれません。
このあと解説しますが、NUARL N10 Plusは音質が抜群に良く、マルチポイントにも対応していることから、いかんせんこのマイク性能はちょっと残念です。
通話品質がもう少し良ければテレワークに超おすすめの1台になっただけに、マイク性能をもう少し向上させてほしいですね。
NUARL N10 Plusの音質とノイズキャンセリング性能
NUARL N10 Plusの音質とアクティブ・ノイズキャンセリング(=ANC)性能をチェックしていきましょう。
NUARL N10 Plusの音質
NUARL N10 Plusは、N10 Pro同様に音場の広さと高い解像度を持ち、低音域から高音域まで音の粒をしっかりと感じさせるキレのある音質となっています。
ドライバー自体はN10 Proと同じ10mm PTT振動版採用ダイナミック型フルレンジ “NUARL DRIVER”[N10]v3モジュールが採用されているので、音質のベースは同じ。
ただしNUARL N10 Plusは、N10 Proとは異なる低音感を重視したイコライザー設定をしたそうで、たしかに中音域の厚みと低音域のアタック感が前作より増したような印象を受けました。
また、N10 Proでは高音域が前面に出てやかましさを感じるようなシーンがあったのですが、N10 Plusではそのように感じることがありません。
そういった意味では、NUARL N10 PlusはN10 Proが大人になって落ち着きをまとったといった印象を受けました。
圧巻なのは音場の広さで、これは間違いなくクラス最高レベルだと思います。
特に、中音域の後ろに広大な空間が広がっているようなイメージが浮かんでくるほどで、音場全体に透き通った音が響き渡るように感じられます。
この価格帯でこれほどの音質・音場を表現していることは脱帽というほかありません。
NUARL N10 Plusのノイズキャンセリング
NUARL N10 Plusのアクティブ・ノイズキャンセリング(=ANC)は、フィードフォワード方式が採用されています。
https://monolowl.com/headset-noise-canceling-2021-03-27
前作のN10 Proは、フィードバック方式も登載されたハイブリッド方式だったのですが、N10 Plusは音質への影響を抑えるためにフィードフォワード方式のみが採用されたようです。
N10 ProのANCもそれほど強力とはいえなかったので、そこからフィードバック方式が削られたN10 Plusのノイズキャンセリングはマイルドな性能です。
AirPods ProのANCを10とするなら6くらいの性能で、バスや電車内では走行音そのものはカットされているように感じますが、車体のがたつきなど中音域のノイズは聞こえます。
したがって、窓を開けて走行している電車に乗った時などは、動画視聴では音量を上げて対応することになるでしょうから、通勤時にドラマなどを楽しみたい方はもう少しノイキャン性能の高い製品のほうが良いでしょう。
専用アプリに音質優先・バランス・ANC優先の3段階でノイズキャンセリングを調整できる機能がありますが、ノイキャンON時はANC優先しか使わないと思います。
ただし、強力なANC機能を搭載している製品にありがちな、ノイズキャンセリング使用時の音質の明らかな変化は全く感じられないので、音楽好きにとってはそれが良いという評価もあるでしょう。
NUARL N10 Plusに「周囲の音が完全に消える」といった過度なANC性能を期待するべきではありません。
メーカーが意図した音質が変化しない程度のノイキャン性能であることを理解し、自分がANCをどのようなシーンで利用するのかを考えて購入するかどうかを判断すべきでしょう。
NUARL N10 Plusの外観と装着感をチェック
つぎにNUARL N10 Plusの外観と装着感をみていきましょう。
NUARL N10 Plusの本体と充電ケース
NUARL N10 Plusを見てまず感じたのは「は⁉でかっ!」です。
充電ケースのサイズW95.5mm×H39.3mm×D36.8mmを考えれば、あたりまえといえばその通りなんですが…。
僕は身長180cmあって手も大きい方なんですが、それで手のひらギリギリですからね。
とてもポケットに入れて持ち運べる大きさではありませんので、充電ケースはバッグやリュックに入れての移動が前提になります。
それと充電ケースがプラスチッキーなのが残念な点でしょうかね。
本体も当然大きめで、Bose QuietConfort Earbudsより幅1mmほど大きく、SONY WF-1000XM3よりは幅2mmほど小さいくらい。

ドライバー部に物理ボタンを搭載していてそのぶん厚みがあるので、QuietConfort EarbudsやWF-1000XM3よりだいぶ大きいと感じますね。
