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Sport True Wirelessレビュー|オンもオフも期待を裏切らないTWS

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ゼンハイザー Sport True Wirelessは、同社の完全ワイヤレスイヤホンとしては初のスポーツモデルとなっています。

2021年7月にリリースされたCX True Wirelessをベースに、ワークアウトでの使用を想定してIP54と防塵防水性能をアップさせてあります。

また、ワークアウト時にカナル型イヤホンを使うデメリットである体内の音の伝わりや周囲の音の聞こえずらさを解消するため、軸に孔のあいたイヤーピースが付属します。

このイヤーピース(オープンイヤーアダプター)を使用しても低音が薄くならないよう、専用アプリに認識モードも搭載され、ユーザビリティが考えられた仕様になっています。

音質はCX True Wireless同様にゼンハイザーらしいナチュラルで繊細なサウンドながら、低音の量感も十分。

加えて通話品質もかなり高いレベルにあり、ビジネスでの使用にも十分耐えられるポテンシャルを持っています。

今回はそんなゼンハイザー Sport True Wirelessを実際に試聴・操作して感じたことを徹底的にレビューしていきます。

ゼンハイザー Sport True Wireless スペック
 

 

Sport True Wirelessの通話品質と音質

ゼンハイザー Sport True Wirelessの通話品質と音質をチェックしていきましょう。

Sport True Wirelessのマイク性能

Sport True WirelwssはCX True Wirelessと同じ筐体を使っており(厳密には防塵防水性能は異なる)、通話品質も同じだろうなと思いつつマイクテストを実施してみました。

今回は発売前ということで試聴機を使っており、マイクテストは試聴機を設置してある販売店の店頭で行っています。

店内はそこそこ混んでおり、人の話し声やBGMなどでかなりざわついた状態でした。

しかしながらその状況下でこれだけクリアな音声ですので、Sport True Wirelessの通話品質はかなり高いレベルにあると感じました。

まず、自分の声をかなり明瞭に拾っていること、そしてこもったような感じがほとんどしないことに気付かされます。

周辺ノイズもかなり減衰されていて、かなりボリュームを上げてマイクテストを聴いても周囲の雑音が耳に障るような感じがしないことも好印象ですね。

ゼンハイザー Sport True Wireless 通話品質評価

これならオフィスの自席からリモートミーティングに参加しても、聴き手に「聴こえずらい」とか「周りの音が耳につく」などと言われることもないでしょう。

蛇足ですが、Sport True Wirelessの通話品質は、CX True Wirelessのマイクテストを実施したときより段違いに良くなっているなと感じました。

ゼンハイザー CX True Wireless レビューゼンハイザー CX True Wirelessは、ノイキャン非搭載のエントリーモデルながら、フラッグシップ機のMomentum True Wireless2と同じ7mmドライバーを搭載しています。低音域を強調したチューニングですクリアで透明感のあるゼンハイザーサウンドはそのまま。「安い!」と思わせるTWSです。...

ただ、Sport True WirelessとCX True Wirelessは同じ筐体のはずで、違いが出るとしたら接続しているデバイスに原因があるのではないかと考えています。

じつは、CX True WirelessはiPhone Xと接続してマイクテストを行ったんですが、今回のSport True WirelessはGalaxy S21に接続しています。

以上のことから「イヤホンを接続するデバイスによって通話品質が違うのでは…?」と感じはじめており、今度検証してみようと思っているところです。

Sport True Wirelessの音質

Sport True WirelessはCX True Wirelessと同じTrueResponseトランスデューサーを搭載しており、今回両者を聞き比べてみたところ音質も同じだと感じました。

各音域の音のクリアさ・分離感ともに高いレベルで、ゼンハイザーサウンドらしいナチュラルで細やかな音質だと思います。

ゼンハイザー Sport True Wireless 音質

実はCX True Wirelessは2021年7月にレビューをしているのですが、Sport True Wirelessのほうが低音が落ち着いたように思えたのと、前者で感じた頭内定位の違和感もなかったんですよねぇ…。

ゼンハイザー CX True Wireless レビューゼンハイザー CX True Wirelessは、ノイキャン非搭載のエントリーモデルながら、フラッグシップ機のMomentum True Wireless2と同じ7mmドライバーを搭載しています。低音域を強調したチューニングですクリアで透明感のあるゼンハイザーサウンドはそのまま。「安い!」と思わせるTWSです。...

