低価格ながら音質に定評のあるSOUNDPEATSですが、個人的にはAIR3 DELUXE HSが気に入って自宅ではメイン機として使っています。
AIR3 DELUXE HSはインナーイヤー型としては世界初のHi-Res認定モデルで、音質がかなり良いのでネットでも評判になっていますね。
AIR3 DELUXE HSを使っていて感じていたのは、これでカナル型だったらどんな音になるんだろうということ。
とはいえ、カナル型のLDAC対応モデルはまだ先だろうと勝手に想像していたら、年内発売じゃないですか!
しかもAIR3 DELUXE HSと同じスティックタイプで、Hi-Res認定モデルとのこと。
今回、ありがたいことにメーカーさんから製品をご提供頂いたので、2週間程度使用してのレビューとなります。
メーカーさんからは使用した感想を正直に書いて構わないと言われておりますので、忖度無しでいってみましょう。

【良い点】
〇軽く圧迫感の無い着け心地
〇中高域にキラキラ感のあるリスニングサウンド
〇テレワークにも積極的に使える高い通話品質
〇ハイレゾコーデックのLDACに対応
〇充電ケース併用で最大52時間の音声再生時間
〇イコライザー機能が充実
〇低遅延のゲームモードを登載
【イマイチな点】
✖ノイキャン性能が公表値より低く感じる
✖外音取り込み時に低音域が増幅される
Contents
SOUNDPEATS Capsule3 Proのデザインと装着感
SOUNDPEATS Capsule3 Proのイヤホン本体や充電ケースのデザインと、装着感について確認していきましょう。
スティック型としては標準サイズ
Capsule3 Proは充電ケース、イヤホン本体共にスティックタイプとしては標準的なサイズ感になっています。
パッケージと同梱物は以下の通り。

イヤホンのほかにイヤーピースはS/M/L、USB-Cケーブル、取扱説明書とアプリ説明書が同梱されています。
まず充電ケースですが、楕円形で手で握りやすい形と大きさになっています。
表面はマット仕上げでサラサラしているので、指紋も目立たず清潔感がありますね。

ヒンジのところにはSOUNDPEATSロゴがプリントされた赤銅色のプレートがあしらわれており、高級感があります。
欲をいえばもう一回り小さくても良かったかなと思いますが、連続再生時間52時間というロングバッテリー搭載なのでそこは致し方ないかと。
LDAC対応の完全ワイヤレスイヤホンは再生時間が短くなるのがデメリットですが、Capsule3 Proは安心して使うことができそうです。
イヤホン本体はハウジング部分が少し大きめかな?とも感じますが、あまり小さいと遮音性に影響がありそうなのでちょうど良いくらいでしょう。

スティックは比較的短いので、マフラーなどにうっかり引っ掛けて落下してしまうこともなさそうです。
カラーはブラック1色のみですが、SOUNDPEATSのハイレゾ対応機は現状ブラックのみの展開。
複数カラー展開だとそれだけコストもかかるわけで、余計なコストをかけるくらいならそのぶんリーズナブルにというメーカーのポリシーが感じられます。
軽く圧迫感のない着け心地
Capsule3 Proは、スティックタイプらしい圧迫感のない軽い着け心地のイヤホンです。
画像出典:SOUNDPEATS製品ホームページカナル型の中でもスティックタイプのイヤホンは、スティックが耳にあたってガードのような役割をするので浅めに装着することになります。
したがって、耳に圧迫感を感じることがなく、長時間の使用でも痛みなどを感じにくいというメリットがあるんですね。
いっぽうで、装着感が軽い(浅い)=遮音性が低い・低音が逃げてしまうというのがスティックタイプのデメリット。
それを補うためにイヤーピースの形状とサイズ選びが重要になってきます。
実際に装着してみて、Capsule3 Proの付属イヤーピースがノイキャンの効きや低音の量感にマイナス影響を与えていることはないと感じました。
ただ、傘が低いタイプのため装着安定性がしっくりこないと、少し気になる方がいるかもしれません。
そこで市販のイヤーピースを何種類か試してみましたが、AZLA SendaEarfit(ハードタイプ)がよさそうです。
付属イヤーピースに比べると傘が高いのでしっかり安定し、遮音性が少し上がって音質バランスも良くなったように思います。
充電ケースにも問題なく格納できますので、装着安定性や遮音性がいまひとつと感じる方は試してみてください。
SOUNDPEATS Capsule3 Proの音質と通話品質
SOUNDPEATS Capsule3 Proの音質と通話品質をチェックしていきましょう。
リスニング色に富んだ鮮やかな音質
Capsule3 Proは、ノーマルモードとノイズキャンセリングモードでは音質の差が激しいと感じました。
どちらのモードでも中低音~中高音にボリュームを感じるチューニングで、この帯域はドライでキレのある音質。