小柄な女性のだと「ちょっと大きすぎるかな?」と気になってしまう方もいるかもしれません。

カラーバリエーションはピアノブラックとライトオリーブの2色で、いずれも落ち着いた大人の色合いですね。
NUARL N10 Plusの装着感
NUARL N10 Plusは大きいながらも装着感は決して悪くありません。
この大きさで装着感に疑問があればとても売れないですし、QuietConfort EarbudsやWF-100XM3などもフィット感は良いので、同形状の本機もそこは問題なしです。
シリコンイヤーフックも標準で同梱されていますので、安定感に不安がある方はそれを使用すれば落下の心配はまずありません。
まぁ、QuietConfort EarbudsやWF-100XMを手に取ってみて大きいとは感じても、実際街中で着けている人を見るとそれほど違和感を感じるわけではないので、それほど気にする必要はないんでしょうね。
NUARL N10 Plusの機能と操作性をチェック
最後にNUARL N10 Plusの機能や操作性を確認していきます。
NUARL N10 Plusの操作性
NUARL N10 Plusは本体にタッチセンサーではなく、メインとサブの物理ボタン2つを搭載しており、これで様々な操作を行うことができます。
デフォルトのボタン設定は以下の通りです。
| 動作 | 左 | 右 | |
|---|---|---|---|
| 音楽 | メインボタン1回押し | 再生/停止 | |
| メインボタン2回押し | 次の曲に進む | 音量DOWN | |
| メインボタン3回押し | 前の曲に戻る | 音量UP | |
| 通話 | メインボタン1回押し | 受話/通話終了 | |
| 通常時 | サブボタン1回押し | ノイズキャンセリング ⇒ アンビエント ⇒ オフ | |
| サブボタン2回押し | ゲーミングモードON/OFF | ||
ちなみにメインボタンは、プリセットから選択する形ではありますが専用アプリで変更することが可能になっています。
物理ボタンは、タッチセンサーと比べて直感的な操作という点では劣りますが、その反面誤作動がないという大きな利点も持っています。
完全ワイヤレスイヤホンは目視できない位置にあり、しかも小型ゆえにタッチセンサーでは頻繁に意図しない操作を実行してしまうということが起こります。
使ったことがある方なら共感して頂けると思いますが、ボリュームを上げようとしたら曲がストップしたりスキップしたりして、「あ~もう…違うって!」ってなるんですよね。
物理ボタンはこれが無いので、誤作動のストレスなくイヤホンを使用できるという大きなメリットがあります。
NUARL N10 Plus専用アプリについて
NUARL N10 Plusは専用アプリのN10 Connectが用意されています。
N10 Connectでは、ANCの効果レベル調整、 最大・最小音量の調整、メインボタンの設定変更、イコライザーによる音質調整、、コーデック切り替え、ファームウェアアップデートなどが出来るようになっています。
イコライザーは標準・ソフト・フラットの3種類のプリセットが用意されていて、標準がデフォルト設定、ソフトはボーカルや楽器が滑らに、フラットは演奏全体のトーンが落ち着く設定になっています。
実際に聴いてみると、フラットは高音が丸みを帯びたような印象がありましたが、ソフトは「変わってる?のか…?」と僕の耳ではその違いがあまり感じられませんでした。
できれば自分好みに自由な設定が楽しめる5バンドイコライザーくらいはアプリで対応してほしいなと思うので、今後のファームウェア・アップデートに期待ですね。
NUARL N10 Plusの機能について
NUARL N10 Plusのおすすめ機能についてご紹介しましょう。
マルチポイントに対応
NUARL N10 Plusの最も注目したい機能は、やはりこのマルチポイントでしょう。
マルチポイントを搭載している完全ワイヤレスイヤホンとして有名なのはJabra Eliteシリーズがありますが、本機も同様に2台のデバイスでの同時待ち受けが可能です。
リモートワークでweb会議はパソコンから接続しているという方も多いと思いますが、NUARL N10 Plusならスマホとパソコンを同時にBluetooth接続しておくことができます。
つまり、デバイスごとにペアリングをし直さなくても、着信があればスマホに、web会議の時間になったらPCを優先して接続させることができるのです。
たとえば、リモートワーク中に自分のスマホでBGMを流しながら業務をしていて、会社の携帯に着信があれば、いちいちペアリングをしなくてもすぐに接続を切り替えられます。
これ、実際に使ってみるとほんとうに便利なんですよ!
