LYPERTEKは2017年創立の新しいイヤホンブランドで、香港に拠点を置くSOUNDINNOVATION社が立ち上げたものです。
そのLYPERTEKからブランド初となるアクティブノイズキャンセリング機能を搭載した完全ワイヤレスイヤホンが2022年3月18日にリリースされます。
10mmの大径ダイナミックドライバーを搭載し、コーデックはaptX™ Adaptiveにも対応。
搭載チップにQualcomm QCC3040を採用したことにより、途切れにくいBluetooth v.5.2に対応し、通話品質も高いレベルを実現できています。
ただし、音質が極端なブライト系なので好みが分れるイヤホンかもしれません。
今回はそんなLYPERTEK PUREPLAY Z5を徹底的にレビューしていきます。

Contents
LYPERTEK PUREPLAY Z5の通話品質と音質
LYPERTEK PUREPLAY Z5の通話品質と音質をまずは確認していきましょう。
LYPERTEK PUREPLAY Z5のマイク性能
PUREPLAY Z5は、左右それぞれに3つのマイクを搭載し、Qualcomm cVc 8.0マイクノイズキャンセリング機能によりクリアで明瞭な高い通話品質を実現しているとされています。
Qualcommの最新チップは先日レビューをしたCleer ALLY PLUS 2にも上位モデルのQCC5141が使われていましたが、高い通話品質に驚かされたばかり。
PUREPLAY Z5に搭載されているのはQCC3040というミドル/エントリーモデルではありますが、その通話品質にも期待が高まります。
マイクテストは着席率7割程度の夕方のカフェ、軽くBGMも流れている環境下で実施しました。
【LYPERTEK PUREPLAY Z5 通話品質】
マイクテストの結果から、PUREPLAY Z5の通話品質もかなり高いレベルにあることがお分かりいただけるのではないでしょうか。
「さしすせそ」の発音に少し尖ったように感じますが、全体的に自分の声はクリアに録音されています。
また、声を出している時は周辺ノイズが若干入りますがBGMがかすかに聞こえる程度で、周囲のざわついた喧騒のような音はほとんど聞こえません。
驚くべきは発声していない時には周辺ノイズが明らかに低減していることで、在宅時でのリモートミーティングならマイクミュートにする必要がないのでは?と思えるほどです。
PUREPLAY Z5の通話品質をレーダーチャートにまとめると、以下の通りなかなかの出来栄えです。

これだけの通話品質なら、自宅や会議室など静かな環境下ならリモートミーティングに安心して使うことができますし、短いビジネス通話ならオフィスの自席やカフェなどでも使用可能でしょう。
まだ1機種ずつしか試していませんが、2022年度登場するTWSはQualcomm QCC514X/304Xを搭載した製品ならある程度の通話品質が期待できると考えて良さそうです。
LYPERTEK PUREPLAY Z5の音質
PUREPLAY Z5は、中音~高音の表現にフォーカスしたチューニングで、低音域が抑制された音質になっています。
音場が広く低音~高音まで音が層になっているような感覚があり、ボーカルも近くに感じられるため表現力のポテンシャルは高いことがわかります。
ただ、中高音より上の音がキラキラしているように感じる反面、超高音が「キン」と耳に刺さる音に聴こえることがあります。
また、低音が抑制されているためか、これもデフォルトの状態で聴くと全体的に音に厚みというか深みが感じられず、音の分離感にも欠けるかなというのが一聴した感想でした。
とくにギターの音がほどけてしまい締りの無い感じがするのと、音質がブライトすぎるがゆえに全体のまとまりが今一つ足りないように思えます。
そんなわけでLYPERTEK PUREPLAY Z5を聴いてイメージした音質をグラフで表してみると、以下の通りになります。

音質のポテンシャルは高そうなので何とかならないものかと専用アプリのイコライザーをいじってみると、以下のカスタム設定で個人的には全体の音質バランスが取れたように感じました。

