ゼンハイザーから、新たなフラッグシップモデル MOMENTUM True Wireless 3 が2022年5月20日にリリースされました。
MOMENTUM True Wireless 2で完全ワイヤレスイヤホンの音質に対する考え方を根底から覆したゼンハイザーですが、本作では音質・通話品質・ノイキャン性能など全てにおいて前作より更なる高みを目指した取り組みがふんだんに取り入れられています。
まず注目すべきはDAC・ANC・外音取り込みの制御用に、専用のデジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)を搭載したことで、音質の向上とノイズの低減に大きな効果が発揮されています。
BluetoothコーデックではaptX™ Adaptiveに対応したことにより、より高音質・低遅延でコンテンツを楽しむことができるようにもなりました。
また、前作では弱いと言われていたノイキャンは、ハイブリッド&アダプティブノイズキャンセリングの採用により大きく進化。
さらにマイクも製作するゼンハイザーらしく、6マイクを採用した通話品質も大きく向上し、自分の声をかなりクリアに相手に伝えることができるようになりました。
MOMENTUM True Wireless 3を実際に使ってみて感じたことは、「やっぱりゼンハイザーってすごいんだな…」という一言に尽きます。
今回は、そんなゼンハイザー MOMENTUM True Wireless 3について余すところなくレビューしていきたいと思います。
もちろん良いところばかりではなく若干不満な点もありましたので、そうした点もお伝えしていきます。

<div class=”simple-box5″><p>※ファームウェアver.2.10.19アップデートでマルチポイントに対応しました。</p></div>
【良い点】
〇音質は圧巻のひと言!迫力と繊細さが同居したクリアサウンド
〇ノイキャン性能が前作より大幅にアップ
〇テレワークにも積極的に使える高い通話品質
〇高音質・低遅延のaptX™ Adaptiveに対応
〇マルチポイントに対応
〇ファブリック素材を使った高級感のある充電ケース
【イマイチな点】
✖ノイキャン強度のマニュアル変更機能なし
✖外音取り込みモード時にホワイトノイズが気になる
✖イコライザーが3バンド
Contents
MOMENTUM True Wireless 3のデザインと装着感
MOMENTUM True Wireless 3のデザインと装着感を確認していきましょう。
MOMENTUM True Wireless 3の本体と充電ケース
MOMENTUM True Wireless 3の充電ケースは、前作同様ファブリック素材を使った高級感のあるデザインになっています。

このデザインは持っているだけで所有欲を満たしてくれる特別感があるので、個人的には大きく変更されなくて良かったなと感じています。
前作は充電用ポートが背面に配置されていましたが、MOMENTUM True Wireless 3では前面に変更されていますね。
ちなみに前作と比べると大きさもひとまわり小さく、コンパクトになっています。

イヤホン本体は前作からデザインが刷新され、CXシリーズのようなスクエアタイプで、さらに質感を高めたような雰囲気になっています。

もっとも大きな変更点は、小ぶりながらイヤーフィンが装着されたことでしょう。
こちらも前作と比較してみると少しずんぐりした印象ですが、体積は16%ほど小型化しているとのことです。

カラーバリエーションはブラックとホワイト、Amazon限定カラーのグラファイトの3色展開で、ホワイトのみ夏以降にリリース予定となっています。

ホワイトが欲しい方はリリースが待ち遠しいですね。
MOMENTUM True Wireless 3の装着感
MOMENTUM True Wireless 3は、イヤーフィンが付いたことで装着安定性がかなり良くなっています。

イヤホン本体の大きさは大きくも小さくもなくといったところですので、「イヤホン着けてるなー」という多少の圧迫感みたいなものはあります。
しかし、価格・音質共に比較対象になるSONY WF-1000XM4やTechnics EAH-AZ60に比べると圧迫感の少ない、軽めの装着感だと感じました。

