Technics EAH-AZ60を購入してから1週間、純正のイヤーピースはもちろんのこと、市販のイヤーピースをあれこれ試してみました。
試したのは純正イヤーピース含めシリコン製のイヤピを8種類、ウレタン製を1種類で、やはりそれぞれ聞こえ方に特徴があります(2021年12月26日2種類追加)。
今後さらに種類を増やしていきますが、まずは純正+8種類の市販イヤーピースでAZ60を聞いた感想をご紹介します。
Contents
EAH-AZ60純正イヤーピースは7種類
EAH-AZ60を購入後、さっそくCHORD&MAJORでエージングしてから純正イヤーピースを使ってみました。
EAH-AZ60純正イヤーピースを使った感想
Technics EAH-AZ60にはイヤホン本体に装着されたMサイズの他に6種類、全部で7種類のイヤーピースが同梱されています。

Sサイズ以下は傘の高さが異なる2パターンのイヤーピースが用意されているんですね。
ちなみに自分はMサイズでピッタリなので、購入時に装着されていた状態で使用しました。
純正のイヤーピースを装着したイヤホン本体は以下の通りで、軸の中に耳垢除けのスポンジが入っているため軸の中に脱落防止のストッパーが設けられています。

傘の部分は非常に薄く柔らかいので、装着感は純正イヤーピースとしては良い方だと思います。
シリコン製のイヤーピースとしては低~中音域が厚めに聴こえるタイプで、高音の透明感も損なわれていないしシャリ付きも感じないので、これはなかなか良いなと。
ただ、なんというか低音がこもるような感覚があり、中音~高音のクリアで繊細な音もEAH-AZ70にはちょっと及ばないかなという印象でした。
特に低音のこもりは一度気になったら最後、どうにもいてもたってもいられなくなってしまい、手持ちの市販イヤーピースを試してみることにしたんですね。
EAH-AZ60純正イヤーピース改良版
本当は最後にしたかったんですが、先に結論から書いておきます。
本日現在、純正イヤーピースと最後に紹介しているCOMPLY Ts400を交互に装着して使っています(2021年12月26日にSpiral Dot++に変更)。
市販のイヤーピースをあれこれ試した結果、どれも悪くはないんですがどうもしっくりこなくて「んー…どうしよっかなぁ…」となってしまったんです。
で、「あぁ、そうか!純正イヤーピースを改良してみたら良い感じになるのでは?」と。
改良とか偉そうに言ってますが、ただ単に軸の中に入っているスポンジを外してしまうだけなんですけどね。
軸の中のスポンジは固定されていないので、針などで突くと簡単に外すことができます。

上の画像はEAH-AZ60の純正イヤーピースの軸の中からスポンジを取り出したものですが、このスポンジは外してみるとけっこう厚みがあることがわかりました。
このスポンジを外した状態で再度純正イヤーピースを装着したところ、こもるような感覚は無くなりましたので「原因はこれこれだったのか」とほぼ確信。
たしかにこれだけ厚みのあるものが軸の中に入っていれば、こもるように聴こえてもおかしくはないなと。
低音の厚みは若干減るものの、低音域が左右にダラッと伸びたような締まらない感じとこもるような印象は無くなり、全体的にタイトに引き締まった音質に変わりました。
ピアノやキーボード、アコギの音色はEAH-AZ70に近いものがあり、まずまず満足かなと(ハイハットはAZ70のあの音色には及びませんが…)。
そんなわけで、手持ちの市販イヤーピースをひととおり聴き比べてみた結果、「純正イヤーピース改」と低音に厚みが出るCOMPLY Ts400にいったん落ち着いているというわけです。
(2021年12月26日追記)
JVC Spiral Dot+をeイヤホンさんで購入して試してみたところ、これがドンピシャのドストライクでした。
本日、Spiral Dot++も手元に届きましたので、市販のイヤーピース紹介の最後に詳しいレビューを追記します。
EAH-AZ60と市販のイヤーピース
今回試してみたイヤーピースは6種類。
それぞれ感じたことを書いておきますので、EAH-AZ60のイヤーピース選びの参考にして頂ければと思います。
Spinfit CP100
SpinFit CP100は今回試したシリコンタイプの中では一番傘が高く、鼓膜の近くまで挿入されるタイプのイヤーピースです。