これも携帯をiPhone XからGalaxy S21に替えたことが影響しているのかもしれないので、ほかにも色々と検証してみようと考えているところです。

さて音質に話しを戻しますが、低音はパワフルながらもバタつかない落ち着いたサウンドで、ベースやバスドラムをタイトに表現してくれます。

中音もクリアで十分な厚みがあり、ボーカルが近くに感じられるのでワークアウトで使っても音楽がしっかり頭の中で形になって聴こえるはずです。

高音は若干シャリつく感じがしますが繊細な表現力は健在で、専用アプリのイコライザーで高域を少し抑えたチューニングをすれば問題ないでしょう

音場も2万円程度の完全ワイヤレスイヤホンとしては標準的な広さで、むしろ2万円前半の機種としては広いといっても過言ではないと思います。

Sport True Wirelessの外音取り込み機能

Sport True Wirelessはアクティブノイズキャンセリングやアンビエントモードを搭載していませんが、イヤーピースとモード変更で遮音性をコントロールできるようになっています。

Sport True Wirelessのイヤーピース

Sport True Wirelessには2種類のイヤーピースが付属していて、それぞれS/M/Lの3サイズが用意されています。 

ひとつは周囲ノイズを抑える遮音性の高い「クローズイヤーアダプター」で、いわゆる通常のイヤーピースですね。

いっぽう、もう1種類は周囲の音が聴こえやすく体から伝わる振動や呼吸音が伝わりにくい「オープンイヤーアダプター」で、軸に0.4㎜の孔があいています

自分はイヤーピースに孔があいているというのは初めて聞きますが、オープンイヤーアダプターはあえて周囲の音を聴こえやすくするためにそのような設計をしたということですね。

実際にオープンイヤーアダプターを装着してみると、イヤホンを着けているのに周囲の音が良く聴こえて何やら開放感があります

また、走ったりジャンプをしても体内の音が耳に伝わるような「ドンドン」という感覚もほとんど感じないので、たしかにワークアウトでは重宝しそうだなと感じます。

ただし、オープンイヤーアダプターは遮音性を犠牲にしていることから、低音の量感も損なわれてしまうというデメリットがあります。

このデメリットを補うために、Sport True Wirelessの専用アプリには「認識」というオープンイヤーアダプター用のモードが用意されています。

Sport True Wirelessのモードについて

Sport True Wirelwssには、専用アプリで「フォーカス」と「認識」という2種類のモードが用意されています。

ゼンハイザー Sport True Wireless モード

この2つのモードは、イヤホンに装着するイヤーピースに対応する音質チューニングが施されているので、適宜切り替えることが必要になります。

フォーカスはクローズイヤーアダプターを装着したときに選択するいわゆる普通のモードで、市販のイヤーピースを装着したときもこちらを選びます。

いっぽう認識モードはオープンイヤーアダプター装着時の専用モードで、穴あきイヤーピースでも低音を損なわないようなチューニングが施されているというわけですね。

ためしにクローズイヤーアダプターの装着時に認識モードを選んでみましたが、何の音楽だというくらい低音が強調されてしまいとても聴けたものではありません。

しかし、オープンイヤーアダプターと認識モードを組み合わせてみると、若干低音寄りではあるものの違和感のない音質になっていることに驚かされました。

むしろ低音寄りの音質のおかげで、ワークアウト時にはリズムが取れて良いかもしれないと思うくらい悪くないチューニングになっています。

Sport True Wirelwssはイヤーピースで物理的に外音を取り込んで、モードで音質をコントロールするという珍しい仕様ですが、実際使ってみてなかなか良く考えられているなと感心させられました。

