Victorからアクティブノイズキャンセリング搭載の完全ワイヤレスイヤホン、HA-A30Tが登場しました。
Victorといえば、21年11月に完全ワイヤレスイヤホンでは珍しい木の振動版を使ったハイエンドモデル「HA-FW1000T」を発売したのが記憶に新しいところ。
発売当初の価格は38,600円とかなり高価なイヤホンでしたが、深みと温かみのある音質がマーケットで高い評価を受けました。
Victorは国内最高クラスの設備・技術を誇る「ビクタースタジオ」を有し、音づくりのプロ集団と呼ばれるエンジニアの多数抱えている老舗ブランド。
そんなVictorから今回リリースされたHA-A30Tは、アクティブノイズキャンセリングを搭載しながら売出価格が1万円を切るエントリーモデル。
個人的にはVictorブランドはエントリークラスは使われないのではないかと思っていたので、HA-A30Tの登場は少し意外に感じました。
しかしこうなると、HA-A30Tのその実力がVictorの名を冠するのに値するのか俄然気になってしまうもの。
なおスペックは以下の通りで、コンパクトながら駆動時間などは十分満足できるレベルにありそうです。

というわけで、今回はVictor HA-A30Tの音質や通話品質はもちろんのこと、デザインや装着感、機能面などを実際の製品を使って徹底的にレビューしていきます。
Contents
Victor HA-A30Tのデザインと装着感
Victor HA-A30Tのイヤホン本体や充電ケースなどのデザインや、実際の装着感についてチェックしていきましょう。
HA-A30Tの充電ケース
HA-A30Tは非常に小さく軽い製品ですが、デザインにチープさはなく、むしろワンランク上の価格帯のイヤホンさながらの質感を感じさせてくれます。
まず充電ケースですが、横52mm×縦33mm×高さ31mm、重さ28gとかなり小さく軽くできています。

上蓋にはVictorブランドの象徴「His Master’s Voice」がプリントされ、筐体はプラスチックながら表面がマットに仕上げられているため上品さが感じられます。
下の画像は実際に手に取ってみたものですが、ご覧いただくとその小ささをより感じて頂けるのではないでしょうか。

HA-A30Tは残念ながらワイヤレス充電には対応しておらず、充電ケース背面からUSB-Cケーブルで給電することになります。

HA-A30Tのイヤホン本体
HA-A30Tのイヤホン本体もマットな仕上がりで質感があり、タッチセンサー部にも高品質の証であるVictorブランドロゴがプリントされています。

上の右の画像をご覧いただくと金属製のカバーが付いているのがお分かりいただけると思いますが、これは屋外で通話する際の風切り音防止用カバーとのこと。
このあたりもさすがVictorだという部分で、細かな気配りが感じられて好印象ですね。

本体裏側は上の画像の通りで、丸くコロンとした形状となっています。
イヤホン本体の重量は片側4.2gで、手の平に乗せると下の画像の通り非常に小さく軽いなということが実感できます。

