JBLの完全ワイヤレスイヤホンでフラッグシップモデルといえば、やはり2020年に発売され爆売れしたClub Pro+でしょう。
その後、21年10月にTour Pro+がリリースされていますが、JBLらしさが少し和らいだ落ち着いたモデルでした。
そんなJBLから、Club Pro+の後継フラッグシップモデルと呼ぶにふさわしいTour Pro 2がリリースされました。
充電ケースには世界初となるスマートタッチディスプレイを登載し、発売前から話題性は十分。
スペックやビルドクオリティを見る限り、同社初のプレミアムイヤホンと呼んでも良さそうなクオリティが感じられます。
そんなわけで今回はJBL Tour Pro 2をレビューしていきたいと思います。
実際に使ってみて感じた良いところ、イマイチなところを余すことなくお伝えできればと思います。

【良い点】
〇音質は躍動感と爽快感のあるJBLサウンドの進化系
〇ノイキャン性能が前作より大幅にアップ
〇テレワークにも積極的に使える高い通話品質
〇密着度が高いが圧迫感を感じない着け心地
〇イヤホン本体のビルドクオリティは非常に高い
〇メニューが非常に豊富な専用アプリ
〇マルチポイントに対応
〇最大再生時間40時間のバッテリーライフ
【イマイチな点】
✖ハイレゾコーデック非対応
✖イヤホン操作の完全カスタマイズ非対応
✖弦楽器の伸びやかさに若干の不足感を感じる
Contents
JBL Tour Pro 2のデザインと装着感
JBL Tour Pro 2のデザインなど外観と装着感についてチェックしていきましょう。
世界初のスマートタッチディスプレイ登載
JBL Tour Pro 2で最も注目すべきは、充電ケースにスマートタッチディスプレイが搭載されたこと。
なんと充電ケースでもイヤホンの操作が可能になっています。

充電ケースに操作ディスプレイが搭載されるのは世界初とのことで、その発想の斬新さに感心してしまいます。
なにより充電ケースに液晶画面が搭載されていることが新鮮で、これだけでガジェットとしての満足度が高まりますね。
充電ケースは73gとやや重量感があり、サイズも少し大きめかなとは感じるものの、携帯するのに煩わしさは一切感じません。
イヤホン本体はショートスティックタイプで、手に取るとビルドクオリティの高さが感じられます。

これまでのJBLの完全ワイヤレスイヤホンは、Proブランドでも合成樹脂のみのデザインでした。
Tour Pro 2はメタルを取り入れているので、これまでのモデルに比べ高級感と質感が圧倒的に向上しています。
そのぶん売出価格も3万円オーバーとそれなりにはなっていますが、プレミアムイヤホンの名に恥じないデザインと質感です。
また、これまでのProブランドはブラック1色でしたが、Tour Pro 2にはあらたにシャンパンが加わりました。

ブラックもシャープなイメージでカッコいいですが、シャンパンも落ち着いた大人のガジェット感があり選択に迷いますね。
フィット感が高く圧迫感の無い着け心地
JBL Tour Pro 2はスティックタイプではあるものの、耳へのフィット感が非常に高いイヤホンです。
通常耳への密着度と圧迫感はトレードオフの関係なのですが、Tour Pro 2はその両方が高次元にバランスしている印象です。

カナル型イヤホンの特長の1つである「装着時になかなか位置が決まらない」ということがないので初心者にも扱いやすいはず。
遮音性の高いポジションにサッと装着することができるので「なんかしっくりこないな…」ということがないのでストレスなく使えるでしょう。
JBLは2022年春にLive Free 2で、快適性と密閉性を向上させる「デュアル・オーバルシェイプデザイン」を採用。
Tour Pro 2にも同じデザインが採用されていて、それゆえの高い遮音性と装着感が実現されています。
JBL Tour Pro 2の音質と通話品質
JBL Tour Pro 2の音質と通話品質をチェックしていきましょう。
JBLらしい躍動感のある音質
JBL Tour Pro 2は、これまでのJBLサウンドの良いところはそのままに、さらに洗練された音質になっていると感じました。
これまでのJBLサウンドはとにかく明るくグイグイくるイメージだったんですが、Tour Pro 2は押しの強さを感じさせないスマートな雰囲気。
音質を可視化すると以下の通り低音が全体を下支えしているものの、ドンシャリではなくフラットに近い印象です。

