圧巻のハイコストパフォーマンス!
JVCから2020年11月に発売された完全ワイヤレスイヤホンで、同社初のアクティブ・ノイズキャンセリング(ANC)機能を搭載した製品。
実売価格1万円を切る製品としては驚きの完成度で、この価格帯で10mmドライバーユニットやANC、外音取り込みなど必要な機能は全て搭載。
音場の広がりこそ3万円前後の製品には及ばないものの、音の解像度や立体感はしっかりと感じさせてくれます。
マイク性能はこの価格帯の製品の中ではトップクラスで、総合的に判断しても良い買い物と感じることができるコスパの高いおすすめの製品です。

Contents
HA-A50Tの通話品質と音質をチェック
まずは、最も気になる通話品質と音質をチェックしていきましょう。
HA-A50Tのマイク性能
HA-A50Tの通話性能は、1万円以下の完全ワイヤレスイヤホンの中ではトップクラスだといえるでしょう。
この価格帯の製品だとマイクと離れて話しているように聴こえたり、周囲のノイズを拾いすぎたりというものが多いのですが、HA-A50Tは十分使用に耐えうる通話品質です。
この価格でここまで通話品質が良いとは予想していなかったので、正直びっくりしたくらい。
以下はオフィスの中でHA-A50Tのマイクテストを行ったときのものです。
若干引っかかる感じというか声がこもった印象はあるものの、声は明瞭に聞こえますし、周囲のノイズもかなりカットされています。
これなら自宅はもちろんのことオフィスからでも、周囲のノイズをそれほど気にせずにweb会議に参加ができるのではないでしょうか?
1万円以下の完全ワイヤレスイヤホンの中で最もマイク性能が良い製品はJabra Elite75tだと断言できますが、HA-A50Tはその次に位置づけられる通話品質だと感じました。
HA-A50Tの音質とノイズキャンセリング性能
HA-A50Tの音質とノイズキャンセリング機能について個別に解説します。
HA-A50Tの音質
HA-A50Tの音質は、高音域の伸びやかさにはやや不足感を感じるものの、低音~中音域はフラットでとがった感じの無い、全体としてよくまとまった音質です。
JVCはXXシリーズなどのように、どちらかというと重低音を前面に出した製品づくりが特長のメーカーだと思っているのですが、この製品も低音域に関してはきちんと音が表現されています。
ドラムやベースのドンサウンドは解像度も高く、それでいてとがった感じのない心地よい音が耳に伝わってきます。
そういった意味では、この価格で10mmのドライバーを搭載させたJVCの本気度がしっかり製品化されているなぁと感心してしまいました。
音場に関しては奥行きや広がりがは十分とはいえないものの、しっかりと空間を感じられる性能には仕上がっている印象です。
1つ残念な点は、イコライザーなどの専用アプリがなく、自分好みのテイストを加えられないということ。
完全ワイヤレスイヤホンの入門機としては十分満足できる音質なだけに、アプリによる機能強化に今後期待したいところです。
ノイズキャンセリング
HA-A50Tのノイズキャンセリングはフィードフォワード方式のみ採用されており、高価格帯の製品のようなフィードバック方式も搭載された「ハイブリッド方式」ではありません。
【フィードフォワード方式とは】
ヘッドホンの外側にマイクを配置して外部からのノイズを集音し、そのノイズと逆位相の音波を電気的につくりだして同時に流して消し去る技術
【フィードバック方式とは】
ヘッドホンの内側にマイクを配置して本来の再生音と外部からのノイズ両方を集音し、その逆位相をぶつけていったんすべての音を消し去ってから再生音のみを流す技術
https://monolowl.com/headset-noise-canceling-2021-03-27
では、フィードフォワード方式のみだからノイキャンが弱いかというと、全然そんなことはありません。
むしろ1万円以下の製品でここまでノイズを低減させられるのか!という驚きのほうが先に立ちます。
ANC(=アクティブ・ノイズキャンセリング)をONにすると低音~中音ノイズはしっかりと低減してくれますので、しっかりANCが効いている証拠です。
HA-A50Tは遮音性に優れた低反発イヤーピースが付属していますが、これが耳にフィットする方は更に高音域へのPNC(=パッシブ・ノイズキャンセリング)効果が上乗せされます。
いわゆる耳栓効果ですが、電気的にノイズをカットするANCが低音に強いのとは逆に、物理的にノイズをカットするPNC(=パッシブ・ノイズキャンセリング)は高音に強いのです。
したがってANCの効果が認められるHA-A50Tで、PNC効果の高い低反発イヤーピースが耳にフィットすれば高級機種以上のノイキャン効果を得ることも可能なのです。
ノイズキャンセリングに定評のあるAirPods Proを10点とするなら、AT-A50Tは6点、ただしイヤーピースがしっかり合えば7~8点の評価とできるほどの仕上がりだと思います。
A-A50Tの外観と装着感をチェック
次にHA-A50Tの外観や装着感をチェックしていきましょう。
HA-A50Tの本体と充電ケース
本体と充電ケースの外観は以下の通りです。