ちょうど音質イメージの真逆のチューニングをした格好ですね。
それでもやはりクラブミュージックやEDMなどの曲より、ポップスやアニソンなどボーカル中心、とくに女性シンガーを好んで聴くユーザーに合うイヤホンだと思います。
LYPERTEK PUREPLAY Z5のANCと外音取り込み性能
LYPERTEK PUREPLAY Z5のアクティブノイズキャンセリング(=ANC)と外音取り込み性能をチェックしていきましょう。
LYPERTEK PUREPLAY Z5のANC性能
PUREPLAY Z5はLYPERTEK初のハイブリッドアクティブノイズキャンセリング技術を搭載した製品です。
ハイブリッドアクティブノイズキャンセリングとは、フィードフォワード方式とフィードバック方式の両方のANCを組み合わせたもの。
【フィードフォワード方式】
ヘッドホン外側のマイクでノイズを集音し、それと逆位相の音波をぶつけてノイズを消す技術
【フィードバック方式】
イヤホン内側にマイクを配置して本来の再生音と外部からのノイズ両方を集音し、その逆位相の音波をぶつけていったん全ての音を消してから再生音だけを流す技術
PUREPLAY Z5のANC性能を実際に確認してみたところ、強すぎず弱すぎずなちょうど良いノイキャン性能だと感じました。
ノイズキャンセリングモードにすると鼓膜に圧が若干かかる感覚はありますが、締め付けられるほどの強さではありません。
ANCの強さをアプリで調整できないのは残念なところですが、強度が強すぎないのでそれも必要ないかもしれないなと思いました。

ちなみに、カフェでは周囲の騒音がスッと消えますし、電車の中でも動画のセリフがしっかり聴こえる程度には走行音などの低域ノイズはカットしてくれました。
飛行機などではちょっと弱いかなとも思いますが、この価格帯の完全ワイヤレスイヤホンとしては優秀なANC性能であることは間違いないでしょう。
LYPERTEK PUREPLAY Z5の外音取り込み性能
PUREPLAY Z5の外音取り込み(アンビエントモード)は、高音域の取込みが強いかなと感じるものの耳障りなほどではなく、普段使いで不満に感じることはないという印象です。
専用アプリには「AUTO-AMBIENT」という機能が搭載されていて、この機能をONにするとコンテンツの再生を止めると自動でアンビエントモードに切り替えてくれます。

これはなかなか便利な機能で、個人的には結構気に入っています。
アンビエントモードにするとコンテンツの再生が止まるという機能が搭載された製品は結構ありますが、モード切替えってANC → アンビエント → オフってなってますよね。
アンビエントを使うのって外出している時が多いのでANC → アンビエントの操作になるんですが、曲を再生させようとするとアンビエント → オフ → ANCの動作になるのでちょっと面倒なんです。
その点、コンテンツの再生を止めるとアンビエントモードに切り替わって、曲を再生すると元のモードに戻してくれるこの機能は結構画期的だと思います。
LYPERTEK PUREPLAY Z5の外観と装着感
LYPERTEK PUREPLAY Z5のイヤホン本体や充電ケースなどの外観と装着感についてみていきましょう。
LYPERTEK PUREPLAY Z5の本体と充電ケース
PUREPLAY Z5の充電ケースは手のひらサイズではあるものの、少し大きめかなという印象です。

ケース上部にはLYPERTEKのロゴがプリントされており、この価格帯としては標準的なクオリティではないかと思います。
イヤホン本体はドライバー収納部が円筒形で、スティックの部分にも厚みがある形状をしています。

マットブラックなのでキズが目立たないデザインになっていて、タッチセンサー部にはやはりLYPERTEKのロゴと「PUREPLAY Z5」「LYPERTEK ANC TWS」の文字がプリントされています。
いまのところカラーはブラック1色で、LYPERTEKがこれまでリリースした製品を考えると、他のカラーの追加はおそらく無いと思われます。
LYPERTEK PUREPLAY Z5の装着感
PUREPLAY Z5は、スティック型イヤホンに共通の軽い着け心地となっています。
ただし、ドライバーが格納されている部分とスティックに厚みがある形状をしているので、イヤーピースで耳孔にしっかり固定する必要があると感じました。

