Anker Soundcore Life A3iは、Ankerの完全ワイヤレスイヤホンとしてはエントリーモデルながらアクティブノイズキャンセリングと外音取り込みモードを搭載した製品です。
イヤホン本体重量4.7gと軽量なボディながらイヤホン本体の連続再生時間9時間、充電ケースもあわせれば36時間とバッテリーライフは必要十分。
急速充電やIPX5の防水性能も備え、気軽に使える低価格帯の完全ワイヤレスイヤホンとしては非常に充実したパッケージに仕上がっています。
今回はそんなAnker Soundcore Life A3iを実際に使ってみた感想を徹底的にレビューしていきます。

【良い点】
〇ANC、アンビエントモード搭載
〇8バンドのカスタムイコライザー利用可能
〇22種類ものプリセットイコライザー利用可能
〇10分充電で約2時間再生可能な急速充電搭載
〇誤動作の少ない物理ボタン採用
【イマイチな点】
✖外音取り込みモードにすると低音が超ブーストされる
Contents
Anker Soundcore Life A3iのデザインと装着感
Anker Soundcore Life A3iの本体や充電ケースのデザインと装着感について確認していきましょう。
Soundcore Life A3iの本体と充電ケース
Soundcore Life A3iの充電ケースは、これまでのAnker製品にはあまり見られない縦に長い形状をしています。

AnkerはLibertyシリーズなど多くの機種に平たい充電ケースを採用していて、片手でふたを開けにくいというデメリットがありましたが、本機ではそれが解消されています。
サイズも手の中にすっぽり収まるコンパクトさで、ポケットに入れて持ち運んでも全く邪魔にならないのが嬉しいですね。

ふたを開けると上の画像の通り、幅と奥行きが出来るだけ短くなるようにイヤホン本体が収納できるよう設計されています。
また、イヤホン本体はマグネットでハウジングにしっかり固定されるので、ケースを横にしても充電されないというようなことはないでしょう。
イヤホン本体はフェイスプレートにかけて斜めに切れ上がっているので「取り出しにくいかな?」と思いましたが、実際には全く問題なくスムーズに取り出すことができました。

イヤホン本体のデザインは全て同色で統一され、フェイスプレート部分がマット調になっているので装着時の見た目にチープさは感じられないよう工夫されています。
フェイスプレート横にある突起は物理ボタンで、Soundcore Life A3iはタッチセンサーではなく、このボタンを押して操作します。
タッチセンサーはスマートな反面、タッチしたときに反応しなかったり、意図せずに触ってしまって誤動作を起こすというデメリットがあります。
物理ボタンだと反応しないとか誤動作ということがないので、操作上のストレスがないというのが大きなメリットとなります。
Soundcore Life A3iのカラーバリエーションはブラックとオフホワイトの2色。

売出価格6千円台でANCを搭載しており、原価率がかなり高いのではないかと思いますので、多色展開は難しかったのかなと思いますね。
高級感は感じられないものの、この価格帯としてはかなりしっかり作りこまれているので、性能や機能面を含めて考えれば満足のいくパッケージングだと感じます。
Soundcore Life A3iの装着感
Soundcore Life A3iは軽い装着感ながら、装着安定性はかなり高い完全ワイヤレスイヤホンです。
フェイスプレートの先端に穴が開いていますので、耳に差し込んでから少しひねるようにして、それが口元の方向になるようにすればピタッと安定しますね。
出典:Anker 製品ホームページよりまた、Soundcore Life A3iは本体シェルが薄い形状をしているため、イヤホンが耳から飛び出ているような見た目ではなく、非常にすっきりした印象なのもメリットの1つでしょう。
完全ワイヤレスイヤホンに色々な機能を搭載しようとすると、どうしても本体が大型化しがちですが、Soundcore Life A3iは機能を絞って小型化を実現した印象です。
とはいえ、「これは外して欲しくない」といった機能は搭載されていますので、いわゆる「ちょうど良いイヤホン」といえるのではないかと思います。
Anker Soundcore Life A3iの音質と通話品質
Anker Soundcore Life A3iの音質と通話品質をチェックしていきましょう。
Soundcore Life A3iの音質
Soundcore Life A3iは、Ankerらしく低音と高音が強めのいわゆる「ドンシャリ」で、とくに低音が厚めの音質です。
デフォルトのチューニングだと若干低音がボアつく感じがありますが、それが気になる場合は専用アプリのカスタムイコライザーで低域を下げる調整をすれば良いでしょう。
また、低音や高音の押し出しが強いので、自分としてはボーカルを中心とする中音と超高音が少し後ろに隠れたように聴こえる感覚があります。
ただ、これも下の画像のようにイコライザーで調整可能。