このマルチポイントという機能は、今後社会人がイヤホン選びをするうえで、非常に大きなファクターになってくるのではないかと思います。
外音取り込み時の制御設定
NUARL N10 Plusでは、N10 Connectを使ってアンビエントモード時に再生しているコンテンツの音量を下げたり、停止したりといった制御が選択できるようになっています。
N10 Connectに「外音取り込み」というメニューがあって、標準・音量小・一時停止という3つの選択肢が用意されています。
これ意外と便利でして、最初から一時停止に設定しておくことをおススメします。
アンビエントモードって、音楽とか流れっぱなしだと相手の言ってることがだいたい聞き取れないんで、結局再生停止することになるんですよね。
つまり外音取り込み時に、他の機種ではアンビエントモード+再生停止の2アクションが必要になるんですが、NUARL N10 PlusならアンビエントモードにするだけでOK。
それほどのことではないと思われるかもしれませんが、こういった実際の利用シーンを考えた細かな機能を用意してもらえるというのは、開発側がユーザビリティをしっかり考えてくれている証拠だと思います。
低遅延ゲーミングモード
NUARL N10 Plusには、Qualcomm® aptX Adaptiveが搭載されており、これに対応するゲーミングモードを選択することができます。
このゲーミングモードはaptX Adaptiveに対応していないデバイスとの接続でも、コーデックに関わらず低遅延なワイヤレス通信ができるとされています。
僕はゲームをしないので動画視聴でゲーミングモードを利用してみましたが、通常モードとの違いは体感できませんでした。
このゲーミングモードがゲームをプレイする際にどれだけ有効か実証していませんが、個人的にはあまり過度な期待はしないほうが良いのではないかと思います。
aptX AdaptiveはaptXの画質と音質を良質化した技術であって、通信速度をもとめるならaptX LL(Low Latency)を搭載するべきです。
しかし、完全ワイヤレスイヤホンに質と速さのどちらを求めるかと言えば、当然のように質となるためaptX Adaptiveが搭載されているんですね。
おそらく、音ゲーも遅延ストレスを感じずにプレイ出来るかと言えばそんなことは無く、それほど遅延にシビアでないゲームならストレスなく遊べるくらいに考えたほうが良いでしょう。
まとめ
NUARL N10 Plusは、2020年9月に発売されたN10 Proの兄弟機として、2021年4月23日に発売された完全ワイヤレスイヤホンです。
N10 Proは音質への評価が高かったものの、初期ロットにワイヤレス接続性能が設計値より低い製品が混入してリコールが発生し、製品への評価を下げてしまった経緯があります。
このようなこともあって、N10 PlusはNUARL Nシリーズのブランドイメージを再構築するために投入された戦略商品であるといえるでしょう。
N10 Proと同じ10mm PTT振動版採用ダイナミック型フルレンジ “NUARL DRIVER”[N10]v3モジュールと米国T.B.I社の特許技術HDSS®を採用し、音質と音場のベースは継承。
ただし、より低音を重視したチューニングを行ったことで、ダイナミックで切れの良い音質を楽しむことができるイヤホンに仕上がっています。
また、NUARL N10 Plusは新たにマルチポイントに対応したことにより、テレワークでの使い勝手が飛躍的に向上しています。
若干残念なのは、マイク性能がそれほど高くないこと。
会議室や自室など周辺ノイズがあまり気にならない場所での使用なら問題ありませんが、オフィスの自席やカフェなどでの使用では、相手にノイズがうるさいと感じさせてしまうでしょう。
聴くことがメインなら間違いなくおすすめの1台ですが、話すことも重要だと考えるなら、どこで使用することが多いのかを考慮に入れて頂きたいと思います。
