ただ重低音と高音はノーマルモードだと控えめで、音に少し距離があってインナーイヤー型イヤホンのような聴き心地に感じます。
音は悪くないんですが、悪く言うと距離が遠い、良くいえば開放感があるという表現が適当だと思います。
SOUNDPEATSのインナーイヤー型、Air3 Deluxe HSが気に入っていて普段使いしているんですが、ノーマルモードはそれと似たようなサウンドに思えます。
いっぽうでANCモードにすると音が近くなり、低音・高音ともに厚みが増して全体的に迫力のある音質に変化します。
ANCモードは低音の下支えのおかげで全体が引き締って、没入感が高まるといったイメージですね。
また、ANCモードにすると全体的に音場が狭くなる感覚がありますが、定位はしっかり出ているのであまり気にならないでしょう。
ノーマル・ANCどちらのモードもサウンド自体は1万円以下とは思えないレベルなので、なんだか1台2役みたいで得した気分になりました。
なお、Capsule3 ProはハイレゾコーデックのLDACに対応しています。
AACから接続コードをLDACに変更すると、全体的に音が濃く、低音はより深く、高音はより伸びやかになりますね。
使い始めの音質はシャープすぎて、とげとげしさを感じるシーンもありました。
しかし、Chord&Majorで1度エージングしたら角が取れて落ち着いたので、聴き込むとさらに良くなりそうに思います。
ビジネスにも使える通話性能
Capsule3 Proの通話性能はかなり高く、ビジネスシーンでも十分に使えるレベルになっています。
SOUNDPEATSの製品へ―ムページでは通話性能について触れられていなかったので、このブログでしっかりと説明しておきたいと思います。
まずは自宅の室内とカフェ、それぞれでマイクテストを行いましたので、それをご確認頂ければと思います。
【Capsule3 Pro マイクテスト(自宅)】
【Capsule3 Pro マイクテスト(カフェ)】
まず自宅室内でのマイクテストですが、若干エコーがかったようなところはありますが、非常にクリアに聴こえます。
カフェでのマイクテストでは、周囲の人の話し声が耳を凝らせば聴こえる程度にまで抑制されていることがわかります。
マイクテストをしている時、真横にいた人たちは普通に会話していましたし、BGMも流れていました。
ここまで周辺ノイズがカットされていれば、少しこもった音声になってはいるものの外出先でのビジネス通話も十分可能なレベルです。