充電ケースは若干大きい印象ですね。イヤホン本体が横に長い構造なので仕方ないのかもしれませんが、左右あと5mmずつ短ければさらに良かったんですが…。
それでもソニーのWF-1000X M3に比べれば高さがないぶんコンパクトではあります。
カラーバリエーションは、ブラック・ブルー・トープの3色。

女性向けの暖色としてトープが用意されているのはポイントが高いですね。
HA-A50Tの装着感
ノイズキャンセリング機能のところで若干触れましたが、HA-A50Tには低反発イヤーピースとシリコンイヤーピースが同梱されています。
低反発イヤーピースは遮音性が高いため高音ノイズを抑える効果がある反面、慣れないと装着時に違和感を感じる方が多いようです。
まぁ、装着感はどの機種を購入しても合う・合わないがありますし、自分の耳に合ったイヤーピースを探すのも完全ワイヤレスイヤホンの醍醐味のひとつだと僕は考えるようにしています。

HA-A50Tは本体が横長のためか大きく見えますが、女性が着けてもそれほどごつい印象はありません。
特にトープはどのようなファッションにも合う色合いなので、ブラックやブルーを基調としたカラーバリエーションしかない製品に比べると、いつでも気兼ねなく使えるのではないでしょうか?
HA-A50Tの機能と操作性をチェック
最後にJVC HA-A50Tの機能や操作性についてみていきましょう。
HA-A50Tの操作性
HA-A50Tは、イヤホン本体のタッチコントロール操作部にセンサーが搭載されていて、直感的な操作が可能となっています。
この製品は対応アプリがないため、ノイズキャンセル機能とタッチ&トーク機能(周囲の音を聞く)への切り替えは、このタッチコントールを使って行う以外に方法はありません。
また、タッチコントロールのカスタマイズができればさらに使い勝手が向上しますので、このあたりはやはり専用アプリの投入が期待されるところですね。
タッチコントロール部の操作方法は以下の表の通り、標準的な機能は全て搭載されています。
| 動作 | 左 | 右 | |
|---|---|---|---|
| 音楽 | 1回タップ | 音楽再生/停止 | 周囲の音を聞く ⇒ ノイズキャンセリング ⇒ OFF |
| 2回タップ | 音量DOWN | 音量UP | |
| 3回タップ | 前の曲に戻る | 次の曲にスキップ | |
| 通話 | 1回タップ | 受話/終話 | 受話/終話 |
| 1秒長押し | 着信拒否 | 着信拒否 | |
| 通常時 | 3回タップ | 音声アシスタント起動 | - |
HA-A50Tのおすすめ機能
HA-A50Tは高価格帯の製品のように「こんなこともできんの⁉」という機能が搭載されているわけではありませんが、最低限必要な便利機能はすべて搭載されています。
それがこの製品のコスパが非常に高いと評価される理由なのですが、この製品特有の注目したい点を2つほどご紹介しておきましょう。
タッチ&トーク機能
HA-A50Tには買い物中やとっさに会話が必要な時に、イヤホンを装着したまま会話ができるようにするタッチ&トーク機能が搭載されています。
このタッチ&トーク機能は、外音を取り込むと同時に音楽などの音量も下げる制御が働きます。
ネット上では外音取り込み機能を起動するとボリュームが下がってしまうことについて、不具合かのようなコメントも見受けられますが、決してそうではありません。
他の製品では、外音を取り込んでもボリュームは下げないという制御が多いのですが、JVCは「それだけじゃ聞こえないこともあるでしょ?ボリュームも下げてあげるね!」という考え方なんですね。
これをプラス要素・マイナス要素のどちらに感じるかは人それぞれだと思いますが、HA-A50Tの特徴的な機能であることは間違いありませんのでご紹介しておきます。
低反発イヤーピース
そもそも低反発イヤーピースってどんなんだろう?って不覚にも思っちゃったんですよね。

低反発枕と同じような材質で、左の図のようにつぶして装着すると耳孔にフィットするものです。
たしかにPNC(=パッシブ・ノイズキャンセリング)効果が期待できるというのもわかりますね。
合う・合わないは人によると思いますが、オプション品ではなく標準品として製品に同梱されているのはポイントが高いと考えます。
まとめ
HA-A50TはJVCの完全ワイヤレスイヤホンとしては初のアクティブ・ノイズキャンセリング機能を搭載した製品です。
1万円を切る価格ながらノイキャン性能の完成度はかなりレベルが高く、低反発イヤーピースが耳に合えば期待以上の静寂を手に入れることができるでしょう。
低音~中音域に厚みがあり高音域の伸びやかさには若干かけるものの、聴き疲れしないフラットな音質は価格帯から考えると十分すぎるほどの聴きごたえです。
驚くべきはマイク性能で、同価格帯であればJabra Elite75tに次ぐ性能を有しており、Jabraの音質に不満を感じる場合は、HA-A50Tが対抗馬としておすすめできる製品となります。
残念なのは専用アプリがなく、音質や操作性についてカスタマイズができないという点で、ここが改善されればさらに魅力的な製品になることは間違いありません。
しかし、アプリなしでも十分満足のいく音質と機能を備えた製品ですので、5千円以下のTWSを利用していてもう少し良いものが欲しいなと思っている方にはぜひ手に取って頂きたい製品です。
