Sport True Wirelessのデザインと装着感

Sport True Wirelessの充電ケースやイヤホン本体のデザイン、装着感などについてチェックしていきましょう。

Sport True Wirelessの本体と充電ケース

Sport True Wirelessの充電ケースは、CX True Wirelessと同じサイズ・デザインとなっていますが、ゼンハイザーのロゴだけがゴールドに変更になっています。

ゼンハイザー Sport True Wireless 充電ケース

充電ケースは上の画像の通り、大きくも小さくもないTWSとしては標準的なサイズですね。

ただし、パンツやシャツのポケットに入れるとそれなりに存在感があるので、バックの中に入れて持ち歩くことを前提としたほうが良いかもしれません。

Sport True Wirelessのイヤホン本体も、筐体やマイクの位置などCX True Wirelwssと基本的には同じで、ゼンハイザーのロゴだけがゴールドでプリントされているのがデザイン上の異なる点です。

ゼンハイザー Sport True Wireless イヤホン本体

また、Sport True Wirelessには大きめのイヤーフィンをセットすることができます

Sport True Wirelessはワークアウトでの使用を前提に製品化されたので、このイヤーフィンの追加は当然といえば当然でしょう。

カラーはブラック1色ですが、今後販売数が伸びればホワイトの追加があるかもしれませんね。

 

 

Sport True Wirelessの装着感

Sport True Wirelessは、装着時の安定感がかなり高い完全ワイヤレスイヤホンだと思います。

ゼンハイザー Sport True Wireless 装着感

もともとCX True Wirelessも装着安定性の高い機種だっただけに、そこに大きめのイヤーフィンが追加されているので、かなりしっかり耳に固定されていると感じられます。

実際に頭をかなり激しく振ったり動かしてみましたが、イヤホン本体がずれてくるような感覚は全くありません

なお、イヤーフィンはN,S1,S2,S3の4種類が同梱されています。

自分の耳にあったイヤーフィンを選べば、ランニングやジムなどのワークアウトで使用しても頻繁にイヤホンの位置を直さなければならないということもないでしょう。

Sport True Wirelessの使い勝手

Sport True Wirelessには専用アプリが用意されています。

Sport True Wirelessの専用アプリ

Sport True Wirelessは専用アプリ「Sennheiser Smart Control」で色々な操作ができるようになっています。

Sennheiser Smart Control

Sennheiser Smart Control

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アプリトップ画面は縦に長いデザインになっていて、先にご紹介したモード変更、イコライザー、タッチコントロールのカスタマイズ、側音のレベル調整などのメニューがあります。

 

ゼンハイザー Sport True Wireless アプリトップ画面

 

バッテリ―表示は本体のみで、左右の別がないデザインになっています。

本体の左右別表示は、片側のバッテリ―にトラブルが起きた時に早く気付けるという利点があるので、個人的にはできればそうした表示に対応して欲しいと思います。

また、充電ケースのバッテリ―残量もLEDの色で表示されるとはいえ、実数値が確認できた方が使い勝手が良いので、ここもできれば改善して欲しい点ですね。

なお、Sport True Wirelessのアプリメニューは豊富とはいえませんが、使っていて不便に感じることはない程度のカスタマイズは出来るようになっています。

以降でそれぞれのメニューを詳しく説明していきます。

Sport True Wirelessのイコライザー

Sport True Wirelessの専用アプリ「Sennheiser Smart Control」には、イコライザー機能が搭載されています。

イコライザーには6種類のSennheiserプリセットと、自分の好みに調整可能なカスタムプリセットがあり、カスタムプリセットは新規プリセットとして登録できるようになっています。

ゼンハイザー Sport True Wireless イコライザー

 

カスタムプリセットはバス-中-トレブルの3バンド、それぞれ上下±6dBの調整幅になっていますが、もとのチューニングが良いので極端にいじる必要はないなと感じました。

Sport True Wirelessの操作性

Sport True Wirelwssは、イヤホン本体のタッチコントロールで操作ができるようになっています。

デフォルトの操作は以下の表の通りで、通話に関してはカスタマイズできませんが、コンテンツの再生についてはかなり細かく操作方法を変更することが可能になっています。

動作
音楽1回タップ再生/停止
2回タップ前の曲に戻る次の曲に進む
3回タップ音声アシスタント起動
長押し音量DOWN音量UP
通話1回タップ受話/通話終了
2回タップ着信拒否