低音はあくまで音質に躍動感を添えている感覚で、「強い」というより「濃い」という表現が近いかもしれません。
中高音は非常に分離感と解像感が高く、Tour Pro 2の音質が洗練されたように思うのはそのせいでしょう。
個人的には弦楽器の響きだけ少し物足りなさを感じましたが、それを差し引いてもプレミアムイヤホンに恥じないサウンドだと思います。
静かなしっとりした曲もしっかりと聴かせてくれますが、ベストマッチはやはりテンポの良い明るい曲。
ロック、ポップス、アニソンなどはかなり得意で、普段こういったジャンルの曲を聴くユーザーにはおすすめですね。
ビジネスでも使える高いマイク性能
JBL Tour Pro 2の製品ホ―ムページをみると、左右合計6つのマイクが搭載されていて快適な会話を実現しているとなっています。
前作のTou Pro+も通話品質レベルが高かったので、Tour Pro 2にも期待が持てるところです。
さっそくマイクテストを実施してみたところ、予想通りビジネスにも十分使える通話品質だということが実感できました。
【JBL Tour Pro2 マイクテスト】
JBL Tour Pro 2での通話
スマートフォンでの通話
スマホでの通話と比べると、周辺ノイズがほぼカットされているのがおわかり頂けると思います。
下の画像の通り、視覚的に検証しても声を発していない時は周辺ノイズをほぼ拾っていません。

これなら外出先のカフェなどからでも、周囲の雑音を気にせずリモートミーティングに参加することも可能です。
さらにTour Pro 2にはボイスアウェアといって、自分の声を聴くことができる機能も登載されています。
ボイスアウェアを活用すると、イヤホン装着時にありがちな必要以上に大きな声で話しているなんてこともなくなるのは大きなメリットでしょう。
JBL Tour Pro 2の通話品質をグラフで表すと以下の通りで、通話性能は非常に高く、とくに周辺ノイズ抑制は高いレベルにあると感じました。

JBL Tour Pro 2のANCと外音取り込み性能
JBL Tour Pro 2のアクティブノイズキャンセリング(=ANC)と外音取り込み性能を確認していきましょう。
大幅に進化したノイズキャンセリング性能
JBL Tour Pro 2のノイズキャンセリング性能はかなり高く、低域~中低域ノイズはかなり抑制してくれる印象です。
前作のTour Pro+にくらべると以下の通りかなりノイキャン性能が進化しており、歴代JBLのなかではもっとも高性能だと思います。

また、Tour Pro 2は周囲のノイズ成分を監視し、ノイズキャンセリングをかける周波数帯域とその度合いを調整するアダプティブノイズキャンセリングを登載。

アダプティブノイズキャンセリングはON/OFF切替が可能で、OFFの際はノイキャン強度を7段階で調整することも可能です。

外音取り込み性能は標準レベル
JBL Tour Pro 2の外音取り込み性能は可もなく不可もなくといった標準レベル。
近くの音はかなり自然に聴こえるものの、周囲のノイズが取込音に少しのってしまうように感じます。
ただし不快感を感じるほどではなく、電車内のアナウンスを聞いたり、コンビニのレジで会話するくらいなら何ら問題はありません。
なお、外音取り込みは「アンビエントアウェア」と「トークスルー」の2種類を切り替えることが可能です。
アンビエントアウェア:周囲の音を聴きやすくする
トークスルー:一時的に再生中コンテンツの音量を下げて会話しやすくする
JBL Tour Pro 2の専用アプリ
JBL Tour Pro 2は専用アプリ「JBL Headphones」に対応しています。

JBL Tour Pro 2アプリメニュー
✓サウンドイコライザー(プリセットと完全カスタマイズ)
✓オーディオ&ビデオモード切替(Bluetooth通信の最適化)
✓左右イヤホン操作のカスタマイズ
✓Spatial Sound(JBL独自の空間サウンド)
✓SilentNow(デバイスと未接続でのANC ON機能)
✓ボイスアウェア(発話中の自分の声も音量調整機能)
✓Personi-fi 2.0(年齢・聴覚特性に応じたサウンドプロファイル作成)
✓最大音量のリミッターON/OFF
ここでは基本的なメニューとTour Pro 2ならではのメニューをいくつかご紹介します。
直感的で使いやすいサウンドイコライザー
Tour Pro 2の専用アプリ「JBL Headphones」のイコライザーは、自由度が高く非常に使いやすいつくりになっています。
7パターンのプリセットに加えて完全カスタマイズも可能で、とくにカスタマイズイコライザーの操作性が秀逸。

