iPhoneってハイレゾに対応しているの?という質問をされることって結構多いんですよね。
結論から話しますと、iPhone単体ではハイレゾは聴けませんが、ポータブルDACアンプを使えばOK。
今回はiPhoneでハイレゾを楽しむために知っておいていただきたいことを、初心者の方にもわかりやすく説明していきたいと思います。
Contents
iPhoneでもハイレゾは聴ける?

冒頭でも書きましたが、結論から申し上げるとiPhoneでもハイレゾを楽しむことは可能です。
ただし、iPhoneでハイレゾを楽しむためにはいくつかの制約があるので、1つ1つ説明していきましょう。
なお、この記事で「イヤホン」と記載してある箇所は「ヘッドホン」と読み替えて頂いても意味は同じになります。
ワイヤレスイヤホンでハイレゾは聴ける?
iPhoneの場合、残念ながらiPhone単体でワイヤレスイヤホンでのハイレゾを楽しむことはできません。
スマホとワイヤレスイヤホンはBluetoothで接続するんですが、このBluetoothにはいくつかのコーデックが存在します。
| コーデック | 音質と特長 | 量子化ビット数/サンプリング周波数 | ビットレート | 遅延 |
|---|---|---|---|---|
| SBC | Bluetoothを搭載した機器は必ず対応している。SBCの音質を★と仮置きして他のコーデックと比較してみます。 | 16bit/48KHz | 64kbps~328kbps | 0.22秒前後 |
| AAC | 音質は★★。iPhoneやiPadのコーデックはAACが優先され、AACが使えない場合はSBCで接続される。 | 16bit/48KHz | 詳細は非公開につき推定値 128kbps 256kbps(可変) 328kbps | 0.12秒前後 |
| aptX™ | 音質は★★。米Qualbommが開発したAndroid端末の標準仕様。AACと体感上の差はない。 | 16bit/48KHz | 352kbps@44.1kHz 384kbps@48kHz | 0.07秒前後 |
| aptX™ LL | 音質は★★。低遅延に特化したaptXのコーデックで、音ゲーやバトルゲームに最適。 | 16bit/48KHz | 352kbps@44.1kHz 384kbps@48kHz | 0.04秒前後 |
| aptX™ HD | 音質は★★★。aptXの高音質版コーデック。ビットレートを高め遅延を犠牲にした音楽用コーデック。 | 24bit/48KHz | 529kbps@44.1kHz 576kbps@48kHz | 0.13秒前後 |
| aptX™ Adaptive | 音質は★★★★。接続環境やアプリに応じてビットレートを自動で変化させるコーデック。今後主流になる可能性大。 | 24bit/96KHz | 276kbps~620kbps | 0.05秒~0.08秒程度 |
| LDAC | 音質は★★★★。SONY独自の超音質特化型コーデック。遅延が大きいためゲームや動画視聴には向かない。 | 24bit/96KHz | 330kbps/660kbps/990kbps | 1秒以上 |
ハイレゾというのは、量子化ビット数/サンプリングレートが24bit/96kHz以上の音源とされています。
この記事では、日本オーディオ協会(JAS)がハイレゾロゴの使用を認めている量子化ビット数/サンプリングレート=24bit/96kHz以上をハイレゾと定義しています。
なお、ハイレゾについて詳しくは以下の記事を参考にして頂ければと思います。
Bluetoothコーデックの中で、この条件をクリアしているのはLDACもしくはaptX Adaptiveというコーデックのみ。
つまり、ワイヤレスイヤホンでハイレゾ音源を楽しむには、スマホがLDACかaptX Adaptiveに対応していなければなりません。
しかし、iPhoneはSBCとAACというコーデックにしか対応していないので、ハイレゾ音源をワイヤレスイヤホンに送ることができないんですね。
たとえワイヤレスイヤホンがハイレゾコーデックに対応していても、iPhoneに接続している場合はAAC接続になってしまいます。