EAH-AZ60のブラックボディと赤い軸のコントラストが個人的には「カッコええなぁ…」と思っていたので、気に入った音質ならこれを使おうと思っていたんですが…。
正直、ちょっと高音が強調されすぎてシャリつきが激しく、イコライザーOFFでは聴けたもんじゃないなと思いました。
個人的にはこのイヤーピースはEAH-AZ60には合わないなという結論ですが、イコライザーで低域を強調して高域を絞るとドンシャリとしては聴けなくもない…かなぁ…。
EAH-AZ60には合いませんでしたが、お持ちのイヤホンの音質で「もう少し高音が欲しいな」と思われている方にはおススメのイヤーピースです。
SpinFit CP360
SpinFit CP360もCP100同様、非常に柔らかいイヤーピースですが、傘が純正品より低いつくりになっています。

非常に軽い装着感のイヤーピースで、イヤホン本体の装着安定感の高いEAH-AZ60との相性が良い製品だと思います。
傘も薄く柔らかいシリコンが使われているので、ワイヤレスイヤホンで耳が痛くなる心配がある方には試していただきたいイヤーピースです。
傘の低いイヤーピースなので、鼓膜までの距離が離れることにより高音がマイルドになり、フラットな音質に変化します。
Final TYPE E Blue
Final TYPE Eは、EAH-AZ60の純正イヤーピースより先端が細く、傘部が少しだけ高いつくりになっています。

シリコンは純正品より若干厚めですが、AZLA SendaEarfit Shortのような「硬いな」という感覚はなく、装着感と安定性のバランスが良いイヤーピースです。
このイヤーピースをEAH-AZ60に装着すると、中音がよりクリアになりボーカルが前に出てくるような印象をうけました。
高音が少しシャリつく感じがありますので、イコライザーで高域を少し絞ると良いと思います。
AZLA SendaEarfit Short
AZLA SendaEarfit Shortは、今回試してみた他のシリコン製イヤーピースと比べると、傘の部分が比較的硬めな製品です。

形状はEAH-AZ60の純正品と同じような形をしていますが、傘部が硬めなため装着時により強い安定感が得られます。
音質はギターとドラムをバランス良く鳴らしてくれる印象で、中~高音はSpinfitより若干マイルドな音色に変化する感じでしょうか。
EAH-AZ60の純正イヤーピースの音質を軽やかにした感じになりますので、BGM的に聴き流したいときなどには良いかもしれません。
NUARL Block Ear+
ワイヤレスイヤホンやHi-Resイヤホンを提供するブランド、NUARLのシリコン製イヤーピースも試してみました。

純正イヤーピースより軸が柔らかくて傘高が低くタイプですが、傘の柔らかさは純正と同じくらいの製品です。
高音の抜けが良くなったように感じるのと、中音域に厚みが出るぶん低音域と高音域が少し軽やかになったような印象です。
ボーカルがぐっと前に出てくるような感覚があるので、歌にフォーカスして聴きたいという場合に使うと良いかもしれません。
また、聴きごたえが軽くなるので、疲れた時などにチョイスしたいイヤーピースだと感じました。
COMPLY Ts400
さいごはウレタン素材のイヤーピース、COMPLY Ts400(アジアンフィット)を装着してみました。