イヤーフィンも小さ目なデザインですので、耳の小さな女性でも違和感なく装着できると思います。
MOMENTUM True Wireless 3の音質と通話品質
MOMENTUM True Wireless 3の音質と通話品質をチェックしていきましょう。
MOMENTUM True Wireless 3の音質
MOMENTUM True Wireless 3で、ユーザーの満足度が最も高いのが音質でしょう。
低音から高音まで、非常に迫力がありながら透明度が高く、広い空間で音が躍っているかのような美しいサウンドを奏でてくれます。
MOMENTUM True Wireless 3がここまで音質を高められたのは、大きく2つの新しい試みがこのイヤホンに盛り込まれているからです。

ひとつめは、DACとANC、外音取り込みの制御をつかさどる独立したデジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)を搭載したこと。
音にかかわる信号を専用のチップで処理・制御することにより、音質の向上とノイズの低減が「音を聴く」という機能に相乗効果をもたらしていると感じられます。
もうひとつは、10万円程度で販売されているゼンハイザーの有線イヤホンIE600と同じ「アコースティックバックボリューム機構」を搭載したこと。
技術的な構造はさておき、歪みやノイズを抑えて自然でなめらかな音質にする効果があるということで、とくに低音域と中音域の分離感を向上させるそうです。
MOMENTUM True Wireless 3の音質イメージは以下の図の通りで、ほぼフラットながら前作と比較すると若干低音の量感が多く硬質寄りなサウンドだと思います。

低音は深く沈みこんでから浮き上がってくるような躍動感があり、しかもキレの良いタイトさがあるのでボーカルをはじめとする中音域との明瞭な分離感があります。
中音はボーカルの立ち位置が近くかつ鮮明、アコースティックギターをはじめとする弦楽器の響きが艶やかで、音の一粒一粒が耳に心地よく感じられます。
高音は刺さりを感じることのないギリギリのところで制御された感のある煌めきというか、情報量の多さをうるさく感じない絶妙のチューニングといった感覚です。
また、音場が広いのもMOMENTUM True Wireless 3の特長で、透き通った空間が自分を中心に大きく広がっている感覚に包まれます。
このため、低音の沈み込みや音の広がり、高音の抜けなどのスケールがとても大きく感じられ、青空の下で明るい曲を聴くと広い草原にでもいるかのような錯覚に陥るほどです。
さいごにMOMENTUM True Wireless 3で音楽を聴く楽しみの1つとして、アダプティブノイズキャンセリングをONにした時の音質の良さに触れておこうと思います。
専用DSPを搭載したことによりANC ON時のホワイトノイズがほぼ感じられないので、ノイキャンの強さとはまた違った「静寂」から音楽がスタートするのを体感できます。
これは今回MOMENTUM True Wireless 3を使ってみて気が付いたことで、この製品を選択することで得られる大きなメリットの1つだと思います。
MOMENTUM True Wireless 3の通話品質
MOMENTUM True Wireless 3は片側3×2、左右合計6基のマイクが搭載され、通話品質もかなり高くなっています。
6基のうち4基はビームフォーミングマイク、あとの2基はノズル内に設置されたイヤーチャンネルマイクと呼ばれるもので、体内を伝わってくる低音を集音するマイクだそうです。
このイヤーチャンネルマイクとビームフォーミングマイクの組合せにより、騒音の多い場所でも自分の声を相手にクリアに伝えることができるとのこと。
では、実際にどの程度の実力なのかということでマイクテストを実施してみました。
マイクテストは夕方のカフェ、着席率はほぼ満席、BGMもそれなりの音量で流れているかなり厳しい環境です。
【MOMENTUM True Wireless 3 通話品質】
MOMENTUM True Wireless 3の通話品質は、かなり高いレベルにあることをお分かりいただけるかと思います。
BGMも周囲のざわつきもある程度聞こえますが、自分の声にしっかりマイクがフォーカスされていて、周辺ノイズに邪魔されて聞き取りずらいというところが一切ありません。
実際には周辺ノイズはかなり大きかったという印象なので、ここまで自分の声がはっきり聞こえることに自分でも驚いています。