 

タッチコントロールのカスタマイズは、アプリメニューに用意されています。

 

ゼンハイザー Sport True Wireless タッチコントロールカスタマイズ

 

上の画像のようにイヤホン本体のタップ回数ごとに左右別々の操作を割当てることができるので、アプリで変更したい箇所をタップすると以下のように選択メニューがポップアップします。

 

ゼンハイザー Sport True Wireless タッチコントロールカスタムメニュー

上の左の画像のように、グレーで表示されている操作を割当てることはできません。

ただし、たとえばタップ1回の電源ON/OFFなど、誤動作して使い勝手を悪く感じるような操作をあえてつぶしてある感じですね。

Sport True Wirelessのタッチコントロールカスタマイズの柔軟性については、個人的にはかなり大きなメリットだと感じました。

IP54の防塵防水性能

Sport True WirelessはIP54の防塵防水性能があり、多少の雨やホコリにも耐えられる仕様になっています。

IPは防塵防水性能を表す国際規格で、前の数字が防塵等級、後ろの数字が防水等級を表しています。

Sport True Wirelessの防塵等級5は、機器の正常な動作に支障をきたしたり、安全を損なう程の量の粉塵が内部に侵入しないレベルなので土埃くらいなら大丈夫。

いっぽう防水等級4はいかなる方向からの水の飛沫によっても有害な影響を受けないというレベルなので、汗や多少の雨なら気にしないでワークアウトに集中できます。

Sport True Wirelessはハードな環境下でもゼンハイザーサウンドが楽しめるので、ワークアウト中でも良い音でコンテンツを楽しみたい方にとってはおススメしたいTWSです。

 

 

Sport True Wirelessのレビューまとめ

それでは最後にゼンハイザー Sport True Wirelessの総合評価と、良い点・改善してほしい点を整理してみましょう。

評価項目ImpressionScore
通話品質ビジネスに使用しても問題ないレベル4.4
低音パワフルで厚みのある良質なサウンド4.6
中音ナチュラルだが低音に負けない量感あり4.6
高音繊細だが若干シャリ付く感じあり4.0
アプリ機能機能は少ないが必要なメニューは揃っている4.0
機能加点オープンイヤーアダプターでの物理的な外音取込み5.0
機能加点IP54の防塵防水性能5.0
機能減点マルチポイント非対応▲2.0
総合評価4.2

 

良い点

ビジネスシーンでも使用可能な通話品質
ゼンハイザーらしいナチュラルなサウンド
オープンイヤーアダプターによる物理的な外音取り込み
オープンイヤーアダプター用の認識モード搭載
イヤーフィンによる装着安定性の高さ
IP54の防塵防水性能
通話中に自分の声を聴ける側音機能搭載

 

改善してほしい点

ビジネス通話も可能なだけにマルチポイントは搭載して欲しい

 

ゼンハイザー Sport True Wirelessは、2021年7月に発売されたCX True Wirelessをベースにワークアウト用に機能を追加したモデルです。

Sport True Wirelessは、ゼンハイザーの完全ワイヤレスイヤホンとしては初のスポーツモデルであり、IP54の高い防塵防水性能を誇ります。

通常のイヤーピースの他に、物理的に外音を取り込み体内の音が耳に響かないよう、軸に孔をあけたオープンイヤーアダプターというイヤーピースが付属しているのもスポーツモデルならでは。

オープンイヤーアダプター装着時には、専用アプリに用意された認識モードを選択すると孔のあいたイヤーピースでも低音を損なわずに音楽を楽しむことが出来るようになっています。

このようにワークアウトでの使用を踏まえた仕様もさることながら通話品質もかなり高いレベルにあり、ビジネスシーンでも積極的に使えるのも本機の大きなメリット

Sport True Wirelessは、ビジネスのあと日常的にワークアウトを楽しんでいるユーザーには、オンでもオフでも期待を裏切らないおススメなTWSです。