Jabra Elite 3は、2021年9月にJabra次世代モデルとして発表された3機種のうち、税込み9,900円と一番低価格なモデルです。
アクティブノイズキャンセリング(=ANC)は非搭載ですが、Jabraならではの高い通話品質と低音を重視したパワフルチューニングやクリアなサウンドが魅力な製品です。
とりわけマイクはこの価格帯としてはトップクラスの性能で、在宅でのテレワークはもちろん外出時の通話やオフィスからのwebミーティングでも使用できるレベルとなっています。
また、パッシブノイズキャンセリング効果の高い本体形状をしており、カフェなどで音楽を聴くぶんには周辺ノイズも気になりません。
ただし、コーデックがAAC非対応であり、Google Fast PairやSpotify ワンタッチ再生など、どちらかというとAndroidユーザー向けの仕様となっています。

Contents
Jabra Elite 3の通話品質と音質
Jabera Elite 3の通話品質と音質をチェックしてみました。
実際に使ってみて感じたのは、通話品質・音質ともに1万円を切るワイヤレスイヤホンのレベルを大きく超えているということ。
リモートミーティングやオンライン授業に積極的に使いたくなるような高い通話品質ですし、パワフルな低音が特徴的なサウンドもJabraらしいなと思います。
Jabra Elite 3のマイク性能
Jabra Elite 3は片側2マイク×2の4マイクとなっています。
Jabraホームページには通話について「これほどの高品質は必要ないのではと感じるほどです。」との記載がありますが、マイク性能に定評のあるメーカーだけに期待が膨らみます。
マイクテストはElite 3を視聴した店舗の中で実施しましたが、店内はBGMが流れていて10人程度の来店客がいるフロアで、それなりの周辺ノイズがありました。
【Jabra Elite 3 マイクテスト】
マイクテストを実施してみての率直な感想は、「さすがJabra!」のひと言につきますね。
ANC機能を搭載していないElite 3は、9月2日から税込み9,000円を切る価格で先行予約受付が始まっていますが、1万円以下でこのマイク性能は驚異的です。
周辺ノイズがそれなりにある店舗内でこの通話品質ですから、在宅でのテレワーク時はもちろん、社内ミーティングであればオフィスでの使用にも十分耐えられるでしょう。
また、Elite 3は大学生にも手が届きやすい価格ですし、中・高校生のお子さんの学校や塾などのオンライン授業用にプレゼントしても喜ばれると思います。
授業での発言や友達との通話くらいなら全く問題なく使えますしですし、デザイン・音質なども価格以上のできばえですからね。
なお、Elite3はJabra初の左右独立受信方式が採用されていますので、左右どちらでも片側だけでの使用が可能になっています。
Jabra Elite 3の音質
Jabra Elite 3の音質を語る前に、コーデックについて認識しておく必要があります。
Jabra Elite 3の対応コーデックはSBCとaptXのみで、iPhoneのAACには非対応なんですよね。
したがって、iPhoneとのペアリングではSBCでの接続となるので、Iphoneユーザーの私としては音質の低下が気になるところ。
結論から先に申し上げると、それほど気にならなかったものの高音域に若干物足りなさを感じたというのが正直なところで、これがコーデックのせいかもしれないと思っています。
Jabra ELite 3は低音をパワーアップしたチューニングとのことで、確かに聴いてみると低域が曲全体の土台をしっかり支えているような感覚があります。
ドンシャリというより、低音>中音>高音と音の厚みがピラミッドのようになっている印象で、なかでも低音の存在感がしっかりとしているなと感じました。
また、低音がパワフルではありながら中高音を邪魔するというわずらわしさはなく、低音~高音まで全域でクリアな音質です。
ロックやポップス、アニソンなどは聴いていて楽しいイヤホンだと思いますが、高音に厚みが無いというか若干軽い印象を受けました。
また、高音の抜けも悪くはないですがどこまでも突き抜けていくような感覚ではなく、このあたりがコーデックの影響なのか、そもそもそういう音質なのか疑問が残ります。
音場は横に広く、これも低音の存在感を際立たせるのに一役かっていると感じました。
コーデックの問題はありますが、1万円を切るという価格のイヤホンとしては十分満足できる音質で、ワンランク上のイヤホンと比較しても遜色のない仕上がりだと思います。
聴くこと・話すことがしっかりできる1万円以下の完全ワイヤレスイヤホンというジャンルがあるとすれば、Jabra Elite 3はトップクラスの製品であることは間違いありません。
Jabra Elite 3の外観と装着感
Jabra Elite 3の充電ケースとイヤホン本体、装着感などをチェックしていきましょう。
Jabra Elite 3の本体と充電ケース
Jabra Elite 3の充電ケースは幅64.15mm×高さ28.47mm×奥行き34.6mmとかなりコンパクトに設計されています。
Jabra Elite 85tの充電ケースが幅64.8mm×高さ28.5mm×奥行き41.1mmだったので、それと比較すると充電ケースの厚みが5mmほど薄くなった感じですね。