先週GLIDiC TW-4000sをレビューした際に、かなり通話品質が高いと思ったんですが、それと比較するとMOMENTUM True Wireless 3の良さが際立ちますね。
まぁ、価格で5倍近くの開きがあるので当然といえば当然なんですが、通話品質が良いと思った機種でも、低価格帯と高価格帯ではその良さに違いがあるということを実感します。
これなら自宅はもちろん、オフィスの自席からのリモートミーティング参加も全く問題ないでしょう。
また、カフェなどでのビジネス通話に関しても、相手に不快感を与えることなく会話ができるレベルだと思います。
MOMENTUM True Wireless 3のANCと外音取込み性能
MOMENTUM True Wireless 3のノイズキャンセリング性能と外音取り込み性能をそれぞれチェックしていきましょう。
MOMENTUM True Wireless 3のANC性能
MOMENTUM True Wireless 3のアクティブノイズキャンセリングは、ハイブリッド&アダプティブノイズキャンセリングを搭載し、性能が前作より大きく向上しています。

まず、アダプティブノイズキャンセリング(=ANC)をONにして驚かされるのは、ホワイトノイズが全く感じられないこと。
個人的に、高級ワイヤレスイヤホンといわれる製品でも、ANCをOFFからONに切り替えれば多少なりともホワイトノイズが感じられるのは致し方ないと思っていました。
しかし、MOMENTUM True Wireless 3はANC ONによって、圧倒的な静寂に包まれるような感覚があります。
たとえば自宅やカフェなど、それほどノイズの溢れていない環境下でANCをONにすると、静寂の中に音楽が浮き上がってくるようなイメージで、没入感がハンパないです。
いっぽうでMOMENTUM True Wireless 3のノイキャンの強さ自体は、SONY WF-1000XM4やAirPods Proには一歩及ばないレベルだと思います。
ただし、強力なANCを搭載したイヤホンを使ったことがないユーザーが電車内などでMOMENTUM True Wireless 3を使えば、十分すぎるノイキャン性能だと感じるはず。
このようにMOMENTUM True Wireless 3のノイキャン性能は実用的には十分なレベルだと思いますが、個人的には残念な点が1つあります。
アダプティブノイズキャンセリングは周囲のノイズに合わせてノイキャンレベルを自動調整してくれるので便利ではあるんですが、自分は常時レベルMAXで使いたい派。
アダプティブノイズキャンセリングのON/OFF切替が可能で、ノイキャンレベルのマニュアル調整ができればなお良かったんですが…。
贅沢な悩みではありますが、ここはファームウェアのアップデートで是非対応して欲しいと思います。
なお、Momentum True Wireless 3も含めて、ノイズキャンセリング機能が優秀なイヤホンのランキング記事もありますので、よろしければご覧下さい。
MOMENTUM True Wireless 3の外音取り込み性能
MOMENTUM True Wireless 3の外音取り込みモード(トランスペアレントモード)は、周囲の音がとても自然に聴こえ、高いレベルにあると感じています。
ただし、常時外音取り込みモードを利用するユーザーの場合はホワイトノイズが気になる可能性が高いので、そのような使い方をするなら試聴することをおススメします。
アクティブノイズキャンセリング同様、個人的には外音取り込みモードではホワイトノイズは多かれ少なかれ発生するものと思っています。
ただ、ANC ONでのホワイトノイズがほとんどしなかったので、外音取り込みモードも同じかなと期待したんですが…。
残念ながら、外音取り込みモードではANCとは逆にホワイトノイズが若干気になるので、肩透かしを食らったようで少し残念に感じました。
専用アプリでは外音取り込みの強弱と、音楽などのコンテンツを再生したままにするかストップするかを選択できるようになっています。

外音取り込みレベルは、実際に試してみると上の画像くらいに調整したときに周囲の音が最も自然に聞こえるように思います。
また、外音取り込みモードを使うのはコンビニのレジや乗り物での車内放送など人の声を聞きたい時でしょうから、「Pause Music」が選択できるのは大きなメリットですね。
MOMENTUM True Wireless 3の専用アプリ
MOMENTUM True Wireless 3は専用アプリで様々なカスタマイズができるようになっています。
MOMENTUM True Wireless 3のアプリ画面
MOMENTUM True Wireless 3には専用アプリ「Sennheiser Smart Control」が用意されており、自分の使いやすいように様々なカスタマイズができるようになっています。
アプリトップ画面は以下の画像の通りで、比較的情報量の少ないシンプルなつくりになっています。