このようにSoundcore Life A3iの音質は下の画像の通り基本「ドンシャリ」ですが、専用アプリの8バンドカスタムイコライザーである程度チューニングすることが可能になっています。

なお音場について気付いたこととして、下方向はそれほど広くはなく、目や耳の位置を底とした頭上方向への半円状に形成されているような感覚があります。
不自然に感じるわけではありませんが低音の沈み込みには限界があるので、より良質な低音を感じたいという方はもう少し上のクラスの製品を検討することをおススメします。
ただし6千円台という売出価格を考えると、個人的には音質・音場ともに十分以上に満足できるレベルで、実際に使ってみて「さすがAnker!」だと感じました。
Soundcore Life A3iのマイク性能
Soundcore Life A3iにはAIノイズリダクション機能の付いたマイクが片側2基、合計4基搭載されていて、周囲の雑音を除去するとされています。
少し前に通話品質の良いTWSとして記事にしたGLIDiC TW-4000sにも同じような機能が搭載されていました。
Soundcore Life A3iのAIノイズリダクション機能の実力はいかにということで、恒例のマイクテストを実施してみました。
着席率8割ほどの夕方のカフェで、BGMも流れている状況でのマイクテストです。
【Anker Soundcore Life A3i マイクテスト】
この価格帯としては、Soundcore Life A3iの通話品質はかなりレベルが高いということがお分かりいただけるのではないでしょうか。
人の話し声やBGMは若干混入していますが、AIノイズリダクションがそれなりに機能していることがマイクテストからうかがえます。
BGMの歌声をはじめとする周囲の人の話し声は混入していますが、それもある程度抑制されていて、自分の声がしっかり前に出てきていますね。

ただし、声にエコーがかかったようなところがあり、語尾が若干聞き取りにくいというのが惜しい点でしょうか。
そういった意味では満席のカフェなど、人の話し声の多い場所でのビジネス通話は控えたほうが賢明でしょう。
いっぽうで自室やオフィスなど周囲の人の話し声が少ない場所なら、Life A3iはビジネス通話やリモートミーティングで使えるだけの性能は備えていると思います。
Anker Soundcore Life A3iANCと外音取り込み性能
Anker Soundcore Life A3iのアクティブノイズキャンセリング(=ANC)と外音取り込み性能についてチェックしていきましょう。
Soundcore Life A3iのANC性能
Soundcore Life A3iのアクティブノイズキャンセリングはそれほど強いものではなく、強力なノイキャン機が欲しいと思っている方は期待外れだと感じるかもしれません。
ただし、人の声など中~高域ノイズはANC ONにしてもそれなりに聞こえてきますが、エアコンのモーター音や電車の走行音など低域ノイズにはそれなりの効果は認められます。
ANCへのモードチェンジはイヤホン本体か専用アプリでの操作となりますが、ノイキャンの強さを調整する機能は備わっていません。