上画像の右側がカスタムイコライザーで10バンドで調整可能なんですが、ポインター(〇印)は縦だけでなく横にも動かすことが可能です。
つまり、低域や高域など気になる帯域にポインターを集中させて細かなチューニングをすることができるんですね。
音質の良いイヤホンを購入すると、やはり自分好みの音楽を自分好みのチューニングで聴きたいもの。
JBL Tour Pro 2のイコライザーは、そんな欲求をしっかり満たしてくれるはずです。
操作カスタマイズは選択制
JBL Tour Pro 2はイヤホン本体のタッチセンサーで操作をすることが可能で、デフォルトの操作は以下の通り設定されています。
| 動作 | 左 | 右 | |
|---|---|---|---|
| 音楽 | 1回押し | アンビエントアウェア ⇔ ノイズキャンセリング切替 | 再生/一時停止 |
| 2回押し | トークスルー ON/OFF | 次の曲へ | |
| 3回押し | ノイズキャンセリング | 曲戻し | |
| 2秒長押し | ボイスアシスタント起動 | ||
| 通話 | 2回押し | 着信応答/通話終了 | |
| 2秒長押し | マイクミュート ON/OFF | ||
また、タッチコントロールは専用アプリからカスタマイズすることも可能。
左右それぞれ操作自体をOFFにするか3つのパターンのいずれかを割り当てることができるようになっています。
タッチ操作割当てパターン
✓再生&音声アシスタントの操作
✓アンビエントサウンドの操作
✓音量コントロール
✓割当てなし

タッチ回数ごと個別に操作を割り当てることができないのは少々残念ですが、使い勝手が悪いと感じることはありません。
なお、通話の操作はデフォルトのまま変更することはできません。
没入感の高いSpatial Sound
JBL Tour Pro 2には、JBL空間オーディオ「Spatial Sound」が用意されています。
JBL HeadphonesのSpatial SoundをONにすれば、没入感の高い空間サウンドを楽しむことができるのは大きなメリットといえるでしょう。

実際に試してみると、空間がグッと広がって音が降り注いでくるような感じがします。
ただし、音の定位がそのままで空間が広がるというより、音源が上方向に少し離れて、そこから広い空間に音が振ってくるような感覚ですね。
3DオーディオというよりDolby Atmosの感覚に近く、とくに映画を観たりゲームをプレイするときに向いているように思います。
Personi-fi 2.0でプロファイリングが可能
JBL Tour Pro 2は、性別・年齢・聴覚特性に応じて自分だけのリスニングプロファイルを作成することができます。

実際に試してみたところ、デフォルトの音質が大きく補正された感じはしなかったものの、全体域の音がよりバランスが良く聴こえるようになった印象を受けました。
パーソナライズ機能が搭載されたイヤホンは他にもありますが、Tour Pro 2のプロファイル押し付けすぎない感じが好印象。
作成されたプロファイルを使うかどうかは後から判断する前提で、ますは試してみて損はないと思います。
JBL Tour Pro 2のその他の機能
JBL Tour Pro 2に搭載されている機能で、専用アプリによらない便利な機能をチェックしていきましょう。
スマートタッチディスプレイ
JBL Tour Pro 2の最大の特徴は、充電ケースにスマートタッチディスプレイが搭載されていることでしょう。
スマートタッチディスプレイに表示させることができるメニューは以下の通りで、ほとんどの操作が充電ケースで完結してしまいます。

表示可能なメニュー
✓アンビエントサウンドの操作
✓Spatial Sound
✓イコライザー
✓ボイスアウェア
✓自動再生&一時停止
✓SilentNow
スマートタッチディスプレイはフリックするだけでロック解除とメニュー変更が可能。
スマホを開いてアプリ操作をしなくて良いので、便利といえば便利なんですが…。
個人的には完全ワイヤレスイヤホンは通勤時に使うので、イヤホンを装着したら充電ケースはバッグの中。
イヤホン操作はやはりイヤホン本体か、胸ポケットに入っているスマホがメインになってしまいます。
デスクに座ってTour Pro 2を使うような場合は便利なんですが、自分にとってはどの程度メリットがあるかまだ未知数ですね。
2台同時接続可能なマルチポイントに対応
JBL Tour Pro 2は2台のデバイスに同時接続可能なマルチポイントに対応しています。