できればイヤホン本体のバッテリ―残量は左右別に表示して欲しかったのと、どのイコライザー、どのモードを選択しているのか一目でわかるようになっていればより使い勝手が良かったのではないかと思います。
アプリは下にスクロールすると様々なカスタマイズメニューがウィジェットとして並んでいて、それぞれ表のような機能が搭載されています。
| メニュー | できること |
|---|---|
| イコライザー | 6種類のSennheiserプリセットが用意されており、完全カスタマイズも可能 |
| SoundCheck | 3種類の中から自分好みの音質を選択することが可能 |
| トランスペアレントモード | 2種類(With Music or Pause Music)外音取り込みモードの選択、外音取り込み強度の調整が可能 |
| アダプティブノイズキャンセレーション | アクティブノイズキャンセリング ON/OFF切替、風切音の防止モードの選択が可能 |
| SoundZone | あらかじめ設定した場所に入ると自動でノイキャンなどモードや音質の変更が可能 |
| タッチコントロール | イヤホン本体のタッチコントロールカスタマイズが可能 |
以下、これまで取り上げていないアプリメニューについて簡単に解説します。
MOMENTUM True Wireless 3のイコライザー
MOMENTUM True Wireless 3のイコライザーには、Rock・Pop・Dance・Hip Hop・Classical・Movieの6種類のプリセットとカスタムが用意されています。

6種類のプリセットがどのようなイコライジングになっているかは、各プリセットをタップすると見ることができます。
まずはプリセットから好みに近いものを選んで、あとはカスタムで微調整をして新規プリセットとして保存しておけば良いでしょう。
また、カスタムイコライザーを下にスクロールすると、低音を強化する「バスブースト」と声を聴こえやすくする「ポッドキャスト」が用意されています。
イコライザーは3バンドでもこれだけの音質なのですから「まぁ、いいか」って感じですが、欲をいえば5バンドにしてほしかったなぁと。
できればファームウェアのアップデートで対応して欲しいところですね。
MOMENTUM True Wireless 3のSound Zone
MOMENTUM True Wireless 3のアプリには、自分の設定したエリアに入るとノイキャンのON/OFFやイコライザーを自動で変更してくれるSound Zoneという機能があります。

アプリの地図上でSound Zoneを設定したい場所とエリアの半径を決め、そのエリアに入った時とエリアから出る時のノイキャンのON/OFFとイコライザーを選択すればOK。
あとはアプリに位置情報の共有を許可しておけば、事前にSound Zoneで選択したエリアに入るとノイキャンとイコライザーの設定が切り替わります。
MOMENTUM True Wireless 3のタッチコントロール
MOMENTUM True Wireless 3は、アプリメニューでタッチコントロールのカスタマイズができるようになっています。
デフォルトの設定は以下の通りですが、操作しずらいと感じたらカスタマイズしちゃいましょう。
| 動作 | 左 | 右 | |
|---|---|---|---|
| 音楽 | 1回押し | トランスペアレンシーモード ON/OFF | コンテンツ 再生/停止 |
| 2回押し | 前の曲に戻る | 次の曲にスキップ | |
| 3回押し | ANC ON/OFF | 音声アシスタント起動 | |
| 長押し | ボリュームダウン | ボリュームアップ | |
| 通話 | 1回押し | 通話の応答/終了 | |
| 2回押し | 着信拒否 | ||
タッチコントロールのカスタマイズは、タッチ1~3回、長押し全て任意の操作を割り当てることができるようになっています。