なお、Soundcore Life A3iのノイキャン性能自体はそれほど高いものではありませんが、いっぽうでANC ONで音質にほとんど変化がないというメリットがあります。
高価格帯のイヤホンでもノイキャンを使うと低音が増すという現象は起こりますが、低価格帯で強いノイキャン性能を持つイヤホンの場合、その度合いが激しくなる傾向にあります。
なかには音質のバランスが崩れるほど変化の激しい製品もあり、イコライザーをいじっても好みの音質に調整しきれないなんてことも…。
そういった意味では、Soundcore Life A3iのノイキャンは低域ノイズには効果がありますし、音質変化がないということを考えると実用的には合格点だと思います。
もし、同価格帯でもっとノイキャンが強い機種が欲しいということなら、以前レビューしたEarFun Free Pro 2がおススメですので、以下の記事をチェックしてみてください。
Soundcore Life A3iの外音取り込み性能
Soundcore Life A3iの外音取り込みモードは、外音を聴くには実用的に何の問題もないレベルなんですが、コンテンツの音質変化が激しいというデメリットがあります。
外音については、イヤホンをしていないくらい自然に周囲の音が聴こえるというほどではありませんが、コンビニのレジなどで使ったみた感じでは、店員さんとの会話が聞こえにくいといったことはありませんでした。
なお、ノイキャンと同じく外音取り込みモードもレベルを調整することはできません。
いっぽうで音楽を流したまま外音取り込みモードにすると、低音が超ブーストされたような音質になり、とてもじゃないけどそのまま聴いていられないほど。
イコライザーで調整すれば…というレベルではなく、ここまでくるとソフトの不具合ではないかと感じてしまいます。
おそらくファームウェアのアップデートで不具合対応してくるのではないかと予想されますが、Ankerにしては珍しいなと思います。
外音取り込みモードを使うのはコンビニのレジくらいという方は気にしなくても良いかもしれませんが、頻繁に使用するという方はアップデートでの改善を確認してから購入したほうが良いでしょう。
Anker Soundcore Life A3iの専用アプリ
Anker Soundcore Life A3iは低価格イヤホンながら、さすがAnkerといった感じで専用アプリが用意されています。
Soundcore Life A3iアプリホーム画面とメニュー
Soundcore Life A3iはAnkerのワイヤレスイヤホン向けの専用アプリ「Soundcore」を使うことができます。
このアプリはSoundcoreシリーズ共通のもので、高価格帯の製品になるほど利用できるメニューが多くなります。
Soundcore Life A3iで利用できるメニューは、モード設定、イコライザー、イヤホン操作のカスタマイズの3つ。

モード設定はノイズキャンセリング、外音取り込み、標準(オフ)の3つのいずれかを選択できるというもので、アプリ画面もしくはイヤホン本体操作でも切り替え可能です。
ANCと外音取り込みモードは前の章で解説していますので、ここではイコライザーとイヤホン操作のカスタマイズについて触れていきます。
豊富なプリセットイコライザー
Soundcore Life A3iには、8バンドのカスタムイコライザーが用意されていることは音質のところで触れましたが、そのほか22種類ものプリセットイコライザーを使うこともできます。

アプリトップ画面のイコライザーをタップすると「プリセット」と「カスタム」が選べるので、プリセットをタップするとメニューに遷移します。
デフォルトの音質には低音をブーストする「BassUp」ボタンがあり、その下にはアコースティックやクラシックなど曲に合わせて選択可能なプリセットが並んでいます。
Soundcoreのプリセットは種類が豊富なことが大きなメリットで、以下の通り22通りが用意されています。
デフォルト、デフォルトBassUp、アコースティック、ベースリデューサー、クラシック、Podcast、ダンス、ディープ、エレクトロニック、フラット、ヒップホップ、ジャズ、ラテン、ラウンジ、ピアノ、ポップ、R&B、ロック、小型スピーカー、話し言葉、トレブルブースター、トレブルリデューサー
プリセットの良いところは、イコライザーをどういじればどんな音質になるかを学習できること。
曲のジャンルごとにプリセットを数種類試してみて、自分の好みに近いプリセットをベースにカスタムイコライザーでアレンジするというのが結構楽しんですよね。
Soundcore Life A3iの本体操作
Soundcore Life A3iは、イヤホン本体の物理ボタンでコンテンツの再生や通話の操作ができるようになっています。
デフォルトの操作は以下の通りで、左右のボタン1回、2回、長押しに操作が割り当てられています。
| 動作 | 左 | 右 | |
|---|---|---|---|
| 音楽 | 1回押し | 音量DOWN | 音量UP |
| 2回押し | 次の曲にスキップ | 再生/停止 | |
| 2秒長押し | モード切替(ANC/標準) | ||
| 通話 | 1回押し | 着信応答 | |
| 2回押し | 通話終了 | ||
| 2秒長押し | 着信拒否 | ||
個人的には1回押しに再生/停止をもってきたいので、アプリメニューの「コントロール」をタップして操作カスタマイズメニューを呼び出します。