このマルチポイントという機能は、一度体験すると後戻りできないほど便利なもので、複数のデバイスに接続して使うつもりの方にはおすすめです。
マルチポイントについては以下の記事で詳しく説明しています。
Bluetooth接続可能なデバイスなら組み合わせは自由で、スマホとパソコン、スマホとタブレットなど自由自在。
とくにプライベートとビジネス用のスマホ2台持ちの方は、マルチポイントでイヤホンの利便性が格段に上がります。
最大40時間再生のロングバッテリー
JBL Tour Pro 2はイヤホン本体の再生時間が約10時間、充電ケース込みの最大再生時間は10時間+30時間の約40時間。
アクティブノイズキャンセリングオンの状態でも8+24時間の約32時間と、かなりバッテリー持ちが良いモデルです。
急速充電にも対応しており、15分で約4時間の使用が可能なのでバッテリー切れに悩まされることはまずないといって差支えないと思います。
完全ワイヤレスイヤホンを使い始めると、最も気になるのはバッテリー残量。
この充電にあまり煩わされることがないイヤホンは、使い始めるとそのメリットの大きさに気付くものです。
また、Tour Pro 2はQi規格のワイヤレス充電にも対応していることから、バッテリーまわりについては何ら不満のない仕様。
JBL Tour Pro 2のレビューまとめ
それでは最後にJBL Tour Pro 2の総合評価と、今回のレビューを通して感じたことをまとめていきましょう。。
| 評価項目 | Impression | Score |
| 通話品質 | オフィスやカフェでの通話にも使用可能 | 4.7 |
| 低音 | 全体を下支えし、それでいて躍動感のある低音 | 4.8 |
| 中音 | 音が濃く一音一音がハッキリと聴こえる | 4.8 |
| 高音 | 透明感・分離感ともに高レベル | 4.6 |
| ANC性能 | 最強には一歩及ばないが実用性は十分 | 4.7 |
| 外音取込み | 自然とまではいかずも実用性は十分 | 4.3 |
| アプリ機能 | 操作性・メニューの豊富さともに満足いくレベル | 4.9 |
| 機能加点 | マルチポイントに対応 | 5.0 |
| 機能加点 | スマートタッチディスプレイを登載 | 5.0 |
| 機能加点 | Spatial Sound(空間サウンド)を登載 | 5.0 |
| 総合評価 | 4.8 | |
【良い点】
〇音質は躍動感と爽快感のあるJBLサウンドの進化系
〇ノイキャン性能が前作より大幅にアップ
〇テレワークにも積極的に使える高い通話品質
〇密着度が高いが圧迫感を感じない着け心地
〇イヤホン本体のビルドクオリティは非常に高い
〇メニューが非常に豊富な専用アプリ
〇マルチポイントに対応
〇最大再生時間40時間のバッテリーライフ
【イマイチな点】
✖ハイレゾコーデック非対応
✖イヤホン操作の完全カスタマイズ非対応
✖弦楽器の伸びやかさに若干の不足感を感じる
JBL Tour Pro 2を実際に使ってみて感じたことは、この製品はClub Pro+が3年の時を経て進化したモデルなんだということ。
Tourが冠されているのでTour Pro+のような音質なのかと思いきや、JBLサウンドを高い次元に昇華させたような音づくりがなされています。
躍動感があり明るく陽気なサウンドはそのままに、全音域にきれいに磨かれたガラスのような爽やかさが加わっています。
ノイズキャンセリング性能や通話品質も非常に高く、マルチポイントも搭載していることから機能面で物足りなさを感じることはないでしょう。
くわえてビルドクオリティも高く、ガジェットとしての所有欲も満たしてくれるはず。
なお、イマイチな点を3点ほどあげていますが、これもあえて言わせてもらえばというレベル。
売出価格3万円程度と高価なイヤホンですが、価格に見合うデザインと性能を備えており、ビジネスパーソンにもおすすめできるモデルです。
