HA-A30Tはジェンダーレスなカラーバリエーションが用意されており、シンプルなバイカラーデザインが採用されています。

たしかに全色並べてみると、男性・女性どちらも使うことができそうなデザインとなっており、逆にどのカラーを選ぼうか迷ってしまいそうですね。
HA-A30Tの装着感
HA-A30Tはイヤホン本体の耳との密着度はそれほど高くなく、装着安定感を高めるためにはイヤーピースで耳孔にしっかり固定することが必要となります。
出典:Victor HA-A30T 製品ホームページよりここで気を付けたいのが、イヤーピースのサイズが小さいと遮音性が低下しノイキャンの効きが悪くなるほか、低音の量感も低下してHA-A30T本来のポテンシャルが引出せなくなりるということ。
逆にサイズが大きすぎると圧迫感を感じたり耳に痛みが出てしまう場合もあるので、イヤーピース選びって完全ワイヤレスイヤホンを使う上でとても重要な要素なんですよね。
HA-A30TにはS/M/L 3サイズのイヤーピースが付属しますが、少し細身の形状をしているので自分が考えるよりワンサイズ大きいものを選んだほうが良いかもしれません。
もし付属のイヤーピースがどうも合わないと感じるようでしたら、市販のイヤーピースでは以下の2つがおススメだと思います。
まずはSpinfit CP100で、比較的求めやすい価格で純正イヤーピースとほぼ同じ音質が得られる製品です。
もう1つはNUARL Block Ear+で、ボーカルの音質は変わらず、高音を若干抑えて低音の量感が増します。
なお上記2つのイヤーピースなら、付け替えてもイヤホン本体を充電ケースに格納できることを確認済です。
HA-A30Tはイヤホン本体を格納するハウジングも小さいので、縦に長かったり大き目のイヤーピースを装着すると、充電ケースの中で浮いてしまってしっかりチャージできない可能性もあるので注意が必要です。
Victor HA-A30Tの音質と通話品質
Victor HA-A30Tの音質と通話品質を確認していきましょう。
HA-A30Tの音質
HA-A30Tのスペックを確認したときに思ったのは、BluetoothコーデックがSBCのみなので音質はあまり期待できないかなということ。
しかし実際に音楽を聴いてみたところ「この価格と大きさでこの音質かよ…」と、その予想は大きく裏切られる結果となりました。
HA-A30Tは、低域の迫力と中高域の繊細さという2面性を持ちながら、その2つがうまくつながったリスニング色の強い音質です。
とにかく1音1音の粒立ちがよく、全音域にわたってタイトでクリアな音質で、低価格とはいえさすがはVictorブランドを冠しているイヤホンだなと感心しました。
まず一聴して感じることは低音のボリュームの多さで、重低音が下からズンズン突き上げてくるような躍動感があって、かなり低音の圧が強い印象を受けます。
HA-A30Tは、6mmダイナミックと小さめのドライバーながら、大径ドライバーに匹敵するような迫力のある低音を鳴らしてくれます。
また、低音が他の音域を邪魔しているかというとそんなことはなく、程よくタイトで丸みを帯びた比較的温かみがあるVictorらしい音です。
次に感じるのはボーカルが近く、しかもかなり解像度が高いということ。
迫力のある低音にまったく食われることなくボーカルがグッと前に出てきて、音場に歌声が響くような感覚があります。
個人的には女性ボーカルだと高音域で歯擦音が若干気になるケースがあり、男性ボーカルのほうが合うように感じています。
高音は少しばかり中音の後ろに隠れているような感覚がありますが、解像度は高く控えめながらキラキラした音を鳴らしてくれます。
全体的に迫力があるリスニングサウンドで、EDMやヒップホップ、ポップスなど低音+ボーカルで楽しむような曲が相性が良いのではないかと思います。
HA-A30Tの音質をグラフで表すと以下の通りです。

なお、HA-A30Tにはサウンドモードという機能が搭載されていて、バスとフラットという2つのモードを切り替えることが出来るようになっています。
実際にバスモードを試してみましたが、全体のバランスは維持しながらも低音の量感が増して1段深く沈み込んだような感覚にとらわれました。
ただ低音だけ強くするのではなく、イコライザーでしっかりチューニングした低音寄りの音質に変化したという感じで、Victorブランドのイヤホンだけのことはあると感じました。
HA-A30Tの通話品質
HA-A30Tには、ハンズフリー通話が可能なマイクが搭載されています。
完全ワイヤレスイヤホンはケーブルが邪魔にならないことから、リモートミーティングやオンライン授業に積極的に使いたいところ。
ということで、HA-A30Tの通話品質を確認するために、自宅とカフェでマイクテストを実施しました。
【Victor HA-A30T 自宅での通話】
【Victor HA-A30T カフェでの通話】
まず自宅での通話ですが、自分の声ははっきり集音されていながら柔らかい音質で、ノイズもまったく気になりません。
これなら在宅時のリモートミーティングなら安心して使えるレベルの通話品質だと思います。
つぎにカフェでのマイクテストですが、こちらも自分の声がハッキリと、しかも柔らかく聞こえることに驚きました。
BGMを拾ってしまっているのは致し方ないところですが、周囲の話し声などはほとんど気になりません。
これならオフィスの自席からリモートミーティングに参加しても、周辺ノイズをそれほど気にせずに発言ができると思います。
Victorのワイヤレスイヤホンの音質はどちらかといえばWarm系で、どこか暖かみのある音づくりが特長だと思っているんですが、通話の音質も同じような傾向にあるんですね。
今回のマイクテストの結果、HA-A30Tの通話品質は以下の通りの評価となります。