Capsule3 Proにの通話品質は上記のグラフの通りです。
声の明瞭さなどは高価格帯のイヤホンに劣るものの、周辺ノイズ抑制についてはかなり高いレベルにあります。
画像右側のレコーダーをみると、話していない時は無音になっていますね(00:01~00:02、00:06~00:07のあたり)。
これならビジネスにも積極的に使えるだけの通話品質だと思います。
SOUNDPEATS Capsule3 ProANCと外音取り込み性能
SOUNDPEATS Capsule3 Proのアクティブノイズキャンセリングと外音取り込み性能をチェックしていきましょう。
ノイズキャンセリングはかなり弱め
Capsule3 Proのアクティブノイズキャンセリングは、低域ノイズは抑制してくれるものの、中~高域ノイズは残ります。
以前、最大35dBのノイズ低減効果となっているMini Proを取り上げましたが、ノイキャン性能としては若干Capsule3 Proのほうが上かなと感じました。
最大43dBのノイズ低減効果とされていますので、SOUNDPEATS史上過去最高であることは間違いありません。
ただ、低域ノイズも下のほうには効果が感じられますが、中低域以上の騒音にはあまり効果がないと思います。
はじめてノイズキャンセリング搭載のイヤホンを使う方なら満足できるとは思いますが、ノイキャン初心者以外には物足りないかもしれません。
ただし、ホワイトノイズがあまり気にならないことと、ノイキャン特有の鼓膜にツンと繰る感じがないのはメリットでしょう。
低域が増幅されて感じる外音取り込み
Capsule3 Proには外音取り込みモードが搭載されています。
実際に使ってみたところかなり自然な音質で、違和感なく聴こえるなと感じました。
イヤホンを着けていないように感じるというのには一歩及びませんが、中高音は機械的に増幅されたような音質ではありません。
したがって、コンビニのレジなどで使うのはもちろんのこと、ながら聴きにも十分使える性能だと思います。
いっぽうで、パソコンのファンの音のような低域ノイズが増幅されすぎるようにも感じます。
最初使った時に「外音取り込みはホワイトノイズが大きいな…」と感じたんですが、じつはパソコンのファンの音だったというオチが…。
パソコンの音に限らずエアコンのファンの音など、モーターが回っているような音は少し大きめに聴こえます。
もちろん、コンテンツを流してしまえば全く気になりませんが、使用環境によってはうるさく感じるケースがあるかもしれません。
SOUNDPEATS Capsule3 Proの専用アプリ
SOUNDPEATS Capsule3 Proは専用アプリに対応しています。
アプリホーム画面とメニュー
Capsule3 Proは専用アプリ「SOUNDPEATS」に対応しています。

メニューはそれほど豊富ではありませんが、この価格で専用アプリが用意されているだけでも頑張っているなと感じるところです。
また、アプリが固まって動かないなどの不具合もなく、自分としてはストレスなく使えています。
主なメニューは以下の通りで、今後タッチコントロールの完全カスタマイズなどが実装されれば良いなと思いますね。
- ボリュームコントロール
- イコライザー(プリセット/カスタム)
- サウンドモード切替
- ゲームモード ON/OFF切替
- 1回タッチ有効無効切替
イコライザー機能が充実
SOUNDPEATSの専用アプリは機能が豊富とはいえませんが、イコライザーはかなり充実しています。
9種類のプリセットと、20Hz~14kHzで調整可能な9バンドのカスタムイコライザーを搭載。
9バンドのカスタムイコライザーはこの価格帯のイヤホンとしては珍しく、細かい音質調整ができるのでなかなか嬉しい機能だと思います。