たとえば上の画像のように、右イヤホンの2回タップに割り当てられている「次のトラック」をタップすると、2回タップに割り当てることができる操作がポップアップします。
かなりカスタマイズ性が高いので、これなら直感的にイヤホンを操作することができるよう変更することが可能です。
MOMENTUM True Wireless 3の機能
MOMENTUM True Wireless 3には、アプリだけでなくハードウェアとしても優れたの機能が搭載されていますので、そこもチェックしておきましょう。
MOMENTUM True Wireless 3はaptX™ Adaptive対応
MOMENTUM True Wireless 3は高音質・低遅延のBluetoothコーデック、aptX™ Adaptiveに対応しているのが大きなメリットでしょう。
完全ワイヤレスイヤホンは、スマホなど接続するデバイスとの間でBluetoothによって音のやり取りを行います。
このBluetoothにはコーデックという伝送方式の種類があり、それによって音質の善し悪しや音の遅延の度合いがある程度決まってしまうんですね。
代表的なBluetoothコーデックは以下の表の通りで、MOMENTUM True Wireless 3はSBC、AAC、aptX™、aptX™ Adaptiveに対応しています。
| コーデック | 音質と特長 | 量子化ビット数/サンプリング周波数 | ビットレート | 遅延 |
|---|---|---|---|---|
| SBC | Bluetoothを搭載した機器は必ず対応している。SBCの音質を★と仮置きして他のコーデックと比較してみます。 | 16bit/48KHz | 64kbps~328kbps | 0.22秒前後 |
| AAC | 音質は★★。iPhoneやiPadのコーデックはAACが優先され、AACが使えない場合はSBCで接続される。 | 16bit/48KHz | 詳細は非公開につき推定値 128kbps 256kbps(可変) 328kbps | 0.12秒前後 |
| aptX™ | 音質は★★。米Qualbommが開発したAndroid端末の標準仕様。AACと体感上の差はない。 | 16bit/48KHz | 352kbps@44.1kHz 384kbps@48kHz | 0.07秒前後 |
| aptX™ LL | 音質は★★。低遅延に特化したaptXのコーデックで、音ゲーやバトルゲームに最適。 | 16bit/48KHz | 352kbps@44.1kHz 384kbps@48kHz | 0.04秒前後 |
| aptX™ HD | 音質は★★★。aptXの高音質版コーデック。ビットレートを高め遅延を犠牲にした音楽用コーデック。 | 24bit/48KHz | 529kbps@44.1kHz 576kbps@48kHz | 0.13秒前後 |
| aptX™ Adaptive | 音質は★★★★。接続環境やアプリに応じてビットレートを自動で変化させるコーデック。今後主流になる可能性大。 | 24bit/96KHz | 276kbps~620kbps | 0.05秒~0.08秒程度 |
| LDAC | 音質は★★★★。SONY独自の超音質特化型コーデック。遅延が大きいためゲームや動画視聴には向かない。 | 24bit/96KHz | 330kbps/660kbps/990kbps | 1秒以上 |
【量子化ビット数とは】
音の大小をどのくらいの細かさで記録しているかを示したもの。数値が大きいほど音の大小が滑らかになり、より原音に近くなる。
【サンプリング周波数とは】
人の声などのアナログ信号をデジタル信号に変換するとき1秒間にどれだけ間隔で音を抽出するかを示したもの。数値が大きいほど原音に近い高音質になる。
【ビットレートとは】
1秒間にどれだけの情報を詰め込んでいるかを示したもの。数値が大きいほど高音質になるが、そのぶん遅延も大きくなる。
ちょっと難しいかもですが、CD音源は16bit/44.1kHzなのでaptX™ HD以上のBluetoothコーデックはCD以上の音質、つまり「ハイレゾ」というものになります。
Bluetoothコーデックの中で最も高音質なのはLDACですが、遅延が1秒以上と音楽専用なのに対して、aptX™ Adaptiveは高音質・低遅延という万能型。
利用するコンテンツや接続環境によってビットレートを調整してくれるので、途切れにくく楽しみたいコンテンツに合わせてイヤホンのポテンシャルを引き出してくれます。
ただし、MOMENTUM True Wireless 3を接続するスマホなどのデバイスもaptX™ Adaptiveに対応している必要があるので注意しましょう。
たとえばiPhoneなどのApple製品はSBCとAACにしか対応していませんし、Android端末も古い機種や低価格帯の製品はaptX™ Adaptiveに対応していません。
aptX™ Adaptiveの恩恵を受けられるかどうかは、まず接続予定のデバイスの仕様を確認することが必要となります。
MOMENTUM True Wireless 3はIPX4の防水性能
MOMENTUM True Wireless 3はIPX4の防水性能を備えています。