Elite 3はワイヤレス充電に対応していないので、小型化とトレードオフの関係なんでしょうが、USBケーブルでの充電で構わないのであれば小ささは正義となります。
このサイズならジーンズのポケットにも入りますので、厚みが減ったというのは大きなポイントになると感じました。
イヤホン本体もかなりコンパクトで、デザインも北欧メーカーらしくシンプルです。

Elite 65t~85tまで丸かった物理ボタンが扇形のようになったのは大きな変更点ですね。
ボタンの周囲が面取りされているので、装着するとさらに小さく感じます。
Jabra Elite 3のカラーバリエーションは4色で、ダークグレーのみ9月16日に先行販売、ライラックとライトベージュは10月7日からの発売となります。

現在のところ量販店ではネイビーの予約を受け付けていないようで、この色はいまのところAmazonから申込むしかなさそうです。
ライトベージュやライラックは女性ユーザーにも人気が出そうなライトカラーで、とくにライトベージュはどんなファッションにも合わせやすい色合いではないでしょうか。
Jabra Elite 3の装着感
Jabra Elite 3は非常に装着感の良い完全ワイヤレスイヤホンです。

耳との一体感が高く、装着しただけでノイズアイソレーション(パッシブノイズキャンセリング)の高さを実感することができました。
装着しただけで周囲のノイズがかなりカットされるので、カフェで音楽を聴いたり動画を見たりするぶんには全く問題ないと思います。
じつは、はじめて装着した後にイヤホンを外そうとしたとき「あれっ?取れない…」ってなったんですよね。
他のイヤホンなら、あたりまえのように本体をつまんでスッと外すことができるんですが、面取りの角度と耳との密着度の高さから1回でつまめなかったんです。
慣れもあるんでしょうが、ここまで耳との密着度が高いワイヤレスイヤホンは初めてですね。
もちろん頭を振っても落ちるような感覚は皆無です。
Jabraの完全ワイヤレスイヤホンは、これまでも密着度が高い製品だという印象がありましたが、Elite 3はさらにレベルアップしていますよ。
Jabra Elite 3の機能と操作性
さいごにJabra Elite 3の機能や操作性をみていきましょう。
上位機種のElite 7シリーズと比べるとアプリ機能がだいぶ簡略化されていますが、イコライザーやHearThroughなどは備わっています。
また、イヤホン本体操作は従来機種と同じく物理ボタンとなっていますね。
Jabra Elite 3の専用アプリ
Jabra Elite 3は専用アプリ「Jabra Sound+」が利用できます。
Jabra Sound+
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アプリは従来のElite 75tやElite 85tと同じJabra Sound+なんですが、Jabra Elite 3ではかなり機能が制限されているようです。
Jabra Elite 3がアプリで出来ることは以下の3つくらいしかありません。
【Jabra Sound+で出来ること】
・イコライザー(5つのプリセット+さらに追加予定)
・側音(自分の声を確認する機能)
・イヤホン紛失時のデバイスとの最終接続地点確認 など
アプリの基本画面では、ヒアスルーのON/OFFとプリセットされたイコライザーの選択が可能になっていますが、カスタマイズメニューはありません。

また、Jabra Elite 3にはヒアスルーの調整機能も付いていないのが少し残念ですね。
なお、基本画面の右上の歯車をタップすると以下の図の一番左の画面に遷移します。

ヘッドセット設定メニューがあるので、てっきり本体操作ボタンのカスタマイズが出来ると思っていたんですが、タップすると「通話体験」しか用意されていません。
これは通話中に自分の声を聴くことができる側音機能なんですが、ボタンカスタマイズには対応してほしかったですね。
Jabra Elite 3の操作性
Jabra Elite 3はイヤホン本体の物理ボタンで操作が可能です。
タッチセンサーは装着時などにちょっと触っただけで意図しない操作が入力されてしまうというデメリットがありますが、物理ボタンはそのような誤作動がほとんどありません。
必要と思われる操作はほぼプリセットされていますので、購入してすぐにガンガン使うことができますね。