すごく大きなサイズに見えますが、シリコン製のイヤーピースと違って指でつぶしてから装着するので、これでもSサイズなんですよね。
EAH-AZ60にアジアンフィットを装着するには、Ts200だと軸が細すぎますしTs500だと若干ゆるいので、Ts400をおススメします。
このイヤーピースを装着すると、純正イヤーピースの低音が横に広がってしまうような感覚が消え、タイトで深く重い低音に変化します。
低音を強調するにはイコライザーを調整するという方法が手っ取り早いのですが、AZ60専用アプリで100Hzを上げすぎると、音の輪郭がぼやけるように感じるので嫌なんです。
このTs400は装着するだけで低音の厚みが増し、高音のシャリつきを減衰してくれるので、EAH-AZ60の音質を全体的に低音寄りにスライドさせたい方にはおススメです。
【2021年11月7日追記】
COMPLY Ts400ですが、Mサイズを購入して装着したところ、充電ケースに格納は出来るものの充電器のハウジングと干渉してコネクタとの接触があまり良くないことが判明しました。
レビュー時はSサイズを使用しており、このサイズなら問題ありませんが、MサイズやLサイズですと充電できない可能性があるので避けたほうが無難です。
JVC Spiral Dot+、Spiral Dot++(追記)
JVC Spiral Dot++は前々から気になっていたんですが、1個600円という高級イヤーピースで、しかも4個入の商品しかないため買っていいものかどうか迷ってました。
そんなときにSpiral Dot+ならeイヤホンさんでバラ売りしているという情報を入手し、さっそく1セット購入して試してみたところ、これがドストライク。
シリコン製のイヤーピースとは思えないほど低音の量感が増しながら、EAH-AZ60の良さである高音域の繊細さはそのままに尖ったところのない音に変化しました。
このイヤーピースを使うと、純正イヤーピースでは高音の刺激が強く、COMPLY Ts400では低音だけが強調されてやぼったく感じるほどです。
傘部も非常に柔らかく耳に吸い付くような感覚があり、純正イヤーピースを長時間使うと耳が痛くなるという方にもおススメしたい商品です。
ただし、Spiral Dot+はJVC HA-FD01というイヤホン付属のイヤーピースをeイヤホンさんがばら売りで提供しているのみ。
価格は1個652円(2021年12月26日時点)なので4個買うと2,608円になりますから、これならSpiral Dot++のほうが安いと思い、こちらも購入して聴き比べてみました。

上の画像がJVC Spiral Dot+とSpiral Dot++を左右に並べたもので、どちらもMLサイズで、左がSpiral Dot+、右がSpiral Dot++です。
形状はほとんど同じですが、Spiral Dot+のほうが開口部先端のエッジがシャープかな?というのと、Spiral Dot++のほうが軸部が細めで、全体的にこころもち硬めです。

Technics EAH-AZ60に装着してみると上の画像の通りで、こちらも左がSpiral Dot+、右がSpiral Dot++ですが、ほぼ違いはありませんね。
両者を聴き比べてみても、私の耳ではほとんど同じに聞こえます。
強いていうなら、Spiral Dot++のほうがわずかに低音寄りになっているような気がするような気がしなくもない…かな?
装着感としては、より柔らかいイヤーピースがお好みならSpiral Dot+、純正品で違和感を感じていないなら耐久性を考慮してSpiral Dot++がおススメです。
イヤーピースに1個600円というと躊躇しがちですが、technics EAH-AZ60のポテンシャルを最大限引き出せるイヤピだと思いますので、是非お試しいただきたいですね。
なお、Spiral Dot+はeイヤホンの店舗かWEB本店でしか入手できません(eイヤホン WEB本店のリンクはこちら)。
EAH-AZ60のイヤーピースを選ぶ時の注意点
今回ご紹介した市販のイヤーピースは、どれもEAH-AZ60に装着することができ、充電ケースにも格納可能でした。
しかし、EAH-AZ60はステムが太めのイヤホンなので、軸の内径が小さいイヤーピースを装着するには若干苦労します。

前作のEAH-AZ70Wではステムが折れたというユーザーも少なからずいたようで、EAH-AZ60はステムが短く改良されています。
これだけ短ければ、イヤーピースの交換でステムが折れてしまうことはないと思いますが、交換のしやすさを考えると内径4.0mm以上の製品を選ぶべきでしょう。
ちなみに今回試したイヤーピースの軸の内径は以下の通りで、最も交換に苦労して装着をあきらめようかと思ったSpinFit CP360は、案の定3.6mmと最小径でした。
| 製品名 | 軸の内径 |
|---|---|
| SpinFit CP100 | 4.0mm |
| SpinFit CP360 | 3.6mm |
| Final TYPE E | 4.0mm |
| SendaEarfit Short | 4.5mm |
| COMPLY Ts400 | 4.0mm |
また個人的な好みではありますが、EAH-AZ60のイヤーピースは低音のボリュームを厚くする方向感のものを選ぶと良いという結論が導き出されました。
その理由は、今回のイヤーピース比較で高音域に寄せていくようなイヤーピースを選択すると、シャリつきが出るケースがあるということを感じました。
付属の純正イヤーピースはかなり優秀な出来栄えで、「純正イヤーピース改」なら低音~高音までバランスよく鳴らしてくれますが、もう少し低音寄りにスライドさせたい感じ。
今後、追加で購入したイヤーピースを装着した感想も順次書き足していきたいと思います。