HA-A30Tの通話品質は、このクラスとしてはかなり高いレベルにあり、通話シーンにも積極的に使っていける製品だと思います。
Victor HA-A30TのANCと外音取り込み性能
Victor HA-A30Tのアクティブノイズキャンセリング(=ANC)と外音取り込み性能について確認していきましょう。
HA-A30TのANC性能
HA-A30TのANCはマイルドな仕様で、生活環境音やカフェなどでの周辺ノイズならほぼカットしてくれますが、人の声など中高音域のノイズに大きな低減効果は感じられません。
電車内についても低域の走行音には効いているという感じはしますが、車内アナウンスやドアの開閉音、ガタンゴトンといった中~高域ノイズはANC ONでもあまり変わらないといった印象です。
ただし、HA-A30Tはイヤーピースのサイズさえしっかり合ったものを選べば遮音性は高く、装着しただけで周囲のノイズはかなり軽減されます。
とにかくノイキャンの強いTWSが欲しいというユーザーには本機をおススメすることはできませんが、音質最優先でノイキャン付きの機種ということなら有力候補になるでしょう。

HA-A30Tはこの価格帯のノイキャン機にありがちなANC ONでの音質変化がほとんどなく、音質優先というユーザーにはこの点も大きなメリットだと思います。
この価格帯のノイキャン機の中にはANC ONで音質が全く別物になってしまったり、ひどいものになると「これじゃあ聴いてられない…」と思うものもありますからね。
その点HA-A30TはさすがはVictorブランドで、イヤホンに求められる最も大切な音質に対しては確かな品質が保たれているという安心感があります。
なお、ノイキャンの切り替えは右のイヤホン本体の1秒長押しで、長押しするとビープ音が鳴りますのでそこで手を離すと「ノイズキャンセリング」というアナウンスが流れます。
ANC ONの時に同じ操作をすると「ノイズキャンセリングオフ」というアナウンスが流れますので、「どっちのモードだったっけ?」ということもなく操作性は良いと感じました。
HA-A30Tの外音取り込み性能
HA-A30Tの外音取り込みは、周辺の高域ノイズが若干増幅されて聴こえるような感覚がありますが、人の声は比較的自然に聴こえます。
個人的に外音取り込みを使うのはコンビニのレジや電車の車内アナウンスを聞くときくらいなので、高域ノイズを取り込むというデメリットも普段使いではほとんど気になりません。
なお、HA-A30Tは外音取り込みモードに切り替えると、自動的に再生中のコンテンツの音量を下げてくれる仕様になっています。
音量が調整されないイヤホンだと外音取り込み → コンテンツの停止という2アクションが必要で、実際に使っているとなにげに面倒なんですよね。
その点、1アクションで外音取り込みモードに移行できるHA-A30Tは、実際に使ってみるとモード移行の使い勝手が良いと感じられるはずです。
Victor HA-A30Tの機能
HA-A30Tの機能面ついてチェックしていきましょう。
HA-A30Tの操作性
HA-A30Tは、イヤホン本体のタッチセンサーをタップして操作ができるようになっています。
専用アプリがありませんので、操作は以下の表の通りデフォルトの状態を覚えて使うことになります。
| 動作 | 左 | 右 | |
|---|---|---|---|
| 音楽 | 1回押し | 音楽再生/停止 | 外音取り込み ON/OFF |
| 2回押し | ボリュームダウン | 次の曲にスキップ | |
| 3回押し | ボリュームアップ | 前の曲に戻る | |
| 4回押し | 音声アシスタント起動 | - | |
| 1秒長押し | サウンドモード BASS/FLAT | ノイズキャンセリング ON/OFF | |
| 動画 | 5回押し | 低遅延モード ON/OFF | - |
| 通話 | 1回押し | 着信中:受話 通話中:マイクミュート | - |
| 長押し | 通話中:切断 着信中:着信拒否 | - | |
| 5回押し | イヤホン ⇒ スマホへの通話切替 | - | |
実際に操作してみましたがタッチセンサーの感度や反応速度に問題は無く、反応が遅いとか反応が敏感すぎるといったストレスを感じることはなかったですね。