| 動作 | 左 | 右 | |
|---|---|---|---|
| 音楽 | 1回押し | ヒアスルーON/OFF | 音楽再生/停止 |
| 2回押し | 選択したアプリもしくは音声アシスタントへのクイックアクセス | 次の曲にスキップ | |
| 3回押し | - | 前の曲に戻る | |
| 長押し | 音量DOWN | 音量UP | |
| 通話 | 1回押し | 受話/マイクミュート | 受話/マイクミュート |
| 2回押し | 着信拒否/通話終了 | 着信拒否/通話終了 | |
| 長押し | 音量DOWN | 音量UP | |
ボリュームのアップダウンはボタン長押しで調整しますが、音量の変化がそれほど急ではないので違和感なく操作をすることができました。
jabra Elite 3はボタンも上面全体にデザインされていることから、難なく操作することができます。
はじめて完全ワイヤレスイヤホンを扱う方でも操作しやすく設計されていて、機能とデザインがしっかり融合しているあたりはさすが北欧メーカーといったところでしょう。
Jabra Elite 3のおすすめ機能
Jabra Elite 3は1万円を切る価格ながら、これまでのJabraらしさと新しさの両方を感じさせる機能を搭載しています。
IP55の防塵・防水性能
Jabra Elite 3はIP55の防塵・防水性能となっています。
IPは防塵・防水等級の国際規格で、前の数字が防塵性能、後ろの数字が防水性能を表していて、防塵等級は0~6の7等級、防水は0~8の9等級があります。

防塵等級5は「機器の正常な動作に支障をきたしたり、安全を損なう程の量の粉塵が内部に侵入しない」レベルであり、家電品としては最高レベルの等級です。
また、防水等級5は「いかなる方向からの水の直接噴流によっても有害な影響を受けない」レベルで、弱めの水流で軽く水洗いする程度なら問題ありません。
Google Fast Pair・Spotify ワンタッチ再生
Jabra Elite 3はGoogle Fast Pairに対応しています。
Google Fast PairとはJabra Elite 3をandroid端末に近づけると端末画面に接続通知が表示され、それをタップするだけで接続が完了するという便利な機能です。
これならいちいち設定メニューのBluetoothペアリング画面を開く必要がないので便利です。
Google Fast PairはGoogle OS 6.0/Google Play 11.7以降が動作するAndroid端末で利用可能なので、このデバイスを利用しているユーザーにとってはうれしい機能ですね。
このほか、Android端末ではSpotify ワンタッチ再生にも対応しています。
jabra Elite 3 レビューまとめ
それでは最後にJabra Elite 3の総合評価と良い点、改善してほしい点を整理してみましょう。
| 評価項目 | Impression | Score |
| 通話品質 | 同価格帯トップクラスの通話品質 | 4.6 |
| 低音 | 力強くタイトな低音 | 4.7 |
| 中音 | ボーカルが近くクリアに響く | 4.5 |
| 高音 | 若干ボリューム不足 | 4.2 |
| アプリ機能 | EQやボタンのカスタマイズ機能なし | 3.8 |
| 機能加点 | 耳に吸い付くような装着感 | 5.0 |
| 総合評価 | 4.5 | |
✓Jabraブランドに恥じない高い通話品質
✓パワフルな低音とクリアな音質
✓立体感のある音像
✓ノイズアイソレーション性能の高さ
✓充電ケース・イヤホン本体共にコンパクトな設計
✓北欧メーカーらしいシンプルで実用的なデザイン
✓誤操作の少ない物理ボタンを採用
✓IP55の高い防塵・防水性能
✓高音が若干軽く感じられる(コーデック影響?)
✓コーデックがAACに非対応
✓ワイヤレス充電に対応していない
✓マルチポイント非対応
✓Jabra Sound+の機能がかなり制限されている
Jabra Elite 3は今回新たに発表された次世代Eliteシリーズの中ではエントリークラスの位置づけで、価格は税込み9,900円のANC機能非搭載モデルとなっています。
エントリークラスとはいえJabraの通話品質の遺伝子はしっかり受け継いでおり、マイクテストの結果からは非常に高い通話性能であることが確認できました。
また、低音に厚みを持たせたチューニングはロックやポップスなどのパワフルな曲を楽しむのに適していて、Jabraらしいクリアなサウンドも健在です。
ただし音質に関しては、なぜAACコーデック非対応というiPhoneユーザーを切り捨てるような仕様を採用したのか疑問が残ります。
日本では20年度でiOSのシェアが6割程度とAndroidを上回っていることを考えると、Androidシェアが高い中国や韓国をメインターゲットにしたということでしょうか。
また、マルチポイント非対応というのも非常に残念。
マルチポイントとは?
マルチポイントとは、2台のデバイスそれぞれ同時にBluetooth接続をしておくことができる機能です。Aのデバイスで音楽を聴いている時にBのデバイスに着信があったら、音楽を停止して電話を取れば自動的にBのデバイスの接続が優先されるというもの。いちいちBluetoothのペアリングをしなおしてデバイスを切り替える必要が無いので、スマホ2台持ちの方には超便利な機能ですよ。
個人的には、AACとマルチポイントに対応していれば自宅でのテレワーク用に即購入だったんですが、Elite 7 Proの詳細スペック発表を待って判断することにしました。
そういった意味では、Jabra Elite 3は「Androidユーザー、そしてマルチポイント機能は必要ないという方にはおススメのイヤホン」ということになりますね。
