IPX4は「いかなる方向からの水の飛沫によっても有害な影響を受けない」という防水レベルなので、急に雨に降られて多少濡れたり、ジムで汗をかいたりするくらいなら大丈夫。
ただし、充電ケースは防水ではないので、濡れたイヤホンをそのままケースに戻すのは厳禁です。
雨に濡れた場合にはタオルなどで水分をふき取って、すこし乾かしてから充電ケースに戻すようにすると故障の防止になりますよ。
MOMENTUM True Wireless 3はワイヤレス充電対応
MOMENTUM True Wireless 3はQi規格のワイヤレス充電に対応しています。
別にUSBケーブルでの充電で良いんじゃないって方もいらっしゃると思いますが、ワイヤレス充電の便利さは一度経験すると後戻りできない中毒性がありますからね。
とくにワイヤレスイヤホンの場合、付属のUSB-Cケーブルが短いので電源コンセントの位置によっては微妙に使いずらかったりするんですよ。
充電しようとするとケーブルに引っ張られてケースが斜めに浮いたりして、なんか座りが悪くてもやもやするといった感覚的なものではあるんですが…。
まぁ、ワイヤレス充電はあると便利という程度のものですが、普段スマホなどはワイヤレス充電だというユーザーにとっては大きなメリットを感じられる機能ではないでしょうか。
MOMENTUM True Wireless 3のレビューまとめ
それでは最後にMOMENTUM True Wireless 3の総合評価を整理してみましょう。
| 評価項目 | Impression | Score |
| 通話品質 | オフィスなどでビジネスにも使用可能 | 4.6 |
| 低音 | タイトで迫力があり分離感も十分 | 5.0 |
| 中音 | ボーカルが近く艶やかで透明感がある | 5.0 |
| 高音 | 耳に心地よい煌めきのある高音 | 4.8 |
| ANC性能 | 最強には一歩及ばないが実用性は十分 | 4.7 |
| 外音取込み | 音質は自然だがホワイトノイズが気になる | 4.4 |
| アプリ機能 | 機能は十分だがウィジェットデザインがイマイチ | 4.6 |
| 機能加点 | aptX™ Adaptiveに対応 | 5.0 |
| 機能加点 | マルチポイントに対応 | 5.0 |
| 総合評価 | 4.8 | |
MOMENTUM True Wireless 3を実際に使ってみて感じたことは、ゼンハイザーってホントすごいなということですね。
まず音質については、ゼンハイザーらしく一切の妥協を許さない職人魂みたいなものを感じます。
迫力がありつつタイトで分離感の高い低音、中高音の透き通るようなクリアさと粒立ちの良さ、それらが広い音場で踊っているかのようなサウンドとなっています。
今作で大きく進化したアダプティブノイズキャンセリングも、ノイキャンONでもホワイトノイズをほとんど感じないことが音楽への没入感をさらに高めてくれるのに一役買っています。
音質とノイキャンの進化は、DACとANC・外音取り込みの制御をつかさどる独立したデジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)を搭載した恩恵ですが、高レベルのアウトプットを出してくるところはさすが老舗メーカーといったところでしょう。
通話品質も6マイクを搭載することで大きく向上しており、ノイズの多い場所でも自分の声にしっかりフォーカスしてクリアな通話が可能になりました。
こんなこともできるのか!という目新しさはありませんが、完全ワイヤレスイヤホンに現在求められていることを最高レベルで表現するとこうなるというものを突き付けられたような感じですね。
MOMENTUM True Wireless 3は3万円オーバーと決して安いイヤホンではありませんが、所有すればそれだけの価値があることを実感できる1台であることは間違いありません。
