また、音楽再生についての操作割当ても違和感なく使うことができましたので、この点においても何ら問題は無いと思います。
ただ、通話に関しては左側のイヤホンにのみ操作を割り振ったからか操作が少し複雑で、慣れるまでは「あれ?どうするんだっけ?」となってしまうのがデメリットでしょう。
HA-A30Tは専用アプリが用意されていないので操作方法に関するファームウェアアップデートも期待できないでしょうから、通話時の操作には慣れるしかないかなと思います。
HA-A30Tの防水性能
HA-A30Tは、IPX4の防水性能となっています。
出典:Victor製品ホームページよりIPX4は「いかなる方向からの水の飛沫によっても有害な影響を受けない」という防水レベルで、急な雨でイヤホンが濡れたくらいでは影響がないとされています。
したがって、雨の日でも傘をさしていれば屋外で使えますし、多少濡れても大丈夫。
いっぽう充電ケースは防水仕様になっていませんので、外で急に雨に降られたからといってその場で充電ケースに戻さないほうが賢明です。
イヤホン本体が濡れてしまったときは、屋内に入ってからハンカチやタオルなどでしっかり拭いて、少し乾かしてから充電ケースに戻すようにしましょう。
HA-A30Tの低遅延モード
HA-A30Tには動画やゲームなどのコンテンツを利用する際に、音の遅延を抑える低遅延モードが搭載されています。
出典:Victor製品ホームページより実際に動画を観て確認してみたところ、低遅延モードで遅れを感じたシーンはありませんでした。
自分はゲームをしないので、家族にお願いしてNintendo Switchに接続して試してもらったところ、音ゲーやサバゲーでなければストレスなくプレイできるとのこと。
HA-A30TはBluetoothコーデックがSBCにしか対応していないので、唯一遅延が弱点かと思っていたんですが、良い意味で予想が裏切られる結果となりました。
Victor HA-A30Tのレビューまとめ
それでは最後にHA-A30Tの総合評価と、実際に使ってみた感想をまとめてみましょう。
| 評価項目 | Impression | Score |
| 通話品質 | 静かな場所での通話は問題なし | 4.0 |
| 低音 | 6mmDDとは思えないほどの迫力 | 4.4 |
| 中音 | ボーカルの解像度が高く広がりもある | 4.5 |
| 高音 | 超高音は若干金属的 | 4.2 |
| ANC性能 | 弱めのANCで中域以上のノイズには効果薄 | 3.8 |
| 外音取込み性能 | 高域ノイズを集音してしまう傾向あり | 4.0 |
| デザイン性 | シンプルでチープさを感じさせない | 4.6 |
| 機能加点 | 低遅延モード搭載 | 5.0 |
| 機能加点 | サウンドモード(バス/フラット)搭載 | 5.0 |
| 総合評価 | 4.4 | |
Victor HA-A30Tは、Victorブランドとしては初となる売出価格1万円を切るエントリーモデルです。
低価格なので音質もそれなりかと思いきや、Victorの名を冠しているだけあってワンランク上のイヤホンとも勝負できるようなサウンドになっています。
とくに低音の迫力、ボーカルの歌声の広がりと解像度の高さは驚くほどで、Victorブランドに対するメーカーの力の入れようを感じることができます。
アクティブノイズキャンセリングも搭載し、生活環境ノイズやカフェなどでの周辺ノイズにはしっかり効きますし、電車内でも走行音など低域ノイズはある程度カットしてくれます。
機能面でも動画やゲームでの音声の遅れを抑える低遅延モードを搭載し、多少の水濡れでもイヤホンの使用に影響を受けないIPX4の防水性能も備えています。
Victor HA-A30Tは、1万円以内の予算で音楽・動画・ゲームなどをどこにいても楽しめる完全ワイヤレスイヤホンが欲しいという方、とくに音質を重視したいという方にはおススメの1台です。
なお、ワークアウトなどよりアクティブなシーンで使いたいという方や、EDMやクラブミュージックなどをよく聴くという方は、JVC HA-XC72Tをおススメします。
JVC HA-XC72Tは以下で詳しくレビューしていますので、よかったら参考にしてみてくださいね。