実際に装着してみると、少し大きめのイヤーピースを使わないと遮音性も低下しますし、なによりイヤホン本体が若干浮いてくるような感じがします。
そもそも低音の量感が抑えられたイヤホンなので、イヤーピースが合わない場合は音が軽く感じるというデメリットもあります。
PUREPLAY Z5は、低音のボリュームアップ・ANC効果・落下防止の観点から、イヤーピースの選択が非常に重要な要素だと思いますね。
LYPERTEK PUREPLAY Z5の専用アプリ
LYPERTEK PUREPLAY Z5には専用アプリが用意されています。
LYPERTEK PUREPLAY Z5のアプリホーム画面とメニュー
PUREPLAY Z5には専用アプリ「PureControlANC」が用意されていて、色々なカスタマイズなどが出来るようになっています。
アプリホーム画面は以下の画像の通りで、黒を基調としたデザインがカッコいいですね。

アプリホーム画面にボリューム調整機能があるのは個人的にはうれしいところです。
ただし、イヤホン本体のバッテリ―残量が左右で表示されないのと、充電ケースのバッテリ―残量も表示されないというのはデメリットに感じます。
PUREPLAY Z5はANC ONだと連続再生時間4時間と、バッテリーライフが短めのイヤホンなだけに、バッテリー残量表示は充実させてほしかったなと思います。
アプリには以下のような機能が搭載されていて、基本的なものは揃っているなといった印象です。
【PureControl ANCで出来ること】
✓LDXオーディオモード ON/OFF
✓7バンドイコライザー
✓ANC、アンビエントモード切替
✓AUTO-AMBIENT ON/OFF
✓タッチコントロールカスタマイズ
✓イヤホンを探す
LDXオーディオモード
PUREPLAY Z5の専用アプリ「PureControl ANC」には、音の空間表現や鮮明さを向上させるLDXオーディオモードが搭載されています。
LDXモードはアプリホーム画面の「LDX」をタップするだけの簡単操作で切り替えることが可能です。
実際に試してみると、音の空間表現が縦と横に若干広がったように思え、高音が耳の外側の少し上のあたりで鳴っている感じがします。
これはこれで「へ―…なるほど」とは思うのですが、なんとなく各音域がバラバラな位置で鳴っているようで、個人的にはあまり好みではないので必要ないかなと感じました。
音質も強めのブライト系なので、これ以上の鮮明さは必要ないと思っています。
PUREPLAY Z5のイコライザー
PUREPLAY Z5のイコライザーは、80Hz~10kHzの7バンド・±7dBでの調整が可能で、6種類のプリセットが用意されており、完全カスタマイズも出来るようになっています。

音楽用プリセットはBASS BOOST、LOUDNESS、NEUTRAL、PODCASTの4種類、そのほかゲーム用のGAMING、動画用のMOVIESが用意されています。

PUREPLAY Z5のタッチコントロール
PUREPLAY Z5は、イヤホン本体のタッチセンサーで様々な操作をすることが出来るようになっています。
デフォルトの設定は以下の表の通りですが、専用アプリ「PureControl ANC」でカスタマイズも可能です。
| 動作 | 左 | 右 | |
|---|---|---|---|
| 音楽 | 1回押し | 再生/停止 | |
| 2回押し | 前の曲に戻る | 次の曲にスキップ | |
| 3回押し | 音量DOWN | 音量UP | |
| 1秒長押し | ANC ⇒ アンビエント ⇒ OFF | ||
| 通話 | 1回押し | 電話に出る/電話を切る | |
| 2回押し | 着信拒否 | ||
| その他 | 1回押し+長押し | ボイスアシスタント起動 | |
タッチコントロールのカスタマイズは「PureControl ANC」のホーム画面にある「CONTROLS」をタップして、以下のコントロールメニューから行います。