Android端末にはハイレゾコーデックであるLDACやaptX Adaptiveに対応したモデルが数多く発売されています。
ワイヤレスイヤホンとスマホ単体の組合せでハイレゾを楽しみたいという方は、以下の記事を参考にして頂ければと思います。
iPhoneでハイレゾを聴くにはポータブルDACアンプが必要
iPhoneでハイレゾを楽しむには、ワイヤレスイヤホン・有線イヤホンいずれもポータブルDACアンプが必要です。
「え⁉有線イヤホンならハイレゾで聴けるんじゃないの?」と思うかもしれませんが、iPhone直だとNG。
iPhoneは搭載されているアンプが若干貧弱で、24bit/96kHz以上の音源も24bit/48kHzにダウンコンバートされてしまいます。
つまり、単なるlightning to 3.5mmイヤホンジャック変換ケーブルでの接続だけではお手上げ。
この課題をクリアするには外付けのポータブルDACアンプを使うしかありません。
ポータブルDACアンプを使うと、iPhoneに搭載されたDAC/アンプを経由せずに音楽データを出力することができます。

つまり、ハイレゾに対応したポータブルDACアンプを使えば、iPhoneでもハイレゾを楽しめるというわけです。
iPhoneでワイヤレスイヤホンとハイレゾ接続するには
iPhoneでワイヤレスイヤホンとハイレゾ接続するには、Bluetooth接続機能を搭載したポータブルDACアンプが必要。
ただ、この機能を搭載したモデルは数が少なく、価格も有線用ポータブルDACアンプに比べて割高です。
またiPhoneとの接続に使うlightning to USB-Cケーブルが同梱されていないので、こちらも購入が必要になります。
ご参考までにおすすめモデルをいくつかご紹介しておきますね。
FiiO BTR15
FiiO BTR15はLDACはもちろん、aptX Adaptive/LLにも対応した超高コスパモデル。
iPhone本体と FiiO BTR15をLightning to USB-Cケーブルで接続すれば、手軽にハイレゾ音質を楽しめます。
また超低遅延のaptX LLにも対応していることから、ワイヤレスイヤホンでのゲームプレイにも向いています。
しかも3.5mmシングルエンドと4.4mmバランスのイヤホンジャックを登載しているのも大きなメリット。
せっかくだから有線イヤホンも試してみようかなという方にはもってこいの仕様になっています。
FiiO BTR7
価格はBTR15の1.5倍ほどとなりますが、有線イヤホンでのさらなる高音質を追求するならFiiO BTR7がおススメです。
aptX LLには非対応ですが、LDACとaptX Adaptiveの両方にはしっかりと対応しています。
このモデルはTHX AAA-28というアンプ回路をデュアル搭載することで、高出力と低歪みを実現。
有線イヤホンやヘッドホンでの高音質を求める方にはこちらがおススメです。
FiiO LT-LT1 Lightning to USB-C OTGケーブル
iPhoneとポータブルDACアンプを接続するためのおすすめケーブルです。
ケーブルが長いと邪魔になるので、できるだけ短いタイプのものがおススメ。
FiiO製品には同じメーカーのものを選べば間違いありませんし、比較的安価なのでご紹介しておきます。
iPhoneと有線イヤホンでハイレゾを聴くには
iPhoneと有線イヤホンでハイレゾを聴くのもポータブルDACアンプが必要です。
ただし、有線接続用のポータブルDACアンプはBluetooth機能搭載モデルより割安。
1万円程度の安価なモデルも数多く存在するので、まずはリーズナブルなものから試してみてはいかがでしょう。
なお、iPhoneでハイレゾを楽しめる有線用ポータブルDACアンプは、以下の記事でおすすめ製品を紹介しています。
有線イヤホンなら必ずハイレゾは聴ける?
iPhoneでハイレゾを楽しむには、有線イヤホンとハイレゾに対応したポータブルDAC/アンプとの組合せが必要ということはお分かり頂けたと思います。
有線イヤホンでもハイレゾロゴが付いたモデルは販売されていますが、今使っている製品がハイレゾに対応しているかが気になるところではないでしょうか?