かなり大きくいじっても音質がぐちゃぐちゃになってしまうことはありません。
また、「なんか違うな~」と思った時には画面の「リセット」をタッチすれば1発でフラットに戻せるのが使いやすいと感じました。
SOUNDPEATSは低価格イヤホンの中でも音質へのこだわりが感じられるメーカーなので、イコライザーにも力を入れているのでしょう。
低遅延のゲームモードを登載
Capsule3 Proは低遅延のゲームモードを搭載しています。
ノーマルモードでも大きな遅延を感じるほどではありませんが、動きの速い映像などでは少し音声が遅れる?かな?という気が。
目を凝らして動画と音声がズレていないか集中しないと気にならない程度ではありますが、全く遅れていないとは言い難いレベル。
そこでゲームモードでノーマルモードと同じ動画を観たところ、画面と音声がズレるような違和感は全く感じなくなりました。
正直なところ、自分としてはノーマルモードでも違和感を感じないのでゲームモードは使っていません。
ただ、ゲームモードならほとんどの方は違和感を感じずに動画を楽しむことができると思います。
また、自分はゲームをしないのではっきりしたことはいえませんが、遅れにシビアな音ゲーなどでなければ、ゲームにも使える性能でしょう。
SOUNDPEATS Capsule3 Proの機能
SOUNDPEATS Capsule3 Proのハードウェア面の性能についてもみていきましょう。
タッチコントロールは標準的
Capsule3 Proはイヤホン本体のタッチコントロールで操作ができるようになっています。
| 動作 | 左 | 右 | |
|---|---|---|---|
| 音楽 | 1回押し | ボリュームダウン | ボリュームアップ |
| 2回押し | 再生/停止 | ||
| 3回押し | 低遅延モードON/OFF | 音声アシスタント起動 | |
| 1.5秒長押し | OFF ⇒ ANC ⇒ 外音取り込みモード変更 | 次の曲にスキップ | |
| 通話 | 2回押し | 電話を受ける/切る | |
| 1.5秒長押し | 着信拒否 | ||
デフォルトの操作は上の表の通りで、タッチコントロールの反応は敏感すぎずもっさりしすぎずちょうど良い感じ。
タッチ1回にはボリュームコントロールが割り当てられているので、誤って触ってしまっても個人的にはそれほどストレスを感じません。
どうしても気になる方は、専用アプリに1回タップを無効にするボタンがあるのでそれをONにしてしまいましょう。
スマホのほうがボリュームは細かくコントロールできるので、ストレスを感じるなら機能を止めてしまうのはありだと思います。
なお、曲戻りとマイクミュートの操作が割り当てられていないのは少し残念かも。
特にマイクミュートは、通話品質が良いだけにファームウェアのアップデートで対応して欲しいところですね。
IPX4の防水性能
Capsule3 ProはIPX4の防水性能となっています。
防水といっても正確には「防滴」で、IPX4は「いかなる方向からの水の飛沫によっても有害な影響を受けない」という性能。
さすがに水洗いはできませんが、屋外で使用中に急に雨に降られて多少濡れた程度であればすぐに故障することはありません。
ただし、注意すべきはイヤホン本体はIPX4でも、充電ケースは防水性能を備えていないということ。
雨に降られたからといってイヤホンが濡れたまま充電ケースにしまうと、ショートして故障の原因になる可能性も。
イヤホンが濡れてしまった時はタオルなどで水分をふき取り、乾かしてから充電ケースに戻すようにしましょう。
SOUNDPEATS Capsule3 Proのレビューまとめ
それでは最後にSOUNDPEATS Capsule3 Proの総合評価と、今回のレビューを通して感じたことを整理してみましょう。
| 評価項目 | Impression | Score |
|---|---|---|
| 通話品質 | オフィスなどでビジネスでも使用可能 | 4.5 |
| 低音 | 沈み込むような迫力はない | 4.1 |
| 中音 | 最も厚みがある音域で解像度も高い | 4.6 |
| 高音 | キラキラ系でシャープな音質 | 4.2 |
| ANC性能 | 中高域ノイズには効果なし | 3.9 |
| 外音取り込み | 中高音は自然だが、低域は若干増幅される | 4.5 |
| アプリ機能 | メニューは少ないがイコライザーは充実 | 4.0 |
| 機能加点 | ハイレゾコーデック(LDAC)に対応 | 5.0 |
| 総合評価 | 4.4 |
【良い点】
〇軽く圧迫感の無い着け心地
〇中高域にキラキラ感のあるリスニングサウンド
〇テレワークにも積極的に使える高い通話品質
〇ハイレゾコーデックのLDACに対応
〇充電ケース併用で最大52時間の音声再生時間
〇イコライザー機能が充実
〇低遅延のゲームモードを登載
【イマイチな点】
✖外音取り込み時に低音域が増幅される
SOUNDPEATS Capsule3 Proは、カナル型スティックタイプのハイレゾ認定モデルです。
音質は中高音が煌びやかなリスニング色の強いサウンドで、個人的に非常に気に入っている同社のAIR3 DELUXE HSに近いと感じます。
各音域の融和と細かな表現力こそ3万円前後のプレミアムイヤホンには及びませんが、1万円以下でこの音質はやはり驚異的です。
LDAC接続すると音場が広がり細やかさも増すので、より音質の良さを感じることができます。
やはり低価格イヤホンの中でも、SOUNDPEATSの音づくりはトップクラスだと思いますね。
なお、LDAC対応イヤホンの最大の弱点は再生時間の短さですが、Capsule3 Proは充電ケース込みで連続52時間もの再生が可能。
これだけのロングバッテリーなら、1日中LDAC接続して音楽を楽しんでもバッテリー切れの心配はありません。
また、通話品質が高いのもCapsule3 Proの大きなメリットで、ビジネスシーンで使用しても問題ないレベルです。
低価格で通話品質と音質が良いイヤホンが欲しいと思っている方には、是非注目して頂きたい製品です。
