左右それぞれのイヤホンを選択し、左の画面真ん中に表示されている「●」や「●●」をタップすると右画面のようにどのような操作を割当てるか選択できるようになっています。
かなり細かくカスタマイズすることができるので、自分の使いやすいようにあれこれ試してみると良いでしょう。
LYPERTEK PUREPLAY Z5の機能
LYPERTEK PUREPLAY Z5の基本的な機能を最後におさえておきましょう。
PUREPLAY Z5はIPX5の防水性能
PUREPLAY Z5のイヤホン本体は、IPX4の防水性能を備えています。
IPX4は「いかなる方向からの水の飛沫によっても有害な影響を受けない」という防水レベルで、急な夕立などでイヤホンが多少濡れても問題ない程度の防水性能だと理解頂ければよろしいかと思います。
外出時にイヤホンを使っているとやはり急に雨に降られたりすることもあるのですが、IPX4の防水性能だと知っておけば慌てることもありません。
充電ケースは防水ではないので、雨に降られても慌てて充電ケースにしまおうとせず、装着したままにしてあとでイヤホン本体をタオルなどで拭いた方が良いということも覚えておいてください。
PUREPLAY Z5はワイヤレス充電に対応
PUREPLAY Z5は、Qi規格のワイヤレス充電に対応しています。
自宅やオフィスにワイヤレス充電器がある方は、わざわざUSB-Cケーブルに接続しなくても充電ができるので便利!
ちなみにLYPERTEKは、PUREPLAY Z5発売記念として「Z7」「Z5」「Z3」「LEVI」購入者にワイヤレスチャージングパッドのプレゼントキャンペーンを展開しています。
キャンペーン期間は2022年3月11日~2022年4月30日までとなっていますので、LYPERTEKの完全ワイヤレスイヤホンを購入する予定ならキャンペーン期間内がお得ですよ。
LYPERTEK PUREPLAY Z5のレビューまとめ
それでは最後にLYPERTEK PUREPLAY Z5の総合評価と、良い点・改善してほしい点を整理してみましょう。
| 評価項目 | Impression | Score |
| 通話品質 | リモートミーティングにも使用可能 | 4.4 |
| 低音 | 重低音・低音共にかなり抑えられている | 3.6 |
| 中音 | ボーカルが近くに感じられる | 4.0 |
| 高音 | 超高音は刺さりがありイコライザーの調整必須 | 3.7 |
| ANC | カフェなど環境ノイズはしっかり遮断 | 4.2 |
| 外音取込み | 高域を取り込んでいる感あり | 4.1 |
| アプリ機能 | ANCとAMBIENTの調整機能が欲しいところ | 4.0 |
| 機能加点 | AUTO-AMBIENTモード | 5.0 |
| 総合評価 | 4.1 | |
✓ビジネスシーンでも使用可能な通話品質
✓日常使いには必要十分なANC性能
✓タッチコントロールの完全カスタマイズ
✓ワイヤレス充電に対応
✓高音が耳に刺さる
✓ANCとアンビエントの強度調整が無い
LYPERTEK PUREPLAY Z5は、同社初のアクティブノイズキャンセリング(=ANC)機能を搭載した完全ワイヤレスイヤホンです。
QualcommのQCC3040を搭載していることから通話品質はビジネスにも使用可能な水準に達しており、会議室や自室などからならリモートミーティングにも積極的に使えるレベルにあります。
また、ノイキャン性能も街中や電車の中でも不満なく使えるレベルにあり、メーカー初のANC機としては高い完成度だと思います。
ただし、音質に関してはブライトすぎるというか、デフォルトのチューニングだと自分には高音が強調されすぎていて「刺さり」を感じてしまいました。
ボーカルは近くに感じられるのですが、ギターの音がほどけて締りがないというのも気になった点で、イコライザーでBASE BOOSTよりさらに低音を強調してようやく音質が落ち着いた気がしています。
いずれにせよ低音のボリュームが欲しいというユーザーにはおススメできないイヤホンであり、ポップスやアニソンなどを好んで聴く方で、高音の量感が欲しいというユーザーにあった製品ではないかと思います。
