有線イヤホンがハイレゾに対応しているかを確認するには、スペック表の「再生周波数帯域」とか「定格周波数範囲」というところをチェックしましょう。
日本オーディオ協会が定義しているハイレゾは、この周波数が40kHz(40,000Hz)以上とされているので、それをクリアするモデルを選べばOKということになります。
以下はハイレゾ対応の有線イヤホンの一例ですが、求めやすいものから「イヤホンでこんな値段なの?」というものまで様々です。

さて、ここから先は感覚的な話になることをお許し頂きたいのですが、ハイレゾ非対応のイヤホンでも良い音はするというお話です。
音を再生するイヤホンについては、再生周波数帯が40kHzを超えるもののほうが音質が良いかといわれると必ずしもそうではありません。
音質というのは低周波数帯から高周波数帯の全域にわたる表現力によるので、高周波数帯に対応しているというだけで高音質だとはいえないからです。
そもそも人間が聴こえる周波数は20Hz~20kHz(20,000Hz)とされていて、40kHz以上の音を表現したところでその音を聴きとることはできません。
ただし、聴き取ることができない高域の音も全体の音質には影響を及ぼしているといわれています。
したがって、まずはお手持ちのイヤホンで音質に満足できるか確かめてみることをおすすめします。
それで音質に興味が湧いてくるようなら、試聴可能な大型家電量販店で気になるハイレゾ対応イヤホンを試してみると良いでしょう。
ハイレゾ音源を入手するには
iPhoneでハイレゾを楽しむためには、ポータブルDAC/アンプが必要ということはお分かり頂けたと思います。
しかしそれはハードウェアの話で、そもそもハイレゾ音源を聴くことができるサービスを利用する必要があります。
iPhoneユーザーならApple Musicが定番だと思いますが、Amazonプライムの会員になっているならAmazon Music Unlimitedがおすすめです。
LINE MUSICやSpotifyはハイレゾ音源を配信しているわけではなく、CD音源(16bit/44.1kHz)となっています。
なぜならAmazonプライムの会員は、Amazon Music UnlimitedがApple Musicより安く利用できるから。
| 比較項目 | Amazon Music Unlimited | Apple Music | |
|---|---|---|---|
| 曲数 | 1億曲 (洋楽が充実) | 1億曲 (邦楽が充実) | |
| 料金 | 個人 | 月額1,080円 (プライム会員は月額980円) | 月額1,080円 |
| ファミリー | 1,680円(6人まで) (プライム会員は年額16,800円) | 月額1,680円(6人まで) | |
| 学生 | 月額580円 | 月額580円 | |
| 音質 | 16bit/44.1kHz(HD) 16bit/48kHz(Ultra HD) 24bit/192kHz(Ultra HD) | 16bit/44.1kHz(ロスレス) 16bit/48kHz(ロスレス) 24bit/192kHz(ハイレゾロスレス) | |
| 360 Reality Audio | 対応 | 非対応 | |
| Dolby Atomos | 対応 | 対応 | |
| 無料体験 | 1ヶ月 | 1ヶ月 | |
Apple MusicもAmazon Music Unlimitedもサービス内容はほぼ同じなので、少しでも安く利用できるなら使わない手はないと思います。
Apple Musicは邦楽が充実、Amazon Music Unlimitedは洋楽が充実しているといわれています。
どちらも無料期間があるので、順番に試してみてからどちらを選ぶか決めても良いと思いますよ。
iPhoneでハイレゾを楽しむ方法まとめ

今回はiPhoneでハイレゾを楽しむにはどうすれば良いかについて解説しました。
ポイントとしては以下の4点。
- iPhone単体ではワイヤレス・有線いずれもハイレゾを楽しむことはできない
- iPhoneにポータブルDACアンプを接続すればワイヤレス・有線いずれもハイレゾを楽しむことができる
- 有線イヤホンは再生周波数帯が4kHz(40,000kHz)以上までカバーしていればハイレゾ対応しているモデルとなる(ただし、音質の善し悪しは再生周波数帯だけでは判断できない)
- ハイレゾ音源配信サービスを利用する必要がある
ハイレゾ音源は音の深みや広がりの違いが感じられるので、ぜひ試して頂きたいと思います。