遷移した画面の上部でシングルタップ、2回タップ、2秒長押しを選択し、画面下のLかRを選ぶと操作割当てメニューが開きますので、好みの操作を割り振っていきましょう。
2回タップと2秒長押しにはシングルタップには無い「音声アシスタント」と「モード設定」を割り振ることも可能です。

また、モード設定はデフォルトではノイキャンと標準の切り替えとなっていますが、外音取り込みモードにチェックを入れれば3つのモードが順番に切り替わるようになります。
Anker Soundcore Life A3iの機能
Soundcore Life A3iのハードウェア面での機能を確認してみましょう。
Soundcore Life A3iはIPX5の防水性能
Soundcore Life A3iはIPX5相当の防水性能を備えています。
IPX5の防水性能は「いかなる方向からの水の直接噴流によっても有害な影響を受けない」というもので、水流の弱い水道水で軽く水洗いするくらいなら大丈夫なレベル。
完全ワイヤレスイヤホンの防水性能ではIPX4が一般的で、これは水の飛沫(雨に濡れる程度)なら大丈夫とされているので、Soundcore Life A3iはそれ以上の性能ということ。
屋外やジムなどでも積極的に使いたいという方にとっては、IPX5の防水性能は強い味方になってくれるはずですよ。
Soundcore Life A3iは急速充電搭載
Soundcore Life A3iは、10分の充電で約2時間の音楽再生が可能な急速充電機能を搭載しています。
この急速充電って実際にイヤホンを使うと本当に便利に感じる機能で、とくにリモートミーティングなどが続くときなどに効果を発揮します。
ワイヤレスイヤホンでの通話は音楽再生より電池を使うので、通話時間は再生時間の6割程度とみておく必要があります。
Soundcore Life A3iの再生時間はノイキャンONで6時間なので、おそらく通話時間は3時間少々ではないかと思われます。
ありがちなのが、両方のイヤホンを装着してリモートミーティングに参加していて、バッテリーLOWの警告がでてしまうケース。
こんなときに、とりあえず片方のイヤホンを充電ケースに入れれば、10分の充電で1時間程度の通話は可能なはずなのでとっても安心。
Soundcore Life A3iは片方でも使えるので、通話時はどちらか片方のイヤホンを交互に使うようにすれば1日中リモートミーティングが続く場合でも電池切れの心配はありません。
Anker Soundcore Life A3iのレビューまとめ
それでは最後にAnker Soundcore Life A3iの評価項目を整理してみましょう。
| 評価項目 | Impression | Score |
| 通話品質 | 自宅やオフィスなどでビジネスにも使用可能 | 4.5 |
| 低音 | 迫力はあるがタイトさには欠ける | 4.2 |
| 中音 | ボーカルはやや控えめ | 4.0 |
| 高音 | 超高音は若干シャリツキを感じる | 4.1 |
| ANC性能 | 低域には効くがマイルドな性能 | 4.0 |
| 外音取込み | 取込音は問題ないが低音がブーストされた音質になる | 3.8 |
| アプリ機能 | 価格を考えると十分な機能 | 4.8 |
| 機能加点 | IPX5の防水性能 | 5.0 |
| 総合評価 | 4.3 | |
Anker Soundcore Life A3iは、2022年7月現在のSoundcoreシリーズの中ではエントリーモデルに位置づけられる製品です。
ただし、エントリーモデルとはいえどもさすがAnkerで、アクティブノイズキャンセリングと外音取り込みモードを搭載し、専用アプリも用意されています。
ノイキャンや外音取り込みモードは、高価格帯の製品ほどの性能ではないものの実用性は十分に認められるレベルで、むしろこの価格の製品に搭載されていることが驚きです。
また、音質や通話品質についても細かいところでは色々と指摘したくなる点はあるものの、それも価格を考慮すると十分に満足のいく仕上がりだと思います。
唯一の欠点は外音取り込みモードにしたときに、低音が超ブーストされたような音質になってしまうことで、これはファームウェアのアップデートが待たれるところですね。
なお、スティックタイプのイヤホンに抵抗がない方なら、音質やノイキャン性能などがワンランク上のSoundcore Life Note 3も候補に入れてみてはいかがでしょう。
Soundcore Life Note 3は2021年9月発売で、価格がかなり落ちてきているので狙い目でもあります。
















